パワレポ連動企画

Windows 10世代のパーツ選び SSD編

【即効! Windows 10×PC自作(12)】

DOS/V POWER REPORT 2015年9月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2015年9月号」の第一特集「新OSがあなたのマシンを変える 即効!Windows 10 × PC自作」を掲載する。

 第十二回目の今回は、Windows 10世代の自作PCに最適なSSDを紹介する。SSDのための新インターフェース「NVMe」や、最近のマザーボードであれば利用可能な場面が大幅に増えてきているM.2、そして既存のSATA接続SSDについても解説する。

 この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年9月号は全国書店、ネット通販にて7月29日(水)に発売。ついに発売されるWindows 10を解説した第一特集のほか、頻繁に買い換えるものではない電源ユニット、カタログや口コミだけでは分からない部分を徹底解析する第二特集「出力だけじゃない! 効率だけじゃない! 2年後に後悔しない電源」、二次元世界の嫁の写真(イラスト)もきれいに拡大!「“最新ハードによる”waifu2x活用講座」、容量も重要だけど、やっぱり品質にも気を遣いたい「安くなった高性能、高品質メモリを狙え! DDR4/DDR3メモリコレクション2015」、MVNOのお供に選べるスマホ「選べる自由とハイコスパをその手に! すぐ買えるSIMフリースマホ」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は高音質、ハイレゾ対応、デザイン性、コストパフォーマンス、多彩なニーズに応えます!「サウンドデバイス大全2015」だ。


-Windows 10世代のパーツ選び SSD編-


Windows 10世代のパーツ選び
SSD

 SSDは性能を追求するNVM Express対応製品の販売が始まり、コスパを追求するSerial ATA接続の製品との2極化が進んでいる。Windows 10はNVM Expressに標準対応しており、対応SSDへの移行準備は万全だ。

Windows 10 世代の最新トレンド

1. NVMe対応SSDの増加

 SSDで利用することを前提に標準化された最新のインターフェース仕様であるNVMe(NVM Express)は、現時点ではSamsungとIntelしか対応製品の出荷を行なっていない。しかし、ほかのメーカーでもNVMe対応SSDの開発を進めており、MarvellやSandForce部門をLSIより買収したSeagateなどのメーカーも対応コントローラの出荷をすでに開始している。このため、現状では数少ないNVMe対応SSDだが、今後は他社からも順次登場してくると思われる。

IntelのNVMe対応SSD
PCI Expressで接続するNVMe
Intel
SSD 750 SSDPEDMW400G4R5
実売価格:54,000円前後
現状、市場で入手できるNVMe対応SSDは、PCIExpressカード形状のIntel SSD 750のみ。PCI Express 3.0 x4接続に対応。公称最高速度(リード/ライト)は、2,200MB/s / 900MB/s
Intel 750シリーズを接続したデバイスマネージャーの画面。今回はCPU側のPCI Expressに接続している。Intel製ドライバで利用しているが、Windows 10標準のドライバでも動作する

 NVMe対応製品は、PCI Express接続の製品が基本だが、Serial ATA接続のAHCIベースでも利用できる両対応の製品が登場する可能性もある。たとえば、Seagate SandForceのコントローラは、PCI ExpressとSerialATAの両方に対応しており、東芝も自社開発の両対応コントローラ搭載SSDを展示会などで参考出品している。

 対応UEFIを搭載したIntel 9シリーズチップセットマザーボードであれば、NVMe対応SSDからOSの起動が行なえ、Windows 8以降にはOS標準ドライバも備わっている。また、Intel 750シリーズのAIC(拡張カード)版の製品はブート用のOROM(Option ROM)を搭載しているようで、Intel 7/8シリーズチップセット搭載マザーボードでもOS起動を行なえる場合がある。現在、最速のNVMe対応SSDを利用できる環境は、意外に整っている。

【NVMeとAHCIの機能比較】

NVMeAHCI
キューの総数64,0001
キューに蓄積可能なコマンドの数64,00032
インターフェースPCI ExpressPCI Express/Serial ATA
Trimサポート
NVMeの性能と特徴は?

 NVMe対応SSDの性能面のトピックとしては、マルチタスク/マルチスレッドへの対応と、キューあたり6万4,000コマンドをためることができるディープキューへの対応がある。CrystalDiskMark 4.1.0の4KiB Q32のリード/ライトの結果は、それを如実に表している。Intel 750は、スレッド数を1、2、4と増やすと4KiB Q32のリード/ライト速度が最大約1.8倍に高速化されている。一方でシーケンシャル速度は、スレッド数を増やしても向上しない。シングルスレッドの状態で最大速度に達しているからである。

 ユーザーの体感速度を数値化するベンチマーク「PCMark 8」の結果がS6TNHG6QやPlextor M6eと大差ない点も、ビジネスアプリではシングルスレッドで利用されることが多いのが理由だ。NVMe対応SSDは、マルチスレッド環境で利用してこそ、本来の性能を発揮することができる。そのため、ビジネスアプリでは体感速度に差が出にくいというわけである。

 また、Intel 750シリーズは、消費電力も高く、S6TNHG6QやPlextor M6eと比較して通常時で約4W、高負荷時は、S6TNHG6Qよりも5W、M6eよりも3Wほど消費電力が高い。

【「NVMeの性能と特性は?」検証環境】

CPU:Intel Core i5-4460(3.2GHz)
マザーボード:ASRock Z97 Extreme6(Intel Z97)
メモリ:Micron Crucial BLT2K8G3D1608ET3LX0(PC3-12800 DDR3 SDRAM 8GB×2)
グラフィックス機能:Intel HD Graphics 4600(Core i5-4460内蔵)
システムSSD:東芝 HDTS325XZSTA(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)
検証SSD:Intel SSD 750 SSDPEDMW400G4R5(PCI Express 3.0 x4、MLC、400GB)、Lite-On Plextor M6e PX-AG256M6e(PCI Express 2.0 x2、MLC、256GB)、CFD販売 S6TNHG6Q CSSD-S6T256NHG6Q(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)
電源:玄人志向 KRPW-P630W/85+
高負荷時:Iometer Ver1.1.0で4KB Random Read、4KB Random Write、128KB Seq Read、128KB Seq Writeの四つのタスク(QDはすべて32でシングルスレッドで実行)を順次1分間実行した際の最大値、アイドル時:上記タスクの実行を終了してから15分後の値

2. インターフェースの主流はM.2に!

M.2形状SSDが主流に
現在では、M.2形状の製品でも最大容量1TBの製品を製造できる。OEMでは、2242サイズなどの小型の製品も引き合いが多い

 Serial ATA接続のSSDでは、2.5インチ形状の製品が主流だったが、NVMe対応SSDでは、「M.2」対応製品が主流になる可能性が高い。と言うのもSSDメーカーの多くは、PCメーカー向けのOEMをビジネスのメインに据えており、この分野の主流は2.5インチ形状ではなく、M.2形状へと移ってきているからだ。現状、NVMeの2.5インチ形状製品は、一般的なPC向けに提供される予定はほぼなく、サーバーなどで利用するエンタープライズ向けぐらいしか用途が見えていない。2.5インチ形状のNVMe対応SSDは、少なくともコンシューマ向けとしてはニッチな製品となる可能性が現状では非常に高い。

 一方、未知数なのが、拡張カード形状の製品である。このタイプの製品は、消費電力面などでの自由度が高い自作PC向け市場においては、ハイエンドクラスでの主流になる可能性が残っている。

3. 容量単価の低下が進む

 SSDの現在のトレンドは、安価なTLCチップを採用することで低価格化を推し進めることにある。このため、TLCチップ採用SSDが増加傾向にある。また、SSDの現在の売れ筋は250~500GBの容量の製品である。GB単価がもっとも安価でコストパフォーマンスが高いのが500GBクラスの製品。250GBクラスの製品は、1万円強で購入できる価格の安さが魅力だ。SSDを購入するなら250~500GBの製品がオススメだ。

【主なSSDの実売価格とGB単価】
メーカー製品名記録容量タイプ実売価格GB単価
CFD販売S6TNHG6Q CSSD-S6T256NHG6Q256GBMLC14,000円前後55円前後
CFD販売S6TNHG6Q CSSD-S6T512NHG6Q512GBMLC27,000円前後53円前後
MicronCrucial BX100 CT250BX100SSD1250GBMLC12,000円前後48円前後
MicronCrucial BX100 CT500BX100SSD1500GBMLC23,000円前後46円前後
Samsung850 EVO MZ-75E250B/IT250GBTLC13,000円前後52円前後
Samsung850 EVO MZ-75E500B/IT500GBTLC24,000円前後48円前後
SanDiskUltraⅡ SSD SDSSDHII-240G-J25240GBTLC12,000円前後50円前後
SanDiskUltraⅡ SSD SDSSDHII-480G-J25480GBTLC21,000円前後44円前後

Windows 10でTrimはどうなる?

NVMe対応ドライブにもTrimを送れる
ドライブの最適化では、Serial ATA接続のSSDだけでなく、NVMe対応SSDにもTrimコマンドを利用したメンテナンスを行なえる

 SSDを利用する上で欠かせないのが、Trimコマンドを利用したメンテナンスだ。Windows 8から「ドライブの最適化」を行なうことで、SSDに対してTrimコマンドを使ったメンテナンスが行なえるようになったが、Windows 10でもこの機能は変わっていない。

 この機能は、従来のSerial ATA 3.0接続のSSDだけでなく、NVMe対応SSDでも利用できるので、定期的にドライブの最適化を実行するようにしよう。

主な人気モデル

CFD 販売 S6TNHG6Q CSSD-S6T256NHG6Q

人気の東芝製ドライブを採用
東芝 TC358790XBG / Serial ATA 3.0

 東芝製SSD「HG6y」を採用した人気製品。メーカー製のPCにも採用されており、安定した動作とSerial ATA接続の製品の中ではトップクラスの性能を実現している点が特徴。価格もこなれてきており、コスパの高さも魅力となっている。

Specification
●容量:256GB●インターフェース:Serial ATA 3.0●コントローラ:東芝 TC358790XBG ● NAND型フラッシュメモリ:MLC●バッファメモリ:非公開●公称最高速度(リード/ライト):530MB/s / 490MB/s●厚さ:7mm ●実売価格:14,000円前後

Micron Technology Crucial MX200 CT250MX200SSD1

人気メーカーの最上位モデル
Marvell 88SS9189 / Serial ATA 3.0

 Crucialブランドのハイエンドモデル。120/250GBモデルでは、擬似SLCモードを利用して記録速度を高速化するダイナミック書き込みアクセラレーション技術を搭載する。ファームウェアバージョン「MU02」以降でWindows 10対応ハードウェア認証を取得している。

Specification
●容量:250GB●インターフェース:Serial ATA 3.0●コントローラ:Marvell 88SS9189● NAND型フラッシュメモリ:MLC●バッファメモリ:非公開●公称最高速度(リード/ライト):555MB/s / 500MB/s●厚さ:7mm●実売価格:14,000円前後

Samsung Electronics 850 EVO MZ-75E500B/IT

3D V-NAND搭載のバリュードライブ
Samsung MGX / Serial ATA 3.0

 「3D V-NAND」を搭載したエントリークラスの製品。TLCチップでありながら、従来のMLCチップと同等以上の耐久性と性能を実現している点が特徴。高い信頼性を実現しており、コスパもトップクラス。エントリークラスの製品だが5年という長期保証が付けられている。

Specification
●容量:500GB●インターフェース:Serial ATA 3.0●コントローラ:Samsung MGX ● NAND型フラッシュメモリ:TLC●バッファメモリ:512MB●公称最高速度(リード/ライト):540MB/s / 520MB/s●厚さ:7mm●実売価格:24,000円前後

【問い合わせ先】

Intel:0120-868686(インテル)/ http://www.intel.co.jp/
CFD販売:-/ http://www.cfd.co.jp/
Micron Technology:-/ http://jp.crucialproducts.com/
Samsung Electronics:ssd.sjc@samsung.com(サムスン電子ジャパン)/ http://www.samsung.com/jp/


[Text by 北川達也]


DOS/V POWER REPORT 2015年9月号は2015年7月29日(水)発売】

★第1特集「新OSがあなたのマシンを変える 即効!Windows 10 × PC自作」
★第2特集「出力だけじゃない! 効率だけじゃない! 曖昧な口コミでは分からないデータが一杯! 2年後に後悔しない電源」
★特別企画「二次元画像の美麗アプコンで超話題 “最新ハードによる”waifu2x活用講座」「安くなった高性能、高品質メモリを狙え! DDR4/DDR3メモリコレクション 2015」「選べる自由とハイコスパをその手に! すぐ買えるSIMフリースマホ」
★連載「最新自作計画」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」

★ 紙版を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 特別付録小冊子「サウンドデバイス大全2015」(紙版のみ別途付録、電子版では本誌末尾に収録)
★ 毎月700円(税込)で最新号が読める 直販電子版 月額プランも受付中
http://book.impress.co.jp/teiki/dvpr/2015-07-22-0000.php

【電子販売ショップ】

【関連書籍】
★DOS/V POWER REPORT編集部によるムック「絶対に失敗しない Windows 10 無料アップグレード」が発売中
Amazon.co.jp
http://www.amazon.co.jp/dp/4844338811/impresswatch-14-22/

(AKIBA PC Hotline!編集部)