【 2012年4月24日 】 | |
【特別企画】4メーカーに聞く、春のオススメPCケース LianLi編:「HDD大量搭載」に注力したMini-ITXケース「PC-Q18」 Text by 石川ひさよし |
PCケースは、派手なスペック向上があるわけではなく、ともすると地味に思われがちな製品ジャンルだ。
しかし、SSDの普及やビデオカードの大型化など、最新スペックに対応、静音化やメンテナンス性も向上するなど、実は着実に進歩している。昔は高機能品の象徴だった裏面配線さえ、今は普及モデルに搭載されるほど。そして、中堅では「+α」のコンセプトを競っている状況だ。
今回、ケースメーカー4社に各社イチオシの製品とその特徴をアピールしていただいた。29日(日)発売のIvy Bridgeでの自作など、新しいPCを組む際の参考にもして欲しい。
聞き手:石川ひさよしLianLi編:
「HDD大量搭載」に注力した
Mini-ITXケース「PC-Q18」LianLi編:
「HDD大量搭載」に注力したMini-ITXケース「PC-Q18」
LianLiは、台湾のアルミ製PCケースメーカーとしては老舗ブランドだ。しかし、そこに堅いイメージは無い。
PC-Q18
ディラック 大谷氏シンプルで堅実なデザインをラインナップの柱に据える一方、エスカルゴ風ケースやクモ型検証台、岡持ちケースなど、ユニークな製品もコンスタントにリリース、秋葉原界隈を賑わせている。ユーザーから見ても実に面白みのあるメーカーだろう。
そんなLianLiが今オススメするのは、Mini-ITXケースの「PC-Q18」。
仕様は、5インチベイが1基に、3.5インチホットスワップ対応シャドウベイが4基、3.5インチ×2台/2.5インチ×3台対応ベイ。拡張スロットが2本あり、コンパクトながらハイエンドビデオカードを搭載できる点がハイエンドユーザーにも注目のポイントだ。
サイズ(W×D×H)は199×365×290mm。質量は3.35kg。カラーリングはシルバーとブラックの2色が用意されている。
では、PC-Q18の特徴やオススメポイントなど、話をうかがっていこう。
お話をおうかがいしたのは、国内代理店、ディラックの大谷氏だ。
とことんツールフリー&エアフロー向上で、
HDD大量搭載に有利なMini-ITXケース−−早速ですが、PC-Q18はどのようなコンセプトの製品なのでしょうか
ゲーミングPCとしても活用できる仕様で、3.5インチシャドウベイを取り外せば、長さのあるビデオカードも搭載できます。さらにこの場合でも、HDD用ドライブベイは底面の3.5インチ2基または2.5インチ3基が使えます。
構造としては、現在販売中のMini-ITXケース「PC-Q25」をベースに、「もっとエアフローが欲しい」というニーズに向けた改良を施しています。静音性を守りつつエアフローを向上、5インチベイを搭載するなど拡張性を犠牲にしない方向にしています。
フロントファンは140mmでPC-Q25と同様ですが、メッシュ仕様としたことで、エアフローは大きく向上しています。
サイズに関しては、5インチベイの搭載により10mmほど高くなりましたが、基本的にはそれだけの違いです。また、フラットデザインという縛りが無くなり、使い勝手の向上としてUSB 3.0×2ポートとオーディオ入出力ジャックを前面に搭載しています。ほか、細かなことですが、電源ボタンに2色のLEDを仕込んでおり、電源とHDDアクセスLEDを兼ねることができました。
−−機能面での特徴を教えて下さい
サイドパネルに加工された突起を、ケース側の樹脂製受け穴に挿すだけで固定される。頻繁に開く左サイドだけでなく、右サイドも同じ構造だ[大谷氏]まず、2011年モデルのLianLi製品から共通する特長ですが、側面パネルの着脱は、ピンのような突起を利用した固定方法を採用しております。左右側面ともツールレスで手軽に着脱できますので、利便性が高いと思います。なお、この固定部が壊れた場合の対策として、交換用の固定具も付属しております。
また、ファンもゴムブッシュを利用したツールフリー構造を採用し、簡単に着脱できます。フィルタに関しても、2012年モデルからLianLi独自の固定方法を採用。ツールフリーで着脱でき、さらに防振効果もある、というものになっており、普段のメンテナンスも簡単に行えます。このフィルタのツールフリー構造は、特許を取得しております。
3.5インチホットスワップベイは、ゴムを挟んだ手回しネジをHDDに取り付け、HDDをスライドさせて固定する。簡単なだけでなく制振にも効果がある
ネジとレールにより、ホットスワップベイのHDDが外れないよう固定できる[大谷氏]ドライブ固定も全てゴムブッシュ式で防振対策を施しています。ホットスワップベイも用意していますので、簡単に着脱可能です。
3.5インチHDDは、ホットスワップベイに4基、底面に2基搭載でき、5インチベイを使わなければさらにもう1基、つまり合計7基が搭載できます。
また、5インチベイにも底面ベイと同じ固定穴を用意しましたので、底面ベイ用にゴムブッシュをつけたHDDをそのまま5インチベイに固定できます。
このように、各所にツールフリー構造を採用することで、Mini-ITXケースでありながら、とても簡単に組立てることができるようになっています。
ホットスワップベイには、電源コネクタとして4ピンペリフェラルとSATA電源コネクタの2種類を用意しました。どちらか1方を選んで接続していただければ利用できます。ただし、両方挿すことはおやめ下さい。
底面のベイには、別のゴムを挟んだ手回しネジで底面から固定する
底面ベイにHDDを固定した状態。穴にゴムを引っ掛ける
底面ベイ
このゴムによる固定方法は、同社の製品のいたるところに採用されている(写真は別のMini-ITXケースの2.5インチベイ)
ホットスワップベイの表側。
ホットスワップベイの裏側、電源コネクタは、4ピンペリフェラルとSATA電源コネクタのどちらかを選べる
前面に吸気用の14cmファン、底面は標準ではフィルタのみで吸気に、天板は排気用の14cmを搭載[大谷氏] エアフローは、前面の14cmファンのほか、天板にも14cmファンを搭載しました。PC-Q25ではここが12cmファンでしたから、PC-Q18で強化されたポイントになります。
また、底面のフィルタ部分は、吸気口として用意していますが、14cmファンを組み合わせることも可能です。底面ベイと排他になりますが、エアフロー重視の方にはポイントになると思います。このコンパクトな筐体ながら、HDDをフルに搭載しても十分な冷却性能を持ち合わせています。
ファンの固定方法は、HDDベイにも用いられているゴムブッシュを使うもの。フィルタは、ねじることで着脱できる構造で、特許を取得したという
フィルタを取り外してみると、手裏剣にも似た構造。取り外しはややコツがいるものの、慣れればそこまで難しくない
このようにひねって着脱する
フロントUSB 3.0ポートは、通常コネクタをバックパネルに引き回す。これは、ピンヘッダの実装例が少ないMini-ITXマザーの現状を考慮したものという。オプションとしてピンヘッダ→USB 3.0×2ポートの変換アダプタも用意されている
背面。PC-Q18は、ATX電源を搭載できる。サイズ的にあまり大きなものだとメンテナンス性に支障が出るが、消費電力の高いハイエンド構成にも対応できる−−ツールフリーであることにこだわりを感じますが、これはMini-ITX用としてメンテナンス性を追求した結果なのでしょうか? また、シンプルな外観がLianLi製ケースの特徴ですが、デザインコンセプトというのはあるのでしょうか?
[大谷氏]いえ、元々できるだけ工具を使わずに組み立てられるようにしようというのがLianLi製ケースのコンセプトです。特別にMini-ITX用というわけではありません。ピン式の側面パネルや、HDDやファン等にはゴムブッシュによるロック、そしてどうしても必要な箇所は手回しネジなどを採用しています。
ただし、1度組んでしまえば滅多に開けない部分、ケースの基本部分に関しては通常のネジを利用しています。実際の組み立てで工具が必要となるのは、この製品に関して言えばマザーボードの装着時くらいではないでしょうか。
デザインに関しては、LianLi製品はシンプルで、外観的な派手さは追求していません。機能的であることを重視しています。
ユーザーにひと言 [大谷氏] LianLiのPCケースは、使い勝手のよい独自機構、そして豊富なオプションによるユーザーのシステム構成にあわせた拡張性をも備えたケースです。そして末永くお使いいただけるものと思っております。
今後もLianLiとの連携により、さらに日本のユーザー様に末永くご利用いただける製品を開発・販売をしていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
LianLiの最新ラインアップ □Lian Li
http://www.lian-li.com/
□PC-Q18
http://www.lian-li.com/v2/en/product/product06.php?pr_index=608&cl_index=1&sc_index=25&ss_index=64
□ディラック
http://www.dirac.co.jp/index.html←前ページ LianLi PC-Q18