パワレポ連動企画

【10年使えるATXケース徹底紹介(8)】
~Lian Li PC-A56 / SilverStone SST-FT05 / ディラック UNIVERSAL~

DOS/V POWER REPORT 2015年3月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集記事をほぼまるごと紹介するこのコーナー、今回は「10年使えるATXケース徹底特集」の第8回目としてLian Li Industrialの「PC-A56」とSilverStone Technologyの「Fortress SST-FT05」、ディラックの「UNIVERSAL」の検証記事を掲載する。

 ケースを選ぶ際には拡張性や冷却性能が重視されるが、設置場所が限られる場合はケースの寸法も重要な要素となる。高さや幅はもちろんだが、意外と無視できないのが奥行きだ。実際にPCを動かす場合、電源やモニターのケーブルを接続することになるが、これらのケーブルはコネクタ部も含め直角には曲げられないので思いのほか後方にはみ出す。ケースの側面部と違い設置の際に「壁にぴったり」というわけにはいかないので、奥行きについては最低でも10cm程度は余裕が必要だということを覚えておこう。

 この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年3月号は全国書店、ネット通販にて絶賛発売中。3月号では本特集のほか、今話題の低価格タブレットPCを筆頭にその魅力に迫る「2万円からのフル機能激安PC選び」、用途・予算に合わせて選ぶ「低価格CPU大全」、髙橋敏也氏による連載記事「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」など、多数の記事を掲載。

 今号の特別付録は「使えるPC小物&周辺機器大カタログ」。ちょっと欲しい!今すぐ欲しい!がいっぱい!!の内容だ。


- ATXケースの選び方 2015年版 -
10年使えるATXケース徹底紹介


高さを40cm以下に抑えたフルアルミケース

Lian Li Industrial PC-A56

メンテナンス性 ★★★★☆
冷却拡張性   ★★★☆☆
剛性      ★★★☆☆

 Lian Liの「PC-A56」は、ミドルタワーながら高さが386mmと非常に低いのが特徴のフルアルミケース。拡張性を犠牲にせず、ラックなど高さに制限がある場所にPCを設置したい人にはピッタリだろう。

 高さを抑えるために、電源を前面の下部に配置する独特のレイアウトを採用。そのため、電源ケーブルを背面に回り込ませるための専用ケーブルをケース内部に用意している。その一方で、奥行きは504mmと長めだ。ビデオカードは最大29cmのものまで搭載できるが、ハイエンドモデルだと組み込めない可能性があるので注意が必要だ。

 冷却、静音性については前面と背面にファンが1基ずつと一般的な構成。天板のカバーを外すと14cm角ファンを追加できる。しかし、ファンがむき出しの状態となるため、ファンガードを用意するなど工夫が必要と言える。

 メンテナンス性は悪くない。HDDやSSDは専用のゴムとネジを取り付けることで、シャドーベイへと簡単に固定できる。サイドパネルもフロントパネルもツールレスで外すことが可能だ。このほか、裏面配線がしやすいように、ケーブルをまとめられるフックを裏面に用意している。

【Specification】

規格:ATX●カラー:シルバー、ブラック●付属電源:なし●ベイ:5インチ×2、3.5インチシャドー×3、2.5インチシャドー×2●標準搭載ファン:12cm角×1(前面)、12cm角×1(背面)●追加搭載可能ファン:14cm角×1(天板)●本体サイズ(W×D×H):210×504×386mm●重量:4.1kg●実売価格:15,000円前後

天板にファンを追加可能
天板にあるアルミカバーを外すと14c m角のファンを追加できる。ただし、むき出しの状態となるので、ファンガードの追加など工夫が必要
全高が低いのが大きな特徴
高さが386mmに抑えられているのが最大の特徴だ。一般的なミドルタワーケースと比べるとその低さが分かる
電源はフロントに装着
電源はフロントに装着する。あまり奥行きが長い電源だと拡張カードやマザーボードに干渉する恐れがあるので注意が必要だ
底面にはフィルタを搭載
電源のファンは底面を向くため、底面にはメッシュ状の穴とフィルタを用意。フィルタは簡単に外せるので清掃もラクだ

5インチスリムベイで広い内部
特徴的なマザー倒立型レイアウト

SilverStone Technology Fortress SST-FT05

メンテナンス性 ★★★★☆
冷却拡張性   ★★★☆☆
剛性      ★★★★★

 インテリアのようなスラリとしたデザインが目を引くミドルタワーケースだ。その大きな特徴は、一般的な5インチベイを排除し、光学ドライブ用のベイはスロットイン仕様のスリムタイプに限定することで、広い内部スペースを確保。パーツを組み込みやすくしている。

 加えて、同社お得意のマザーボードを倒立した形で配置するレイアウトを採用。暖められた空気は上昇するという煙突効果に加え、底面に2基ある18cm角の大型ファンによって高い冷却性を確保している。天板には12cmサイズ、底面には24cmサイズの水冷キットの取り付けも可能だ。

 また、静音性にもこだわっており、側面には防音シートが貼られているほか、天板のスイッチで冷却ファンの回転数を600/900/1,200rpmの3段階で調整できる。なお、ビデオカードは最大31.2cmのものまで搭載可能だ。天板にはホコリの侵入を防ぐフィルタが用意され、しかもケースを閉じた状態でも簡単に引き出せるためお手入れもしやすい。奇抜なようで使いやすいように細部まで作り込まれている1台と言える。

【Specification】

規格:ExtendedATX●カラー:ブラック●付属電源:なし●ベイ:5インチ×2、3.5/2.5インチシャドー×3、2.5インチシャドー×2●標準搭載ファン:14cm角×1(前面)、14cm角×1(背面)●追加搭載可能ファン:14/12cm角×1(前面)、12cm角×1(前面、14cm角×1と排他)、14/12cm角×1(側面)、14/12cm角×2(天板)、14/12cm角×1(底面)●本体サイズ(W×D× H):233×517×451mm●重量:7.8kg●実売価格:27,000円前後
AKIBA PC Hotline!掲載記事:SSI-CEB対応でコンパクト設計のPCケースが発売 “煙突構造”を採用、SilverStone製 (2014/9/12)

倒立型のレイアウト
カードのブラケットが天板側を向く倒立型レイアウトを採用。5インチベイがないため内部は広い。31.2cmまでのビデオカードに対応
18cm角の大型ファンを搭載
底面には18cm角の大型ファンを2基備えている。底面から吸気し、天板に空気を送ることで煙突効果を向上させる
天板にはファンコンを備える
天板にはU S B3.0といったコネクタ類のほか、底面のファンの回転数を3段階で調整できるファンコンも備える
スロットイン式のベイを用意
通常の5インチベイはないが、右側面にスロットイン式のスリムドライブに対応するベイを用意している

標準で高い冷却力
メンテナンス性も高い

ディラック UNIVERSAL

メンテナンス性 ★★★★☆
冷却拡張性   ★★★☆☆
剛性      ★★★★★

 無骨な雰囲気ながら、高い剛性とメンテナンス性、拡張性を備えたミドルタワーケース。ボディには0.8mmと厚めのスチールを採用し、高い剛性を確保。フロントパネルには軽量なアルミを採用し、扱いやすくしている。

 標準で前面に14cm角ファンを2基、背面に12cm角ファンを1基備え、冷却力は高いが、その分、動作音は大きめ。静音性を高めたいなら、マザーボードのファンコントローラを使うなど回転数の調整を行ないたいところだ。

 ストレージは2.5インチ、3.5インチとも専用のゴムとネジを取り付けることで、挿し込むだけで固定が可能。5インチベイも上段2基はツールレスで固定できるなどメンテナンス性にも優れている。2.5インチと3.5インチのシャドーベイは2基のドライブケージで構成されており、そのうち一つ(上段)を外すことで最大41.5cmのビデオカードを取り付け可能だ。

 このほか、マザーボードベース裏面にはケーブルを固定するためのクランプが用意されており、ケーブルをまとめやすくなっている。前面と底面にはホコリを防ぐフィルタも搭載。取り外しやすいため、ホコリがたまってもすぐに清掃できる。

【Specification】

規格:ATX●カラー:フルブラック●付属電源:なし●ベイ:5インチ×3、3.5インチシャドー×6、2.5インチシャドー×4●標準搭載ファン:14cm角×2(前面)、12cm角×1(背面)●追加搭載可能ファン:14/12cm角×2(側面)●本体サイズ(W×D×H):214×492×475mm●重量:約10kg●実売価格:16,000円前後
AKIBA PC Hotline!掲載記事:今週見つけた新製品 ディラック Universal (2014/11/19)

高い冷却力を確保
前面には14c m角ファンが2基、背面には12c m角ファンが1基搭載されており、高い冷却力を備えている。ただし、動作音は大きめ
最大10台のストレージに対応
2基のドライブケージには、それぞれ3.5インチドライブを3台、2.5インチドライブを2台ずつ、合計10台まで取り付け可能だ
大きなビデオカードにも対応
上段のドライブケージを外すことで、内部スペースを広くできる。これにより、最大41.5c mのビデオカードを取り付けできる
ケーブルクランプも備える
右側面にはケーブルをまとめて配線できるケーブルクランプを用意。これにより内部をスッキリさせられる

[Text by 芹澤正芳]


DOS/V POWER REPORT 2015年3月号は2015年1月29日(木)発売】

★第一特集「10年使えるATXケースを買う」
★第二特集「2万円からのフル機能激安PC選び」
★特別企画「低価格CPU大全」「スマホから使える多機能リモコン」「ブラウザゲーム群雄割拠」
★連載「最新自作計画」「POWER REPORT PLUS」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」

★ 紙版を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 紙版は特別付録小冊子「使えるPC小物&周辺機器大カタログ」が別途付属
★ 電子版では小冊子の電子版も完全収録
★ 電子版は割安な税別926円
★ 毎月700円(税込)で最新号が読める 直販電子版 月額プランも受付中
http://book.impress.co.jp/teiki/dvpr/2014-12-26-1549.php

【電子販売ショップ】

(AKIBA PC Hotline!編集部)