【 2012年4月24日 】 | |
【特別企画】4メーカーに聞く、春のオススメPCケース Sharkoon編:3社のテーマカラーを選べるドイツ生まれの質実剛健ケース「T28」 Text by 石川ひさよし |
PCケースは、派手なスペック向上があるわけではなく、ともすると地味に思われがちな製品ジャンルだ。
しかし、SSDの普及やビデオカードの大型化など、最新スペックに対応、静音化やメンテナンス性も向上するなど、実は着実に進歩している。昔は高機能品の象徴だった裏面配線さえ、今は普及モデルに搭載されるほど。そして、中堅では「+α」のコンセプトを競っている状況だ。
今回、ケースメーカー4社に各社イチオシの製品とその特徴をアピールしていただいた。29日(日)発売のIvy Bridgeでの自作など、新しいPCを組む際の参考にもして欲しい。
聞き手:石川ひさよしSharkoon編:
3社のテーマカラーを選べる
ドイツ生まれの
質実剛健ケース「T28」Sharkoon編:
3社のテーマカラーを選べるドイツ生まれの質実剛健ケース「T28」
Sharkoonはまだ知名度こそ低いものの、ドイツデザインのシンプルさと機能性を兼ね備えたPCケースや、ゲーマー向けアクセサリを展開するブランドだ。
T28
Johannes Schneider氏PCケースにラインアップに関しては、海外では大型タワーや、ミドルタワーも豊富なラインアップを展開しているが、国内に関しては今のところ、ベーシックな製品に絞り込んで展開している。
Sharkoonが今イチオシというケースは、間もなく発売予定のミドルタワー「T28」。
その仕様は、5インチベイ×2基、3.5インチシャドウベイ×6基、2.5/3.5インチベイ×2基。スタンダードな構成で、飽きの来ないデザインが特徴だ。また、同社のミドルタワーケースとしては比較的安価なライン(予価5,980円)に投入される。発売は5月15日(火)前後の見通しだ。
サイズ(W×D×H)は260×489×545mm。質量は7.6kg。カラーリングは、内部とLEDカラーの違いで、レッド、グリーン、ブルーの3色あるが、外観はブラックで共通。国内代理店はディラックが担当する。
では、T28の特徴やオススメのポイントなど、話をうかがっていこう。
お話をおうかがいしたのはManaging DirectorのJohannes Schneider氏(以下、Schneider氏)。
コストパフォーマンスを追求しつつも、剛性や埃の混入防止に妥協なし
予価約6千円
−−T28とはどのようなコンセプトの製品なのでしょうか
外装はブラックだが、内部をカラーリングするSharkoon独特のスタイル[Schneider氏]T28は、現在販売しているATXミドルタワー「T9」の兄弟モデルとなります。
T9は5インチベイの多い製品でしたが、T28は5インチニーズの少ないユーザーに向けてデザインし、実売価格を5,980円(予価)ほどにおさえたのが特徴です。5インチベイは2基となりますが、HDDを8基搭載できることがポイントになります。
また、内部のカラーはグリーン、レッド、ブルーの3色、ちょうどNVIDIA、AMD、Intelのイメージカラーにもなっています。「モノクロ」のイメージがある自作PCで、華やかさが演出できるアクセントになるでしょう。
側面にはアクリルパネルを採用しており、内部の色が見えるようデザインされています。
背面。拡張スロットカバーも内部カラーにあわせてある
ファンに内蔵されたLEDが内部と同色に光る
側面からの発光の様子
5インチベイは2基。3.5インチシャドウベイは8基ある。前面はメッシュ仕様
こちらは既存モデルの「T9」。T28の兄弟機で、前面は全て5インチベイ。カラーバリエーションは、内部グリーン、レッド、ホワイトの3種類
−−一般的には、カラーバリエーションというとケースの外を指しますが、Sharkoonはケース内部です。これには何か狙いがあるのでしょうかグリーンモデルとレッドモデル [Schneider氏] 「内部のカラーリングなら、落ち着いた外観と、遊び心ある内面を両立できる」というのがその理由です。「外観はクールだけど内部は熱いゾ!」(笑)と。
思い切ったカラーを展開しようとしても、外側のカラーリングでは派手すぎになってしまいますが、内側ならこうした問題を回避できます。
我が社の製品はシンプルな外観ですが、店頭に並んだ際、これでお客さんにもアピール目に止まりやすいと考えています。実際、我々が市場としているドイツとアジアでは、このカラーバリエーション戦略は成功を収めており、カラーモデルの方が売れています。
また、外観がクールなのは、Sharkoonは本社がドイツなので、日本の感覚に近いからだと思います。ゲーマーをターゲットとしていますが、アメリカ的な派手さはなく、シンプルイズベストな設計をしています。
ちなみに、本体内部カラーに合せて、製品ごと搭載ファンのLEDの色を変えています。グリーンならグリーン、レッドならレッド、ブルーならブルーのLEDを組み合わせています。
−−その他、内部レイアウト等で特徴的なところを教えてください
上2段の3.5インチベイはトレイ式。2.5インチドライブもそのまま取付可能。中央、下段はレール式で、中央ブロックは取り外し可能。取り外すと、長さのあるビデオカードも装着可能だ[Schneider氏]8基の3.5インチベイですが、最上段の2基はトレイ式で、2.5インチドライブも取付可能です。
残る6基のベイも、ガイドレール式で簡単にドライブの着脱ができます。また、中間にある3基のブロックを取り外すことで、長さのあるビデオカードにも対応できます。
5インチベイのうち1基には3.5インチオープンベイとして利用できるアダプタも添付、カードリーダーなどで活用できます。ケーブルマネジメント用、CPUクーラー装着用に窓も用意し、各所に防振ゴムや防振シリコンを用いています。ほか、3基の搭載ファンは1,000〜1,200rpmの静音動作のものを採用しています。
T28は、決して高値の製品ではありません。必要な機能を押さえつつ、リーズナブル。内部カラーリングのようなそして遊べる要素も取り込んでいます。
HDDトレイ。これも色をあわせてある
5インチ→3.5インチオープンベイ用のパネルとアダプタ、そして3.5インチベイ用のレール一式
−−T9に対しても低価格とのことですが、あまり安価だと作りに対して不安を抱く方もいるでしょう。T28の低コスト化に際し、譲れなかった点、妥協しなかった点を教えて下さい[Schneider氏] T28のシャシーは0.6mm厚のスチールを用い、十分な剛性があります。ただし、マザーボードベースにはケーブルマネジメントホールやCPUクーラー取り付け窓など、利便性を高めると穴が多くなります。強度を守りつつ最低限の穴を開けるにとどめています。ほかにも、ケースの角に当たる部分に補強のプレートを入れ強度を高めています。
マザーボードベースの裏側。メンテナンス用、ケーブルマネジメント用の大きなホールがあるが、その周囲に立体的な成形を設け強度を高めている
ケースの後方の隅には、補強のための金具が取り付けられている。こうした仕組みにより、スチールケースとしては軽量ながらも十分な強度を保っている
また、吸気ファンおよび吸気面には全てエアフィルタを装着しています。これはSharkoon製品に共通するポリシーです。3基のファンは前面の2基が吸気、背面が排気となっています。前面パネル全面、5インチベイパネルを含めフィルタを装着しています。底面には電源のための吸気スペースがありますが、ここにもフィルタを装着してあります。
前面パネル一面にフィルタが装着されており、その範囲は5インチベイ部分にも及ぶ
電源部にもフィルタを装備。電源の吸気ファンによる埃の混入を防ぐ
内部のエアフロー
ファンの取り付けにはゴムプッシュを利用しているドイツ生まれの質実剛健ブランド
設立は2002年−−Sharkoonは、まだ日本国内では知名度が高くないように思います。ここでSharkoonのバックグラウンドについてお聞かせ願えますか。また日本のユーザーにメッセージなどありましたらお願いします
[Schneider氏] Sharkoonは2002年にドイツで設立され、2006年に台北支店を開設しました。製品開発や設計、品質管理、マーケティングはドイツ、製品製造や保証、輸出とアジアマーケットを担当するのが台北になります。
ドイツでの成功、ヨーロッパ全域での多くの受賞に続き、我が社の製品を日本のパワーユーザーに提供できるようになりました。我々の製品の目的は、ドイツの品質基準を満たしながら、優れたコストパフォーマンスを実現することにあります。同時に日本のお客様の嗜好を満たすよう、今後も革新的な新製品を開発、導入し続けてまいります。
Sharkoonにはmicro ATXのモデルも □T28(SHARKOON Technologies GmbH)
http://www.sharkoon.com/?q=en/content/t28
□SHARKOON
http://www.sharkoon.com/
□ディラック
http://www.dirac.co.jp/index.html←前ページ|次ページ→:LianLi編: / 「HDD大量搭載」に注力した / Mini-ITXケース「PC-Q18」 Sharkoon T28