【 2008年12月6日号 】
SpursEngineのイベントを東芝が実施
無償公開のSDKや対応ソフトをアピール
 Cellの技術を応用した映像向けエンジン「SpursEngine」(スパーズエンジン)のイベント「SpursEngine start-up!」が6日(土)、カフェ ソラーレ リナックスカフェ秋葉原店(ブロックD2-[e2])で実施された。

 主催は東芝で、トムソン・カノープスやLeadtek、ペガシス、Loiloなど、関連メーカー8社が出展、セッションや展示デモなどを行った。


  
 
各社が対応ソフトをアピール
複数枚差しやYouTube向けも
  
 

 対応ソフトに関しては、トムソン・カノープス、CRI・ミドルウェア、ペガシス、サイバーリンク、モルフォ、Loiloがセッションを実施した。


●トムソン・カノープス
 ~複数枚差しでの高速化やEDIUS Pro5の対応を予告

 既に対応ソフトも発売済みのトムソン・カノープスは、AVCHDを独自のHQコーデックに変換するコーデック変換フリーソフト「AVCHDコンバーター」の新バージョン(近日公開予定)が、SpursEngineに対応することをアナウンス。処理時間が従来の半分程度になるとアピールした。

 また、興味深いのはこのソフトがFIRECODER Bluの複数枚差しに対応している点で、2枚使うときっちり倍速になるという。対応数は最大4枚。

 同社では編集ソフト「EDIUS Pro 5」のSpursEngine対応も予告、「来年暖かくなったころ」を目処に開発を進めているという。

□トムソン・カノープス
http://www.thomson-canopus.jp/

●CRI・ミドルウェア
 ~コマンドラインツールを無償公開、Premireプラグインも

 ミドルウェアメーカーであるCRI・ミドルウェアは、コマンドラインからエンコード処理ができるソフト「CRI SpursCoder」の無償公開をアナウンス。

 これは既に公開しているもので、同社のWebサイトからダウンロード可能。ただし、処理対象は映像のみで音声は非対応。今後は音声対応の機能強化版「CRI SpursCoder高機能版」を1月末に発売するほか、Premiere用プラグインなども公開するという。

□CRI・ミドルウェア
http://www.cri-mw.co.jp/
□ダウンロードサイト
http://criware.jp/spurscoder/

●ペガシス
 ~GPUとのマルチ対応を模索、自作ソフトでプレゼン






【自作プレゼンソフト】

【自作プレゼンソフト】
 CUDAを使ったフィルタ処理なども公開しているペガシスは、「相互のメリットを同時に使う、あるいは使い分けることで利便性を向上したい」として、GPGPU処理に加える形でのSpursEngine活用を模索しているという。

 会場でデモされたのはSpursEngineを利用できるTMPGEnc 4.0 Xpress で、来年のQ1にはこれを正式に発売アナウンス。その後、うまくいくようなら他のソフトも順次対応を進めていきたいとした。

 ちなみに同社、「(プレゼンテーション用ソフトの)PowerPointは高いので、会社で買ってもらえない」そうで、なんと「このために作ってきた」というオリジナルソフトでプレゼンテーションを実施した。

 このソフトは、「時間軸に沿って、静止画と音声、トランジションを並べていく」という動画編集ソフト的なもの。プレゼンテーション中には、なぜかニコニコ動画風テロップをリアルタイム挿入できるという変わった特徴も備えている。

□ペガシス
http://www.pegasys-inc.com/ja/index.html

●サイバーリンク
 ~ハイライトシーン抽出などにも応用予定

 Power Director 7などの対応ソフトを既に出荷中のサイバーリンクでは、さらなる応用例として、ハイライトシーンの検索といったインデックス作成処理にSpursEngineが利用できることをアピール。

 同社ソフトに実装中のスポーツ番組向けハイライト抽出技術「SportsMagic」をSpursEngineに対応させる予定とした。メリットとしては分析が即完了することや、さらに複雑な処理が可能になることで、「新たなソリューション」の可能性も見えるという。

□サイバーリンク
http://jp.cyberlink.com/

●モルフォ
 ~「YouTube向け」アップコンバート技術を公開予定

 携帯電話向けにアップコンバート技術を提供しているモルフォは、SpursEngineの応用例として「YouTubeなどの高画質化」を検討していることをアピール。

 「どのような形で一般公開するかは不明」(同社)ではあるものの、ノイズを軽減しながらアップコンバート、画質、画素数ともに向上する同社の技術を強調していた。

□モルフォ
http://www.morphoinc.com/

●Loilo
 ~春~夏頃に対応予定

 斬新なインターフェイスのGPGPU対応ビデオ編集ソフト「LoiloScope」で知られるLoiloもSpursEngine対応をアナウンス。

 「今は、エンジニアが資料を見てがんばっているところ」(同社)だそうで、実際の対応は春か夏頃。エンコード処理にSpursEngineを利用する予定で、無償版/有償版ともに対応する予定という。

 なお、LoiloScopeの今後の機能向上も同時にアナウンス。ペンタブレットへの対応やズーム機能に関する機能追加などもデモされた。

 ペンタブレットでの操作は直感的なもので、斬新なLoiloScopeのインターフェイスにマッチしている印象だ。


□LoiLoのホームページ
http://loilo.tv/

□関連記事
【2008年10月18日】AMDがイベント実施、入手可能なGPGPU対応ソフトなどをデモ
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20081018/etc_amdev0.html


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□SpursEngine Start-up!(東芝)
http://www.semicon.toshiba.co.jp/event/news/spursengine1206.html

□関連記事
【2008年7月10日】SpursEngineでパソコンはどう変わる?(AV Watch/西田宗千佳の― RandomTracking ―)
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080710/rt061.htm
【2008年11月20日】CPU以外のハードウェアを活用した動画トランスコードを試す(PC Watch)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/1120/tawada157.htm
【2008年11月22日】Cellを元にしたビデオ編集カード発売
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20081122/etc_leadtek.html
【2008年11月29日】Cellベースのビデオ編集カードがカノープスからも発売に
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20081129/etc_canopus.html

Leadtek WinFast PxVC1100
カノープス FIRECODER Blu

※特記無き価格データは税込み価格(税率=5%)です。

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