自作PCで楽しむ!仮想通貨マイニング

モナコインを掘ってみよう、ゲーミングPCで狙った仮想通貨をマイニングする方法

ゲーミングPCで特定のコインを掘るための設定と手順 text by 坂本はじめ

(6/10 5:51更新)マイニングソフトに関する注意点と、
5月にあったモナコインの攻撃について加筆しました。
ご指摘に感謝いたします。

 PCで仮想通貨マイニングを行う際、NiceHashやAwesome Minerなどを使うと導入が簡単ではじめやすいが、好きな仮想通貨を狙ってマイニングすることはできない。

 一方、自ら選んだ特定の通貨をマイニングで獲得することを「直掘り」という。これは「自分好みの仮想通貨がある」という人向けの方法だ。

 そこで、今回はゲーミングPCの活用法のひとつとして、この「直掘り」の方法を紹介したい。

 例に挙げるのは、日本発の仮想通貨として知られ、熱烈なファンも多い「モナコイン」だ。モナコインは、決済に使える通販サイトが国内に存在したり、店頭で買い物できるPCパーツショップが秋葉原にあるなど、アルトコインの中では日本人に身近といえるだろう。

 なお、モナコインは5月に攻撃を受け、仮想通貨交換所が多額の被害を受けている。その後も通貨に対する不安などから、価格が低迷がちな状況にある。「仮想通貨で利益を得る」と考えると、現状、効率がいいとは言えないが、今すぐマイニングをするかどうかは別として、「ゲーミングPCの活用法」として読んでもらえれば幸いだ。

同じコインを掘るユーザーグループ「マイニングプール」に入ろう

 特定の仮想通貨をマイニングするには、その通貨に対応した「マイニングソフト」と「ウォレット」を用意すれば始めることができる。モナコインに限らず他の仮想通貨もこれは同じだ。

 対応マイニングソフトと対応ウォレットがあればはじめられるものの、、一般的なPCで個人が単独で直掘りをしても、報酬を獲得するのは難しい。

 詳しい説明は割愛するが、多くの仮想通貨はマシンパワーがあればあるほど有利というタイプのものが多く、一人でマイニングを行うと効率が悪かったり、そもそも仮想通貨が掘れないといったケースもある。このため、同じ地域や利害が近いユーザー同士でグループを組んでマイニングを行うことが主流となっている。

 そこで利用するのが「マイニングプール」だ。マイニングプールに自分のPCを登録することで、他のユーザーと協力してマイニングを行うことができる。マイニングソフトを設定する際にマイニングプールの情報を入れることになるので、まずはマイニングプールの設定を済ませておいた方が後が楽になる。

 今回はモナコインをターゲットにしているので、モナコインを扱う国内プールとしては最大級の規模で、情報が集めやすい「VIP Pool」に参加してみた。ユーザー登録をして利用するタイプのマイニングプールで、報酬は提供したマシンパワーの分が分配される仕組みになっている。

マイニングプール「VIP Pool」。

 それでは設定方法を解説する。まずはVIP Poolでユーザー登録をする。左側のメニューから「その他」の「登録」を選択すればアカウント登録画面が表示されるので、画面の指示に従って登録しよう。

アカウントの新規登録を行う。
各種設定はログインしてから行う。

 アカウントの登録が完了したら、次はワーカーの作成と設定を行う。「新しいワーカーの追加」で任意のワーカー名とパスワードを設定し、「ワーカーの追加」をクリックするとワーカーの作成が完了する。

ワーカーの作成は、左メニューの「アカウント」から「ワーカー」を選択して行う。
作成したワーカーの「指定Difficulty」を設定する。GeForce GTX 1060以上のGPUを搭載しているなら、16~32を設定しておくと良いだろう。

 作成したワーカーで設定が必要なのは「指定Difficulty」という項目だ。自分の使用しているPCのハッシュレートはこの時点ではわからないので、仮の値を入力することになる。GeForce GTX 10シリーズを搭載しているゲーミングPCであれば、16~32の値を入れておくのがお勧めだ。

 なお、VIP Poolではマイニングを実行した際のハッシュレートを2の21乗(2,097,152)で割った数値を推奨値としている。これだとわかりにくいので、VIP Poolログイン後に見ることができる「指定Difficulty設定値早見表」が用意されているので、自分のPCの実際のハッシュレートがわかった際に適した値に設定しなそう。

指定Difficulty設定値早見表、後で実際のハッシュレートがわかったらこの表を参考に再設定しよう。

モナコイン用のマイニングソフトの設定を行おう今回はよりモナコインが掘れるカスタム版を使用

 VIP Poolでワーカーの設定まで完了したら、次はマイニングソフトの設定を行う。

 GeForceを搭載したPCでモナコインを直掘りする場合、マイニングソフトの「ccminer」を利用するのが一般的だ。

 ccminerは公式サイトのccminer.orgで配布されているが、さまざまな仮想通貨に対応した汎用ソフトとなっているので、モナコインに特化しているわけではない。

 そこで、今回はフォーラムサイトの「Ask Mona」で配布されている、モナコイン向けにパフォーマンスを向上させたカスタム版を使用してみた。なお、配布場所はAsk Monaの「【マイナー必見】ソロマイニングに対応したよ」スレッド(記事執筆時はPart 4まで進行)にて配布されている。

※マイニングソフトとリスクについて

 ccminerはソースコードが公開されているため、特定のコインに最適化させたり、より効率を高めたものなど、改良を施されたカスタム版が多数存在する。こうした物を利用した方が理屈の上では効率が良いが、配布者や配布元が安全性なども保証しているわけではないので、ウィルスが混入していたり、トロイの木馬がしかけられていたりといったいった問題がある場合もある。

 ccminerはベースソフトとなっているものの、オープンソースプロジェクトとして運用される中で作られているので、誰かが安全性などを保証するものではない。本家のccminerも、こうした部分はカスタム版とかわりないリスクがある。

 なお、ccminerはソースコードとコンパイル済みのバイナリ版が公開されている。これはソースコードを開示することでカスタム版の作成を支援したり、コード自体に不正や利用者が被害を被るような部分が無いことを証明するためだ。

 今回使用しているAsk Monaで配布されているカスタム版も、ソースコードとバイナリ版が公開されているが、ソースコードが見られるとはいえ、コンパイル済みのバイナリファイルががソースコードのままなのか、ウィルスが混入していないかなどを判断するのは一般人には難しい。また、ソースコード内に問題が無いか確認し、自分でコンパイルして使用する方法もあるが、行える人は限られるだろう。このため、リスクを完全に避けるというのは困難だ。こうした部分に強く不安を感じる場合は、手を出さない方が良い。

 完全にリスクを避けるのは難しいが、ある程度リスクを避けることはできる。β版などの実験版などは絶対に使用しない、情報が出そろっている比較的安全なバージョンを使用する、最新版は評判などが出そろってから使用するといった運用などは有効だろう。また、壊れても問題が無いテスト環境などを用意し、安全性を確かめてから使用するといった対策をとることもできる。何か問題があった際、自分一人では気付かないケースもあるので、活動が活発なコミュニティをチェックすることもリスクを避ける面では非常に有効だ。
フォーラムサイトからダウンロードしたccminer。

 前置きが長くなったが、ここからは導入方法を紹介する。ダウンロードしたccminerには、exe形式のマイニングソフト本体の他にバッチファイル(.bat)が同梱されている。プールマイニングを実行するには、このバッチファイルの内容を編集する。バッチファイルに入力する内容は、VIP Poolの「ヘルプ→はじめかた」に記載されているマイニングソフトの設定例を参考にしよう。

 設定例から書き換えが必要なのは、ユーザー名、ワーカー名、ワーカーパスワードの3つだが、マイニングソフトの実行ファイルが「ccminer.exe」以外である場合は、バッチファイル側のマイニングソフト名を書き換えるか、実行ファイルをリネームする必要がある。

batファイルを右クリックして編集を押すと、内容を編集できる。
バッチファイルの設定例。ccminer.exe部分は実行ファイルの名前と合わせる必要がある。

 バッチファイルの設定を書き換えて保存したら、バッチファイルをダブルクリックして実行する。設定が間違っていなければソフトが起動してマイニングが開始される。

 しばらくマイニングを実行するとハッシュレートが表示されるので、これを参考にしてVIP Poolのワーカーの設定で「指定Difficulty」を書き換えよう。なお、ワーカーの設定変更はマイングソフトの再起動後に反映されるので、ワーカーに適切な指定Difficultyを設定したらマイニングソフトを再起動しよう。

稼働中のccminer。「47.42MH/s」などと表示されているのがハッシュレートだ。
マイニングソフトのハッシュレートをもとにVIP Poolの指定Difficultyを再設定する。今回は47MH/sを2の21乗で割った値に近い「22」を設定した。

掘ったモナコインの確認方法と払い出しの方法モナコイン対応のウォレットソフトを用意

 実際のハッシュレートに基づく指定Difficultyの再設定まで完了したら、あとはPCの空き時間にマイニングを実行すればモナコインを獲得できる。獲得したモナコインはVIP Poolに保管され、その額は収支表で確認できる。

VIP Poolで獲得したモナコインは収支表で確認できる。

 VIP Poolに保管されたモナコインを払い出すには、モナコインに対応したウォレットや取引所を利用して、払い出し先アドレスを用意する必要がある。モナコイン公式ウォレットの「Monacoin Core」や、より手軽に利用できる「Electrum-mona」などを利用するといいだろう。

モナコイン公式ウォレットの「Monacoin Core」。
モナコイン対応のウォレットソフト「Electrum-mona」。

 VIP Poolのアカウント編集画面を開き、「払い出し先アドレス」の項目にウォレットソフトのアドレスを入力して、アカウント情報を更新する。この際、獲得したモナコインが一定額に達したらVIP Poolからウォレットに自動送金する設定もできる。

 また、0.1モナコイン以上を獲得していれば、手動でウォレットへの払い出しが行える。

アカウント編集で払い出し先アドレスにウォレットのアドレスを入力する。
0.1モナコイン以上を獲得していれば、いつでも手動で払い出しが行える。

欲しい仮想通貨があるなら直掘りにチャレンジ!

 今回はモナコインを例にあげて紹介したが、基本的にモナコイン以外のコインを掘る場合も、手順自体はほぼ同じだ。

 直掘りのポイントは、特定の仮想通貨を獲得できる点にある。効果的に利益を上げるためにはマイニングする仮想通貨の価値や先行きを把握しておく必要があるが、うまくすれば通貨の価値上昇によって大きな利益が得られる可能性もある。

 本企画の趣旨が、「ゲーミングPCをさらに活用して楽しむ」という部分にあるので、最小限にとどめるが、仮想通貨は掘れば儲かるというものではない。株式などの金融商品と同様、価値の変動によるリスクは仮想通貨にも有り、当然損をすることもあれば得をすることもある。

 また、PCを動作させればかならず電気料金はかかるので、マイニングでききるコインの価格が電気料金を下回れば当然赤字になる。また、今回取り上げたモナコインは5月に攻撃を受け、価格が落ちたこともあり、単に儲けることにこだわるのであれば別のコインをマイニングしたほうがいいかもしれない。一方、ベンチマーク的なものとしてみると、マイニングを行っている日本のユーザーも多く、楽しめる部分も多い。

 獲得したい仮想通貨がある場合や、ある程度仮想通貨への理解度が深まったのであれば、直掘りにチャレンジしてみてはいかがだろう。