パワレポ連動企画

電源ユニットの選び方、CPUクーラーの選び方

[最新版、PC自作の基礎知識](7)

DOS/V POWER REPORT 5月号

 自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の最新特集「最新PC自作の基礎知識」をまるごと掲載する当企画の7回目は、電源ユニットとCPUクーラーの選び方。

 信頼性や消費電力、コストの重要ポイントとなる電源ユニットと、「PCのこだわり」を表現することになるCPUクーラー、この2点の選び方とおすすめ製品を紹介しよう。

 この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 5月号は現在発売中。50ページにも及ぶ当特集のほか、様々なパーツの詳細レビューや徹底分析、そして「改造バカ一台」などの爆笑記事も掲載している。

電源ユニットの選び方
CPUクーラーの選び方


- DOS/V POWER REPORT 2014年5月号 Special Edition -


電源ユニットの選び方

【何のためのパーツ?】

・家庭用コンセントからの交流を直流に変換
・マザーボードやCPUなどのPCパーツに電流を供給する
・変換する際の効率が消費電力に影響する

ポイント1自分のPCに必要なワット数を知ろう

【80PLUSとは】
80PLUS Platinumのマーク
80PLUSは変換効率の認証システムで上からPlatinum、Gold、Silverなどグレードがあり、上位の認証ほど満たすべき条件が厳しい。その条件も負荷率別に規定されているように、変換効率には負荷率も影響する。変換効率の高い電源も不適切な使用条件では活かせないのだ。

 PCパーツに電力を供給するのが電源だ。どんなパーツも電力がなければ動かないし、電流系の異常は大きなトラブル、部品の故障につながりやすいので重要度は高い。

 具体的な電力供給の流れは、家庭用コンセントからの交流(AC)を直流(DC)に変換し、PCパーツが使う+12V、+5V、+3.3Vそれぞれの電圧に調整して供給する。交流から直流を作る際の効率(変換効率)が高いほど電源自体の発熱、消費電力が小さくなるため、電源選びの基準の一つになっている。

 しかし、電源選びでもっとも重要なポイントは、適切な定格出力の電源を使うことだ。小さい場合はもちろん、極端に大き過ぎてもよくない。電流の調整機能の精度に悪い影響が出るため効率も低下するし、システムが不安定になるなどのトラブルの原因にもなる。定格出力が適切でなければ、どんなによい電源でもそのよさは活かせない。

 では、適切な出力はどうやって知るのか。高負荷時の実測電力の2倍前後が目安と言えるが、組み立てるまで分からないというのでは元も子もない。そこで、下には過去に本誌で紹介した自作PCの構成例の消費電力を記載した。それぞれ高負荷時の2倍くらいがベターだが、小出力モデルの選択肢はあまりないこともあり、大きく外れなければ実用上問題ない。ピッタリの構成例がないという場合も「Core i3とRadeon R9 270Xで104.8Wだから、Core i7とR9 270Xならば150Wくらいだろう(→定格出力は300W~)」というように判断材料として役立ててもらいたい。

例1:ビデオカードなしの場合
→300Wクラスがオススメ

【PCの例】
2014年4月号掲載
「低価格コンパクトマシン」
Pentium G3220ほか
高負荷時
45.7W
2013年10月号掲載
「攻めの静音PC」
Core i7-4770Tほか
高負荷時
52.8W
2013年12月号掲載
「超コストパフォーマンス静音PC」
Pentium G3220ほか
高負荷時
66.7W

例2:ミドルレンジビデオカード搭載の場合
→400~500Wクラスがオススメ

【PCの例】
2014年4月号掲載
「低価格コンパクトマシン」
Pentium G3220、Radeon R7 250ほか
高負荷時
79.2W
2014年4月号掲載
「10万円ゲームPC」
Core i3-4340、Radeon R9 270Xほか
高負荷時
104.8W
2013年12月号掲載
「超静音PC」
Core i7-4770S、Radeon HD 7750×2ほか
高負荷時
153.3W

例2:ハイエンドビデオカード搭載の場合
→550~700Wクラスがオススメ

【PCの例】
2014年4月号掲載
「長~く使えるハイエンドマシン」
Core i7-4770K、GeForce GTX 770ほか
高負荷時
264W
2013年12月号掲載
「ちょい上ゲームマシン」
Core i7-4770K、Radeon R9 280Xほか
高負荷時
269W
2013年10月号掲載
「AMD 5GHz完全動作マシン」
FX-8350(5GHzにOC)、Radeon HD 7790ほか
高負荷時
354W

ポイント2必要なコネクタの種類と数をチェック

 基本的なことだが、意外と盲点になりやすいのがコネクタの種類と数だ。

 最近はパーツの省電力化が進んでいるが、すべての電源がその流れに対応できているとは限らない。とくに400W以下の小出力モデルでは、設計が古かったり、ローエンド構成しか想定していなかったりするような製品も目立つ。たとえば、Serial ATAコネクタが少なかったり、多
くのコネクタが1本のケーブルにまとめられていたりといったことがあるのでよく注意したい。各ケーブルの長さまで公開されている製品もあるので、余裕があればPCケースのレイアウトなどを確認し、その辺りまで考慮に入れて選びたい。

【ATX20/24ピン】
マザーボードに接続するメイン電源のコネクタ。当初は20ピンであり後から24ピンへと拡張されたため、20ピンと4ピンに分かれている場合もある
【Serial ATA】
SSDやHDDのインターフェースであるSerial ATA規格に対応した電源コネクタ。ペリフェラルコネクタに代わって標準コネクタになりつつある
【PCI Express 6/8ピン】
ビデオカードの電力供給を補助するためのコネクタ。6ピン(75W用)と8ピン(150W用)があり、両対応できる6+2ピンのコネクタを備えるものが多い
【ATX12V、EPS12V】
CPUに電源を供給するためのコネクタ。4ピンがATX12V、8ピンがEPS12Vと呼ばれる。どちらにも対応できるよう、4+4ピンの形状をしている場合もある
【ペリフェラル】
Serial ATAが普及する以前のIDE HDDや光学ドライブなどへの電源供給用コネクタ。ケースファンや補助電源用など、さまざまな用途に使われていた
【FDD】
FDD接続用の4ピンコネクタ。最近ではさすがに減ったが、FDDが使われなくなってからもベイアクセサリや補助電源用などとして利用する製品がある

【自作PCならではの最新フィーチャー】

直接性能に影響しないこともあり、メーカー製PCで電源の仕様に言及されることは少ない。しかし、高変換効率を追求すれば性能を下げることなく消費電力を下げられる。ファンレスや準ファンレス電源を使えば静音性を極められる。さらにメンテナンス性、オーバークロックのしやすさ、長期耐久性など、電源が影響する部分は大きい。電源のようなパーツにも幅広いバリエーションがあり、目的に合った製品が選べることが自作PCの大きなメリットだ。

【プラグインケーブル】
必要なケーブルのみ使えるためケース内がすっきりしてメンテナンスがしやすく、エアフローを妨げないメリットがある
【+12V出力が1系統】
ビデオカードやストレージが要求する+12Vを1系統で供給。OCやマルチGPUなど極端な構成にも柔軟に対応できる
【準ファンレス】
低負荷や低温度下ではファンを回さない準ファンレス電源が増えている。究極の静音性と安全性を両立したいニーズに最適
【奥行きが短い】
ATXサイズで奥行きが短い(14c m以下)製品が増えてきている。Mini-ITX用など小型のケースでもすっきり収まる

オススメ電源ユニットの例

ハイエンドマシンを支える高品質電源
Sea Sonic Electronics Xseries XP2 SS-660XP2(実売価格:20,000円前後)

・660W
・80PLUS Platinum
・プラグイン

高品質な日本製部品を使い、電流の安定性に配慮したていねいな設計は高負荷環境での利用が想定されるハイエンドシステムでも安心。80PLUS Platinumの高変換効率で準ファンレス運用が可能。

最新設計の準ファンレス電源
Corsair Components RM450(実売価格:12,500円前後)

・450W
・80PLUS Gold
・プラグイン

450Wという定格出力は拡張を視野に入れてもミドルレンジとして
は十分。+12V 1系統、実用的な構成のプラグインケーブルで幅広
い構成に対応。負荷率40%以下ではファンの動作が止まる仕様だ。



CPUクーラーの選び方

【何のためのパーツ?】

・CPUを冷却する
・CPUのOC限界を伸ばす
・PCの静音性を高める

ポイントOC耐性や静音性を高めるCPUクーラーを選ぶ

 単体販売されているCPUには、ほとんどの場合純正のCPUクーラーが付属している。しかしながら、市場には単体販売されているCPUクーラーが多数存在する。純正クーラーでも、CPUを安定動作させるには十分な冷却能力を持つが、単体販売されているものはより冷えるため、CPUの長寿命化を期待できる。また、冷やすほどOCできる上限が伸びるのでその点でも有利。さらに、より静かというメリットがある。

 付属のCPUクーラーを使わないのはもったいない気もするが、パーツに愛着を持って組み立てる自作PCユーザーであればこそ、ここは保険の意味も含めて、高性能な別売のCPUクーラーを使用するのが賢い選択と言えるだろう。

【検証環境(高負荷時のCPU温度)】マザーボード:ASUSTeK Z87-DELUXE(Intel Z87)、メモリ:Corsair Components XMS3 CMX16GX3M2A1600C11(PC3-12800 DDR3 SDRAM 8GB×2)、SSD:PLDS PLEXTOR M5S PX-128M5S(Serial ATA 3.0、MLC、128GB)、HDD:Western Digital WD Green WD30EZRX(Serial ATA 3.0、5,400rpm、3TB)、ビデオカード:GIGA-BYTE GVN66TOC-2GD(NVIDIA GeForce GTX 660 Ti)、電源:Antec EarthWatts Platinum EA-550 Platinum(550W、80PLUS Platinum)、室温:24℃、CPU温度:CINEBENCH R11.5を3回実行した際のIntel Extreme Tuning UtilityのCPU Core Temperatureの最大値 【検証環境(CPU温度と動作音)】マザーボード:ASUSTeK Z87-PRO(Intel Z87)、メモリ:Patriot Memory PSD38G1600KH(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)、グラフィックス機能:Intel Core i7-4770K内蔵(Intel HD Graphics 4600)、システムSSD:Intel Solid-State Drive 330 SSDSC2CT120A3K5(Serial ATA 3.0、MLC、120GB)、室温:約27℃、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:OCCT 4.4.0 CPU LINPACKテスト時の最大値、OC高負荷時:動作クロック42倍(4.2GHz)、Vcore=定格+0.1Vで動作、ほかは高負荷時と同じ条件、動作音測定距離:ファンの中心から10cm、CPU温度:CPU ID HW Monitor 1.23のCPU Temperaturesの全コア中の一番大きい値 【共通環境】CPU:Intel Core i7-4770K(3.5GHz)、OS:Windows 8 Pro 64bit 版$$

【自作PCならではの最新フィーチャー】

【12cm/14cm角ファンが付属した製品が主流に】
別売のCPUクーラーはより高い冷却性能を実現するため、大型のヒートシンクと、大口径ファンを装備するものが多い。また、低回転のファンでも熱を効率よく拡散・冷却できるため、静音性もあわせて高められる。

- DOS/V POWER REPORT 2014年5月号 Special Edition 目次-

1回目:PC自作はいつだって楽しい! ~改造バカ、かく語りき~
2回目:理想のマシンを自分で作ろう ~自作PC作例集6選~
3回目:CPUの選び方、マザーボードの選び方
4回目:ビデオカードの選び方
5回目:ストレージの選び方、メモリの選び方
6回目:PCケースの選び方
7回目:電源ユニットの選び方、CPUクーラーの選び方
8回目:パーツ選びが終わったら、ここを確認!
9回目:PC組み立て徹底解説、パーツ取り付けからインストールまで ~10万円のパーツで組んでみた~
10回目:小型PCを自作する場合の注意点
11回目:トラブル発生時の原因特定方法


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(AKIBA PC Hotline!編集部)