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レースゲームの没入感もアップ!31.5型WQHD湾曲モニター「MSI MPG ARTYMIS 323CQR」を試す
165Hz駆動でHDRにも対応、PS5から仕事まで使えるマルチな1台 text by 佐藤岳大
2021年11月30日 00:00
MSIの「MPG ARTYMIS 323CQR」は、湾曲率1,000Rの液晶パネルを採用した31.5型のWQHDゲーミングモニター。視界を覆うように使用することで「圧倒的な没入感が体験できる」とされている。
実売約7万円前後と、31.5型モニターとしてはミドルクラス帯に投入されており、リフレッシュレート165Hz/応答速度1ms、FreeSync Premium、DisplayHDR 400への対応など機能面も充実している。今回のレビューでは特長を確認していくと共に、実際にうたい文句通りの“高い没入感”が得られるのかも見ていきたい。
曲率半径1,000Rの湾曲パネル搭載ディスプレイ
MPG ARTYMIS 323CQR最大の特徴は、曲率半径1,000Rという強い湾曲を描いている液晶パネルだ。
MSIでは、人間の視野とほぼ同等の湾曲率であり、高い没入感が得られるという。またわずかな視線移動で画面端まで視野に入ると同時に、視界が覆われるので集中力が高まり、プレイヤーのパフォーマンスを高く引き出せるとしている。
実機を見ても、一般的な湾曲パネルモニターに比べてより強いカーブを描いているのが見て取れる。湾曲パネル本体はコントラストに優れたVAパネルで、コントラスト比は2,500:1。表示解像度はWQHD(2,560×1,440ドット)で、画面サイズやゲーミングPCとの接続を考えるとちょうど良いバランスとなっている。
対応リフレッシュレートは、DisplayPort接続時が最大165Hz、HDMI接続時は最大144Hz。色域はsRGBカバー率97.7%、DCI-P3カバー率89.8%で、DisplayHDR 400にも対応しメリハリの利いた色彩表現を楽しめる。
応答速度は1ms(MPRT)で、FreeSync Premiumをサポートしているため、48~165Hz(HDMI接続は144Hz)でHDR表示中もティアリングのない滑らかな表示に対応する。また「Low Framerate Compensation(LFC)」に対応しているため、48Hz以下の場合でもティアリングフリーな表示が可能となっている。
搭載インターフェイスは、DisplayPort 1.2a×1、HDMI 2.0b×2、USB Type-C(アップストリーム/DP Alt Mode対応/15W給電)、USB Type-B(アップストリーム)、USB 2.0×2(ダウンストリーム)、ヘッドホン出力。これらのほか、電源スイッチを本体右下に、OSD操作用のコントローラを本体の右下側の裏面に備える。
収納式ヘッドセットハンガーの内蔵や、マウスバンジーが付属している点はゲーミングモニターらしいオプションと言えるだろう。
付属スタンドは高さや左右のスイベル調整のほか、上下角度を-5~20度に調整できるチルト機能に対応している。本体背面にはVESA100(100×100mm)規格に準拠したねじ穴が設けられており、付属のスペーサーを使用することで同規格対応のモニターアームを利用することも可能だ。
本体サイズは701.4×317.7×473.4mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約9kgだ。
『Forza Horizon 5』のメキシコの大地を鮮やかに描画コックピットビューは湾曲パネルで高い没入感
今回は湾曲モニターと相性の良いゲームとして、メキシコを舞台としたオープンワールドのレーシングタイトル「Forza Horizon 5」で検証していく。
検証にはDisplayPort接続のGeForce RTX 3080 Ti搭載PCを用意したため、高画質設定でも常時100FPSを超え、HDRとVRRを有効にした鮮やかかつ滑らかな表示が可能だった。
MPG ARTYMIS 323CQRは、Forza Horizon 5の描写をフルに活かしたゲームプレイが可能と言える。
Forza Horizon 5において、MPG ARTYMIS 323CQRの利点がもっとも発揮されるのはコックピットビューだろう。
コックピットビューはドライバーの視点、いわゆる一人称視点となる。MSIが「人間の視野に近い」とアピールするように、湾曲パネルならではの没入感はやはり一人称視点で際立つ。
一人称視点のゲームというとFPSを思い浮かべがちだが、ダッシュボードやAピラーのなどの固定オブジェクトが常に画面に映り込んでいる分、コックピットビューで“画面端の引き伸ばし感”を軽減してくれる湾曲モニターは、FPSと同様にレースゲームやフライトシミュレーターなどとの相性も良い。
とくにMPG ARTYMIS 323CQRは曲率半径が小さいため、より高い没入感が得られる点も評価すべきポイントだ。
4K/HDRやフルHD/120Hz入力対応でPlayStation 5にも好適表示解像度はWQHDにモニターが破綻なくスケーリング
ゲーミングPCとの接続においては、ゲーミングモニターとして優れた性能を発揮することは見ての通りだが、家庭用ゲーム機との接続においてはどうだろうか?
4K/HDR出力に対応したPlayStation 5と、120FPS動作に対応している「フォートナイト」を利用して動作を見てみよう。
まずは4Kでの動作だが、PlayStation 5本体設定から「画質優先」を選択すれば、フォートナイトで4K解像度かつHDRオンの入力に対応を確認できた。
パネル解像度がWQHDのためネイティブの4K表示ではなく、MPG ARTYMIS 323CQR側でスケーリングされた2,560×1,440ドットでの表示ではあるが、フルHD表示と比べパネル解像度を活かした高精細な映像を楽しめる。
一方、PlayStation 5設定を「パフォーマンス優先」にすると、フォートナイトの120FPSモードが有効になり、フルHD/120Hz/HDRオンでの表示を確認できた。こちらも表示はスケーリングされ2,560×1,440ドットとなるが、表示がボケて見辛くなるようなことはなかった。
画質を優先したいというゲーマーも、フレームレート重視のゲーマーもどちらも満足できる設計だ。
DP Alt Mode対応PCとType-Cケーブル1本で接続可能在宅勤務に便利なKVM機能も内蔵
ここまではゲームにフォーカスして製品を見てきたが、ここからは少しゲームから離れたポイントを見ていこう。
在宅勤務の仕事が増えている中で、自宅のモニターに仕事用ノートPCを接続してより広いデスクトップ環境で業務をこなしているという人も多いだろう。
MPG ARTYMIS 323CQRの場合、背面USB Type-CポートはDP Alt Modeと15WのUSB PD給電に対応している。
PD給電が15Wのため、PC電源までType-C 1本というわけにはいかないが、前述のようなユースケースにおいて、ゲーミングPCと別にノートPCを簡単に接続できるというのは利便性に優れていると言える。
さらに背面2ポートのUSBに繋いだデバイスを、USB Type-BとType-Cとで共有できるKVM機能を備えているため、DP/HDMI接続のゲーミングPCとType-C接続のノートPCでマウスおよびキーボードを切り替えて使うことができる。
上記構成の場合、映像入力信号の切り替え時にUSBホストも切り替わるため、切り替えの手間も小さく実用性は十分ある。
「湾曲パネルはゲーム以外で違和感が……」という人もWindows 11なら自然に使えるかも
ゲーム用途では没入感を得られる湾曲パネルだが、平面表示を前提としたデスクトップ用途では慣れるまで違和感があるという声もある。画面中央の表示については平面パネルと変わらないが、湾曲パネルでは真正面からズレた視点から見ると、画面端にパースがかかってしまうためだ。
ウィンドウを自由に動かせるため大きな問題にはならないが、違和感があるという声が聞かれるのには、Windows 10までのタスクバー環境で、スタートメニューやタスクバーボタンが左端に表示され、画面端に対する視線移動やマウス操作の頻度が高かったことも理由の1つだろう。
Windows 11ではタスクバーのデザインが刷新され、標準でボタン類が中央揃えとなったのだが、この変更は湾曲パネルとの相性が良いようだ。設定から従来の左揃えも選択できるのだが、見比べると中央揃えの方が自然に感じる。
湾曲モニターの導入を機に、Windows 11環境へアップデートするというのも一考の余地があるのではないだろうか。
ゲーミングPCから家庭用ゲーム機、在宅勤務までカバーするMPG ARTYMIS 323CQR
ここまで見てきたように、MPG ARTYMIS 323CQRは、湾曲パネルというゲーム向きの特徴を持ちながらも、KVMなど仕事用にも使える仕様を盛り込んだマルチな液晶モニターだ。
湾曲パネルという強い個性を持ちながらも、今ゲーミングモニターとして求められる機能をしっかり抑えた設計で、総合的には堅実な作りの製品と言える。
ゲームだけでなく仕事などマルチに使えるモニターを探しているなら、MPG ARTYMIS 323CQRは検討に値する1枚だ。
[制作協力:MSI]