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ちょっと待って! HDMIループに対応したモバイルモニター「On-Lap M505E」のポテンシャルが高すぎる!
オフィス・会議・テレワーク・ゲーム・配信用に、14台くらい欲しくなっちゃうかも!? text by 日沼諭史
2020年11月12日 00:00
今やわりとメジャーな存在として知られるようになったモバイルモニター。据え置き型のモニターより格段に軽量で、薄く、持ち運びに適しているうえに、タッチパネル型や高解像度の4K対応モデルなど、バリエーションも豊富だ。
種類が増えたおかげで自分の用途に合った製品を選びやすくなってきているわけだけれど、高品質モバイルモニターの草分け的存在であるGeChicから、これまでとはちょっと違うタイプのユニークな製品が登場した。折りたたみ式のクラムシェル構造にして使い勝手をアップした「On-Lap M505E」(実売価格3万円前後)だ。しかも複数台を連結して映像出力できる「HDMIループ」機能も搭載している。
「HDMIループってなんぞや?」と疑問に思う人も、これを読めばきっと「これ絶対便利なやつや!」と感じて購入ボタンを14回クリックするに違いない。なぜ「14回」なのか、その答えはこの後すぐ!
スタンド一体型の折りたたみ構造ですっきり使える新型のON-Lap
「M505E」は、GeChicのモバイルモニター「On-Lap M505」シリーズのラインアップの1つ。他にタッチパネル採用モデルの「M505T」もあるが、タッチパネルかそうでないかという点以外の基本的な仕様は両者ほぼ同じ。M505Eは「デスクトップをもっと広くしたい」といったシンプルな要求に応えるモデルと言えるだろう。
このM505E、見た目の外観がまず特徴的だ。本体はノートPCで言うクラムシェル風の構造になっていて、途中から2つ折りできるようになっている。折れる部分を境目に、ディスプレイ部とインターフェース部が分かれ、インターフェース部はそのままスタンドとしても機能する仕組みだ。
On-Lapを含めこれまでのモバイルモニターは、だいたいがディスプレイ部の側面にインターフェースも備える形だった。その分全体的にはコンパクトに見えてはいたけれども、実際にケーブル接続して使用する段階になると、取り回しの都合から思った以上に左右スペースに余裕をもたせる必要があった、というのが実情ではないだろうか。
M505Eでは、インターフェース類はスタンドになる部分のさらに背面に集約されているので、モニターの左右方向からケーブルが飛び出したりせず、すっきりした状態で使えるのがメリット。当然ながらOn-Lapのモバイルモニターで従来使われていたようなカバー兼スタンドを別途装着する必要もない。本体だけで、手軽に、スタイリッシュに使えるようになっているのだ。
ハードウェアとしては、15.6インチ、フルHD(1920×1080ドット)のTFT液晶ディスプレイで、インターフェース部にはUSB Type-Cポート×2とHDMIポート×2、音声出力用の3.5mmイヤフォン端子を備える。USB Type-Cの1つは給電専用、もう1つはDisplayPort Altモード対応。つまり一部の世代の新しいノートPCやデスクトップPCであれば、USB Type-Cケーブル1本で映像出力し、デュアルモニター環境を構築可能だ。ちなみに映像出力対応のUSB Type-Cケーブルは同梱され、追加購入する必要がないのはありがたいところ。
HDMIポートの方は、1つが通常の映像・音声入力用、もう1つはなんと映像“出力”用だ。これは、HDMI入力した映像をスルーしてそのまま他の機器に出力できる「HDMIループ」と呼ばれる機能を利用するためのもの。HDMIループによって最大14台のM505シリーズをデイジーチェーン的に接続でき、すべてに同じ映像を映し出せる。もちろんM505シリーズだけでなく、他のHDMI入力端子を備えたデバイスも接続可能だ。
独自のクラムシェル型のスタイリングと、複数のモニターに同時に映像を映し出せるHDMIループ機能によって、M505Eはモバイルモニター市場に新しい風を吹き込むのでは(販売代理店がテックウインドだけに)……と筆者は個人的に勝手に思っていたりする。では、そんな新しいタイプのモバイルモニターが実際どんな感じで使えるのか、具体例をいくつか紹介しよう。
テレワークがはかどるデュアルディスプレイ環境が手軽に実現
自宅やサテライトオフィスなどで仕事するテレワークの導入が多くの企業で進んでいるのはご存じの通り。そんなテレワーク環境で、手軽さや、時々通勤する際の持ち運びの容易さを考えてノートPCを使っている人も多いだろう。ただ、やはり持ち運び重視のノートPCは画面が小さいのがネックだ。
据え置き型の外部モニターを追加してマルチディスプレイにしている「わかっている」ユーザーも少なくないと思う。けれど、そうなると仕事場所が外部モニターのあるデスクに縛られ、自由度の高いテレワークの魅力が半減してしまう。集中したいときはデスクにかじりつくとしても、時には日当たりのいいリビングやダイニング、眺めのいいバルコニーなど、リラックスできる場所で仕事したいものだ。
こういう場面で、モバイルモニターのM505Eは本領を発揮する。軽いのでノートPCと一緒に好きな場所に持ち運べるだけでなく、DisplayPort Altモードでの映像出力に対応するノートPCならUSB Type-Cケーブル1本で接続でき、かさばらず、セッティングの手間もほとんどかからない。
インターフェース類がスタンド部の背面にあるのも、テレワーク環境向きと言える。ケーブルが後ろ側に出る形になるから、ノートPCとM505Eをぴったり横にくっつけて並べることができ、2つのデスクトップをシームレスに使えるからだ。しかも目障りなケーブルがほとんど隠れるから気が散ることもない。
また、M505Eを縦置きにして、縦スクロールのWebサイトやSlackなどのチャットアプリを効率良く見ていきたいときも、ケーブルの出ている方向を気にせずに角度を変えられる。これは、狭いテーブルでもしっかりデュアルディスプレイ環境を満喫できるという意味で、なにげに大きなポイントかもしれない。
オフィスでは小型PCとモニターアームも組み合わせて、究極の省スペースPCに!?
持ち運びに便利なのがモバイルモニターであるM505Eの特徴ではあるけれど、オフィスではあえて据え置きディスプレイとして活用するのもおすすめ。M505Eは薄型でありながら、VESA準拠のモニターアームにもきっちり対応できるようになっていることに注目したい。
オプションの「M505 VESA 100 アルミ合金ブラケット」を使うことで、M505Eを一般的なモニターアームに固定でき、位置や角度を自在に変えながらベストポジションにセットできる。横置きでも縦置きでも、モニターアームのピボット機能とともにチルト機能で上下方向の角度も調整しやすく、ユーザーの姿勢に合った角度で固定できるのも便利な部分だ。
そして、M505Eの手軽さとスタイリッシュさをさらに強化したいなら、NUCのような超小型デスクトップPCと組み合わせる使い方を推したい。たとえばIntel製の最近のNUCはDisplayPort Altモード対応のUSB Type-C(Thunderbolt 3)ポートを備え、M505Eとはケーブル1本で接続できてしまう。ごくごくシンプルなデスクトップPC環境が簡単にできあがるわけだ。
さらにM505E(のブラケット)とNUCをまとめてモニターアームに固定できるブラケットを別途用意すれば、デスク上にあるのはキーボードとマウスだけ、という状況に。デスク上がすっきり、広々と使えるようになるのもそうだけれど、このコンパクトさを活かせば、限られたデスクスペースしかないフリーアドレスの環境でも常時デスクトップPCを据え置きして、最大限に業務パフォーマンスを高められるのではないだろうか。
家族や友だちとテレビゲームで遊ぶときにも大活躍!
M505Eはゲーム機、特にNintendo Switchのようなモバイルにも対応するゲーム機との相性も抜群だ。何より軽量なので、お出かけするときに一緒に持ち運ぶのもさほど苦にならない。
Nintendo Switch本体の画面(6.2インチ、1280×720ドット)を大幅に拡大した15.6インチディスプレイで見やすさは格段にアップするし、M505EはフルHDディスプレイだからNintendo Switch本来の性能を活かした高精細表示も実現できる。
たとえば「マリオカート8 デラックス」のように、Nintendo Switch本体1台だけで最大4人同時プレーできるゲームでは、画面が4分の1に分割表示されることになる。これだとさすがに本体の画面で遊ぶのは厳しいけれど、M505Eに出力すればその問題もあっさり解決だ。M505Eで4分割された1プレーヤー分の画面サイズは、Nintendo Switch本体の有効表示面積より大きいくらいだから、画面から少し離れてプレーすることを考えても十分に実用的だろう。
友人宅に持ち込んで遊びたいとき、旅行先で家族みんなでゲームしたいときなんかに(旅行中ならもっと他にすることがあるだろう、というツッコミはさておき)大いに活躍する軽量、大画面のM505Eは、もはやゲーム好きの人には必携アイテムと言ってもいいだろう。
FireTV Stickで超大画面「Echo Show」に変身
個人的に一番プッシュしたいのがこれ、Amazon FireTV Stickと組み合わせてM505Eを超大画面の「Echo Show」、つまりスマートディスプレイに変身させてしまうというアイデアだ。
スマートスピーカーにディスプレイが付いたスマートディスプレイは、音声命令で情報収集したり、AIと会話したり、動画や音楽を視聴したりできる便利なアイテム。リモコン付きのFireTV Stickもそれに近い機能をもっており、リビングにあるような一般的なテレビに接続するのがよくある使い方だ。
このFireTV StickをM505Eに接続するとどうなるのか。まさしく大画面のEcho Showともでも言うべき新たなスマートデバイスが誕生する。FireTV StickとM505Eの2つの電源を確保できる場所であればどこでも簡単に設置でき、キッチンやダイニングにもぴったり。見やすい大画面で、YouTubeのレシピ動画を見ながら料理することも、朝食時に最新ニュースを確認することも可能だ。
M505Eはステレオスピーカーを内蔵しているので、動画・音声コンテンツの視聴にも不足はない。イヤフォン端子に外部スピーカーを接続してさらなる迫力を得るのもいいだろう。スマートスピーカーやスマートディスプレイと違って、音声命令する際はFireTV Stickのリモコンのマイクに話しかける形になるが、本家の10インチの新型Echo Show 10をはるかに凌ぐ15.6インチの“Echo Show”は、なんだか生活を一変させてくれそうな予感すら漂う……というのは言い過ぎだろうか。
工夫しがいのある「HDMIループ」機能の使いどころ
さて、続いてはM505Eのユニークな「HDMIループ」機能の活用例を紹介したい。M505EにHDMI入力したものをそのままHDMI出力して、同じ映像を他のM505E(や他の映像機器)で表示させる、という仕組みは、もしかすると使い道を見つけるのが難しいと思うかもしれない。が、工夫次第でビジネスでも、プレイベートでも面白い応用が可能だ。それぞれの接続例も図示してみたので、ぜひ参考にしてほしい。
ミーティングや受付業務を、M505Eの対面設置で円滑に
もっともオーソドックスなビジネス用途としては、対面でミーティングするときや、受付業務などが考えられる。たとえばディスプレイが1つだけだといちいち画面の向きを変える必要があり、操作の手間も増えるわけで、非効率なことばかり。
しかし、HDMIループ機能を使って接続したM505Eを2台用意しておけば、1台にはノートPCを接続して説明資料や案内情報を表示し、もう一方のM505Eで同じ内容をすぐに見せる、といった使い方が可能になる。業務効率アップやコミュニケーションの円滑化にまちがいなく貢献するはずだ。
会議室で全員がプレゼン資料を見やすくし、「密」対策にも
大勢が参加する会議では、最大14台までのM505Eを接続できるHDMIループ機能の面目躍如というところ。広い会議室になると、プレゼン資料を表示するのが大型ディスプレイ1台だけだと十分ではなかったりする。代わりに各座席にM505Eを1台ずつ設置しておけば、遠くに座っているメンバーであっても資料の細かい部分まではっきり見ることができるわけだ。
HDMIケーブルでM505Eを数珠つなぎしていくだけなので、配線が複雑にならないのも利点と言える。無駄に長くて高価なHDMIケーブルを導入する必要がなく、コスト削減にもつながりそうだ。コロナ禍においては1人1人の座席間隔を広く取らざるを得ない場合もあり、ディスプレイ1台でプレゼンすることによる「密」を避ける意味でも、1台1台離れて設置してもいいM505EのHDMIループ機能は重要な存在と言えるのではないだろうか。
ライブ配信の環境をよりシンプルに
Webカメラなどの機材や配信用ソフトウェア、配信プラットフォームが充実してきたことで、個人がライブ配信にチャレンジすることも難しい時代ではなくなってきた。とはいえ、少しでも見せ方に凝ったりしようとすれば、必要な機材が増えてハードルが一気に上がったりするという課題は、いまだに残っている。
これをシンプルにし、安定性の高いライブ動画コンテンツを配信していくのにM505Eが役に立ってくれる。たとえばゲーム配信したいときに個人でも応用しやすい最も単純な使い方としては、M505Eに表示したゲーム画面でプレーしつつ、HDMIループ機能でその映像をHDMIキャプチャーデバイスに入力し、配信するというものだ。
キャプチャーデバイスがもつHDMIスルー機能でプレー用のモニターにゲーム画面を表示できる場合もあるが、表示に遅延が発生して満足に遊べないケースもある。こういった場面ではHDMIスプリッターのような機材を別に用意することで解決を図ったりするものだが、M505EのHDMIループ機能はある意味HDMIスプリッターでもあるわけで、機材構成をよりシンプルにできるのだ。
ゲーム画面のキャプチャーだけであれば、「OBS Studio」などの配信ソフトの機能で(PC1台だけで)完結できたりもする。けれど、映像キャプチャーとライブ配信の処理にリソースを奪われ、ゲームパフォーマンスを損なうのはやっかいだ。それを嫌うなら別のPCに映像入力することになるが、こういう場面でM505EのHDMIループが活きてくるだろう。
カメラ映像の“瑕疵”を大画面でチェックしながら配信
もう1つの例は、カメラ映像を加えるなどして絵作りに凝りながらライブ配信するケースだ。この場合、カメラ映像をいったんM505EにHDMI入力し、そこからキャプチャーデバイスなどにHDMIループで接続することで、カメラ単体の映像を大画面で確認できるようになる。配信中に映像信号が正しく送られていることをいつでもチェックできるのに加えて、小さくなりがちな配信ソフトの最終出力画面ではわかりにくい“瑕疵”にも気付けるはずだ。
また、複数のスタッフ、複数の出演者が関わるような大規模なライブ配信では、スタッフや出演者に1台ずつM505Eを用意してそれぞれが映像確認しやすくする、といった用途でも活躍するだろう。M505Eは接続方法がシンプルなうえに、設置時の画面角度も0~170度まで無段階で調整できるので、出演者の目の前に目立たないようにさりげなく置いておける。ごちゃごちゃ感が解消され、“絵面としてのパフォーマンスアップ”も期待できそうだ。
1台だけではこの便利さ、楽しさをきっと味わえない!
従来のモバイルモニターは、その名の通り、持ち運びやすさが最大の特徴であって、使い道も自然とそれに沿ったものになっていた。要するに、あくまでも据え置き型モニターを補完するような限定されたシチュエーションで便利、というアイテムだったわけだ。
ところがM505Eは使えば使うほど、これまで据え置き型モニターの役割だった部分も置き換えたくなってくる。ビジネス用途とプライベート用途のどんな場所でも、必ず役に立ってくれるポテンシャルを備えているのだ。画面サイズが15.6インチと大きめであることや、クラムシェル型でスタンドが一体になっているところ、インターフェース部が背後に集約されていてデスクスペースを有効に使えること、VESA対応であることなど、その理由はいくらでも思いつく。
なので、とても1台だけではM505Eの便利さを味わい尽くすことはできない。仕事場に、キッチンに、ゲーム用に、それとライブ配信用に、できれば複数台ほしい。あるいは(それらを全部つなげるわけではないにしろ)14台くらい手元にあっても使い道は十分にありそうだ。用途によってはタッチパネルのM505Tがしっくりくるところもありそう、と考えると、14台では収まらないかも……なんて思ってしまうのである。
[制作協力:GeChic]