あなたのPC大改造計画

女子高放送部に快適な動画編集用PCを!
快適環境で「目指せ全国!」(後編)

BL先輩とBL後輩、運命の出会い…… text by 加藤勝明

女子高放送部の動画編集用PCのパワーアップで、部活の再活性化を狙う

9年前より放送部の立て直しに取り組んでおられるY先生。理系の先生らしく口調はクールだが、自前機材を部室に持ち込んで活動を盛り上げようという情熱を持った方だ。ちなみに、取材時期は運悪く期末考査後であったため、期待していた「女子高生がY先生と共に感激の涙を流す」的なショットは一切撮れなかったことを、予めお断りしておく……

“この物語は、ある女子高放送部の復活に闘いを挑んだ熱血教師の記録である。放送部コンテストにおいて長年低迷していたが、「あなたのPC大改造」を通じ高度な編集技能を身につけ、奇跡的な復活を遂げる原動力となったPC改造の模様を、余すことなくレポートするものである……”

 懐かしの『スクール☆ウォーズ』風の出だしがピッタリの「あなたのPC大改造計画」第9回目。

 今回の依頼者は、神奈川県のとある女子高で教鞭を執られているY先生。

 かつては放送部コンテストで数々の賞を獲得していた強豪校だったが、生徒数の減少等が原因で衰退。この放送部を立て直しすべく、Y先生が顧問に就任したのが約9年前。お古になった自作PCを部室に持ち込み、映像作品製作用にHDカメラも導入したが、肝心の動画編集用PCはパワー不足。単純なワイプを入れる程度の編集もガクガクになるという。

あなたのPC大改造計画:記事一覧
第1回:「3万円で組んだスタイリッシュPC」は
「快適RAW現像+最新ゲームPC」になるか?
[前編後編]
第2回:「奥さんのストレス軽減用PC」は
ちゃんと安定して動くのか?
[前編後編]
第3回:TITAN XのSLIで最強ゲームPCに!
ただでさえハイスペックなPCを
「フル水冷」のモンスターマシンへ強化
[前編後編道のり編]
第4回:Skylake + Win 10なPCはこう作る!
7万円で強化する「多趣味人のためのPC」
[前編後編]
第5回:6年前のCore 2 Duoマシンを
今風な快速マシンに大改造
[前編後編]
第6回:「マインクラフトの実況PC」を快適に!
現役高校生の悲願は3万円+αで達成できるか?
[前編後編]
第7回:「ドラクエXをAPUで快適に!
ゲーム機を超える快適さを目指せ!!
[前編後編]
第8回:勉強部屋でひっそりと使っていたPCを
ゲーミング&静音仕様に大改造!!
[前編後編]
第9回:女子高放送部に快適な動画編集用PCを!
快適環境で「目指せ全国!」

[前編後編]

 だが、遂に学校から放送部のPC調達用として160,000円の予算がついた。

 そしてY先生は本企画に依頼することでより完成度の高いPCを目指す……ここまでは前編でお届けした通り

 第9回後編はパーツ解説とパフォーマンス、そして納品の模様をお届けする。パワーアップしたPCの投入で放送部の復活はなるか?

女子高生の蛮用に耐えるPCを目指す

放送部の動画編集作業を支えてきたY先生自作のPhenom II X6マシン。部員からは“BL先輩”の名で親しまれている。動作時にファンが青色LEDで光ることから“Blue Light”→“BL”という、いかにも◯女子的なネーミングだ。今回は“BL後輩”を組むのが筆者のミッションだが、「ちょっとトロい先輩」に「切れ者の後輩」となってしまうのだろうか……?

 さて今回はこれまでの大改造企画とは少々勝手が異なる。

 新PC用のパーツはCPUからPCケースに至るまで既に決まっており、一部を除きY先生の元にパーツの多くが届いている状態。

 そこで筆者のミッションは、これらのパーツ構成を見直し、必要とあればパーツを入れ替え、完成度を高めて納品することだ。もちろん予算枠内ではパーツ選択の幅が狭すぎるので、そこは本企画のメリットであるASUSと編集部からのパーツ援助を最大限に使用させていただく。

 Y先生にはこれに伴う様々な事務的な処理に専念していただき、筆者は組み立てとテストを行うという分業体制となった。

 まずはY先生が部活用PC導入予算として計上した160,000円の内訳を紹介しよう(便宜上これを“原案”と呼ぶ)。ビデオカードが型落ちのGTX 660搭載カードである以外は、順当な選択といえるだろう。Y先生はプライベートでもずっとPC自作を楽しんでいるだけあって、手慣れたものだ。

【改造原案】
計上したパーツ 想定購入価格(税込)
CPU Core i7-5820K(6C12T、3.3GHz、最大3.6GHz) 49,311円
マザー ASUS X99-A(Intel X99) 31,885円
メモリ Crucial CT4K8GDFD8213(DDR4-2133 8GB×4) 22,800円
グラフィックス MSI N660TF 2GD5(GeForce GTX 660) 8,980円
ストレージ SanDisk SDSSDXPS-480G-J25(SSD 480GB) 21,170円
電源 Cooler Master RS750-AMAAG1-JP(750W、80PLUS Gold) 12,938円
CPUクーラー オウルテック OWL-CCSH08 3,780円
PCケース Antec NineHundredTwo-V3(ATX) 9,320円
合計 160,184円

 Y先生の原案は上の通り。部活の予算と部費の積み立てを合わせて160,000円となっている。

 本企画に応募しなければ、原案のままの構成で新PCが完成したことだろう。

 しかしこの原案にはいくつか弱点がある。具体的にはパーツ紹介編で解説するとして、弱点を克服すべく今回は以下のようなパーツ構成に変更した。マザーとSSDを高耐久のものに変更し、ビデオカードも強化。さらにCPUクーラーももっと大型のものに変更している。

【新プラン】
旧PC“BL先輩” 新PC“BL後輩” 購入価格(税込)
CPU Phenom X6 1055T(6C6T、2.8GHz) Core i7-5820K(6C12T、3.3GHz、最大3.6GHz) 49,311円
マザー ASUS M4A88TD-V EVO/USB3(AMD 880G+SB850) ASUS SABERTOOTH X99(Intel X99) ※メーカーより提供(実売43,000円前後)
メモリ DDR3-1333 4GB×4 Crucial CT4K8GDFD8213(DDR4-2133 8GB×4) 22,800円
グラフィックス Radeon HD 5670 ASUS STRIX-GTX960-DC2OC-2GD5(GeForce GTX 960) ※編集部より提供(実売28,000円前後)
ストレージ Intel SSDSA2MH080G2R5(SSD 80GB) Intel SSDPEDMW400G4X1(NVMe SSD、400GB) 53,000円
ストレージ Samsung HD154UI(HDD 1.5TB) Western Digital WD30EFRX(HDD 3TB) 12,500円
電源 ENERMAX EPG500AWT Cooler Master RS750-AMAAG1-JP(750W、80PLUS Gold) 12,938円
CPUクーラー サイズ 夜叉 Thermalright Silver Arrow IB-E Extreme ※編集部より提供(実売10,000円前後)
PCケース Antec Six Hundred SE Antec NineHundredTwo-V3(ATX) 9,320円
OS Windows 7 Home Premium(64bit)
合計 159,869円

 原案をもとに、予算160,000円と提供パーツを組み合わせてより高耐久&高性能志向に振った新PCプラン。太字のパーツは元のパーツ案になかったものだ。それ以外はY先生が調達済みのパーツを使う。

このパーツを残した理由、変えた理由

CPU:Core i7-5820K メモリ:Crucial CT4K8GDFD8213

 旧PCが6コアCPUであったこと、動画編集なら物理コア数が多い方がよい、という判断から、原案では6コア12スレッドのCore i7-5820Kを選択。

 メモリは必然的にDDR4-2133の4枚構成となった。性能を重視するなら8コア16スレッドのCore i7-5930Kが理想だが、マザーやSSDにも予算を割く必要があるため5820Kに落ち着いた。

 ただCore i7-5820Kは定格3.3GHz、TB時最大3.6GHzというクロックの低さが最大の弱点。特に全コア使い切った場合は3.4GHzが上限なので少々頼りない。コンテスト締め切りの鉄火場では4GHz程度にOCして使うことも検討すべきだろう。

マザー:ASUS SABERTOOTH X99

 女子高生の蛮用に耐えるためには、マザーはタフでなければならない。

 マザーは原案の「X99-A」でなくASUS自慢の耐久性重視ライン「TUFシリーズ」から選ぶべきだろう。となれば選択肢は「SABERTOOTH X99」しかない。これはASUSより提供して頂いた。

 本マザーの特徴はマザー表面をホコリや熱から守る“TUF Thermal Armor”、裏面にもビデオカードの如きバックプレート“TUF Fortifier”で放熱力を強化。コンデンサも105℃環境でも1万時間は持つと謳う日本製を使用するなど、やや過剰ともいえるスペックを持っているが、怖いものなしの放送部員を相手にするなら、この位の防御力でちょうどよい。

 そしてASUSのLGA2011-v3といえば、ソケットのピン数が通常より多いOC向けの設計である点も見逃せない。Core i7-5820Kの仕様上の弱点は高耐久マザーとOCで補うことにしよう。

基盤の反り防止と放熱力向上を目的に装着されたTUF Fortifier。このビデオカードの如き装備にしびれる。
最近流行のI/O部を囲うシールドはASUSのTUFシリーズがルーツ。旧PCはUSB3.0の調子が悪くあまり活用できないのも悩みということだったが、今回はバッチリ動くことだろう。I/Oシールドの上部には補助ファンが追加できるが、今回は使用せず。
SABERTOOTH X99は13個の温度センサの情報から最大11基のファンを制御可能。しかもCPUに負担をかけずにファン制御を行うため専用プロセッサを搭載するという手の込んだ設計を採用している。また、基盤表面のハッチを開くとM.2スロットが出現する。
使わないポートやスロット類を塞ぎ、ホコリの侵入を防ぐパーツも一通り付属する。

ビデオカード:ASUS STRIX-GTX960-DC2OC-2GD5

 現在の放送部の編集環境では、ビデオカードを強化しても即戦闘力向上には結びつかない。その意味では原案にあったGTX 660カードもそう悪い選択肢ではない。

 だが、マザーやSSDが最新現役なのに、ビデオカードが2世代落ちのGTX 660というのはアンバランスだ。Premiere Pro CCのようにGPGPU支援を使えるアプリが来た時に備え、ビデオカードも最新に……ということでGTX 960搭載の定番カード『STRIX-GTX960-DC2OC-2GD5』を選択した。

 ゲーム用としても十分な性能だが、内蔵されている動画エンコーダ「NVEnc」の性能はKepler世代の1.5〜2倍高速、かつH.265/HEVCのエンコード・デコードにも対応している。将来的に放送部が4KやH.265にも挑戦できる余地ともなるので、将来に対する投資と考えた。

 今回はこのカードは編集部から提供させていただく。

ストレージ:Intel SSDPEDMW400G4X1およびWestern Digital WD30EFRX

 今回最も悩んだのがSSDのチョイスだ。

 放送部でのPCの扱いは非常に荒っぽいということを前編でも紹介した。例えば「PCの移動時にPC本体を乱暴に落とす」、「シャットダウン時に電源を長押しする」(これはスマホ感覚でやっているのだろう)等だ。旧PCのHDDがそれで全滅したため、高耐久なSSDだけで完結させたいという狙いから原案ではSSD1基のみ組み込むスタイルになった。

 だが原案で指定されていたSanDisk製SSDは10年保証が売りだが、耐久性は公称80TBW(Tera Bytes Written)と割と普通のSSD並。

 耐久性重視なら、むしろデータセンター向け製品の流れをくむインテルのNVMe SSD「SSD750」がベストなのではなかろうか。これなら127TBW、MTBFは120万時間という高い耐久性はもちろん、NVMeなのでシーケンシャルリード2,000MB/s以上は軽くひねりだせる。動画ファイルを扱う動画編集マシンなのだから、SSDは速いものを選んで損はない。

 ただ元がデータセンター向けSSDとはいえ、データをSSDだけに入れておくなんて危険極まりない。最低でもデータ保存用HDDは入れておくべき、とY先生を説得しデータ保存用に3TBのHDDを組み込むことに。ただHDDの納期と後編取材の関係で、HDDは後編取材完了後にY先生が組み込むことになった。

CPUクーラー:Thermalright Silver Arrow IB-E Extreme

1世代前のSilver Arrow SB-E Extremeはビデオカードと干渉しやすかったが、IB-Eではヒートシンクが若干オフセットされたため、干渉する心配はなくなった。

 今回編集部より高性能CPUクーラー『Silver Arrow IB-E Extreme』も提供させて頂いた。

 原案にあったオウルテック製クーラーも定格で使う分には悪くはないが、Core i7-5820KをOCして運用することを考えるとTDP180W(ファンを1基追加してもTDP210W)では心細い。ということでTDP320Wのハイエンドクーラーをチョイスした。

 このCPUクーラーはベンチマーク編で解説する通り素晴らしい冷却性能を示してくれたが、ファンの固定がちょっと面倒で、かつフィンのエッジが非常に鋭いため文字通り“血の滲む思いをしながら”組み込むことになった……。

電源ユニット:Cooler Master RS750-AMAAG1-JP PCケース:Antec NineHundredTwo-V3

 電源ユニットとPCケースは原案のものをそのまま利用した。電源ユニットは750Wで十分足りるし、PCケースは放送部員が選択したもの……つまりこれも青色LEDでファンが光る……だからだ。

 ちなみにY先生はケース選定時にピンク色のものも提案したらしいが、部員から“ピンクはないわ”と即座に一蹴されたとのこと。もしショップでピンク色のPCケースを見かけたら、それは多分オッサンの感性で作られたもの、と看破すべきなのかもしれない。

パーツ収容は全く問題なし。CPUクーラー取り扱い中に何度も指先を切ってしまったものの、大型ケースにみっしりと詰まった風景を見ればそんな苦労など吹き飛んでしまう。
青色LEDもこのように健在。残念ながら放送部員のビジュアルが用意できなかったため、これを見て黄色い声を発する女子高生を適宜想像で補完していただきたい。
デモ用システムは旧PCと同じWindows 7を導入。ただWindows 7のインストーラはNVMe SSDを認識できないため、USBメモリからSSD750用の“F6ドライバ”を読み込ませてから領域を確保する。
原案にも盛り込まれていなかったが、放送部の活動内容(コンテスト課題は光学メディアで提出)を考えると光学ドライブなしは辛いだろう……ということで、筆者の不要パーツ箱に眠っていたパイオニア製のDVDスーパーマルチドライブを追加しておいた。

性能比はおよそ3倍

UEFI BIOSでBCLK102MHz、倍率40倍(コア電圧はAutoのまま)に設定し4.08GHz動作での性能も計測。「OCCT Perestroika 4.4.1」のPower Supplyテストで6時間エラーなしで実行できたことを確認してからベンチを実行した。

 それでは新旧PCでどの程度性能が変化したかをチェックしよう。

 今回はCPUをCore i7-5820の定格設定のほかに、BCLK102MHz&倍率40倍の4.08GHz動作にOCした時のパフォーマンスもチェック(新PC@OCと表記)してみた。

 まずはCPUのパフォーマンスをチェックするのに最適な「CINEBENCH R15」で比較してみよう。

「CINEBENCH R15」のスコア

 旧PCのPhenom II X6 1055TはK10アーキテクチャ、これに対し新PCのCore i7-5820Kは第4世代Coreマイクロアーキテクチャ。シングルコアのスコアを見ても、その差歴然。

 さらにそれが12スレッド分あれば、ここまで大差がつくのも納得だ。これを4.08GHzにOCすれば、マルチコアのスコアはさらに15%程度伸びるが、逆に消費電力が大きくなるせいか、シングルコアのスコアは微妙に下がってしまった。

 放送部の活動内容では全く使わないが、GPUの描画性能も「3DMark」でチェックしておこう。ここでは“Fire Strike”のみで比較する。

「3DMark」(Fire Strike)のスコア

 HD 5670でもDX11ベースのFire Strikeが動くことを思い出して改めてびっくりしたが、さすがに旧PCではGPUの描画性能も格段に遅い。新PCの性能ならゲーミングPCとしても立派に活用できそうだ。

 では動画編集系のベンチマークといこう。まずは『Loiloscope2』体験版を利用する。フルHDのAVCHD動画の上に別のAVCHD動画をワイプのように乗せ、さらにぼかしなどの処理も加えた、コンテストに出す作品の内容を模したプロジェクトを用意し、これをMPEG形式に書き出す時間を計測した。プロジェクトの長さは10分間とした。

『Loilocope2』体験版のMPEG書き出し時間

 旧PCでもなんとか実時間程度で書き出せていたが、新PCではほぼ3分の1に短縮。OCすればさらに時間短縮が実現できた。OCの効果は10分のプロジェクトに対し40秒程度だが、鉄火場状態ではこの時間短縮は大いに役立つことだろう。

 続いて放送部でも実際に使っている『Premiere Elements』を使うが、放送部ではバージョン7なのに対し、今回は体験版の用意されているバージョン14でテストを実行した。こちらは11分のAVCHD動画の上に、2本のAVCHD動画を載せ、それぞれにぼかし等のエフェクトやページワイプなどの処理を加えている。テストは動画をレンダリングする時間と、1080pのMPEG形式(画質は最高設定)で書き出す時間を比較した。

『Premiere Elements 14』体験版によるMPEG書き出し時間の比較。

 こちらはLoiloscope2よりもさらに処理が重いだけあって、CPUパワーの非力な旧PCではレンダリングですらプロジェクトの実時間以上、書き出しに至っては約4倍の時間を必要とした。このスピードなら凝った編集も(部活の時間内では)できないと判断するのも無理はない。

 ところが新PCではレンダリングは実時間の約半分、OCすれば実時間より少し長い程度の時間で最終出力が導き出せる。試行錯誤〜結果確認のサイクルがこれで大幅に増えるだろう。

 4.08GHzへのOCは特にPremiere Elementsにおいて効果的であることが示されたが、消費電力やCPU温度の変化も気になるところだ。

 そこで「Watts Up? PRO」を用いて消費電力を、「HWiNFO64」でCPUパッケージ温度をそれぞれ計測した。システム起動10分後をアイドル時、OCCTの“CPU Linpack”実行10分後を高負荷時としている。

システム全体の消費電力
CPUパッケージ温度。これは新PCのみで比較する

 前述の通りOCはBCLKと倍率のみ上げ、コア電圧は一切操作しなかったが、それでも4.08GHz動作時は消費電力も発熱も激増。ただCPUクーラーの性能が良いだけあって、OCCTの超高負荷状態でも82℃止まりなので、なんとか実用範囲といえるだろう。

 最後にSSDの性能もチェックしておきたい。テストは定番「CrystalDiskMark」を使用する。

旧PC(左)と新PC(右)のストレージ性能

 旧PCはSATA2接続、新PCはPCI Expressを経由してNVMeプロトコルで接続されているため、圧倒的な性能差がついている。AVCHD動画なら10分程度でも2〜3GBといったところなので、新PCにかかれば計算上1秒程度で複製できてしまう。NVMe SSDはいまCPU以上に技術の進歩を実感できるデバイスといえるだろう。

BL先輩とBL後輩、運命の出会い

マザーもCPUクーラーも通常より重いものを使っているだけあって、新PCはとんでもなく重い!
遂に出会ったBL先輩(右)とBL後輩(左)。後輩の方が若干背が低くなっている。BL先輩は5インチベイがデザイン的に強調されていることで、なんとなく古い製品であることがわかる。

 いよいよ放送部へ納品だ。

 すでに荷物は取材陣の前に到着していたが、Y先生が開封の儀を撮影するだろうということで未開封のまま部室に置かれていた。そして開封の後、ついに新旧PC、もといBL先輩とBL後輩が運命の出会い………もっともただ並べただけだが……。

早速裸にひん剥かれ、内部の解説をされるBL先輩。データ保存用のHDDがまだ納品されていないのでドライブベイは空、ストレージはNVMe SSDのみという非常に美しい構成になっている。
Y先生、Premiere Elementsの挙動の軽さに感激するの図。特にNVMe SSDの実力には処理スピード以上に驚いていた印象。

 みっちりと詰まったパーツ、特にCPUクーラーの重厚感に驚いていたY先生だったが、Premiere Elementsのデモを行う頃には驚きの声を連発。

[加藤](先のベンチ結果を見せながら)これくらいCPUのパワー差があると、軽さを体感できるでしょう?

[Y先生]以前(BL先輩)だと、少しワイプ等を加えたらレンダリングしないとプレビュー再生がガクガクになっていましたが、このPC(BL後輩)だと、レンダリングしなくても大まかにチェックできるのは凄いですね。

[加藤]レンダリングしないと、解像度が荒い状態で再生されるので見かけは悪くなりますが、すぐ確認できるのは利点ですよね。

[Y先生]ああっ、タイムライン中の移動も速い。これは本当に別次元の速さだなぁ……

 残念ながらこのBL後輩を放送部員が触るのは冬休み空けになるようだが、編集環境の戦闘力が上がったことで、より良い作品が作れるようになるはずだ。

 さすがにOC設定は部員に任せられない(OC設定で盛り上がる女子高生がいたらそれは胸熱だが)ため、先生がスケジュールの詰まり具合を睨みつつ、必要に応じこっそり行うことにするようだ。

 これからY先生は編集環境の再構築や、リセットボタンを簡単に押されないよう対策するなどの作業が待っている。来年3月には神奈川県の放送部コンテストが開催される。時間はあるようで、まるでないのが実情だろう。

青い輝きを放つBL先輩と後輩。これを見て喜ぶ部員を見たかったが、意外と「へー、変わったんだ」みたいなリアクションが来そうで怖い。
放送部では来年のコンテストに向けて準備が始まっているらしいが、放送部の別の活動や学業もあるので、時間のやりくりは大変だろう。

スペシャルな“真の大改造”計画も進行中!

 というわけで都合9回にわたって連載してきた「あなたのPC大改造計画」は、今回をもって一旦終了となる。改めて取材に応じて頂いた応募者の方々、ならびに応募して頂いた方々、そしてパーツを快く提供して頂いたASUSには深く感謝の意を表したい。

 だが“こんなのはアップグレードであって、改造じゃない!”と考える人はいないだろうか?

 そんな人のために自作PC界隈で有名なアノ人による“本当に改造しちゃう真の大改造スペシャル回”が現在進行中である。順調にいけば来年早々に記事をお届けできるはずだ。こちらも乞うご期待だ。

[制作協力:ASUS]

(加藤 勝明)