パワレポ連動企画

Windows 10に搭載される新ブラウザ「Edge」
~IEに変わる標準ブラウザ~

【即効! Windows 10×PC自作(5)】

DOS/V POWER REPORT 2015年9月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2015年9月号」の第一特集「新OSがあなたのマシンを変える 即効!Windows 10 × PC自作」を掲載する。

 第五回目となる今回は、Windows 95から長く使われていたInternet Explorerに変わるWebブラウザ「Edge」を解説する。

 この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年9月号は全国書店、ネット通販にて7月29日(水)に発売。ついに発売されるWindows 10を解説した第一特集のほか、頻繁に買い換えるものではない電源ユニット、カタログや口コミだけでは分からない部分を徹底解析する第二特集「出力だけじゃない! 効率だけじゃない! 2年後に後悔しない電源」、二次元世界の嫁の写真(イラスト)もきれいに拡大!「“最新ハードによる”waifu2x活用講座」、容量も重要だけど、やっぱり品質にも気を遣いたい「安くなった高性能、高品質メモリを狙え! DDR4/DDR3メモリコレクション2015」、MVNOのお供に選べるスマホ「選べる自由とハイコスパをその手に! すぐ買えるSIMフリースマホ」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は高音質、ハイレゾ対応、デザイン性、コストパフォーマンス、多彩なニーズに応えます!「サウンドデバイス大全2015」だ。


- Windows 10に搭載される新ブラウザ「Edge」 ~IEに変わる標準ブラウザ~ -


過去の混乱からの脱却
Edge

 目に見える機能強化だけでなく、レンダリングエンジンなどといった内側においてもInternet Explorerから大きく変化したのが、Windows 10の標準Webブラウザである「Edge」だ。

 Windows 10に搭載されているアプリの中で、もっとも注目を集めているのは「Edge」だろう。Internet Explorerに変わる新たな標準Webブラウザであり、レンダリングエンジンを刷新したほか、JavaScriptを高速化するための言語仕様である「asm.js」をサポートするなど、さまざまな改善が図られている。また、Webページにフリーハンドでメモを書き込んだり、コメントを追加したりすることができる「Webノート」など、新機能が追加されたこともポイントだ。

 互換性の確保を目的として、Windows 10にはInternet Explorerもインストールされている。ただスタートメニューにはInternet Explorerの項目はない。Internet Explorerを利用するには、Edgeのメニューから「InternetExplorerで開く」を選ぶか、検索して起動する必要がある。

 Microsoftは今後短いスパンでEdgeをアップデートし、ユーザー自身で機能拡張できる仕組などを提供するとしている。

Edgeの設定

 複数のタブが並び、それぞれに細かな設定項目を用意していたInternet Explorerの設定画面と比べると、Edgeで設定できる項目は少ない。設定画面とその先にある詳細設定の二つがあり、見た目の変更やデータの管理、ポップアップブロックやCookieの制御などの項目はあるが、たとえばInternet Explorerにあったセキュリティゾーンの設定などは見当たらなかった。

 今後、機能強化が進めば項目数は増えると思われるが、現段階では必要最小限の項目だけが用意された形だ。

見た目の設定や履歴を管理「設定」画面
ポップアップブロックやFlashは詳細設定で
テーマ(ウィンドウ枠の色を白と黒から選択)やお気に入りバーの表示/非表示の切り換え、起動直後やタブを開いたときに表示するページを選択できる「設定」画面。閲覧履歴やCookie、キャッシュ、パスワードなどの消去を行なうには「クリアするデータの選択」をクリックする
設定画面の下部にある「詳細設定を表示」をクリックすると、この画面に移動する。ホームボタンの表示/非表示、ポップアップブロック、Flash PlayerのON/OFFなど、細かな設定はこちらで行なう。トラッキング拒否要求やCookieのブロックなどもここで設定できる

Webノートの作成

 ほかのWebブラウザにはない新機軸で、Edgeの目玉と言える機能が「Webノートの作成」だ。表示中のWebページに対し、ペンや蛍光ペンによるフリーハンドでの書き込み、コメントの追加、ページの一部をコピーする機能などが備えられている。またページの一部分を切り抜くための機能が用意されているほか、保存ボタンを押せば、書き込んだメモを含めて表示されている内容をお気に入りやリーディングリスト、OneNoteに保存可能である。

ペンと蛍光ペンで書き込める
Webページにコメントを追加する
フリーハンドで書き込むためのツールは、ペンと蛍光ペンの2種類で、色とサイズを選択できる。消しゴム機能も装備する
キーボードでメモを入力できる「コメント」機能。画面上のアイコンをクリックしてページ上をクリックすると、吹き出しが現われる

リーディングリスト

 Windows 8.1のWindowsストアアプリ版のInternet Explorerに搭載されていた、「リーディングリスト」の機能も備えている。「お気に入り」に似た機能だが、Webサイトそのものを登録するお気に入りに対し、リーディングリストはWebサイトの中にある記事を登録しておくための機能だと言える。「今は時間がなくて読めないが、後でじっくり読みたい」といった記事を登録するのに使えるだろう。コンテンツを読みやすい形に整形してくれる、「読み取りビュー」も便利だ。

記事をリーディングリストに登録
「読み取りビュー」を活用
アドレスバーにある「お気に入り」ボタンをクリックし、「リーディングリスト」を選ぶと記事をリストに追加することができる
リーディングリストに登録した記事が長かった場合、「読み取りビュー」を使えばシンプルな表示となり、記事を読みやすくなる

PDF/Flashに標準で対応

 EdgeでPDFファイルのリンクを開くと、別のアプリで表示するのではなく、そのまま自身のウィンドウ内に内容を表示するようになった。また従来プラグインとしてインストールする必要があった、Flash Playerも内蔵している。なおPDFはPCのストレージなどに保存しているローカルファイルでも表示できるほか、そのまま印刷することも可能である。これにより、PDFを表示するためだけにわざわざ別のアプリをインストールする必要がなくなったのはうれしい。

PDFをそのまま表示
Flash Playerを内蔵
PDFへのリンクをクリックした際、Internet Explorerでは保存するか別のアプリで開いていたが、Edgeではそのまま表示することが可能だ
MicrosoftとAdobeの協業により、EdgeにFlash Playerが内蔵されたため、別途プラグインを入手する必要はない

大きく変わったEdgeの内部

 Webノートの作成といった新機能の追加以上に、大きな注目を集めているのがEdgeにおける内部的な改良だ。

 まず、前述したようにEdgeではレンダリングエンジンを刷新している。従来のInternet Explorerで使われていたのはTridentだが、とくに過去のバージョンにはWeb標準技術における互換性の問題があった。そこで新たに開発されたのがEdgeで使われているedgeHTMLだ。Internet Explorer(Trident)の大きなしがらみであった過去バージョンとの互換性を維持するためのコードをそぎ落とし、Web標準技術だけをサポートするように改められている。

WebRTCに対応
Internet Explorerでは対応が見送られていたが、EdgeではWebRTCに標準で対応した。
WebRTCを使ったチャットサービスである「WebRTC Chat on SkyWay」にアクセスすると、Internet Explorerでは利用できない旨が表示されるが、Edgeなら問題なく利用できる

 Edgeの内部的なポイントとして、もう一つ見逃せないのがセキュリティ強化だ。ActiveXやVBScript、BHO(Browser Helper Object)、VML(Vector Markup Language)など、脆弱性の原因となり得る古い技術のサポートが打ち切られている。同様に、動画やアニメーションを使ったリッチなコンテンツをWebブラウザ上で表現するためにMicrosoft自身が開発した「Sliverlight」もサポート対象外となった。

 このように脆弱性の原因となり得る技術を切り捨てつつ、デバイスに依存せずに動作するユニバーサルWindowsアプリになったことで、さらなるセキュリティの向上を果たしている。ほかのアプリケーションとの通信やOSの機能の利用を制限する、サンドボックス(保護された領域)内で各Webページをレンダリングするため、攻撃を目的とした悪質なWebサイトにアクセスしてしまったとしても、攻撃を受けるリスクを低減することができるからだ。Webブラウザを狙った攻撃が増加し続けている現状を考えると、Edgeのこうした方向転換の意義は大きい。

Edgeのパフォーマンスを検証

製品版直前でさらに改良
GoogleのJavaScriptベンチマークである「Octane 2.0」。Edgeは製品版直前のビルド10240でさらに手が加えられ、以前のビルドよりも性能を高めている

 Edgeでは、パフォーマンス面での改善も図られている。その一つとして注目されているのが「asm.js」の採用によるJavaScriptの高速化だ。asm.jsはJavaScriptを高速に実行することができるサブセットで、事前にコードをコンパイルすることにより実行速度を高速化する。この高速化の効果が見えるのが、Googleが公開しているJavaScriptベンチマークである「Octane 2.0」の結果だ。Internet Explorer 11のスコアは18,432にとどまっているが、Edgeは倍以上の39,143という結果を叩き出した。ChromeやFirefoxも上回っており、搭載されているJavaScriptエンジンの優秀さがうかがえる。


※掲載されている画面はすべてWindows 10 Insider Previewビルド10240のものです。


【検証環境】

CPU:Intel Core i5-4670(3.4GHz)
マザーボード:ASUSTeK H87M-PRO(Intel H87)
メモリ:CFD販売 CFD Elixir W3U1600HQ-4G(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)
ビデオカード:ASUSTeK STRIX-GTX960-DC20C-2GD5(NVIDIA GeForce GTX 960)
SSD:Lite-On Plextor PX-128M2P(Serial ATA 3.0、MLC、128GB)
電源:Enermax Revolution 87+(750W、80PLUS Gold)


[Text by 川添貴生]


DOS/V POWER REPORT 2015年9月号は2015年7月29日(水)発売】

★第1特集「新OSがあなたのマシンを変える 即効!Windows 10 × PC自作」
★第2特集「出力だけじゃない! 効率だけじゃない! 曖昧な口コミでは分からないデータが一杯! 2年後に後悔しない電源」
★特別企画「二次元画像の美麗アプコンで超話題 “最新ハードによる”waifu2x活用講座」「安くなった高性能、高品質メモリを狙え! DDR4/DDR3メモリコレクション 2015」「選べる自由とハイコスパをその手に! すぐ買えるSIMフリースマホ」
★連載「最新自作計画」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」

★ 紙版を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 特別付録小冊子「サウンドデバイス大全2015」(紙版のみ別途付録、電子版では本誌末尾に収録)
★ 毎月700円(税込)で最新号が読める 直販電子版 月額プランも受付中
http://book.impress.co.jp/teiki/dvpr/2015-07-22-0000.php

【電子販売ショップ】

【関連書籍】
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(AKIBA PC Hotline!編集部)