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好みの音質に簡単調整!着け心地も良好なワイヤレスゲーミングヘッドセット「CORSAIR HS80 MAX WIRELESS」

Dolby Atmos・NVIDIA Broadcast・SoundIDなどの対応音響機能も充実 text by 白倉甲一

「HS80 MAX WIRELESS(CA-9011296-AP)」

 「HS80 MAX WIRELESS」は、CORSAIRのワイヤレスゲーミングヘッドセットでは上位となるモデル。ゲーミング性能だけでなく、高品質なイヤーパッドやデザインなどの高級感もウリとしている。

 また、サラウンド機能のDolby Atomos Spatial Audio、マイクのノイズやエコーを低減するNVIDIA Broadcast、好みの音質に簡単にカスタム可能なSoundIDなどの音響機能もサポートしているのも特徴。今回のレビューでは、ゲームで使用した時の性能と合わせ、音響機能の効果も確認してみたい。

シンプルで扱いやすいデザイン、通気性の良い布製イヤーパッドで長時間装着も快適

 「HS80 MAX WIRELESS」の外観は、丸みを帯びた角形のハウジング形状と幅のあるヘッドバンドが特徴。今回のレビューで使用しているのはホワイト(CA-9011296-AP)のモデルで、カラーバリエーションとしてスチールグレイ(CA-9011295-AP)も販売されている。

 デザインはシンプルな方向でまとめられており、派手さは無いが現実で高級感のあるタイプになっている。それでいてルックスが単調になりすぎないよう、イヤーカップのロゴマーク部分がRGBイルミネーションに対応しており、CORSAIRの他のデバイスとライティングを連動させることもできる。

全体の色合いはマットなホワイトでまとめられており、要所にシルバーとグレーが挿し色に使われている。
イヤーカップは耳全体を覆うタイプで、柔軟性のあるヘッドバンドとの組み合わせはフィット感と高めてくれる。
イヤーカップのロゴマークにはRGBイルミネーションが搭載されている。
ユーティリティのiCUEからカスタムが可能、他のCORSAIR製品と連動させて光らせることもできる。

 50mmの大型ネオジウムドライバを搭載しており、周波数特性20~20kHz、感度119dB (+/-3dB)、インピーダンス32Ω。数値的な面で見るとゲーミングヘッドセットとしては十二分な性能と言える。

 重量は約352gとワイヤレスゲーミングヘッドセットとしては平均程度の重さだが、ヘッドバンド部分に全重量がずっしりとかかってくるタイプではないので、数値から想像するより装着中の負担は少なく感じた。イヤーパッドは耳を覆うタイプで、通気性の良い布製。厚手でクッション性も高く、長時間利用でも耳が蒸れず疲れにくい。

50mmの大型ネオジウムドライバを搭載、重厚で迫力のあるサウンドを実現している。
通気性の良い布製イヤーパッド。厚手でクッション性がありながらも側圧は強すぎず、疲れにくい。
左ハウジングには電源ボタンと音量調節ダイヤル。ダイヤルの押し込み操作でイコライザーの切り替えや、マクロボタンとしての使用も可能。
右ハウジングにはBluetoothペアリングやメディアコントロールなど、所定の操作で各機能に対応するボタンを搭載。
ヘッドバンドは伸縮せずにバンドで頭の大きさにあわせるタイプ。
内側のバンドの長さを調整することでフィット感を変えることができる。

 マイク部は無指向性で、周波数特性は100~10kHz、感度は-38dB (+/-3dB)、インピーダンスは2.2kΩ。配信利用などにも堪える性能だ。

 フレキシブルアームでマイク位置の調整がしやすく、跳ね上げ時のマイクミュート機能にも対応している。マイクミュート時にはマイク部分のインジケーターランプが赤色点灯し、視覚的にもわかりやすい。

マイクON時、マイクブームは柔軟に動かせる。
マイクOFF時、跳ね上げるだけでミュートになり、インジケーターランプも赤色に点灯する。

 接続方法は2.4GHz専用ワイヤレスレシーバー接続、またはBluetooth v5.2接続。2系統の接続をワンボタンで切り替えることもできる。バッテリー持続時間は、USBレシーバーを使った2.4GHz接続時で最大65時間(LEDオフ時)、Bluetooth接続時で最大130時間(LEDオフ時)。長時間稼働モデルだが、電池が切れてしまった際は充電しながら使用することも可能。

 USBレシーバー使用時は、Windowsのほか、MacやPS4/PS5でも使用可能。Bluetooth v5.2接続時はスマートフォンなど様々な機器で使用できる。

専用の2.4GHzワイヤレスレシーバーはWindows/MacのPCやPS4/PS5などで使える低遅延で安定した接続を実現する。
Bluetooth v5.2接続にも対応し、スマホなど幅広い機器でも利用できる。対応プロファイルはA2DP/HFP/HSP。
本体コネクタ形状はUSB Type-Cで、充電専用のため有線接続はできない。充電しながら使用できるので、万が一電池が切れた際も充電待ちで使用できないといったことは無い。
付属の2.4GhzワイヤレスレシーバーとUSB Type-C - Type-A(1.8m)ケーブル。ケーブルは柔らかい編組ケーブルで断線などが起きにくい。

音響周りの機能も充実!定位の良さと音の聞き分けやすさが戦況を有利に

 硬派なゲーム内容と固有スキルによるカジュアルな要素をうまく融合させた人気FPS「VALORANT」をプレイし、「HS80 MAX WIRELESS」の性能をチェックしてみた。

 戦況を優位にするため頻繁にボイスチャットが飛び交うゲームでもあり、プレイヤーの連携が重要なゲームでもあるので、ヘッドセットの性能は勝因に大きく影響する。

敵の足音や移動方向がはっきり聞き取れる音質。このおかげで背後から奇襲をかける事に成功。多少動き回っても、自分の足音と敵の足音が混同したりせず聞き分けられる。
音がしっかり聞き分けられると、壁の向こう側にいる敵の移動音や、スキルの発動音などがわかるので、目に見えない情報を多く得られることにもつながる。相手の動きに合わせて対応しやすくもなるので、有利な状況で敵の進行を阻むことができた。

 音の傾向としてはゲーミングヘッドらしくやや低音は目立つが、耳に刺さる感じはなく聞き疲れしない、迫力はありつつバランス感のある音質という印象を受けた。

 また、後述する音響周りの機能が充実している事もあり、音が聞き分けやすく、ゲームプレイの上でかなり恩恵を受けられた。定位感がしっかりしているので、敵がどちらから来るか判断しやすかったり、見えない位置での行動が音から判断できたりと、ヘッドセットの性能の高さが有利な状況を生む場面も確認できた。ゲームに勝つための性能はしっかり持っていると言えるだろう。

ユーティリティのiCUE上から追加でダウンロードすることで利用可能。ストレージに2.2GBの空き容量が必要なので注意。
有効化することでノイズと反響を手軽に除去できるので、ゲームソフトが備えるボイスチャット機能のように、音質調整があまり行えない環境で音質を底上げしたい場合などに有効な機能だ。

 マイク性能についても配信グレードをうたうだけあって、素の状態でも十分聞き取りやすい。ボイスチャットツールと組み合わせればかなり快適な品質で通話を行えるだろう。

 また、VALORANTではゲームソフトが備えているボイスチャット機能を多用することになるのだが、VALORANTに限らず、ゲームソフト側のボイスチャット機能は専用ツールに比べると音質が悪くなりがちだ。「HS80 MAX WIRELESS」は「NVIDIA Broadcast」機能に対応しており、有効にするとゲームソフトが備えているボイスチャット機能のノイズ除去も行える。ボイスチャット専用ツールが使えない環境でも音声のノイズを減らすことができるので、ボイスチャットの音質を改善したい場合には魅力的な機能になるだろう。

「Dolby Atmos」で迫力の立体音響を実現、定位感にも優れるサラウンド機能

 MicrosoftストアからDolby Accessをインストールすることで利用可能な「Dolby Atmos」にも対応。より迫力のある音響と定位感を得られるサラウンドサウンドで音楽やゲームを楽しめる。

Dolby Accessを起動すると「HS80 MAX WIRELESS」が対応デバイスとして認識され、Dolby Atmosによるサラウンドサウンド機能を無料で利用できる。
Dolby Access上からもイコライザー設定を利用することが可能。ゲーム向けに用意されている「パフォーマンスモード」を有効化すると、より定位感を優先した設定になる。

 ゲームでの使用に限って言えば、「Dolby Atmos」ではゲーム向け音質となる「パフォーマンスモード」が用意されており、有効にすると音の方向がよりわかりやすくなる。特に上下や後ろ斜め方向からの音が聞き取りやすくなる印象だ。

 何の音が鳴っているのかといったような聞き分けは、後述する「SoundID」機能に軍配が上がるように思えるが、定位感は「Dolby Atmos」の方が優れているように感じる。音の定位感と音色の聞き分けやすさのどちらに重きを置くのか、好みによって使い分けるのが良いだろう。

 なお、「Dolby Atmos」機能は専用のUSBレシーバー使用時のみ利用可能で、Bluetooth接続ではそのままでは使用できない。別途Bluetooth接続時用に「Dolby Atmos」の利用ランセンスを購入すれば使用できる環境もあるかと思うが、複数機器で「HS80 MAX WIRELESS」を使用する場合には注意してほしい。

音質を自分好みに簡単チューニング、イコライザーの手動設定が不要になる「SoundID」

 「HS80 MAX WIRELESS」は簡単な診断に答えるだけで自分好みのオーディオプロファイルを作成できる「Sonarworks SoundID」機能に対応しており、細かいイコライザー設定などを行わなくても音質を好みのものに調整可能だ。

診断形式で聞こえる音に合わせて調整を行う、好みの傾向や可聴域など様々な要素をテンポよく簡単に診断し、自分だけの音響設定が手軽に作成できる。
自身で細かく調整したい場合や、使用用途に合わせてプロファイル作りたい場合などは、「SoundID」を利用せずに手動で音質の設定を行うことも可能だ。

 ゲームでの利用を意識して設定した場合、銃声や足音などがくっきりわかるように調整できた。音が聞き分けやすい分、音からより多くの情報を得られるので、その分プレイ中に有利に立ち回ることができるだろう。

 イコライザーで調整する場合は、狙い通りの音になるまでに何回もテストを繰り返したりすることがあるかもしれないが、診断形式で音質を決めていく「SoundID」は一回の調整でほぼ狙った音質になるので、購入して即ベストな設定で使いたいといったユーザーには非常に便利な機能だろう。

心地良い装着感で長時間使用にもおすすめな「HS80 MAX WIRELESS」音質も簡単に自分好みにできるゲーミングヘッドセット

 ゲーミングヘッドセットは長時間装着したまま使うことも多く、高性能でも装着感が悪ければ使いたくなくなってしまいかねない。その点、「HS80 MAX WIRELESS」は通気性の良い布製イヤーパッドで長時間利用でも蒸れず、ヘッドバンドの装着感などにもこだわった疲れにくいヘッドセットだ。ヘッドセットの着け心地は個人の頭の大きさや形によって合う合わないが出てしまう部分もあるが、実際に使用してみて装着感も良く、筆者はかなり快適に使用することができた。

 音質面でもゲーミングヘッドセットらしく低音の聞き分けやすく、「Dolby Atmos」を利用して音の方向をしっかりと聞き分けたり、「SoundID」を利用して音質を自分好みに簡単に調整したりと、ゲームで勝つための性能を備えたモデルとなっている。

 惜しむらくは「Dolby Atmos」がUSBレシーバーで接続した時のみ利用できる点だが、Blutooth接続でも標準で利用できればより汎用性が広がり使い勝手も向上する。この部分はメーカーにも今後対応を検討してもらいたい部分だ。

 ワイヤレスのモデルは有線モデルと比べると無線機能の分高価となるケースが多いが、「HS80 MAX WIRELESS」は必要な機能にターゲットを絞ることでコストパフォーマンスにも優れるモデルになっている。予算を抑えつつも「有線を卒業して高性能なワイヤレスゲーミングヘッドセットを試してみたい」というユーザーに是非おすすめしたいモデルだ。