パワレポ連動企画

大容量SSDを使った究極静音小型PC ~SSDを活かす作例 2~

【パワレポ連動:買いの最新SSD総チェック(20)】

DOS/V POWER REPORT 2016年10月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2016年10月号」の第1特集「超高速・大容量・低価格 重要キーワードと製品を一気読み 買いの最新SSD総チェック」を掲載する。

 第20回では、大容量SSDを組み込んだ小型静音PCを紹介する。一昔前と比べると相当静かになったHDDだが、可動部の無いSSDと比べると騒音源となることは確か。HDDを組み込まないことで、より静かなPCを組み立てることができる。

 本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年10月号は全国書店、ネット通販にて8月29日(月)に発売。第2特集は、ワット数だけではない電源の見えない箇所を徹底比較「2016年登場のニューフェースを徹底検証! 新顔ATX電源大品評会」。特別企画は、可視化されるとなぜか外へ出たくなる「ガジェット活用で楽しく生活改善 IT派の活動量計入門」、もっとも手に触れるものだけに、自分に合ったものを使いたい「スイッチ、レイアウト、デザイン……アナタの決め手は? キーボード選び放題」、キーボードにこだわるならこちらも妥協したくない「ゲーミングモデルを中心に続々登場! 新世代高機能マウス30製品」を掲載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は、小冊子「市場に並ぶ140超の製品をまるっと収録 電源名鑑 2016」。第2特集と合わせ、電源選びの参考にどうぞ。


-買いの最新SSD総チェック-
大容量SSDを使った究極静音小型PC ~SSDを活かす作例 2~


SSDを活かす作例 その2

小型ケースと大容量SSDで究極静音PCを作る

 Mini-ITX対応の小型PCケースを使い、動いているのか動いていないのか分からないほどの究極静音PCを作ってみよう。大容量SSDを組み合わせることで、騒音源の一つとなるHDDを排除できる。

小型静音PCパーツ選びの鉄則

大容量SSDを使って究極静音の小型PCを作ろう

 「静かに動作するパーツを組み合わせる」という静音PCのセオリーは、小型PCでも変わらない。大きな騒音源となるケースファンやCPUクーラーは、ファンの回転数を低く抑えられるものを選ぼう。また電源ユニットでは、負荷や内部温度が低いときには、ファンの回転数が停止するモデルが増えている。こうした「単体でも静かに動作するパーツ」を集めて、さらに細かいチューニングを施していくのが、静音PC作成の流れとなる。

 ちょっと注意したいのが、PCケースの選択だ。内部が狭い小型ケースでは、大型で内部が広いATXケースよりも、内部に熱がこもりやすい。周囲の気温が上がれば、それだけ冷却効率も下がる。静かなPCと言うと当然密閉型のPCケースのほうが有利と考えるかもしれないが、こと小型ケースの場合は、外気を取り込みやすい開放型のほうが比較的安全に利用できる。

 ただし自分に近い位置に開放型の小型PCを設置すると、HDDの動作音が気になることがある。しかし1TBクラスのSSDを組み合わせれば、そもそも大容量ファイルを保存するためのHDDを組み込む必要性自体がなくなり、HDDの動作音に悩まされることがなくなる。大容量で低価格なSSDは、静音PCの完成度を高めるキーパーツなのだ。

小型静音PCのパーツ構成

■開放型のPCケースなら内部に熱がこもりにくい

 静音PCでは、ファンの回転数を極力落として運用したい。しかし、容積が小さくて熱がこもりやすい密閉型の小型PCケースの場合、エアフロー構築においてファンへの依存度が高まるため、ファンの回転数が上がりがちだ。そのため、各所がメッシュ構造になっている開放型のほうがベター。開放型ではメッシュを通じて内気と外気の交換が自然に行なわれるため、内部に熱がこもりにくい。

 また、大型のCPUクーラーを装着できるかどうかも重要なポイントだ。大型のCPUクーラーであれば、ケースファンの回転数を落として静音性を高めても、冷却性能が低下しにくい。

■低回転でファンを動作できる大型のCPUクーラー

 CPUクーラーの性能は、ヒートシンクの性能とファンの回転数によって決まる。CPUからヒートシンク部分へ熱を移動するヒートパイプの本数が多く、多数のアルミフィンを組み合わせたタイプがオススメだ。添付ファンの回転数にも注目しよう。最小回転数を300~500rpm前後に設定できるタイプだと、無音に近い動作が期待できる。

 高さのあるサイドフロータイプのCPUクーラーを装着できないPCケースでは、トップフロータイプを組み合わせるとよい。製品数は少ないが、多数のヒートパイプを組み合わせた高性能な製品がいくつか存在する。

■発熱の小さいCPUとファン制御機能に優れるマザーボード

 発熱の目安となるTDPの値が低いCPUは、発熱も小さい。静音PCを作る場合には、こうしたTDPの低いCPUを選ぼう。IntelのCPUでは、製品名の末尾に「T」が付くタイプを選択するとよい。今回は2コアで定格動作クロックが3.2GHz、TDPが35Wの「Core i3-6100T」を組み込んだ。このほか4コアのCore i5シリーズでも、TDPが35Wのモデルが存在する。

 マザーボードは、ASUSTeK「B150I PRO GAMING/AURA」。LEDによる美しい電飾機能もさることながら、きめ細かなファンコントロールが行なえる「Fan Xpert 2+」が決め手となった。

ファンを交換してさらに静音性を追求

 一通り組んでFan Xpert 2+を「標準」に設定してみると、これだけでもかなり静かに動作する。動作音は高負荷時でも34dB以下と、ケースに耳を近付けないと分からないレベルだった。

 また開放型のケースからHDDの動作音がどの程度漏れてくるかを試すため、5,400rpmの3.5インチHDDを取り付けて同じテストを行なってみた。数値的には大きな違いはないが、小型PCはユーザーに近い位置に設置することが多く、回転音やアクセス音がいっそう耳に障る。SSDのみの構成なら、こうしたHDDの動作音には悩まされない。静音PCの作成において、大容量SSDが安くなったことのメリットは非常に大きい。

 さらなる静音化を目指し、ケースの背面ファンを最大回転数が800rpmの「KAZE-JYUNI 800rpm」に変更、CPUファンとケースファンを両方とも400rpm前後で動作するように調整すると、高負荷時でさえも暗騒音以下という満足すべき結果となった。

 CPU温度は、ファンが動作しているなら高負荷時でも46?47℃。低発熱のCPUを組み合わせているため、もともとの発熱量も小さいのだろう。ただしケースファンを停止した場合は64℃まで上昇してしまった。この温度でも動作に問題はないが、念のためもっとマージンが欲しいのであれば、極力低速でケースファンを回すように調整しよう。

 軽めのeスポーツ系ゲームで遊ぶなら、Core i5-6600にH170搭載のミドルレンジマザー、GeForce GTX 1060搭載カードがあれば十分な性能は出るが、重量級の大作ゲームを快適に遊ぶには、今回の構成がよいだろう。逆にGeForce GTX 1080搭載ビデオカードを選ぶなら、さらに4万円以上予算が必要になるため、ハードルはかなり高くなる。

【M.2対応SSDならケーブル接続が最小限に】

Samsung Electronics
SSD 950 PRO M.2
MZ-V5P512B/IT

シーケンシャルリードは何と2,500MB/s、シーケンシャルライトも1,500MB/sというNVMe対応の超高速SSDだ

 M.2対応SSDは非常に高速で、PCの「足まわり」を強化してくれる魅力的なパーツだ。しかし小型PCではもう一つ、「組み込みが楽になる」というメリットがある。

 2.5インチSSD を利用する場合は、Serial ATAポートや電源ケーブルを接続しなければならない。しかしM.2対応S S Dは、マザーボードにネジ止めするだけでよい。ケース内部に余裕がある大型ケースと比べると、余ったケーブルを遊ばせておいたり、まとめたりするスペースが少ない小型ケースでは、そうした特性がさらに光る。

B150I PRO GAMING/AURAでは、背面にM.2スロットを搭載している
PCMark 8の「Storage」を1時間連続で行なうと、コントローラの温度は63℃まで上がった。ストレージに高い負荷をかけ続ける用途では注意が必要

【検証環境】

室温:26.2℃
暗騒音:32.2dB
アイドル時:OS起動10分後の値
動画再生時:解像度1,920×1,080ドットの動画ファイルを1時間再生したときの最大値
高負荷時:OCCT 4.4.2 POWER SUPPLY テストを10分間動作させたときの最大値
動作音測定距離:PCケースのフロントパネルから20cm
CPU温度:HWMonitor 1.29のCPU Temperatures のPackageの値


【問い合わせ先】

Intel:0120-868686(インテル)/http://www.intel.co.jp/
ASUSTeK Computer:info@tekwind.co.jp(テックウインド)/http://www.asus.com/jp/
Micron Technology:-/http://jp.crucialproducts.com/
ディラック:03-5298-3880 /http://www.dirac.co.jp/
Corsair Components:03-5812-5820(リンクスインターナショナル)/http://www.corsair.com/
サイズ:support@scythe.co.jp /http://www.scythe.co.jp/
Fractal Design:03-5215-5650(アスク)/http://www.fractal-design.jp/
CRYORIG:03-5298-3880(ディラック)/http://www.cryorig.com/


[Text by 竹内 亮介]


DOS/V POWER REPORT 2016年10月号は8月29日(月)発売】

★第1特集「超高速・大容量・低価格 重要キーワードと製品を一気読み 『買いの最新SSD総チェック』」
★第2特集「2016年登場のニューフェースを徹底検証! 『新顔ATX電源大品評会』」
★特別企画「ガジェット活用で楽しく生活改善 『IT派の活動量計入門』」「スイッチ、レイアウト、デザイン……アナタの決め手は? 『キーボード選び放題』」「ゲーミングモデルを中心に続々登場! 『新世代高機能マウス30製品』」
★連載「最新自作計画 ~メニイコアでもお買い得 VRレディのパワフルPC~」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」
★ 特別付録小冊子「市場に並ぶ140超の製品をまるっと収録 電源名鑑 2016」(雑誌のみ別途付録、電子版は巻末に収録)
★ 雑誌を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 毎月700円(税込)で最新号が読める 直販電子版 月額プランも受付中
http://book.impress.co.jp/teiki/dvpr/2016-08-22-0943.php

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