自作PCで楽しむ!仮想通貨マイニング
マイニングの利益を最大に!ビデオカード設定を変更してお得に使おう
電力効率を向上できる「Power Limit」を使って簡単チューニング text by 坂本はじめ
2018年5月25日 06:05
多くのビデオカードはゲームで性能を発揮するために、電力効率よりも性能を重視して設計されている。
しかし、電気代が利益率に影響する仮想通貨マイニングでは、ビデオカードをできるだけ電力効率の高い状態で利用したい。
そこで今回は、ビデオカード用のユーティリティ「MSI Afterburner」を使い、簡単にビデオカードの電力効率を改善、利益を最大化する方法を紹介しよう。
全メーカーのビデオカードをチューニングできるMSIの「Afterburner」
まずはGPUのチューニングに用いる「Afterburner」を手に入れよう。
マザーボードやビデオカードのメーカーとして知られるMSIのGPUユーティリティだで、MSI製のツールでありながら、ビデオカードのメーカーを問わず無料で利用することができる。このツールは非常に扱いやすいことでも有名だ。
AfterburnerはMSIのウェブサイトで配布されているので、インストーラーをダウンロードし、PCにAfterburnerをインストールしよう。
Afterburnerのインストーラーには、オンスクリーンディスプレイや録画機能を提供する「RivaTuner」が含まれている。標準ではAfterburnerとセットでインストールされるRivaTunerだが、仮想通貨マイニングには必要のない機能なのでインストールしなくてもOKだ。
GPUチューニングの肝は電力効率の改善「Power Limit」を調整して簡単に電力効率を改善
Afterburnerを使えば、GPUコアやVRAMの動作クロックを細かく変更することも可能なのだが、こうしたチューニングを予備知識なしに行うと、最悪ビデオカードを故障させてしまう場合がある。
そこで、今回は手軽かつ安全に電力効率を改善できる「Power Limit」の機能を利用する。Power Limitを変更する分には、ビデオカードが壊れることは無いというのもポイントだ。
Power Limitとは、簡単にいうとビデオカードの最大消費電力を調整する機能だ。デフォルトの状態から何%落とすかを設定可能で、例えば30%消費電力を落とした場合、その電力内で安全に動作するGPUやメモリの最大クロックが自動で設定される。
GPUのクロックが下がれば性能も低下するが、多くのGPUには標準状態よりも電力効率が良くなるスイートスポットが存在し、Power Limitで消費電力に制限をかけていくと、電力効率が向上するポイントが見つかる。
Afterburnerでは、メイン画面にあるPower Limitのスライダーを操作することで1%単位で数値を増減できる。なお、初期設定ではPower Limitと温度基準である「Temp Limit」が連動しているので、Power Limit調整前に両項目の間にある鎖アイコンをクリックして連動を解除しておこう。
Power Limitを任意の値に引き下げたら、適用ボタンをクリックしてGPUに設定値を反映する。デフォルトの動作に戻したい場合は適用ボタンの隣のリセットボタンをクリックすればいい。
なお、仮想通貨マイニングは長時間に渡ってGPUを高負荷動作させるので、Power Limitの調整次いでにFan Speedを80~100%程度に設定し、GPUの冷却を強化しておくのもおすすめだ。
一番利益率が高くなるスイートスポットを探してみよう設定を変えるだけで電力効率が2割改善
多くの場合、Power Limitを引き下げれば電力効率は向上するのだが、重要なのは最も電力効率の高い状態で運用することだ。といっても、ビデオカードによって最も電力効率が高くなるPower Limitの値は異なるので、実際に動作させて効率を確認する必要がある。
電力効率の確認にはPCの消費電力を知る必要があるので電力計が必要だ。今回用意した「ELPA EC-05EB」は1,600円程度で購入できる電力計で、「瞬時電力量」や「積算電力量」が測定できる。今回のような電力効率のチェックの他、マイニング中に消費した電力量の把握にも使えるので、持っておいても損にはならないはずだ。
電力計をPCに接続したら、前回セットアップした「Awesome Miner」のベンチマークを起動しよう。最初のセットアップでは全てのアルゴリズムをテストしたが、今回は適当なアルゴリズムを1つだけ選択する。
あとは、いくつかのPower Limit毎にベンチマークを実行し、ベンチマーク中の消費電力とベンチマーク結果である「ハッシュレート」の数値を記録しよう。
GeForce GTX 1080搭載PCで、実際にPower Limitを50~100%の範囲に設定した際の結果をまとめたのが以下のグラフだ。
ハッシュレートを消費電力で割った「1Wあたりのハッシュレート」のグラフをみると、Power Limitを60%に設定した際の電力効率が最も高くなっていることが分かる。
最も効率の高かったPower Limit 60%と標準設定で実際にマイニングを実行した際の差を紹介しておこう。
標準設定で獲得できるビットコインが24時間あたり298円相当。消費電力が約230Wだったので24時間あたりの電気料金はおよそ110~166円(1kWh=20~30円とした場合)となり、電気代を差し引いた利益はおよそ132~188円。
これに対し、Power Limit 60%設定で獲得できるビットコインは24時間あたり264円相当。消費電力が151Wなので、24時間あたりの電気料金は72~109円となり、電気代を差し引いた利益はおよそ155~192円。電力効率の改善によって利益の増加が見込める結果となった。
ゲームモードとマイニングモードを切り替えて利益を最大化Afterburnerに自分好みの動作モードを登録
このようにAfterburnerでPower Limitを調整すれば、手軽にビデオカードの電力効率を改善できる。
Afterburnerはプロファイル保存機能を備えており、マイニング用の設定を登録しておけば、毎回Power Limitやファンの設定を行うことなく、プロファイルを選択するだけでマイニングモードに切0り替えることができる。
ゲーム時には性能が高いデフォルト設定を選択し、マイニング時は電力効率が高いオリジナル設定を選択すれば、用途に合わせて一番美味しい部分を簡単に使い分けられる。
ゲームと仮想通貨マイニングという、求められる要素が異なる2つの用途をうまく使い分ける手段として、Afterburnerを活用してみてはいかがだろう。