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実は高コスパになったCore i7-11700K、ゲーミングPCをお得に組むならコレ!
5万円割れで購入できるゲームに適した8コアCPU text by 坂本はじめ
- 提供:
- インテル株式会社 / 岡谷エレクトロニクス株式会社]
2021年6月18日 00:00
Rocket Lake-S(開発コード名)の8コア16スレッドCPU「インテル Core i7-11700K プロセッサー(以下、Core i7-11700K)」が、値下がりして5万円を切る価格で販売されていることをご存じだろうか。
第11世代 インテル Core プロセッサー・ファミリーであるRocket Lake-Sの発売当初、あまり注目されていなかったCore i7-11700Kだが、販売価格が5万円を切った2021年6月現在では、コストパフォーマンスに優れたゲーミング向けCPUとして、5万円前後の価格帯におけるベストな選択肢のひとつとなっている。
今回は、いまだその真価を知る人の少ないCore i7-11700Kに注目。ゲーミング向けCPUとしての適正を分析するとともに、本体価格だけではないシステム全体で見たコスト面でのメリットを紹介しよう。
5万円割れで購入できる8コアCPU「Core i7-11700K」最大5GHz動作も可能なインテル最新世代モデル
まずは、Core i7-11700KというCPUの基本的な仕様を確認しておこう。
Core i7-11700Kは、Rocket Lake-Sこと第11世代 インテル Core プロセッサー・ファミリーの一つで、8コア16スレッドのモデルだ。ベースクロックは3.6GHzで、ブーストクロックは最大5.0GHz。対応CPUソケットはLGA1200で、TDPは125W。型番末尾にKが付与された倍率ロックフリーモデルなので、インテル Z590/Z490チップセット搭載マザーボードと組み合わせれば、CPUのオーバークロックが可能だ。
インテル Core i9 ブランドに次ぐインテル Core i7 ブランドの最上位モデルでありながら、2021年6月現在の実売価格は49,800円で、Rocket Lake-Sの中でもコストパフォーマンスに優れたCPUのひとつとなっている。
Core i7-11700Kの実力を確かめるのに用いるのは以下の機材。今回はコストパフォーマンスの良さを主眼に置いているので、CPUのオーバークロックは非対応となるものの、手頃な価格で入手できるインテル B560チップセット搭載マザーボードを用意(OCするためにはマザーボードやクーラー、電源なども高価なものが必要となる)。Core i7-11700Kが発揮するパフォーマンスに注目してもらいたい。
“定格”で動作させるとワットパフォーマンスが大きく改善パワーリミットの設定次第で扱いやすくなるCore i7-11700K
Core i7-11700KをはじめとするRocket Lake-Sに対し、「発熱や消費電力が大きい」というイメージを持っているユーザーは少なくないだろう。事実、Core i7-11700Kを動作させた場合、TDP値から想定される以上に発熱や消費電力が大きくなる場合が多いのだが、この原因はCPUではなくマザーボードにある。
Core i7-11700Kは、インテル ターボ・ブースト・テクノロジー 2.0をはじめとするブースト機能に対応しており、温度や電力に余裕があるときはCPUクロックを高めて性能を引き上げようとする。このブースト動作の基準値のうち、電力の上限値を規定するパワーリミットについては、マザーボード側がある程度自由に設定できるため、電源回路(VRM)の設計に応じて高い数値を設定しているマザーボードが多い。
今回のテストに用いるASUS TUF GAMING B560M-PLUSでも、DrMOSを採用した8+1フェーズVRMの電力供給能力をいかすため、パワーリミットを緩和する「ASUS Performance Enhancement 2.0(以下APE 2.0)」が標準で有効化されている。
APE 2.0が有効化されている場合、Core i7-11700Kのパワーリミットは「PL1=200W、PL2=250W、Tau=56秒」となっている。PL1は持続的なリミットで、PL2は時間制限付きのリミット、TauはPL2の時間制限なので、CPUの消費電力はブースト動作開始から56秒間は250W以下、以降は200W以下に制限されることになる。
このAPE 2.0は手動で無効化することが可能で、無効時はCore i7-11700Kのパワーリミットが「PL1=125W、PL2=250W、Tau=56秒」に設定された。短期的には最大250Wを許容するものの、長時間のブースト動作ではTDP値の125Wに電力が制限される。これがCore i7-11700Kのいわゆる定格動作となる値だ。
CINEBENCH R23でパワーリミットの挙動を確認、シングルスレッド性能はTDP 125Wに制限しても最高性能を発揮
APE 2.0が有効になっている標準動作と、手動でこれを無効にした場合では、CPUの挙動がどのように変化しているのか、CINEBENCH R23を使って確認してみよう。
まず、Core i7-11700Kの全てのCPUコアを使って処理を行う「Multi Core」を実行した結果、APE 2.0有効時のスコアが「14,538」であったのに対し、無効時は「13,210」と10%ほどのスコア差が生じた。
Multi Core実行中のモニタリングデータを比べてみると、APE 2.0有効時はパワーリミットが作動しても4.5~4.6GHzで動作しているのに対し、APE 2.0無効時は125Wのパワーリミットによって4.1GHz前後までクロックが低下していることが確認できる。この動作クロックの差が、約10%のスコア差につながったという訳だ。
一方、1スレッドで処理を実行する「Single Core」を実行した結果、APE 2.0有効時のスコアは「1,589」、無効時は「1,588」で差がつかなかった。
モニタリングデータを見比べても、APE 2.0の有無でCPUの挙動に変化はみられない。これは、ベンチマーク実行中のCPU消費電力が50W弱という、APE 2.0無効時でもパワーリミットの範囲内に収まる数値であるためだ。当然と言えば当然の結果だが、この「パワーリミットの範囲内」であれば挙動が変わらないというのは、Core i7-11700Kの価値を語るうえで重要になるので覚えておいてもらいたい。
オーバークロック無しでもGeForce RTX 3070 Tiの性能をしっかり引出すCore i7-11700Kは定格動作がゲーム性能のバランスが良い?
Core i7-11700Kの得意分野はゲーミング APE 2.0無効でもGeForce RTX 3070 Tiの性能を引き出せる実力派
先に紹介したCINEBENCH R23の結果も悪いものではないのだが、IPC(クロックあたりの命令実行数)が大幅に向上した最新アーキテクチャ「Cypress Cove(開発コード名)」ベースのCPUコアを備えたCore i7-11700Kが得意とするのは「ゲーミング」だ。
ゲーミングシーンでのパフォーマンスをチェックすべく、最新のアッパーミドルGPU「GeForce RTX 3070 Ti」との組み合わせで、「Apex Legends」と「フォートナイト」を実行してみた。
Apex LegendsでTDP 200WとTDP 125Wの設定を比較、ゲームへの影響はごくわずか
Apex Legendsでは、画面解像度をフルHD(1,920×1,080ドット)、描画品質設定を可能な限り「最高」にした上で、3分間のフレームレートとモニタリングデータを取得した。テスト時は起動オプションにより、フレームレートの上限を144fpsから300fpsに引き上げている。
計測の結果、APE 2.0有効時の平均フレームレートが「239.2fps」であったのに対し、無効時は「238.9fps」。
どちらも高画質設定でありながら、標準のフレームレート上限である144fpsを大きく上回るパフォーマンスを発揮しており、Core i7-11700KがGeForce RTX 3070 Tiの実力をしっかり引き出した結果であると言えるが、APE 2.0の有効・無効の違いによる差はつかなかった。
モニタリングデータを確認してみると、APE 2.0の有効・無効に関わらずCore i7-11700Kは約4.6GHzで動作しており、消費電力は平均すると80W強だった。APE 2.0の設定が違ってもパフォーマンス差がつかなかった理由はCINEBENCH R23のSingle Coreと同様で、CPUの消費電力がパワーリミットを超えていないためだ。
TDP 125WモデルであるCore i7-11700Kは、APE 2.0のようなパワーリミット緩和機能を利用しなくとも125Wの電力消費が許容されるため、全てのCPUコアが最大限に稼働するという状況になりにくいゲーミングシーンでは、パワーリミットの制限を受けにくい。
フォートナイトもTDP 125W設定でビデオカードの性能をしっかり引き出せる
フォートナイトでは、画面解像度をフルHD、描画品質を「最高」にして、3分間のフレームレートとモニタリングデータを取得した。テスト時のグラフィックスAPIはDirectX 12。
計測の結果、APE 2.0有効時の平均フレームレートが「175.6fps」であったのに対し、無効時は「173.3fps」。数字の上では約1%の差がついているとも言えるが、この程度は誤差の範囲内とも言える程度だ。少なくとも、10%の差がついたCINEBENCH R23のMulti Coreほどの明確な差は生じていない。
モニタリングデータを見比べると、APE 2.0の設定に関わらず、CPUクロックは4.6GHz、消費電力は平均85W弱で推移していることが分かる。
ちなみに、Core i7-11700Kが備える8基のCPUコアのうち、7基以上がアクティブになっているときの最大ブーストクロックが4.6GHzであり、Apex Legendsやフォートナイトを実行しているさいのCPUクロックが4.6GHzなのはこの仕様によるものだ。これは、両ゲームの実行中は7コア以上のCPUコアがアクティブに処理を実行しているということでもある。
どちらのゲームでもCPU使用率自体は平均25%前後に過ぎないが、稼働しているコアの数自体は多いのが最近のゲームの特徴であり、コア数の欠如はパフォーマンスのボトルネックになり得る。多くのゲームの需要を満たせる8コア16スレッドCPUであることも、ゲーミングシーンにおけるCore i7-11700Kのストロングポイントなのである。
それほど難しくないCore i7-11700Kの冷却「発熱」は4千円の空冷クーラーで十分対応可能
今回のテスト機材では、CPUクーラーに空冷CPUクーラーである「サイズ 虎徹 Mark II」を使用している。4千円前後という低価格と、確かな冷却性能で定番CPUクーラーとしての地位を確立している虎徹 Mark IIだが、Core i7-11700Kを十分に冷却できているか確かめてみよう。
ここまでに実行した各テストと、GPU負荷の重たいテストとして追加実行した「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク(4K/高品質)」で、テスト中の最大温度と平均温度をまとめたものが以下のグラフだ。
もっともCPU温度が高かったのは、APE 2.0有効時のCINEBENCH R23 Multi Core実行中で、最大89℃、平均85.2℃を記録している。確かに高い数値ではあるが、Core i7-11700Kの上限温度は100℃であり、サーマルスロットリングが作動するまでにはまだ余裕がある。
CPU温度をより詳しく確認するため、CINEBENCH R23 Multi Core実行中のモニタリングデータから、CPU温度とCPUクーラーのファンスピードをグラフ化してみた。
APE 2.0有効時は、テスト開始から1分程度でCPU温度が80℃台後半にまで上昇し、ファンスピードも約1,200rpm前後という虎徹 Mark IIの最大速度に達している。
一方、APE 2.0無効時は、250Wの電力消費が許容される最初の56秒間に80℃台後半にまで温度が上昇しているが、消費電力が125Wに制限されて以降は60℃台半ばで推移している。
これらの結果から、最大電力を200Wまで解放したCore i7-11700Kであっても、安価な空冷CPUクーラーである虎徹 Mark IIで冷却することは可能だ。流石に余裕のある温度とは言い難いものだが、APE 2.0を無効化してしまえば、CPUに100%負荷がかかる条件でも確実に冷却できる。
また、ゲーミングシーンでは、CINEBENCH R23のMulti CoreテストほどのCPU負荷がかかるシーンはなく、今回実施したゲームでもCPU温度は平均60℃以下となっている。ゲーマーにとって、Core i7-11700Kは特別冷やすのが難しいCPUではないと言ってよい結果だ。
1万円前後の80PLUS GOLD電源で十分に駆動可能高性能GPUとの組み合わせでも高価な大容量電源は不要
今回のテスト機材では、1万円前後で購入できる玄人志向の750W電源「KRPW-GK750W/90+」を使用している。Core i7-11700KにGeForce RTX 3070 Tiを組み合わせた今回の機材が消費する電力を、この電源ユニットで十分まかなえているのか、ワットチェッカーの測定結果で確認してみよう。
各テスト中の平均消費電力と最大消費電力をまとめたものが以下のグラフだ。
明確な差がついているのはCINEBENCH R23のMulti Coreテストの平均電力のみで、瞬間最大値である最大消費電力はバラツキがみられるものの、大した消費電力差はついていない。また、最大値を記録したFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークの最大消費電力でも540W弱だった。
Core i7-11700Kは特別省電力であるという訳ではないが、300W程度の電力を消費するGeForce RTX 3070 Tiとの組み合わせであっても、システムの消費電力は安価な750W電源で十分に賄えるレベルだ。
1万円前後で購入できる容量750~850W程度の80PLUS GOLD認証電源は、高性能なパーツを使用する上で十分なケーブルとコネクタを備えたものが多く、今回使用した「玄人志向 KRPW-GK750W/90+」は、PCI-E 8ピン×3系統の補助電源を必要とする「ASUS ROG-STRIX-RTX3070TI-O8G-GAMING」にもしっかり配線することができた。Core i7-11700Kを使ったゲーミングPCには、価格と機能のバランスに優れたこのクラスの電源ユニットがおすすめだ。
確かなゲーミング性能を備えた高コスパCPU「Core i7-11700K」周辺パーツも含めたコスパの良さで予算配分まで改善可能
5万円を切る価格で購入できるCore i7-11700Kは、GeForce RTX 3070 Tiクラスの高性能GPUと組み合わせても見劣りしない実力を備えており、ゲーミング向けCPUとしての性能とコストパフォーマンスは確かなものだ。
また、マザーボードやCPUクーラー、電源ユニットなどもコストパフォーマンスに優れた製品を選ぶことができるので、ビデオカードやSSDと言ったゲーミングPCの重要パーツに多くの予算を割り振ることができる。なるべく高性能なビデオカードを導入したいと考えているゲーマーにおすすめできるCPUだ。
2021年6月は、インテル製品ユーザー向けのプレゼントキャンペーン「with インテル・キャンペーン」(6月11日~27日)が開催されているほか、インテル Core プロセッサー搭載PCでのゲームの楽しみ方を紹介する特別番組「CORE GAMING DAY」が6月19日(土)19時~22時にYouTubeでライブ配信される。配信では、インテル製CPUを搭載したゲーミングPCユーザーが参加できる、Apex Legendsのカスタムマッチも開催される。
この機にCore i7-11700KでゲーミングPCを構築して、これらのキャンペーンやライブ配信を楽しんでみてはいかがだろうか。
[提供:インテル株式会社 / 岡谷エレクトロニクス株式会社]