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液晶&ファン搭載ヘッドに連結式ファンで冷えて映える!ASUSの新型水冷「ROG RYUJIN III ARGB」

組みやすくCPU周辺の冷却も考慮されたグレイトな完成度 text by 芹澤 正芳

ASUSのROGシリーズは、ゲーマー向けブランドとしてインパクト抜群のルックスと確かな性能でマザーボードとビデオカードがとくに人気だが、PCケースやCPUクーラーの強化にも意欲的に取り組んでいる。今回は最新の簡易水冷クーラー「ROG RYUJIN III ARGB」を紹介しよう。

ゲーミングPCのあらゆるジャンルを網羅する「ROG」ブランド

 ASUSのゲーマー向けブランド“ROG”(Republic of Gamers)は、ノートPC、スマートホン、Wi-Fiルーター、モニタ、電源ユニット、最近発売されて注目のポータブルゲーム機「ROG Ally」などなど、実に幅広い製品を展開している。自作PC好きにとっては、「ROG STRIX」シリーズを同社のマザーボードとビデオカードの定番モデルと認識している人も多いのではないだろうか。

ROGブランドではノートPC、Wi-Fiルーター、ポータブルゲーム機など幅広いゲーミングデバイスを展開している
自作PCユーザーにはマザーボードやビデオカードのROG STRIXシリーズがおなじみではないだろうか。写真左は今回の検証で使用した「ROG STRIX Z790-F GAMING WIFI」、右は「ROG Strix GeForce RTX 4080 16GB GDDR6X OC Edition」

 ブランドの特徴は、ゲーミングらしい重厚なデザインとゲームを快適に遊ぶための性能、長時間のプレイにも耐えられる信頼性を備えていること。そのため、堅牢性と安定性を求めるゲーマー以外の層からも人気がある。

ASUS「ROG RYUJIN III ARGB」。実売価格は53.000円前後

 今回紹介する簡易水冷クーラーの「ROG RYUJIN III 360 ARGB」は、「ROG RYUJIN III 360」の兄弟機。水冷ヘッドに変更はないが、ケーブルを使わずに連結できるLED内蔵ファンになったことで、簡易水冷を設置する上での悩みであるファンのケーブル処理が大幅に軽減され、設置しやすくなっているのが最大の特徴だ。

 ラジエータは冷却力に優れる36cmクラス。Asetek第8世代ポンプ採用の水冷ヘッドには、CPU温度やポンプの回転数といったシステム情報や好きなGIFアニメなどを表示可能な3.5型の液晶モニタを搭載する。さらにファンも内蔵しており、VRMなどCPUソケット周辺の冷却も行なえる。対応CPUソケットは、IntelがLGA1700/1200/115x、AMDがAM5/AM4でラジエーターのサイズは399.5×120×30mm。

水冷ヘッドにはAsetek第8世代ポンプを搭載。液晶パネルを含む水冷ヘッドの外装は取り外し可能。内部にはファンが備わっており、CPUソケット周辺の冷却も行なえる
上部には3.5型の液晶モニタを備え、システム情報などを表示できる
表示内容は「Armoury Crate」アプリで変更が可能だ

 と、ここまではROG RYUJIN III 360 ARGBとROG RYUJIN III 360はまったく同じ。共通のスペックだ。違いはラジエーターに取り付ける3基の12cm角ファンにある。ROG RYUJIN III 360は、LEDのないNoctuaのNF-F12 industrialPPC-2000 PWMを採用、文句無しに高性能ファンだが、ファンごとに電源ケーブルの接続が必要で取り付けは煩雑だった。

ファン/LEDを制御するケーブルやファン同士は端子同士を近づけるだけでマグネット固定される。連結したファンのどちらかの端にケーブルを接続すれば3基のファンとLEDが動作する

 ROG RYUJIN III ARGBでは、ROG MF-12S ARGBに変更。アドレサブルRGBが内蔵されたのに加えて、マグネット式デイジーチェーン接続に対応。側面にあるコネクタにファン同士を近づけるだけでマグネットで固定される。両端のどちらかにケーブルを接続すれば、3基ともファン&LEDが動作するという仕組みだ。しかもそれもマグネット式でいつでも着脱可能なので、PCケース内に本機を設置するときにケーブルがまったくジャマにならないのには感動する。組み立て後に、ほかのケーブルとからまったりして処理に困ったときも着脱できるのが非常にありがたい。なお、ファンは回転数が2,200rpm、動作音36.45dB、空気圧3.88mm、風圧70.07cfmだ。

中心部から広がるように光るアドレサブルRGBはなかなか美しい
ライティング管理は「Armoury Crate」アプリのAura Sync機能で行なえる
こちらは「ROG RYUJIN III 360」。ファンはNoctua製でLED非搭載。こちらも優秀な簡易水冷クーラーだが、ケーブル整理のしやすさはARGBモデルに軍配

Core i9-13900K&重量級ゲームでもキッチリ冷やす

 ここからは実際の冷却力をチェックしていこう。検証環境は以下の通りだ。CPUのパワーリミットはマザーボードのデフォルト設定となる無制限(MTP=4095W)を採用している。

【検証環境】
CPUntel Core i9-13900K(24コア32スレッド)
マザーボードASUS ROG STRIX Z790-F GAMING WIFI(Intel Z790)
メモリDDR5-5600 32GB(PC5-44800 DDR5 SDRAM16GB×2)
ビデオカードASUS ROG Strix GeForce RTX 4080 16GB GDDR6X OC Edition
(GeForce RTX 4080)
電源ASUS ROG-THOR-1000P2-GAMING(1,000W、80PLUS Platinum)
OSWindows 11 Pro(22H2)

 テストは、最大負荷としてCINEBENCH R23を10分間実行、高負荷としてサイバーパンク2077、中負荷としてディアブロIVをそれぞれ10分間プレイしたときの平均温度と最大温度を掲載する。データの取得には「HWiNFO Pro」を利用した。ファンとポンプの制御はArmoury Crateのファンコントロールで「標準」に設定している。なお、OS起動10分後のアイドル状態でのCPU温度は37℃。

CINEBENCH R23、サイバーパンク2077、ディアブロIV 10分実行時CPU温度

 CINEBENCH R23に関しては全コアに100%の負荷がかかるテストだけに、Core i9-13900KでMTP無制限だと一般的なCPUクーラーでは36cmクラスの簡易水冷も含めて100℃のリミットにすぐ到達して、クロックを落とすサーマルスロットリングが発生する。しかし、平均で見ると86℃とサーマルスロットリング発生後はうまく温度をコントロールできている言ってよいだろう。CINEBENCH R23に関しては温度推移のグラフも掲載する。温度のブレが大きい部分は処理と処理のインターバル部分。

CINEBENCH R2310分実行時のCPU温度の推移

 サイバーパンク2077もCore i9-13900Kでも全コアに負荷がかかる重量級ゲーム。とはいえ、使用率が高くなるのは1~2コア程度なので、CINEBENCH R23よりは負荷は低いため、平均57℃十分冷えている。重量級ゲームを長時間プレイしても安心だ。話題の最新ゲーム、ディアブロIVはPコアの8スレッドだけCPU使用率が高くなると、より負荷が低いゲームだけに平均46℃とアイドル時よりも9℃しかアップしていない。

 ちなみに、水冷ヘッドのファンはCPUソケット周辺の冷却力を強化するということで、CINEBENCH R23を10分間実行時のVRM温度を同じく「HWiNFO Pro」でチェックしてみた。ファンコントロールを「標準」設定では最大64℃、ファンを停止させる設定では最大67とマイナス3℃の効果を確認できた。ただ、水冷ヘッドのファンは小型なので回転数が高くなると動作音は大きめ。気になる人はArmoury Crateのファンコントロールの「Embedded Micro Fan」の項目で回転数を調整できるので、ちょっと絞るのもアリだろう。

水冷ヘッドのファンもArmoury Crateのファンコントロールで制御できる。テストではこれを使って回転数をゼロにした

ROGシリーズで自作PCを組めば重厚感バツグンだ

 最後に、ROG RYUJIN III ARGBを含め、今回使用したパーツ群をPCケースにセットアップした作例を紹介する。PCケースは、同じくROGブランドから、E-ATX対応の大型ケース「ROG Hyperion GR701」を使用した。

作例のパーツを組み込んだところ。ROGらしい重厚感が出ている仕上がり

 圧巻なのはPCケースのROG Hyperion GR701だろう。水冷は42cmクラスまで対応、14cm角の大型ファンを前面に3基、背面に1基搭載と強力なエアフローを確保しており、ビデオカードを支えるカードホルダーを標準搭載、8台のアドレサブルRGB、6台の冷却ファンを装着できるハブも用意と、魅せて冷やせるPCに仕上げられる。それに内部の側面にはROGデザインのライティングパネルまで用意されており、ROGシリーズで固めるのにふさわしいPCケースと言える。

 実際にパーツを組み込むとROGならではの重厚感が際立ち、非常によい感じだ。ROGでそろえれば、Armoury CrateでファンやLEDを一括でコントロールできるのも便利。メカメカしいデザインのルックスにド派手なライティングによる演出はテンションが上がる。写真に撮ると、ちょっと“近未来の巨大都市か工業地域の夜景”っぽさもある。超パワフルなゲーミングPCらしい仕上がりになったのではないだろうか。