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キオクシアのSSD「EXCERIA」PCIe 5.0対応3シリーズを比較!高性能なのに低発熱のPRO G2、バランス型のPLUS G4、大容量重視のG3を徹底テスト

ラインアップがさらに拡充、新たにEXCERIA G3の4TBモデルが登場 text by 芹澤 正芳

 PCのストレージに求められる役割は、ここ数年でさらなる広がりを見せている。OSやアプリケーションを快適に動かすためのシステムドライブであることはもちろん、容量が100GBを超えることも珍しくないPCゲームのインストール先、写真・動画編集用の作業領域、さらにローカルAI環境で利用するモデルデータの置き場所としても、SSDの速度と容量は重要性を増している。

 そうした中で注目したいのが、キオクシアのPCI Express 5.0対応SSDラインアップだ。PCI Express(PCIe) 5.0対応SSDというと、各社とも最上位モデルを中心に展開している印象が強いが、キオクシアはハイエンドの「EXCERIA PRO G2」、バランス型の「EXCERIA PLUS G4」、そして大容量・コストパフォーマンスを重視した「EXCERIA G3」という3シリーズを用意している。

 今回はこの3シリーズ、合計5モデルを用意し、定番のベンチマークに加え、AI関連の読み出しテスト、連続書き込み時の速度変化や温度も確認していく。PCIe 5.0 SSDをどのように選ぶべきか、用途別に整理していこう。

自社でNANDを手掛けているのが強みの「キオクシア」

 キオクシアは、NAND型フラッシュメモリ、SSDの開発、製造、販売を手掛ける国内メーカーだ。SSDはコントローラー、NAND、ファームウェア、キャッシュ制御、発熱対策など複数の要素で実力が決まる製品だが、製品のキモともいえる記憶素子のNANDを自社で製造するメーカーであることは、製品の安定供給や品質面を考える上で大きな強みになる。

半導体メモリの開発・製造は三重県の四日市工場および岩手県の北上工場で行われている。写真は主力拠点の四日市工場。6つの製造棟に加え、開発センター棟を併設している
(C)2024 Kioxia

 それでは、今回ピックアップした3製品の特徴をチェックしていこう。PCIe 5.0対応モデルはハイエンドのみ、ミドルレンジやエントリーモデルはPCIe 4.0に限られる、というメーカーも少なくない。一方のキオクシアは、PCIe 5.0対応製品がハイエンドからエントリーまでのフルラインアップで揃っている点が大きな特徴だ。

ブランド最速「EXCERIA PRO G2」

 「EXCERIA PRO G2」は、現在のパーソナル向けSSDラインアップでもっとも高性能なモデルだ。公称シーケンシャルリードは最大14,900MB/s、シーケンシャルライトも最大13,700MB/sと現役最速クラスのスペックを誇る。筆者が本製品を確認したところ、コントローラーは高性能低消費電力が特徴のSilicon Motion社製の「SM2508」、NANDはTLC、さらにDRAMキャッシュを搭載する。

ハイエンドモデルの「EXCERIA PRO G2」

 SSDでは論理アドレスとNAND上の物理配置を管理するマッピング情報の扱いが重要だが、DRAM搭載モデルはその管理を高速に行いやすく、広範囲のランダムアクセスで有利に働きやすい。システムドライブとして最高クラスの性能を求めるユーザー、動画編集や大容量データの処理、AIモデルの保管など、速度と容量の両方を重視する用途に向く。

コントローラーは高性能低消費電力のSilicon Motion社製の「SM2508」。基板上にはバッファー用のDRAMも確認できる
【EXCERIA PRO G2の主な仕様】
容量4,096GB2,048GB1,024GB
NANDフラッシュメモリキオクシア製BiCS FLASH TLC
DRAM搭載
コントローラーSilicon Motion SM2508
シーケンシャルリード(最大)14,900MB/s14,400MB/s
シーケンシャルライト(最大)13,700MB/s13,400MB/s12,700MB/s
ランダムリード(最大)2,300,000 IOPS2,250,000 IOPS2,000,000 IOPS
ランダムライト(最大)1,950,000 IOPS1,900,000 IOPS
総書き込み容量(TBW)2,400TB1,200TB600TB

性能と扱いやすさの好バランス「EXCERIA PLUS G4」

 「EXCERIA PLUS G4」は、PRO G2ほどの絶対性能を狙うのではなく、PCIe 5.0世代らしい高速性と扱いやすさのバランスを重視したモデルだ。筆者が本製品を実際に確認したところ、コントローラーはDRAMレス構成を前提としたPhison社製の「PS5031-E31T」で、コストを抑えると同時に消費電力と発熱を低減しながら高いシーケンシャル性能を狙える点が特徴と言える。フラッシュメモリはTLCだ。

バランス型の「EXCERIA PLUS G4」

 性能面では、2TBモデルで公称シーケンシャルリードが10,000MB/s、ライトも8,200MB/sに達しており、従来のPCIe 4.0ハイエンドSSDを大きく上回る帯域を持つ。基本性能、SLCキャッシュ切れ後の性能、容量単価のバランスがよいため、読み書きが混在する普段使い、クリエイティブ用途、ゲーム用ドライブなど、幅広い用途に使いやすい。3製品中では“スタンダード”と言うべきポジションだ。

コントローラーはDRAMレス向けのPhison社製の「PS5031-E31T」。DRAMレスなので基板もシンプルだ
【EXCERIA PLUS G4の主な仕様】
容量2TB1TB
NANDフラッシュメモリキオクシア製BiCS FLASH TLC
DRAM非搭載
コントローラーPhison PS5031-E31T
シーケンシャルリード10,000MB/s
シーケンシャルライト8,200MB/s7,900MB/s
ランダムリード(最大)1,300,000 IOPS
ランダムライト(最大)1,400,000 IOPS
総書き込み容量(TBW)1,200TB600TB

大容量モデル追加のエントリー「EXCERIA G3」

 「EXCERIA G3」は、エントリークラスのPCIe 5.0 SSDというポジションだが、発売当初はなかった4TBが新たに加わった点が大きな特徴だ。筆者が本製品を確認したところ、コントローラーはEXCERIA PLUS G4と同じPhison社製の「PS5031-E31T」で、DRAMレス構成だが、NANDがQLCという点が異なる。

エントリーPCIe 5.0 SSDの「EXCERIA G3」

 QLCは1セルあたり4bitを記録することで大容量化や容量単価の低減に向く方式で、近年はコントローラーやファームウェア、キャッシュ制御の進化によって実用性能も大きく向上。そのため、4TBモデルで公称シーケンシャルリードが10,000MB/s、ライトも9,600MB/sと高い性能を実現している。

 一方で、NANDそのものの書き込み性能は、構造の違いからTLCのほうが高速。そのため、SSDとしてはピーク性能では差はない場合であっても、SLCキャッシュが切れた後にTLCよりも速度が低下する傾向にある、という点は理解しておきたい。ただし、SSDの用途やコストと容量のバランスをあらかじめ考慮しておけば、このような特性の影響はほとんど気にならなくなる。たとえば、ゲームをインストールできるスペースを増やす、大量のデータをHDDよりもはるかに高速なSSDに保存する環境を整える、といった目的を“予算を抑えつつ”実現したいということなら、EXCERIA G3はコストパフォーマンスに優れた選択肢となるだろう。

コントローラーは同じくPhison社製の「PS5031-E31T」。DRAMレス構造も同様だ。こちらはQLC NANDが採用されている
【EXCERIA G3の主な仕様】
容量4TB2TB1TB
NANDフラッシュメモリキオクシア製BiCS FLASH QLC
DRAM非搭載
コントローラーPhison PS5031-E31T
シーケンシャルリード10,000MB/s
シーケンシャルライト9,600MB/s8,900MB/s
ランダムリード(最大)1,450,000 IOPS1,600,000 IOPS1,300,000 IOPS
ランダムライト(最大)1,450,000 IOPS
総書き込み容量(TBW)2,400TB1,200TB600TB
高速ゆえに発熱も大きめのPCIe 5.0 SSDだけに、放熱性を高めるため表面シールの接着面には銅箔が貼られている。今回取り上げる3製品はいずれも、PCIe 5.0 SSDとしては発熱が抑えられているのもポイントだ

ベンチマークで性能をチェック

 ここからは性能テストに移ろう。テスト環境は以下のとおり。

【検証環境】
CPUIntel Core i9-14900K(24コア32スレッド)
マザーボードASRock Z790 Nova WiFi(Intel Z790)
メモリDDR5-6000 32GB(PC5-48000 DDR5 SDRAM16GB×2)
システムSSDM.2 NVMe SSD 2TB(PCI Express 5.0 x4)
ビデオカードNVIDIA GeForce RTX 5080 Founders Edition
CPUクーラー簡易水冷クーラー(36cmクラス)
電源1,000W(80PLUS Gold)
OSWindows 11 Pro(25H2)

 まずは、データ転送速度を測る定番ベンチマークの「CrystalDiskMark 9.0.2」から実行する。

CrystalDiskMark 9.0.2の結果

 シーケンシャル性能では、PRO G2が圧倒した。リードは4TB/2TBとも14,000MB/s、ライトも13,000MB/sを超えている。大容量ファイルのコピーや動画素材の取り扱いでは大きな武器と言えるだろう。PLUS G4とG3はコントローラーが同じということもあって全体的に似た結果となっている。G3はQLCでここまで高い性能を出せている点に注目したい。

 日常的な操作感にかかわるランダム性能では、PRO G2がリードで若干上回ったが、書き込みでは各モデルとも近い水準にまとまっている。そもそも超高速なPCIe 5.0対応だ。普段使いで不満が出るようなことはないだろう。

 次はオフィスワークやクリエイティブワークなどの幅広い処理をシミュレーションし、アプリのレスポンスのよさを見るPCMark 10のFull System Drive Benchmark、ゲーム用途を想定した3DMarkのStorage Benchmarkも見ていこう。

PCMark 10 Full System Drive Benchmarkの結果
3DMark Storage Benchmarkの結果

 ここでもPRO G2がトップスコアとなった。データ転送速度だけではなく、アプリのレスポンスやゲーム関連の処理においても強いことを示している。PLUS G4とG3はCrystalDiskMarkと同じく似たようなスコアになった。3DMarkのStorage Benchmarkは、スコアが2,500以上で高速という評価だ。4,000以上は十分過ぎるほど高いスコアと言える。

 また、PRO G2とG3については2TBおよび4TBのモデルでテストも行っているが、3DMarkでは若干2TBモデルのほうが高スコア傾向にあるものの、そのほか2種はほぼ同水準。後述のテスト結果も含めると、容量以外には使い勝手に際立った差異はなく、2TBモデルと4TBモデルの選択については、必要な容量と予算で選んで問題はないだろう。

大容量AIモデルを使った処理は変わるのか?

 ローカルLLMを利用したAI関連のテストとして、LM Studio(開発元:Element Labs, Inc.)のモデルロード時間と、ComfyUI(開発元:Comfy Org)による動画生成処理を確認してみよう。生成AIにおける“大容量AIモデルの読み出し”にSSDの性能が影響するのではないか、という観点からのテストだ。

 まずLM Studioでは、「Nemotron 3 Nano Omni」モデル(26.1GB)をロードするのにかかる時間を3回測定し、その平均を掲載している。

LM Studio(開発元:Element Labs, Inc.)でNemotron 3 Nano Omniのロードにかかった時間

 ここでは順当にPRO G2が強さを見せたが、G3がそれに迫るという結果だ。AIモデルの扱いについては、エントリークラスのG3でも十分な性能を持っている。ローカルAI用途では、複数のモデルを保存できる容量も重要だ。PRO G2よりも安価な4TBモデルが用意されているG3は、AIを大容量モデルでガッツリ活用したいユーザーには魅力的ではないだろうか。

 一方で、SSDの“素の性能”が必ずしも生成AIによる作業全体に影響しない例も見られた。ComfyUIによるテストでは、「ltx-2-19b-dev-fp8.safetensors」モデル(25.2GB)をメインに、動画生成に必要なモデル一式を対象SSD上に配置し、その上でテキストから解像度が1,280×720ドットの動画(5秒間)を生成するワークフローを作って実行した。作業完了するまでの時間を3回測定し、平均を算出・集計した結果が次のグラフになる。

ComfyUI(開発元:Comfy Org)での動画生成にかかった時間

 このテストでは意外にもシーケンシャル性能ではPRO G2よりも下がるG3がトップに立った。モデルの読み出しに加えて、GPUやCPU、生成処理そのもの、キャッシュの効き方など、ストレージ以外の要素も大きく影響するテストであり、そうした複合的な要因とG3の相性がよかったようだ。

連続書き込み時の温度は全モデル良好

 PCIe 5.0 SSDで気になるのが発熱だ。TxBENCHを使って5分間連続でシーケンシャルライトを行ったときの温度をモニタリングアプリのHWiNFO Pro(開発元:Martin Malík, REALiX, s.r.o.)で追った。マザーボード付属のヒートシンクを装着した上で、バラック状態でテストしている。グラフ中の“アイドル時”はベンチマーク開始前の温度だ。

5分間連続でシーケンシャルライト時の温度

 驚くべきはPRO G2だ。現役最速クラスの性能を持ちながら、温度はPLUS G4とG3を大きく下回る。コントローラーのSilicon Motion社製の「SM2508」は高性能低発熱をうたっているが、それが証明された形だ。なお、PLUS G4とG3も運用する上でまったく心配のいらない温度だ。PCIe 5.0 SSDとしては“動作温度はかなり低い”と言ってよい。また、ほか2製品も扱いやすい温度に収まっている。

 また、5分間の連続書き込みと合わせてSLCキャッシュ容量と切れた後の平均速度も計測した。あくまでHWiNFO Proで追った値なので参考として見てほしい。

【SLCキャッシュ】
SLCキャッシュ容量速度低下後平均速度
EXCERIA PRO G2/4TB約720GB約2,770.9MB/s
EXCERIA PRO G2/2TB約381GB約1,992.0MB/s
EXCERIA PLUS G4/2TB約419GB約1,409.3MB/s
EXCERIA G3/4TB約781GB約289.1MB/s
EXCERIA G3/2TB約386GB約346.6MB/s

 この結果から、大容量ファイルを長時間書き込み続ける用途ではPRO G2が明確に強いことが分かる。DRAM搭載のハイエンドコントローラーとTLC NANDによって、SLCキャッシュが切れた後も高い書き込み速度を維持できている。

 一方、QLC NANDを採用するG3は、SLCキャッシュを使い切るような連続書き込みでは速度低下が大きい。これはQLCを使ったSSDの弱点ではあるのだが、ゲームのインストール先やデータ保存、AIモデルの保管のように“読み出し中心”のドライブとして使うのであれば、コストを抑えて容量を確保できるというメリットのほうが大きくなる場面も多い。動画編集用の素材のような大きなデータを頻繁に書き込む作業ドライブとして使うならPRO G2、ゲーム関連のファイルや素材データの読み出し中心に使う大容量ドライブとするならG3というすみ分けでよいだろう。

用途や予算に合った選び方ができるのが強み

 キオクシアのPCIe 5.0対応SSDラインアップは、性能重視だけではなく、バランス重視、大容量・コスト重視という3つの選択肢を揃えている点が特徴だ。

 EXCERIA PRO G2は、Silicon Motion社製の「SM2508」とDRAMキャッシュ、TLC NANDの組み合わせにより、圧倒的な転送速度と良好なアプリのレスポンス、さらに連続書き込み時の強さを持つハイエンドモデル。EXCERIA PLUS G4は、Phison社製の「PS5031-E31T」とTLC NANDによって、10,000MB/s級の性能を扱いやすいバランスでまとめた中核モデル。EXCERIA G3は、同じPhison社製の「PS5031-E31T」を採用しつつQLC NANDによって大容量化を図ったモデルで、SLCキャッシュ切れ後の書き込み速度には注意が必要だが、4TBモデルを含む大容量展開と実用十分な読み出し性能で、ゲームやデータ保存用の増設SSDとして魅力がある。

 用途や予算に合わせて豊富なPCIe 5.0 SSDの選択肢を用意しているのは、キオクシアならではの強みだ。高速SSDの導入を考えているなら、ぜひこのテスト結果を参考に、目的・目標に合ったモデルを絞り込んでみていただきたい。

※BiCS FLASHはキオクシア株式会社の登録商標です。
※PCIeおよびPCI Express は、PCI-SIG の登録商標です。
※NVMe は、NVM Express, Inc. の米国またはその他の国における登録商標または商標です。
※その他記載されている社名・商品名・サービス名などは、それぞれ各社が商標として使用している場合があります。
※各ベンチマークソフトを用いた測定結果は、著者が独自に測定したものであり、本測定結果について、各ベンチマークソフト作成元、ゲームメーカー等へのお問い合わせはご遠慮願います。