パワレポ連動企画

ASUSマザーのAdvanced Modeを徹底解説
~Ai Tweakerメニュー詳細編~

【完全保存版・UEFI大事典(4)】

DOS/V POWER REPORT 2016年3月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2016年3月号」の第2特集「完全保存版・UEFI大事典」を掲載する。

 第4回目ではAi Tweakerメニューのいくつかの項目について、内容の詳細を解説する。各項目の頭に付いている番号は、前回掲載したAi Tweakerメニュー画像の左側にある番号に対応しているので、そちらも合わせて確認していただきたい。

 本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年3月号は全国書店、ネット通販にて1月29日(金)に発売。第1特集「現行100製品以上を網羅、自作やるならやっぱりATXケースでしょ!」や本コーナーで紹介する第2特集、MinecraftやUSB 3.1デバイスを集めた特別企画なども満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は「自作PCアクセサリ&周辺機器ギャラリー2016」。思わず手が出る、あんな物、こんな物、集めてみました!


【DOS/V POWER REPORT編集部よりお知らせ】
 本特集ではASUS製の人気マザーボード「Z170-A」のUEFIセットアップを解説していますが、3月11日発売予定の書籍「BIOS/UEFI完全攻略読本 Skylake&Windows 10対応版」では、Intel X99チップセット搭載の「X99-A」や、IntelZ97チップセット搭載の「Z97 PRO GAMING」、AMD A88Xチップセット搭載の「A88X-GAMER」を加え、主要プラットフォーム四つのUEFIセットアップの主要な設定項目を詳細に解説しています。こちらも合わせてご予約下さい。


-完全保存版・UEFI大事典-
Advanced Mode徹底解説 Ai Tweakerメニュー詳細編


Advanced Mode徹底解説

 Advanced Modeが備える設定項目の一つ一つをすべて理解する必要はない。ここでは、とくに重要な項目と、知っておくと役立つ項目を余さず取り上げている。

 どのような設定が用意されているのか、全体像を理解できれば十分だ。

UEFIセットアップの操作方法
今回使用したASUSTeKマザーボード「Z170-A」の場合

Ai Tweaker設定内容の詳細

1 CPUおよびメモリのオーバークロックに関する設定

a.XMP(Extreme Memory Profile)規格に対応したメモリモジュール利用時は「Ai Overclock Tuner」のドロップダウンリストに「XMP」という選択肢が出現し、それを選択することで本項目が現われる。メモリモジュールによっては複数のXMP設定を持っており、どの設定をロードするかをドロップダウンリストから選択できる。

b.「Ai Overclock Tuner」で「Manual」または「XMP」を設定することで出現する項目で、ベースクロックの値を設定できる。定格は100MHzで、上限は650MHz。

3 各CPUコアの動作倍率およびその同期方法に関する設定

「Sync All Cores」ではグレーアウトして選択できない2~4コアの倍率設定が、「Per Core」では変更可能になっていることが分かる

この項目が「Auto」の場合、2番の「ASUS MultiCore Enhancement」と連動して、各コアの動作倍率が自動的に調整される。標準設定である「Sync All Cores」は1~4コアアクティブ時の最大倍率を同一にする設定で、定格では1コアアクティブ時よりも低い倍率が設定されている2~4コアアクティブ時も1コアアクティブ時と同じクロックで動作するため、軽いオーバークロック状態となる。「Per Core」ではアクティブコア数ごとに動作倍率を設定できる。なお、最大Turbo Boost倍率を超える倍率を設定することができるのはKモデルCPU使用時のみ。

8 自動オーバークロック機能

TPUチップ

「TPU」(TurboV Processing Unit)と呼ばれるASUSTeK独自のオンボードチップを利用し、CPUのTurbo Boost倍率や内蔵GPUクロック、メモリクロック、電圧などを環境に合わせて自動OCする機能。

 「TPUⅠ」は空冷クーラーを利用する環境向けとされ、「CPU Core Ratio」の動作モードは「Per Core」が適用される。「TPUⅡ」は水冷クーラー向けの設定で、「CPU Core Ratio」の動作モードは「Sync All Cores」となり、オーバークロックの度合いも高まる。どちらかの項目を選ぶことで自動チューニングが開始され、1分ほどでPCが自動的に再起動し、OC設定が適用された状態で起動する。

 KモデルCPUの場合はそれなりにOCされるため、そのまま常用してもよいし、オーバークロックチューンの出発点として利用するのもよいだろう。

9 省電力機能の設定

EPUチップ

「EPU」(Energy Processing Unit)と呼ばれるASUSTeK独自のオンボードチップによる省電力設定を有効/無効にする設定。

 有効にすることでシステムの状態を常時監視し、電力供給を最適化することができる。

11 メモリのアクセスタイミングに関する詳細設定

a.メモリの各種タイミングに関する設定。メモリモジュールが搭載するSPDやXMPによって製品ごとの設定がロードされるため、基本的に変更する必要はない。設定値の左側にモニタされた実数が表示されている。

b.起動時にメモリの動作チェックを行なうかどうかの設定。無効にすると起動時間を短縮できる。

c.メモリクロックに合わせたメモリコントローラの遅延時間を設定できる。

d.スクランブラ(周波数帯変換機)の動作モードを設定する。

e.マザーボード上のメモリスロットのチャンネルごとに有効/無効を設定できる。

f.メモリコントローラの動作チェックの厳密さに関する設定。無効に設定することでオーバークロック耐性が向上するとされる。

g.この項目でLevel 2~4に設定することで、メモリのオーバークロック耐性が向上するとされる。

h.メモリのSMBusプログラミングを可能にするための高度な設定で、SPD書き込み機能を有効/無効にする。

12 CPU VRMに関する設定

a.「Auto」ではIntelが定めたVRMスペックに沿ってコア電圧が供給される。この項目では「Level 1」から「Level 7」までの設定が用意されており、数字の大きいLevelほど高負荷時でも電圧を下げることなく供給する。このためオーバークロック時の安定性が向上するが、CPUやVRMの発熱もその分大きくなる。

b.CPUに供給可能な電流の上限を高めるための設定。

c.CPU VRMのスイッチング周波数を調整するための項目。「Manual」に設定すると「Fixed CPU VRM Switching Frequency」という項目が出現する。

d.CPU VRMの動作周波数を変調させることで信号伝送時の電磁波を低減させる機能の有効/無効を切り換える。OC時は「Disabled」に設定することで安定性が高まるとされる。

e.CPU VRMの制御方法を設定する。「Extreme」に設定することでより大きな電流を流せるようになるが、発熱は増加する。

f.CPU VRMの稼働フェーズ数の設定。「Extreme」に設定することで常に最大フェーズで稼働するようになり、OCの安定性が向上する。一方で消費電力は増加する。

g.内蔵GPU用のVRM向けの各種設定で、設定内容はCPU VRMに準じたもの。

h.システムが起動する際に供給するCPUコアおよびリングバスの電圧。

i.システムが起動する際に供給するDMIの電圧。

j.システムが起動する際に供給するCPU内蔵のサービスエージェント部の電圧。

k.システムが起動する際に供給するCPU内蔵インターフェース部の電圧。

l.システムが起動する際に供給するスタンバイ状態の回路のCPU電圧。

13 CPUの動作クロックに関連した機能の設定

a.CPUの負荷に応じて動作クロックや電圧を段階的に変化させる拡張版Intel SpeedStep Technology(EIST)の有効/無効を設定する。

b.Turbo Boost Technologyの有効/無効を設定する。

c.Turbo Boost時に参照されるCPUの電力値の上限。単位はW。ここで大きめの値を設定しておくことで、Turbo Boost時に倍率を高く保ちやすくなる。

d.CPUの電力値が設定値を超えた後もブースト状態を維持する時間の設定。単位はミリ秒。

e.Turbo Boost時の電力の上限値の設定。単位はW。

f.AC(交流)とDC(直流)、それぞれの抵抗値に関する設定。

14 オーバークロック関連機能の詳細設定

a.FCLKとはCPU内部のシステムエージェント部のクロックで、ここではそれを変更できる。

b.オーバークロックを開始する際のベースクロック値の設定。

c.ベースクロックの振幅に関する設定。

d.ベースクロックの応答性に関するレートを設定する。高い値を設定することでオーバークロック耐性が向上するとされる。

e.電磁障害を低減するスペクトラム拡散の設定。これを無効にすることでオーバークロック時の安定が増すとされる。

f.ベースクロックの応答性に関する設定。

g.VPPDDRの電圧を設定できる。

h.CPUとチップセットを接続するDMIバスの電圧を設定できる。

i.CPU内部のPLLの電圧を設定できる。

[注意]

オーバークロック動作により、CPUやマザーボード、メモリなどのパーツが破損する、もしくは製品寿命が短くなる恐れがあります。メーカーの保証外の動作であるため、オーバークロックが原因で不具合が起きても保証を受けることはきません。また、メーカー、編集部ともにオーバークロック設定や不具合に関する問い合わせにはお答えできません。ユーザーの自己責任でお試しください。

[Text by 編集部 遠山健太郎]


DOS/V POWER REPORT 2016年3月号は1月29日(金)発売】

★第1特集「『高性能』と『自由度』に反応するあなたには、今も昔もコレ 自作やるならやっぱりATXケースでしょ!」
★第2特集「Skylake&Windows 10 環境の最適設定、知ってます? 完全保存版・UEFI大事典」
★特別企画「世界中で大ブーム!! オトナも遊べる! Minecraft事始め」「話題の10Gbps規格を活用しよう! 採れたてUSB 3.1対応デバイス24」「アップグレードに、リプレースに、効果は抜群! 大容量&小容量SSD」
★連載「最新自作計画」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」
★ 特別付録「思わず手が出る、あんな物、こんな物、集めました!自作PC アクセサリ&周辺機器ギャラリー 2016」(雑誌のみ別途付録、電子版では本誌巻末に収録)

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(AKIBA PC Hotline!編集部)