週刊3Dプリンタニュース

新構造の3Dプリンタ「Rostock型」に注目

〜「3Dプリンタでフィギュア」がテーマのムックやイベントも〜

 今週の週刊3Dプリンタニュースは、高精度/省スペースの制御方式「Rostock型」の3Dプリンタの登場と、3Dプリンタでフィギュアを作ってみたい人向けの書籍、そしてイベントの話題をお届けしよう。

高精度/省スペースの制御方式「Rostock型」の3Dプリンタが登場

SeeMeCNCのRostock MAX
Qualup SASのSpider Bot

 RepRapを源流とするオープンソースベースの3Dプリンタは、さまざまな構造のものが提案されているが、最近注目されているのが、Rostock型と呼ばれる3Dプリンタだ。Rostock型は、他のRepRapベースの3Dプリンタと同じく、プラスチックフィラメントを熱で融解し、ヘッドから射出して積層するFDM方式の3Dプリンタだが、ヘッドを移動する方式に特徴がある。一般的なFDM方式の3Dプリンタでは、X軸方向とY軸方向、Z軸方向にそれぞれ独立したモーターが用意されており、一つの軸方向に移動する際は、一つのモーターが動くようになっている。3Dプリンタによっては、プラットフォームは一切動かず、ヘッドがX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に動くものや、ヘッドがX軸方向とY軸方向に動き、Z軸方向はプラットフォームが上下するものなどがあるが、各モーターが独立して動くことには変わりがない。

 それに対し、Rostock型は、3組のリンク構造で、上からヘッドをつるすような形になっており、常に複数のモーターが同時に動く仕組み。こうした構造をパラレルリンクと呼び、並列にリンクが動くため、精度が高いことが特徴だ。この3組のリンクを使ったパラレルリンク構造は、もともと産業用ロボット分野で開発され、デルタロボットと呼ばれているが、この構造に関する特許が切れたことで、この仕組みを採用したRostock型3Dプリンタが登場してきたのだ。

 その動きは動画を見てもらえばわかるが、深海生物のようでなかなか面白い。3組のリンクによって、お互いを拘束するような構造になっているので、ブレが少なく、高精度での造形が可能なほか、高さのある塔のような物体の造形に向いている。Rostock型3Dプリンタは、いくつかの企業から、キットや完成品の発売が開始されており、話題となっている。

 例えば、SeeMeCNCでは、Rostock型3Dプリンタ「Rostock MAX」のフルキットを999.99ドルで販売しているほか、完成品のRostock型3Dプリンタ「ORION 3D Printer」を1499.99ドルで販売している。また、Qualup SASの「SpiderBot」も、Rostock型の3Dプリンタだ。

 Rostock型3Dプリンタは、設置に必要な面積も小さくてすむため、パーソナルユースに向いている。国内でも気軽に購入できるようになることを期待したい。

【Rostock型3Dプリンタの動作例(1)】
【Rostock型3Dプリンタの動作例(2)】

[書籍紹介] 3Dプリンタでフィギュアを作ってみたい人に「3Dプリンターの実力!フィギュア製作最前線2013」

 2,3年前は、3Dプリンタに興味を持っても、参考になる書籍やムックはほとんどなかったが、3Dプリンタへの関心が高まってきたことを受け、各出版社から3Dプリンタ関連書籍やムックが続々と発刊されている。そこで不定期だが、3Dプリンタ関連書籍を紹介していきたい。

 今回は、エムディエヌコーポレーションから発刊されたムック「3Dプリンターの実力!フィギュア製作最前線2013」(1,680円)を紹介する。本書を読めば、プロのフィギュア製作の現場において、3Dプリンタがどのように活躍しているかということがよくわかる。

 取材対象になっているのは、グッドスマイルカンパニー、コトブキヤ、円谷プロダクション造形スタジオLSSの3社で、すべてその業界では”超”が付く有名企業である。これまで、こうしたプロのフィギュアの製作現場はあまり詳しく公開されることはなかったが、本書ではフィギュア製作を実際に行っている製作チームメンバーや社長へのインタビューを通じて、それぞれの製作現場の様子や製作ポリシーなどが余すところなく紹介されている。まさに大人の社会科見学といったところだ。

 その他、3Dプリンタで作られた(原型も含む)美少女フィギュアの巻頭グラビアやワンダーフェスティバル2013[夏]レポート、3Dモデリング講座レポートなど、興味深い記事が多数掲載されている。3D-GANの相馬達也氏による3Dプリンタやモデリング、3Dスキャナーなどについてのコラムも勉強になる。

 写真や図が多く、気軽に読めるので、3Dプリンタを使ったフィギュア作りに興味がある人はもちろん、最新3Dプリンタの性能を知りたいという人にもお勧めだ。

[イベント紹介] 指でなぞってフィギュアを作成「Make 3D vol.2 〜iPadでオリジナルキャラクターをつくろう〜」

画面上での表示例

 9月7日(土)と14日(土)、東京都渋谷区にあるFabCafeで、iPadを使って3Dモデリングを行うワークショップが開催される。

 このワークショップでは、iPad用の無料アプリ「123D Creature」を使って、基本的なキャラクターの作り方を学べる。指先で画面をなぜるだけでキャラクターを作れるので、初心者にもお勧めだ。作成したキャラクターの3Dデータは持ち帰りが可能で、ワークショップの後または後日、FabCafeにある3Dプリンタを使って出力することもできる。

モデリング中
出力例

(石井 英男)