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ファンからクーラーポンプまでケーブル1本でつなげられるCORSAIR「iCUE LINK」、美麗なデモ機を多数展示

“見せるPC”の組み立てがより分かりやすくスマートに!(COMPUTEX AKIBA出張所 / CORSAIR編)

 PC/IT関連の見本市「COMPUTEX TAIPEI 2023」が、5月30日~6月2日(現地時間)の日程で台湾で開催されている。このレポートではCORSAIRブースで目立った展示物を紹介しよう。

「自社製品を組み合わせる利点」をアピールするCORSAIR恒例の美しいデモ機も多数展示

 CORSAIRは今年も、ホテル会場を貸し切ってのプライベートブースを展開。

 ブースでは後述する新技術「iCUE LINK」対応の多数のパーツ群をはじめとして、同社のパーツをふんだんに使用したデモPCなど、多くの製品が展示されていた。

 ストリーミングデバイスを手掛ける同社傘下のElgatoブランドも、配信環境をイメージした展示を展開。今後のソフトウェアアップデートでiCUEユーティリティとStream Deckアプリの連係が強化され、Stream DeckからヘッドセットのEQ設定やファンの速度を変更することが可能になるとのことだ。

Elgatoは配信環境をイメージして環境を構築した展示を実施。黒や白を基調とした環境や、イルミネーションを活用した環境などが用意されていた
国内未発売の縦長形状Mini-ITXケース「2000D AIRFLOW」
日本メディア向けの案内を務めたCORSAIR ジャパンマーケティングマネージャーの神 冬旗氏

複雑なパーツレイアウトをきれいかつ簡単に構築可能な「iCUE LINK」ケーブル1本で電源もLED制御もファンコントロールも可能

 今回のCORSAIRブースで、もっとも大々的な展示が行なわれていたのが「iCUE LINK」システムだ。

iCUE LINKを活用した構築例

 ケーブル接続の必要なパーツでも、RGBからファン制御までケーブル1本に集約できるという、同社の提唱する新たなエコシステムとなっている。対応製品は7月末より順次投入される見込みだ。

表面だけでなく裏面の配線も非常にシンプルにまとめられる

 対応製品の一つであるケースファンの「iCUE LINK QX RGB」は、iCUE LINKのコンセプトが特に分かりやすい製品と言えるだろう。サイズは120mmの140mmの2サイズで、ブラックとホワイトの2カラーがそれぞれ用意されている。

 具体的には、ファンの電源/回転数/LED制御/温度センサーのすべてをiCUE LINKケーブル1本で伝送できる。コネクタはiCUE LINK独自のもので、裏表なくどちらの向きでも挿すだけで動作する。磁石による連結機構も備える。

 また軸受けを支えるフレーム部分に温度センサーを搭載。別にセンサーを用意せずとも、単体でファンを通過する温度を測定できる。測定した温度はiCUE上で確認できるため、温度による回転数制御が可能だ。

 軸部分とブレード外周、フレーム側面にARGB LEDを搭載。120/140mmともに合計34個ものLEDを備えているのも特徴と言えるだろう。

 ベアリングには磁気ドームを採用。そのほかの主な仕様は120mmモデルが最大回転数2,400RPM、風量63.1CFM、静圧3.8mmH2O、騒音値37dBAで、140mmモデルが最大回転数2,000RPM、風量82.5CFM、静圧3.5mmH2O、騒音値37dBAなど。

iCUE LINKコネクタ部
連結時にはアダプターでコネクタをリンクさせる
温度センサー搭載

 iCUE LINKのシステム自体は、ユーティリティソフトのiCUEと「iCUE LINK SYSTEM HUB」を中心として機能する。ハブ本体はコンパクトな大きさで、二つのiCUE LINKポートを搭載。磁石を内蔵し、ケース内での配置も自由度が高くなるよう設計されている。

 一つのハブに対しては最大14個のiCUE LINK対応製品が接続可能となっている。これだけの数を接続できると電源供給に不安も覚えるが、ハブには電源コネクターからPCI Express 6ピンへの変換ケーブルが付属しており、ケース内デバイスの電源として一般的なSerial ATA電源に比べて、かなり大きな消費電力も想定された設計だ。

 実際、最大168Wまでの出力に対応するとしており、担当者によれば1基あたり36LED搭載のQX RGBファンを14基接続(計504LED)するという極端な状況でも動作するとのことで、かなりパワフルな設計だ。

 8月に投入予定であるという、QX RGBファン標準搭載の簡易水冷CPUクーラー「iCUE LINK H115i/170i RGB」や、ポンプトップに液晶画面(LCD)搭載の「iCUE LINK H100i/H150i/H170i LCD」も展示。

 単に付属ファンがiCUE LINK対応となっているだけではなく、ラジエーター部分にiCUE LINKケーブルのデイジーチェーン接続が可能なポートや、ポンプやLED制御のためのケーブルを冷却水用のスリーブチューブと統合し、ポンプヘッダーから伸びるケーブルを見せないデザインが特徴。LCDモデルのUSBケーブルについても、iCUE LINKと同様スリーブ内に隠されており、ラジエーター部分にメスコネクタが用意されている。

 iCUE LINKの利点として、配線がシンプルとなり見た目がきれいにまとまるのも利点の一つだが、ケーブル1本で簡単につなげられるため、PCの組み立てに要する時間も大きく短縮できる点もアピールされていた。

省スペースな場所向けのスリムコネクタ
Y字スプリッターケーブル

 今後、さらにiCUE LINKエコシステムが拡充していくことで、よりシンプルな配線で自由度の高いPCが構築できる日もそう遠くないはずだ。

本格水冷パーツのHydro XシリーズでもiCUE LINK対応製品が登場予定。なかでもGPU水冷ブロックの「iCUE LINK XG3 RGB」はGPUコアとVRAMを水冷ブロック、VRMなどの冷却はファンを使うというハイブリッド冷却デザインが特徴で、水冷部分を限定することで従来のフルカバーブロックと比べて対応カードの幅が広く取れるとのこと

カスタマイズ性に優れた「DOMINATOR TITANIUM DDR5」メモリDDR5メモリのXMPプロファイルを複数作れる新機能も

 会場でiCUE LINK以外の新製品として披露されていたのが、「DOMINATOR TITANIUM DDR5 Memory」だ。

 DDR5-6000+の高速設定となる同シリーズでは、16GB/32GBに加えて24GB/48GBのモジュールも用意されるほか、Intel XMPおよびAMD EXPOプロファイルに対応したモデルが投入予定。

 ヒートシンクには11個のARGB LEDを備えているが、LED部分はモジュール化されており、二つのネジ止めを外してLED非搭載の仕様にも変更できるカスタマイズ性が確保されている。3Dプリンターを使えば、好みのデコレーションを施したLEDライティングも実現できるという。

上がLED搭載時、下がLED非搭載モジュール装着時
LEDモジュールとヒートシンク本体はコネクタで接続される仕組
好きなデザインのLEDディフューザーを自作することも可能
デモ機のメモリクロックは、CPU-ZのDRAM Frequencyの表示で4133.3MHz(DDR5-8266)だった

 また担当者によると、今後iCUEユーティリティのアップデートで、DOMINATOR TITANIUMシリーズを含む同社DDR5メモリを対象に、ユーザーカスタムのXMPプロファイルを保存できる機能が実装予定であるという。

 具体的には、既存のメーカー検証済みXMPプロファイルに加えて、ユーザーがカスタムしたメモリ設定を二つメモリモジュール本体に保存できるというもの。マザーボードのUEFI上からは、プロファイルが三つ並んで表示される形となる。

 想定されるユースケースとしては、レイテンシを緩めて高クロック動作をさせるプロファイル、クロックを犠牲にレイテンシを詰めたプロファイルの二つを保存し、用途に応じて切り換えるといった例を挙げていた。当然、iCUE上でメモリ設定のオンザフライな切り換えはできず、UEFIを経由するため再起動が必要となるが、今までにない使い方と言えるだろう。

 メモリのオーバークロック設定にあたるため、極端な設定でシステムを破損するといったリスクはあるものの、UEFIのアップデート時など、メモリ設定が初期化されてしまう場合などに、自分で設定したプロファイルをすぐに復旧できるという点でも、自作PCに精通したユーザーほど利点のある機能となりそうだ。

 なお、EXPOのカスタムプロファイルの保存も将来的に実装される見込み。ただし、XMPと異なりEXPOの場合はカスタムプロファイル数は一つになるとのこと。

ディスプレイだけなのにVRヘッドセット並みの没入感!?映像に包まれる感覚が味わえる超湾曲ウルトラワイドマルチセットアップ

 新商品ではないものの、会場でも目を引いていたのが、有機ELパネル採用のウルトラワイドゲーミングディスプレイ「XENEON FLEX 45WQHD240」を複数台使ったプレイアブルデモ。

 本機は21:9の45型有機ELパネル搭載で、平面から最小800Rの曲率半径まで用途に応じてユーザーが自由に曲げられるのが特徴。会場では3台並べてマルチディスプレイとしていた。湾曲を活かすことで180度以上の視野をカバーできており、VRヘッドセットで遊んでいるかのような没入感が得られるセットアップだ。

 個人で実現するにはスペース的にも中々ハードルの高い構成ではあるが、ウルトラワイド湾曲パネルの可能性の広さに驚かされる展示となっていた。

[制作協力:CORSAIR]