ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

懐かしの通信機器「アイワ インテリジェントモデム PV-A1200」

音響カプラから始まり、お弁当箱サイズのモデム、小型モデム、そしてターミナルアダプタなど、現在に至るまでに様々な通信機器が出現してきました。その中から、今回は写真の4機種を取り上げます。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は少し趣向を変え、当時の周辺機器を取り上げる番外編として、この連載記事を読んでいる人なら一度はお世話になったことがあると思われる通信機器を取り上げていきます(計4回)。

アイワ インテリジェントモデム PV-A1200

この頃のモデムとしてはお馴染みの、直方体の形をしています。デザイン的には非常にシンプルで、余計な出っ張りも無いため、上にものを置けるのも便利でした(笑)。

 パソコン通信時代がやってくると、「モデムと言えば××だよね」というメーカーが誕生します。個人的にはAIWAやomron、SUNTACなどが該当するのですが、そのうちの1社であるAIWA(アイワ)から1986年11月に登場したのが、PV-A1200です。ちなみに、今のアイワは小文字の英語「aiwa」ですが、この時期のアイワは大文字「AIWA」でした。

 通信速度は300/1200bpsの全二重発着信型に、そして通信方式はCCITT(V.21、V.22)とBELL(103、212A)の両形式に対応しています。またパソコンで通信を行うには、相手のホスト局へ電話をかけるのであれば「ATDT 03XXXXXXXX」という感じで、いわゆるATコマンドというものを使用するのですが、PV-A1200はこの当時に標準と言われた米ヘイズ社のATコマンドを搭載していました。

天板に描かれた「MODEM」の書体が、時代を感じさせます。右上に見えるスリットの部分には、スピーカが設置されています。正面から見ると、左端にスイッチ式の電源が配置され、その隣にモニタ音の調整つまみ、さらにその右にある蓋を開けるとディップスイッチが出現しました。

 自動発着信型のNCUを内蔵していたのも便利な部分で、ソフト側から命令すれば自動的にホスト局へ電話をかけてくれます。もちろん、かかってきた電話を自動で受け取る機能ももっていましたので、ホスト局での使用も可能でした。

 それまでのモデムはACアダプタを使っていたものも多かったのですが、PV-A1200は電源を内蔵したことですっきりしています。

背面もシンプルで、左からTEL端子、LINE端子、RS-232Cコネクタ、アースとなっています。大きさは奥行き220mm×幅160mm×高さ49.5mmで、重量は1.4kgでした。
広告では「新時代のインテリジェント・モデム」をキャッチコピーに、1200bps全二重が使えることを前面に謳っていました。

 正面には、電源ランプのほか各種状態を表す9つのLEDが装備されていて、通信に伴い点滅する様が中二心をくすぐったものです(笑)。機能的には、ビジー音やリンクバック音、ダイヤルトーンなどを検出してディスプレイに表示する、コールプログレストーン検出機能と呼ばれていました。またモニタスピーカも内蔵していたので、データ音を常に確認することができました。

 この時期はまだモデムの速度も1200bps程度でしたが、以後2400bpsにアップするだけでなく、エラー検出・訂正・データ圧縮用プロトコルであるMNP規格も取り入れられていき、同社だけでなくその他メーカーのモデムと共に速度競争への道を進んでいくことになります。