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コレは欲しすぎる!“北斎画浮世絵ノートPC”をMSIが初公開、Ryzen搭載ポータブルゲーミングPCや新型の背面コネクタマザー、AI制御OLEDモニターなどブース展示

(COMPUTEX AKIBA出張所 / MSI編)

COMPUTEXのMSIブースで注目を集めていた“浮世絵ノートPC”

 2025年5月20日より4日間の日程で、IT関連の見本市「COMPUTEX TAIPEI 2025」が台湾・台北市で開催された。

 MSIはメイン展示会場の南港展覧館にブースを構え、個性的な製品を多数展示。蒔絵の技法によるプリントを施したノートPCや、Ryzen搭載のポータブルゲーミングPC、背面コネクタ仕様のマザーボードや新型ビデオカード、AI制御を活用した有機ELゲーミングモニターなど、様々な製品が展開されていた。今回のレポートではその中から目立った展示物を紹介しよう。

日本の伝統工芸、蒔絵による富嶽三十六景がノートPCに

蒔絵が施されたノートPC「Prestige 13 AI+ Ukiyo−e Edition」(中央)

 ブースの中央でひときわ来場者の目を引いていたのは、なんと葛飾北斎の富嶽三十六景、そのなかでも最も有名な作品である神奈川沖浪裏を天板に描いたノートPC。日本の伝統工芸である蒔絵の技法を用いて、合金の天板に直接描かれている。職人の手によって作られていることから、1枚1枚にごくわずかな違いが出てくる可能性があるため、世界に1つだけのマシンとなりうるだろう。

ベースモデルはPrestige 13 AI+
Core Ultra 9 288Vに13.3インチ/2,800×1,800ドットの有機ELディスプレイを搭載
専用デザインのマウス、マウスパッド、パスケースが付属
こちらのスリーブケースも付属する

 ベースモデルは13型ビジネスノートのPrestige 13 AI+で、正式なモデル名は「Prestige 13 AI+ Ukiyo−e Edition」。専用デザインのマウス、マウスパッド、パスケース、スリーブケースなどが付属し、1000台ほどの限定生産モデルとなる。2025年夏頃に発売予定とのことだが、本物の漆塗りによるツヤ、蒔絵ならではの精緻で深みのある色合いはいつまでも眺めていたくなる。使っていないときも文字通り絵になる一品で、世界中で争奪戦になりそうだ。

製作工程における段階ごとの見栄えが並ぶ
版を刷る工程がブースでは紹介されていた
複数の版を使って印刷が行われ、文字などは蒔絵の技法を使って仕上げられる
製作時に使われた道具をイメージした展示

Ryzen搭載のポータブルゲーミングPC「Claw A8」

ポータブルゲーミングPC「Claw A8 BZ2EM」

 ポータブルゲーミングPC「Claw」シリーズに、新たにAMD Ryzen搭載モデル「Claw A8 BZ2EM」が登場する。これまで同シリーズはIntel Core Ultraを採用してきたが、新モデルはAMD Ryzen Z2 Extreme(8コア16スレッド、最大5GHz、TDP 28W)を採用。さらに高いゲーミング性能を実現しているようだ。

AMD Ryzen Z2 Extremeを搭載
Ryzen搭載版は少し角張ったフォルムに

 ディスプレイは8型1,920×1,200ドット/リフレッシュレート120Hzで、従来モデルと同様。基本的な仕様は従来モデルを踏襲しているが、インターフェイスがThunderbolt 4から40Gbps対応のUSB4ポートになり、外観のフォルムも変更されている。カラーはグリーンとホワイトの2色で、2025年夏頃に日本国内でも発売予定だ。

開発段階ではピンク、ブルー、パープルも候補に挙がったのだそう
こちらはホワイトモデル

メルセデスAMGコラボモデルに新顔、ビジネスユーザー向け16型モデル

「Prestige 16 AI+ Mercedes-AMG Motorsport」

 メルセデスAMGとのコラボモデルに新たに「Prestige 16 AI+ Mercedes-AMG Motorsport」が追加となる。

 ベースモデルは、Intel Core Ultra 9 288V、UHD+(3,840×2,400ドット)解像度の16型ディスプレイ搭載のPrestigeシリーズの製品で、ビジネスカテゴリーのPCという位置付。シャープな印象を与えるシルバーの外観は、ビジネスユーザーに受け入れやすそうなデザインだ。

天板にAMGロゴ
一部のキーがピアノブラックとなっている

 天板やパームレストにメルセデスAMGのロゴがあしらわれている他、管理ツールの「MSI Center」もカスタマイズされている。さらに専用デザインのワイヤレスマウス、マウスパッド、スリーブケースが付属する。

付属のマウスはワイヤレス
専用デザインのマウスパッド
スリーブケースも付属
「MSI Center」も専用デザイン

 なお、従来の「Stealth 16/A16」シリーズのAMGコラボモデルは、各部をバージョンアップしたうえで継続販売する。NVIDIA GeForce RTX 50シリーズを搭載するほか、天板のメルセデスロゴが立体的になるなどデザインにも変化があり、さらに高級感が増している。こちらは全体的にブラックボディかつゲーミングカテゴリーとなるため、新モデルの登場によって好みや用途に応じて選べるようになったと言える。

バージョンアップした「Stealth A16 AI+ Mercedes-AMG Motorsport」
天板のロゴが立体的に
専用デザインの周辺機器やアクセサリーも付属

ホワイトで背面コネクタのマザーボード「MAG X870E TOMAHAWK WIFI PZ」

「MAG X870E TOMAHAWK WIFI PZ」

 マザーボードも多数展示しているが、なかでも「ホワイト好き」に刺さりそうなモデルが「MAG X870E TOMAHAWK WIFI PZ」だ。色合いとしては真っ白というより、わずかにグレーがかった「ホワイトシルバー」的な見た目だが、かなり印象的なカラーリングであることは確か。モデル名に「PZ」(PROJECT ZERO)とある通り背面コネクタモデルとなっており、組み立て後もきれいにホワイトを見せられそうだ。

背面側
背面コネクタモデルとなっている
USB4、5G LAN、Wi-Fi 7など充実のインターフェース
チップセットはX870Eで、搭載機能などは上位モデルらしい仕様となっている

 仕様としてはSocket AM5で、USB4ポート、PCIe 5.0対応の2基を含む4基のM.2スロット、5GbEの有線LANとWi-Fi 7を搭載する。

 このマザーボードを用いたサンプルPCも展示されており、ケースはもちろん背面コネクタに対応したホワイトの「MAG PANO 130R PZ」。ホワイトベゼルの12.3型ディスプレイ「MAG VISION LITE 12をはじめ、内蔵パーツのほとんどがホワイトで統一されており、清廉潔白な雰囲気の1台となっていた。

MAG X870E TOMAHAWK WIFI PZを組み込んだホワイトのPCケース「MAG PANO 130R PZ」、内部右側面側にディスプレイが組み込まれている
ケースに内蔵されているディスプレイは「MAG VISION LITE 12」、こちらの写真のようにUSB接続で外付けの拡張モニターとして使える

Founders Editionインスパイア?MSIから新デザインのGeForce RTX 5080が登場

「GeForce RTX 5080 16G EXPERT OC」

 ベイパーチャンバーと独自のエアフローで高い冷却効果を実現したとする「GeForce RTX 5080 16G EXPERT OC」は、高級車のフロントグリルのようなユニークなデザインで注目を集めていた。

 デザインはNVIDIAのFounders Editionのような路線で、MSI製ビデオカードの中ではシックな方向性のものになる。ファンは表面と裏面の2か所に設置されており、GeForce RTX 40シリーズのFounders Editionを彷彿とさせる構造。

背面プレート側
映像出力端子
カードの後部側はまでしっかりカバーで覆われている
EXPERTシリーズのモデルとして市場に投入される予定だ

 どちらかというと、同社の「INSPIRE」シリーズに近い印象も受けるが、独立した「EXPERT」シリーズの1モデルとして投入される。このモデルの追加で、MSI製のGeForce RTX 50シリーズビデオカードは、「SUPRIM」、「VANGUARD」、「GAMING」、「INSPIRE」、「VENTUS」、「EXPERT」と、6シリーズ展開になる。

AI活用で有機ELモニター特有の“メンテ中断”が限りなくなくせる「MPG 271QR QD-OLED X50」

 高画質かつ高レスポンスで近年ゲーミング界隈での人気が高いQD-OLED(有機EL)ディスプレイ。その最新かつ最上位モデルとしてMSIからリリースされるのが「MPG 271QR QD-OLED X50」だ。

「MPG 271QR QD-OLED X50」

 ゲーミング用途に最適な26.5型、WQHD(2,560×1,440ドット)解像度で、リフレッシュレート最大500Hzを誇る高性能モニター。だが、一番のポイントは、有機ELの宿命である焼き付きへの対処が一段とスマートになった「OLED Care 3.0」を搭載することだ。

 有機ELモニターにおいては、焼き付きを防ぎ、映像品質を維持するため、定期的にピクセルシフトを行なったり、積極的に画面をオフもしくは輝度を下げたりなどの対策をとっている。

 MSIもOLED Care 2.0によってそうした処理を行ない、ディスプレイを長く使えるようにしているが、3.0ではモニターが搭載するセンサーとNPUを活用したAI技術によってモニター前に存在する人を正確に検出し、ディスプレイの負荷を低減する仕組みになっている。

モニター下部に人体検出するためのセンサーが搭載されている
AIによる制御やメンテナンス機能は「AI Care Sensor」対応モデルと記載されるとのこと

 たとえばモニターの前から人がいなくなったと判断すると即座に画面をオフにし、人が現れると即座に復帰する。また、視線がモニターから外れたことを検知した場合には画面を一時的に暗くするといった処理も行なう。

センサーを隠す(人が検出できなくなる)とすぐに画面がオフ
人を検出すると再び画面が素早くオンになる。この処理をモニター側の機能で行なっているのがミソ

 これまでMSIの有機ELモニターでは最長でも16時間に1回は必ずパネルのリフレッシュ処理が必要になっており、そのために10分程度使用できなくなる時間帯が発生していた。が、このOLED CARE 3.0のAI検知を活用することで、人がモニター前にいない時を見計らって処理することが可能になる。中断を意識することなく、ゲームや業務に集中できるというわけだ。

 なお、OLED Care 3.0搭載のMPG 271QR QD-OLED X50では、デフォルトで強制リフレッシュ処理が最長16時間ごとから最長24時間ごとに延長される。

次世代ノートのデザインサンプルやチタンを使ったビデオカードクーラーもその他の気になった展示アイテム

 他にも多数の展示があったMSIブース。気になったアイテムを一挙に写真で紹介しよう。

今後のビジネスカテゴリーのノートPCの新デザインがお披露目
ロゴが新しくなり、エンボス加工される。カラバリは4種類ほど
これらは2025年秋以降に正式に製品として発表されるようだ
スタイラスペン対応モデルは、本体底面の溝に収納できる
マグネットが搭載されており、紛失しにくい構造になっていた
ゲーミングノートの新型「Cyborg 17/15」/が日本でも発売予定
こちらはRyzen/GeForce構成の「Cyborg A17/A15 AI」
Cyborgシリーズは内部が一部透けて見えるスケルトンデザインが特徴
GeForce RTX 5070/240Hzモニター搭載の「Crosshair 18 HX AI」
Crosshairシリーズは日本では一部モデルのみが販売されていたが、日本市場への本格展開も予定しているという
「MEG X870E ACE」、AMD Ryzen版の「ACE」がATXフォームファクタとなってついに登場
シールド部分にはレイヤー構造の複雑なイルミネーション
USBやLANなど「10G」だらけのインターフェース
Mini-ITXの「MPG X870I EDGE TI WIFI」
インターフェイス類のコネクタをまとめた専用のドーターカードがセットになっている
ドーターカード裏面にはM.2 SSDも1枚搭載できる
メモリオーバークロック性能に特化した「B850MPOWER」
MPOWERシリーズは主にIntel向けに展開されていたが、Ryzen向けは珍しい
「EZ DIY」の取り組みの1つとして、マザーボード背面のはんだ付けされたピン部分をフラットにすることも検討中
うっかり強く握って「痛っ!」となったユーザーも多いと思うので、実現すればうれしい改善だ
コンセプトモデルの6型ディスプレイ付き水冷クーラー「MEG CORELIQUID E13 360」
ディスプレイの裏側、マグネット固定式で脱着は簡単
ディスプレイは水冷ブロックにポゴピンで接続
縦向きだけでなく横向きにも取り付けられる
「MEG CORELIQUID E13 360」を組み込んだ例
ホワイトの水冷クーラー「MAG CORELIQUID P13 360」
白いカバーでネジ周りを隠すことができる
接続用の配線は水冷ホースのカバー内に収められ、すっきりとした見栄えに
ホワイトの電源には1,000Wモデルの「MAG A1000GL PCIE5 WHITE」が追加
電源の次世代モデル「MAG A1000GLS PCIE5」
電源の次世代モデルはケーブルが柔らかく取り回しのしやすい新しい素材に
ハイエンドゲーミングノートの内部構造の展示
どのようなパーツでクーラーが構成されえているのかも紹介されていた
搭載ファンのブレード構造などの紹介も
外装とバックプレートにチタン素材を使用した「GeForce RTX 5090 32G SUPRIM TITANIUM EDITION SOC」
カラーリングもゴールドでプレミアム感のあるモデルになっていた
往年のビデオカード用クーラーを現在の技術で蘇られたコンセプトモデルも展示。こちらはGTX 400シリーズ時代のユニークなヒートシンク形状を再現した「GeForce RTX 5070 12G CYCLONE VISUAL OC」
初代「Twin Frozr 2」デザインを現代に蘇らせた「GeForce RTX 5060 Ti 16G TWIN FROZR 2025 OC」
当時の「Twin Frozr」はアルミヒートシンク(右)だったが、2025年版は銅を配合したヒートシンクに(左)
次世代ベイパーチャンバーの構造も紹介。左が現在の内部構造で右が次世代のモデル
ヒートパイプ内部にも工夫が
2本の指先の間は細かい銅粒子、その左右外側は粗い銅粒子になっている
発売間もないGeForce RTX 5060搭載ビデオカードも展示
GeForce RTX 5060搭載モデルはは複数シリーズに投入されている
ミニPCとしてはまだ珍しいCopilot+ PC準拠の「Cubi NUC AI+」
インターフェイスや内部構造も公開、本体正面にCopilotボタンを備える
超ハイエンド、かつケース前面に大型モニター内蔵の「MEG Vision X AI」
目の前にするとかなりの迫力
QD-OLEDゲーミングモニターの分解展示
普段あまり見る機会のない内部構造の紹介が行われていた
取材中MSIブースに突如現れたNVIDIA CEOのジェンスン・フアン氏
ギャラリーの人たちとハイタッチを交わす
いくつかのサインを残して去って行った