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2020年、HDDが1台30TBになる可能性も? データ復旧業者が語るHDD/SSDの最新技術
「NAS EXPO 2016 秋」開催レポート(データ復旧サービス編) text by 石井英男
2016年10月14日 19:51
10月8日、ベルサール秋葉原で、NASがテーマのイベント「NAS EXPO 2016 秋」が開催された。
NAS EXPO 2016 秋は、主要NASメーカーや関連機器メーカーが参加し、NASの基本的な使い方からクラウド/スマホとの連携、ビジネスやプライベートでの活用までを紹介するウエスタンデジタルジャパン主催のイベントであり、今回が2回目の開催となる。初開催となった昨年は1万名近くが来場し大成功となったが、今回は昨年を上回る13社・ブランドが出展し、来場者数も昨年を上回ったという。
当日のイベントでは、新製品の展示やステージセッションなど、多くの見どころがあった。弊誌では、既に「NASの入門編」「NASメーカー編」「HDD/周辺機器編」のレポートを掲載しているが、最後の今回は「データ復旧サービス編」をお届けする。
データ復旧サービスとして出展したのは、くまなんピーシーネットとAOSデータだ。
最新HDD、そしてSSDの構造を解説 ~くまなんピーシーネット~2020年、HDDは1台30TBになるかも?
まず、昨年に引き続き、濃いセッションと濃い展示で人気を集めたのがデータ復旧サービス「WinDiskRescue」や、プロ向けHDD診断解析ツール「PC-3000 JAPAN」を手がけるくまなんピーシーネット。
ステージセッションを行なったのは、くまなんピーシーネット代表の浦口康也氏。
浦口氏は、去年も最新HDD技術とデータ復旧についてとても興味深いセッションを行なっており、今年も多くの来場者が詰めかけた。今年はHDDの基本構造や最新技術だけでなく、近年増加しているSSDなどのフラッシュメモリストレージについての解説も行った。
ちなみに、SSDはコントローラーが書き込みを分散するため、データ復旧がより困難、しかもコントローラーのアルゴリズム解析が必要になるため、作業に数ヶ月かかることもあるという。ただし、スマートフォンやタブレットで使われるeMMCタイプのフラッシュストレージは、コントローラーまで1チップに搭載されており、外部からインターフェースを使ってダイレクトに解析、データ復旧も比較的容易とのこと。
HDDについては、今後の大容量化の見通しも解説。2020年ごろにはビットパターンメディアなどが実用化される可能性があり、計算上、3.5インチならば30TBくらいのHDDが実現できる可能性があるという。
なお、浦口氏は、“もしアップルがデータ復旧サービスを始めたら”というテーマでプレゼンを実施した。いかにもアップルを連想させる文言とそのページデザインは、Macユーザーなら思わずニヤリとさせられそうだ。
なお、同社の展示ブースでは、MicroSDカードのデータ復旧を行うため、マイクロソルダリングでワイヤーを接続したものの実物が展示されており、興味深そうに見る来場者も多かった。
今回は、来場者が持ち込んだ障害のあるHDDの診断と解析を行ない、データ復旧の可能性を確認するコーナーも設置。数名の来場者が実際に自分のHDDの診断を行なってもらっていた。また、PC-3000 JAPANの最新バージョンでは、専門家ではない人でも扱えるよう、自動解析修復機能が搭載されたという。この自動解析機能のデモを見せてもらったところ、ユーザーパスワードがかけられてアクセスできなくなってしまったHDDも、わずか数秒でパスワードを外すことができた(パスワードを解いたのではなく、特殊なコマンドでパスワードを初期化している)。
AOSデータも初出展事前申し込みの「データ復旧パック」やバックアップサービスを紹介
今回初出展のAOSデータのブースでは、「AOSデータ復旧安心サービスパック」「データ復旧出張サービス」「AOSBOX Business」などのサービスを紹介。
「AOSデータ復旧安心サービスパック」は、サーバーやNAS、PCなどの新品購入時に契約できるプランで、機種を問わず利用できることが魅力だ。また、法人向けのクラウドバックアップサービス「AOSBOX Business」は、ローカルストレージ、通常ストレージ、コールドストレージの3種類のストレージを組み合わせることで、クラウド保存のコストを従来の1/3に削減するという。