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高速かつ高画質、量子ドット/WQHD/27インチのゲーミングモニター「MSI Optix MAG274QRF-QD」を試す

165Hz/ G-SYNC対応でRapid IPSパネル採用、DCI-P3 97%の広色域 text by 白倉甲一

MSI Optix MAG274QRF-QD
量子ドット技術採用で正確な色再現を実現しているという。

 ゲーミングモニターは、一昔前までは応答速度が優れ高リフレッシュレートにも対応できるTN液晶が選ばれることが多く、色味や視野角などは妥協されるケースが多かった。

 応答速度と色味の良さはトレードオフになる部分があり、これはカラーマネジメントディスプレイかつゲーミングディスプレイといったモデルが販売されていないことからもわかってもらえるだろう。

 ただし、最近では液晶パネル技術力の進歩によりTN液晶でも十分な色彩表現が可能になってきていたり、VAやIPS方式の液晶パネルにも応答速度が高速で高リフレッシュレートに対応したモデルが増え、改良されつつある状況だ。

 今回紹介するMSI「Optix MAG274QRF-QD」は、量子ドット技術を使用したRapid IPSパネル採用することで高画質と応答性能を両立したゲーミングモニターだ。27インチ/WQHD(2,560×1,440ドット)のモデルは人気になりつつあるが、このラインに投入されたMSIの新モデルがどのように仕上がっているのか見てみよう。

165Hz/1msのWQHD27インチゲーミングモニターRAPID IPSパネル + 量子ドットで応答性能と画質を両立

 Optix MAG274QRF-QDは27インチWQHD(2,560×1,440)のゲーミングモニター。採用パネルはRAPID IPSとされている。

 RAPID IPSパネルは、IPSの強みである画質の良さや視野角の広さはそのままに応答速度1ms(GtG)を実現し、ゲームシーンにおける高画質と応答速度を両立。165Hzの高リフレッシュレートにも対応しており、動きの激しいゲーム画面でもなめらかな描写を楽しめる。

正面、狭縁でスッキリしたデザイン。ベゼルが薄いので複数台並べるのにもうってつけだ。
背面、セキュリティロック用のスロットとOSD操作用のレバー型のスイッチを備える。

 特筆すべき点は、量子ドットディスプレイ技術によるDCI-P3 97%、Adobe RGB 99%という圧倒的な色域の広さ。下手な事務用ディスプレイを飛び越してデザイン用途のディスプレイに届き得る性能で、HDR対応も相まって高レベルな映像表現を楽しむ事ができるだろう。

一般的なIPSパネルより応答速度に優れるというRAPID IPSパネルを採用。
量子ドット技術により色再現性を強化、カバー率はDCI-P3 97%/Adobe RGB 99%。
IPS特有の視野角の広さで急な角度からのぞき込んでもしっかり色彩表現がなされている。
横方向、縦方向ともに視野角は広めな印象だ。

 本体サイズ614.9 x 206.7 x 532.7(mm)、重量6.05kg。付属のスペーサーを使用して100x100のVESAマウントにも対応、モニターアームを利用することも可能だ。

 MSI製ディスプレイの中ではかなりシンプルなデザインではあるが、角度調節や高さ調節、ケーブルマネジメントや特徴的なレバー型のOSD操作スイッチなど。ディスプレイとしての機能面で細やかなところまで配慮が行き届いている印象だ。

上から見た状態、本体部の厚みは控えめ。
付属のスタンドはモニター部分の角度調節の自由度を支えるようにがっしりとした造り。ケーブルマネジメントに便利な穴が備えられている。
付属のマウンタねじを取り付ければ100x100のVESA規格のモニターアームなどに取りつけることもできる。
電源はACアダプタ駆動タイプ。
本体背面に備えられているOSD操作用のレバー。
OSDの設定項目はかなり豊富、レバーの4方向によく使う設定項目などをショートカットとして登録することもできる。

 映像端子にDisplayPort1.2aを1ポート、HDMI2.0bを2ポート、USB Type-C(DPオルタネードモード対応)を1ポート搭載。リフレッシュレートはDisplayPort接続で最高165Hz駆動、HDMI接続で最高144Hz駆動となるので、性能をフルに発揮したい場合はDisplayPortでの接続が必須となる。また、画面のカクつきやティアリングを抑制する同期技術のnVIDIA G-SYNC Compatibleもサポートしている。

 その他の端子としてUSBハブ(USB2.0 Type-A×2ポート)、PC接続用のUSB 2.0 Type-Bを1ポート、オーディオジャックなどを備える。

背面下部の映像端子とPC接続用の端子。
解像度WQHD(2,560×1,440ドット)でリフレッシュレート165Hzで動作させる際はDisplayPortでの接続が必須。nVIDIA G-SYNC Compatibleもサポート。

 本機はPCとUSB接続することでディスプレイ設定を本体ボタンを使わずに、ソフトウェア上から変更できるGaming OSDに対応している。暗闇などのシーンでの視認性を高めるナイトビジョン、アンチフリッカーやブルーライト軽減機能など、ゲームで長時間ディスプレイを使用する上でのストレスを極力減らす為の機能も多数盛り込んでいる。

PC上から設定を変えられる「Gaming OSD」。様々な機能が簡単に設定できるだけでなく、ゲーム向けのナイトビジョンやスクリーンアシスタンスなどの機能も利用できる。
HDRにも対応しているのでより高度な映像表現を楽しめる。
背面中央上よりの位置にRGBイルミネーション搭載。同社のMystic Light対応。
Gaming OSDからはイルミネーションのカラーパターン設定のほか、Mystic Light対応機器と同期も設定できる。

台座の可動範囲は広め、特に左右へのパンは自由度が高くピボットにも対応

 Optix MAG274QRF-QDの台座は調整範囲の広さもウリとなっており、チルトは-5~20°の範囲、左右パン方向は-70~70°の範囲で調整可能だ。ピボットにも対応しており、高さ調整は100mmの範囲で行える。可動範囲は広いので、様々な利用シーンに合わせて調整できる。

パネルを一番高い位置まで上げた状態。
パネルを一番低い位置まで下げた状態。
上下にチルトできるようになっていてスムーズに動くが、ゆるいわけではなくピタッと好きな角度で止まる。
可動範囲は-5~20°。
左右方向へのパンもかなり自由な角度で、ほぼ真横に近い向きまで回転可能。
可動範囲は-70~70°だ。
ピボットにも対応。
スタンド部分が意外とガッシリしているので難なく縦方向へ回転させられる。

ゲームでRAPID IPSパネル + 量子ドットの実力をテストFPSなら27インチ/WQHDがオススメ、視認性も高く粗さも感じにくい良バランス

WQHDとリフレッシュレート165Hzでより美麗で滑らかな描画を楽しむことができる。27インチクラスのディスプレイには視認性の面でWQHD解像度がおすすめしたい。
HDRはもちろんG-SYNCもサポート、165Hzに1ms(GTG)、IPSパネルと最近のトレンドがふんだんに盛り込まれている。

 27インチのモニターを卓上に置いた場合、画面サイズの割に目との距離が近い関係上フルHD(1,920 x 1,080)解像度だとほんの少しだがぼやけた印象になってしまう。

 ある程度画面から顔を離して使う場合には気にならない程度ではあるが、24インチに比べるとドットの粒が大きくなってしまうので画面を凝視するFPSだと特に荒く感じる事だろう。

 その点Optix MAG274QRF-QDはWQHD(2,560 x 1,440)解像度なので27インチでも細かい部分までくっきり描写でき、165Hzの高リフレッシュレートで動きも滑らかなので24インチディスプレイだと大きさが物足りないと感じているFPSユーザーにぴったりなディスプレイだ。

 今回は最近アップデートがあり話題再燃中の硬派でリアル志向なオンラインFPS「Escape from Tarkov」と、カジュアルでスピーディなバトルロイヤルFPS「エーペックスレジェンズ」2つのFPSゲームをプレイし、実際にディスプレイ性能と画質の恩恵を確認してみた。

「Escape from Tarkov」では、高解像度の視認性の良さに暗所の描写力の良さが効果的

「Escape from Tarkov」架空の都市タルコフを舞台にハードな状況の中、生き残りをかけて物資を漁り、奪い合い、封鎖された地域からの脱出を目指すオンラインFPS。

 「Escape from Tarkov」(以下タルコフ)は硬派でストイックなFPSゲームとなっていて、ゲームをプレイしてユーザーが得た知識や体験が文字通りの経験値となるタイプのゲームだ。

 当然プレイ時間も長く集中力も必要になるので、下手なディスプレイを使ってしまうと画面のちらつきや色つぶれした画面を目を凝らして何時間も見つめる羽目になり、疲労で集中どころでは無くなってしまうだろう。

 本機のように長時間利用でも疲れにくいようフリッカーフリーなどの機能を搭載したり、暗い場面などでも繊細な諧調表現が可能なディスプレイを選ぶことで少なからず快適にプレイする事ができる。

建物は勿論、植え込みなどの茂みからも敵が現れる可能性がある。残像感の少ないディスプレイであれば咄嗟の敵にも容易に対応できるだろう。
これは敵対プレイヤーでは無く味方なのだが、うっかり間違えて撃つと敵対してしまうので注意が必要。高解像度ディスプレイであれば不用意に近づく必要もないので安心だ。

 タルコフではある程度動きが想定できるNPCなどは勿論、敵対プレイヤーにも警戒が必要で茂みや建物の影など予想外の位置から敵が急襲してくる事が多い。

 そのため敵が潜んでいないか常に警戒する必要があるのだが、27インチかつWQHDの高い解像度の本機であれば視野の内に画面全体を収めた上で細かい部分まで確認する事ができた。

 物資を漁る際にも建物内などはかなり入り組んでいてアイテムをうっかり取りこぼしてしまう事があるが、そういった場面でも描写力の高さが地味に生きてくる。

物資を集めるのも重要な要素になるので、わずかな灯りしかないような場面で視認性が高いと有利に立ち回れる。
こうした暗所での行動は、ディスプレイの描写能力が高ければ見落としも減らせる。Optix MAG274QRF-QDはこの辺りの描写力に優れるモデルだ。

 死んでしまえばゲットしたアイテムもろとも全て無に帰す上に、プレイヤー自体も数発の弾丸で倒されてしまう超難易度なので、プレイ中はかなりの緊張状態が続くゲームだったのだが、ディスプレイのお陰か長時間プレイの割には目への負担はしっかりと軽減されていたように感じられた。

「エーペックスレジェンズ」は165Hz表示が効果的、色再現性の高さは状況判断を有利に

「エーペックスレジェンズ」3人1組のチームで戦うバトルロイヤル型のFPS。スピーディな試合展開と多彩なキャラクターが人気。シーズン8での新キャラや新武器の追加でますます盛り上がっている。

 エーペックスレジェンズでのテストでは、展開の早いゲームの特性上、165Hzというリフレッシュレートの高さがそのまま勝敗に結びつく印象だった。

 特に初動で近くに敵が来た場合などは一瞬でも早く周りを確認、状況判断ができなければ一気に不利な状況に追い込まれてしまうが、当機は高解像度と高リフレッシュレートの分、情報量の面で敵より優位な状況に立てる。

アイアンサイトでも中距離戦闘時にしっかり敵を捉える事ができ、スコープを確保できなかった初動の段階でも有利な距離を保って戦うことができた。ゲーム内での視認範囲は同じでも解像度の高いディスプレイならではの恩恵だろう。
同じ位置に着地して目の前で散り散りになった敵も、滑らかな画像表現のお陰で咄嗟にどちらに向かったのかを確認、武器を拾ってから追跡し仕留めることができた。
高精細なディスプレイは、細かい部分まで見える分遠距離の状況を確認しやすい。遠距離での打ち合いの際などはしっかり見えているかどうかが影響する部分もある。
色の再現性の高さはシールドの状態を把握するのにも役立つ、色から正確な情報を得られる。とっさの判断の有利不利に繋がることもあるので、色の再現性はやはり高い方が良い。

 また、中盤以降も遠方の索敵などの際にWQHD解像度であればオブジェクトなどのディティールが細かく見える分、米粒サイズの敵でも見逃しづらかった。

 遠距離への牽制でダメージを与えた際にシールドのグレードなども高い色彩表現でしっかり確認できるので、判断ミスで突っ込んでしまってあえなく撃退されるような場面も少なくなるだろう。

ゲームでは当然性能を発揮、これから買うなら狙いたいWQHD/27インチ/量子ドット対応モデルクリエイター用途や普段使いでも活躍が期待できるゲーミングモニター

 実際に触ってみた結論としてWQHDという解像度が27インチディスプレイのサイズ感とマッチしており、FPSゲームを遊ぶ上で非常に使い勝手が良い印象だった。画質の良さは勿論、ゲーミングモニターとしての機能も一通り揃っている。

 量子ドット技術はオンオフできるものではないので、純粋のどの程度の効果があるのかを評価するのは難しいが、明暗の表現や色彩の鮮やかさなども好印象で、ゲーム以外の様々な用途でマルチに活躍出来るディスプレイとして強くおすすめできる製品に仕上がっていると感じた。

 ビデオカードの性能向上の影響で、ミドルクラス以上であればフレームレートを維持しつつ、画質へもGPU性能のリソースを割きやすくなってきており、ゲーミングモニターにも表示速度だけでなく高画質を求める声が増えている。そうした要望に応えられる性能がMSI Optix MAG274QRF-QDにはあり、これから27インチ/WQHDのディスプレイを購入する予定のある人は是非候補として検討してもらいたい。

[制作協力:MSI]