ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

懐かしの通信機器「パナソニック コミュニケーションモデム FS-CM1」

音響カプラから始まり、お弁当箱サイズのモデム、小型モデム、そしてターミナルアダプタなど、現在に至るまでに様々な通信機器が出現してきました。その中から、今回は写真の4機種を取り上げます。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は少し趣向を変え、当時の周辺機器を取り上げる番外編として、この連載記事を読んでいる人なら一度はお世話になったことがあると思われる通信機器を取り上げていきます(計4回)。

パナソニック コミュニケーションモデム FS-CM1

RAM32Kbytes以上のMSXまたはMSX2のカートリッジスロットに挿して使用する通信モデムカートリッジです。ひときわ目立つ1200bpsの文字で、その早さを誇示しています。

 1986年から開始された、MSXパソコン専用のビジュアル通信ネットワーク「THE LINKS(リンクス)」へ接続するためには、1200bpsで半二重にしなければなりませんでした。それに対応した通信モデムカートリッジとして先にFS-CM820が登場していましたが、リンクス側のモデムが全二重の1200bpsも使用できるようになったことで、それに合わせてニューモデルとしてリリースされたのが、このFS-CM1です。

カートリッジ上部には、5つのLEDが並んでいます。アクティブな部分が光る様は、なかなかにカッコイイです。背面には、MSX2またはMSX(RAM32k以上)パソコンでご使用くださいとの注意書きもありました。

 モデム機能としては、全二重300/1200bpsでの通信ができるほか、12×12ドットの専用JIS第1水準漢字ROMを搭載していました。MSX JEにも対応していて、SHIFT+SELECTキーで日本語フロントプロセッサが起動するようになっています。

右側面には、LINE端子とTEL端子が並んでいます。さらに、その隣には300bpsと1200bpsを切り替える回転スイッチもありました。

 内蔵された通信ソフトには、一般BBSへアクセスするモードのほかにリンクスへアクセスするモード、さらにはワープロで作成した文書からLFコードを削除して通信用文書へ変換したり、その逆を行う文書変換モードも備えていました。もちろん、BASICモードも用意されています。BASICに入ってから「CALL TELCOM(または_TELCOM)」と入力すれば、モデムの設定を行うことも可能でした。

 これだけの充実した機能を備えた本機は、1988年2月1日に価格32,800円で発売されています。現在でもそれなりの数を見ますので、当時は思った以上に出荷されたようです。

FS-CM1を挿して起動すると、メニュー画面が表示されます。ここから各種モードに移行できました。現在では、残念ながらほとんどの項目が機能しませんが……。「THE LINKS」へ接続するためのページは非常にカッコイイので、一度は見ておく価値ありです。BASICから_TELCOMと入力すれば、MSX-TELCOMが起動しました。