あなたのPC大改造計画

Skylake + Win 10なPCはこう作る!
7万円で強化する「多趣味人のためのPC」(前編)

text by 加藤勝明

今回の依頼者であるKさん。爽やかな笑顔と日焼けが印象的な方だった。第一印象はPC趣味とは対極の存在だなと感じたが、その訳は……
Kさん宅へは茶畑の脇を何度も通り抜けた。所々にあるポールの上には春先に霜がつくのを防ぐためのファンだそうだ

 AKIBA PC Hotline!の読者参加型企画「あなたのPC大改造計画」とは、読者のPCが抱える問題を、編集部とライター陣が解決するというもの。第1回埼玉、第2回千葉、第3回大阪と続き、今回の第4回は静岡県が舞台だ(これまでの模様はこちら)。

 今回の依頼主であるKさんは、応募の動機に「そろそろCPUやマザーを新しくしたいが、パーツをどうチョイスしたら良いか分からない」と書いていた。

 折しも今は“Skylake-S(開発コード)”こと「第6世代Core」が登場し、さらにOSも「Windows 10」リリースというPC市場においても非常に大きなイベントを迎えている。PCを新しくするのにこれほど適した時期はない。

あなたのPC大改造計画:記事一覧
第1回:「3万円で組んだスタイリッシュPC」は
「快適RAW現像+最新ゲームPC」になるか?
[前編後編]
第6回:「マインクラフトの実況PC」を快適に!
現役高校生の悲願は3万円+αで達成できるか?
[前編後編]
第2回:「奥さんのストレス軽減用PC」は
ちゃんと安定して動くのか?
[前編後編]
第7回:「ドラクエXをAPUで快適に!
ゲーム機を超える快適さを目指せ!!
[前編後編]
第3回:TITAN XのSLIで最強ゲームPCに!
ただでさえハイスペックなPCを
「フル水冷」のモンスターマシンへ強化
[前編後編道のり編]
第8回:勉強部屋でひっそりと使っていたPCを
ゲーミング&静音仕様に大改造!!
[前編後編]
第4回:Skylake + Win 10なPCはこう作る!
7万円で強化する「多趣味人のためのPC」

[前編後編]
第9回:女子高放送部に快適な動画編集用PCを!
快適環境で「目指せ全国!」
[前編後編]
第5回:6年前のCore 2 Duoマシンを
今風な快速マシンに大改造
[前編後編]

ゲーミングデバイスはFPS好きらしい構成、趣味でガッツリ固められたマシンルーム

KさんのPCまわり。黒でまとめられ、良いもので固められたゲーミングデバイス、所々に置かれたガンプラ、まさに趣味人のPCといった印象。
持ち主のこだわりはインプットデバイスに出る、というのが筆者の持論。ロジクール製のゲーマー用デバイスでまとめられているあたり、かなり凝り性&試行錯誤の好きな人とみた。

 終着地点はSkylake-SとWindows 10でリフレッシュかなと考えていたが、まず現状把握をしなければ先へは進めない。

 Kさんが今のマシンを手に入れたのは2010年。最初のCore i7とP55マザーで自作したという。以来PCケースやHDDはそのままだが、ビデオカードやSSDの交換・増設で大事に使っていたという。

 PCの主な用途はPCゲーム『バトルフィールド4』や、そして自分で撮り貯めた写真や動画の整理や観賞等ということだった。

 対戦メインのFPSを主にプレイするだけあって、Kさんのデスクは“FPS好きのためのデバイス”で固められていた。

 Logicoolの左手用キーボード『G13r』に、Omron製スイッチを採用したゲーミングキーボード『G910』、マウスもゲーム用に有線&普段使いは無線と使い分け。さらにメインの液晶はBenQ製のゲーマー用液晶『XL2420TE』、スピーカーは部屋全体でアナログ5.1ch構成にするなど“PCゲーマーならかくありたい”的な構成になっている。

 とりあえず羨まし……ではなくデスクの上まわりでこちらで手を出す要素はない。

かるーくBF4をいつものように遊んでもらった。
GTX 770なのでほぼ最高画質設定でも、戦闘中は60fps前後をウロウロ、時々40fps中盤に落ちるといったところ。さすがに4KはキツいがフルHDゲーミングならGPUパワーは十分あるといえよう。
無線マウスはWeb巡回時等ゲーム以外で使っているという。
無線マウスのレシーバーは少しでも電波の通りがよくなるよう、軸が堅いタイプのUSB延長ケーブルを用意し、その先に付けるというこだわりも。

 またKさんは「GoPro」を使ってバイクのツーリング動画やスノーボードで滑るさまを地撮り棒で撮るなど、かなりアクティブに活動している。

 PCはその時撮影された写真や動画の蓄積にも活用しているという。それと並行してPCゲームもデバイスをガッツリ買い揃えるほどハマっている。聞けばKさんは独身……取材陣一同ある意味納得した瞬間であった。

Kさんはアウトドアで活動中もGoProを使って撮影を欠かさない。自撮り棒はごく普通のものだったが、スノーボードで滑走中の動画はほとんとブレがなく、滑りのテクニックもかなりのものと見受けられた。

[加藤] (デスクトップにあったPhotoshop等のアイコンを見て)撮った写真や動画の編集はしないんですか?

[Kさん] 今使っているPhotoshop(CS5.5)だと自分のカメラのRAW画像に対応してない、とか、単純に撮ったファイルが増えるスピードが速くて整理する暇がない状態ですね。本当は編集もやりたいんですが……。

[加藤] ゲームはどの位遊んでるんですか?

[Kさん] 最近はご無沙汰なんですが、プレイ時間は長い時で1日あたり3時間位ですね。

 筆者は時間がないという点は同意したが、Kさんのようにアクティブに活動してれば、さもありなん。アウトドア活動メインかと思ったら、プラモデル等インドア系趣味もある模様。さらに『メタルギア』最新作はPS4で遊ぼうかなという(PCゲーマーにとっては)衝撃の意見まで飛び出した!

 改造後のPCは短時間で濃密な体験ができるよう、パワー重視で攻める。メタルギア最新作はPCで遊ぼうと思い直せるマシンにしたいものだ。

Kさんが育ててきたマシンをチェック、Core i7-860にGeForce GTX 770を搭載、メモリは合計24GB

 独身貴族を羨むのはこの辺にして、そろそろマシンの検分に入ろう。ゲーミングデバイスは結構最新のものを揃えているが、肝心のPCの中身が古くなっており、これを更新するのが今回の目的だ。

【今回のアップグレード対象PC】

■スペック
CPU:Core i7-860(4C8T、2.8GHz、最大3.46GHz)
マザー:ASUS P7P55-E EVO(INTEL P55)
メモリ:DDR3-1333 24GB(4GB×2+8GB×2)
グラフィック:MSI GTX770 Twin Frozr 4S OC(GeForce GTX 770、2GB)
ストレージ:Samsung SSD 830 256GB(Serial ATA 3.0)、HDD×2(データ用
電源:SilverStone SST-ST75F-P(80PLUS Silver、750W)
PCケース:Lancool PC-K62
CPUクーラー:Akasa Venom Voodoo
OS:Windows 7 Professional 64bit版

●主な用途
・ゲーム(BF4など)
・動画・写真の観賞

改造対象となるPCを机の下から引っ張り出して検分開始。スピーカーや無線LANのアンテナ線があるため、裏面の配線はかなりカオスなようだ。
改造対象マシンの内部。ゴチャっとした印象だが、古いマシンにしては非常によくまとまっている。
面白かったのはビデオカード冷却用にファンが増設されていたこと。実用性や美しさの面で異論を唱える読者もいるかもしれないが、こうした試行錯誤ができるのが自作PCの面白さ。Kさんはそれを存分に満喫されているようだ。
拡張スロットには無線LANや5.1chで楽しむためのサウンドカード等が装着済み。ただ今のマザーにはどちらも高品質なものがビルトインされているされているものもあるため、改造後にこれを継承するかどうかは考えどころ。
サイズ製の4chファンコン『KM05-BK』も組み込まれており、その温度センサが電源とCPUソケット裏に配置されていた。

 ベースが5年前のPCといっていたが、しっかり裏配線されているし、ファンコンに直結された温度センサが電源ユニットやCPUソケット裏に貼り付けられていた。

 さらにケース内部にはビデオカードをナナメ下から冷やすように12cmファンが増設されていた。

[加藤] 色々とKさんなりに工夫が入ってますね?

[Kさん] 温度センサに関しては発熱はどの程度かなと知りたくて貼り付けただけで、特に積極的に活用はしてません。結構自分で弄ってあれこれ試すのが好きで、ナナメのファンもビデオカードが冷えるかな、と考えて装着してます。割と車やバイクいじりに通じる部分がありますね。

[加藤] なるほど。何か使ってみたいパーツは(Skylake-Sのほかに)何かあります?

[Kさん] 特に思い入れはないですが、水冷に挑戦してみたいですね。簡易じゃなくて第3回の人みたいな1から組み上げていくタイプの。ああいうパーツには憧れます。

SSD(Cドライブ)の残量はわずか16GB! CPUが強化されてもここを何とかしないと刷新する意味がない。ただ大人の事情により、Skylake-S以外の選択は今回はできない。難しいところだ。

 ただ今回Kさんが提示した予算は70,000円。ビデオカードや電源は流用するにしてもSkylake-S一式導入前提では予算が足りない。残念ながら今回は従来のパーツを極力使い回すことで納得して頂くことに。

 だがそれ以上に筆者が危機感を感じたのは起動用SSDの残量だ。ゲームや画像編集系アプリ等が色々と入っており、残量は16GBしかない。ここまで残量が逼迫すると古めのSSDだと速度低下も懸念されるので、何とかしたいところだ。Kさん自身もそろそろ480GB〜クラスに移行したい考えはあるらしいが、予算的にどうか……と語っていた。

Skylake-Sで最新プラットフォームへ、極端な品薄?最大の問題は“入手方法”

 Kさんの多趣味ぶりにおののきつつも、前半の取材が終わりおおまかな方針が固まった。

 今回KさんにはSkylake-SとWindows 10を使う、ということを納得して頂いたうえで始まったが、予算70,000円枠内で初物を3つ(CPU・マザー・OS)導入するのはそう簡単ではない印象がある。

【今回の方針】

【目標】
・古さが目立ってきたCPUおよびマザーは最新のSkylake-S+Z170マザーに交換する
・Windows 10環境を体験して頂く
・ストレージは可能な限り増設し、SSDの容量不足解消に努める
・ビデオカードはGTX 770で十分戦力になるため残す
・改造予算は70,000円

・CPU
 取材時点では、8月発売が噂されていたSkylake-S。Core i7-6700KおよびCore i5-6600Kの2モデルが噂されていた。この時点での噂によると、6700Kの価格は50,000円程度、6600Kだと35,000円程度。

・マザー
 Skylake-SのソケットはLGA1151で、チップセットも「インテル100シリーズ」を必要とする。CPUが倍率ロックフリーの「K付き」なので、最上位であるZ170マザーに買い替えるのが一番スマートだ。しかしマザーもCPU同様初物だけに結構な値段になりそうな予感もある。今回は本企画のスポンサーであるASUSにマザー提供をお願いして切り抜けたい。

・メモリ
 Skylake-S用マザーはDDR3またはDDR4メモリの両対応で設計できるが、今後メインストリームになるのはどう考えてもDDR4。DDR3対応マザーでお茶を濁すやり方は好ましくないし、Kさん所有のメモリモジュールはDDR3-1333なので速度的にもいまひとつ。ここはDDR4-2133でしっかりと固めたい。

・ストレージ
 スペック上、筆者的に一番問題と感じたのが起動用SSDの空き容量。インストールするアプリやデータを厳選し、不要なファイルはHDD側に逃がせばそれなりに空く。だがWindows 10環境を整え、さらに今後新しいゲームへの挑戦まで考えると、256GB1基では心もとない。かといって480GB〜クラスの大容量SSDの追加は予算的に難しい。

 さて、今回のプランで大きな課題になるのがSkylake-Sの入手だ。取材時点では、「発売は8月の前のほう」という噂しかなく、さらに悪いことに“初期入荷数は(BTOメーカにも回すので)とても少ない”という噂も業界筋から聞いている。時間的にも第1回、第2回目のように依頼者と秋葉原巡りをする余裕はない。

「とりあえず秋葉原の深夜販売に並んで買いましょう」今回同行したAkiba PC Hotline! 編集長は笑いながらこう言ったが、目は笑っていない。「俺は取材。お前(筆者)が並べ。入手できなければこの企画は成立しない」という言外の意味が読み取れない筆者ではない。

 秋葉原で争奪戦確実(原稿執筆時点)のSkylake-Sを入手し、無事静岡へ届けることができるのか?それとも秋葉原の土となるのか? 第4回後編(来週掲載予定)はこれまでと違った意味でハードなものとなりそうだ。請うご期待!

※編注:夜間販売の模様はこちら。予想通り争奪戦でした……

アクティブな趣味人であるKさんを唸らせるPCができるのか?筆者はどう初売り戦線を生き延びるか戦々恐々としている。
なぜか知らないが改造企画にはペットを飼って居られる方が多い。Kさん宅では犬を2匹飼っている。つまりケースファンはペットの毛まみれになっている可能性も考えなければならない。

後編はこちら

[制作協力:ASUS]

(加藤 勝明)