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AMDの最新CPU「Ryzen 7000」シリーズが発売、16コアの「Ryzen 9 7950X」など4製品

Ryzen 7000シリーズ

 新しい「Zen 4」アーキテクチャを採用したAMDの「Ryzen 7000シリーズ・デスクトップ・プロセッサー」が発売された。Zen 3を採用するRyzen 5000シリーズの後継製品で、CPUソケットもこれまでのSocket AM4から新型の「Socket AM5」に替わっている

 ラインナップは4モデルで、上位から順にRyzen 9 7950X、Ryzen 9 7900X、Ryzen 7 7700X、Ryzen 5 7600X。店頭価格は順に117,800円、92,500円、66,800円、49,900円。

モデル名コア数スレッド数ベースクロック最大クロックL2+L3キャッシュTDP
Ryzen 9 7950X16コア32スレッド4.5GHz5.7GHz80MB170W
Ryzen 9 7900X12コア24スレッド4.7GHz5.6GHz76MB170W
Ryzen 7 7700X8コア16スレッド4.5GHz5.4GHz40MB105W
Ryzen 5 7600X6コア12スレッド4.7GHz5.3GHz38MB105W

新世代のZen 4アーキテクチャを採用、Core i9-12900Kを上回る性能

 Ryzen 7000には、CPUコアの処理技術に5nm(TSMC 5nm FinFET)を使用した、新世代のZen 4アーキテクチャが採用されている。Ryzen 5000シリーズのZen 3で使われていた7nm(TSMC 7nm FinFET)に先進する技術で、Ryzen 7000ではこれまでの世代と比較してIPCが13%向上したという(IPC=Instructions Per Cycle、1サイクルあたりの実行できる命令数)。

 性能と効率では、Intelの第12世代Coreプロセッサの最上位であるCore i9-12900Kも上回るとアピール。Ryzen 7000最上位のRyzen 9 7950XとCore i9-12900Kをベンチマークソフト「V-Ray Benchmark 5」で比較すると、Ryzen 9 7950Xのほうがレイトレーシング性能において62%、消費電力(ワット)あたりの性能において47%、それぞれ高いとしている。

 ゲームでの性能は、最も下のモデルのRyzen 5 7600XでもCore i9-12900Kを上回るといい、Ryzen 5 7600Xのほうが「F1 2022」では最大12%、「Rainbow Six Siege」では最大17%高いという。

CPUソケットは新型の「Socket AM5」に、ヒートスプレッダのデザインも変化

 CPUソケットにも新型のSocket AM5が採用。Ryzen 5000などが対応するSocket AM4では、CPU側にピンがある形式「PGA(Pin Grid Array)」が用いられていたが、Socket AM5ではマザーボード側にピンある「LGA(Land Grid Array)」になった。LGAはIntelの第12世代Core(LGA1700)などでも用いられている。

 CPUの表にあるIHS(Integrated Heat Spreader、ヒートスプレッダ)のデザインも変化している。IHSは、CPUの基板に載っているチップに被せられ、CPUクーラーのヒートシンクに熱を伝える役割を果たす。

 Ryzen 5000以前では基板のほぼ全体が四角いIHSで覆われていたが、Ryzen 7000ではチップコンデンサを避けるようにして、IHSの周囲が部分的にカットアウトされている。周りに8本の脚が生えているかのような、独特の外観だ。

 一方、CPUクーラーについてはSocket AM4対応のものがSocket AM5でも使用できるという。ただし、マザーボード標準のバックプレートを使わずに固定するタイプなど、利用できないCPUクーラーもあるので、TDPの対応状況を含めて十分な確認が必要だ。

DDR5メモリやPCI Express 5.0に対応、GPU機能も搭載

 GPUが統合されたのもトピックの一つ。Ryzen 5000ではモデル名の末尾が「G」のものだけにGPUが搭載されていたが、Ryzen 7000では4モデル全てに2コアGPU「AMD Radeon Graphics」が搭載されており、ビデオカードが無くてもマザーボードのHDMI端子などを使って、ディスプレイに映像を出力することができる。

 他のPCコンポーネントとの接続性については、デュアルチャネルのDDR5メモリと、最多24レーンのPCI Express 5.0に対応している。Ryzen 5000のDDR4、PCI Express 4.0から強化され、より高速のメモリ、ビデオカード、ストレージなどが接続できるようになった。

 メモリのオーバークロック機能「AMD EXPO(AMD Extended Profiles for Overclocking)」も搭載された。AMD EXPOに対応したメモリモジュールとマザーボードを組み合わせることで、細かい設定などをせずに簡単にメモリの性能を上げることができる。

 ちなみに、Intel製CPU向けには同種の機能「Intel XMP(Intel Extreme Memory Profile)」が古くからあり、DDR3メモリ以降でサポートされている。また、AMD製CPU用のマザーボードで独自にIntel XMPに対応しているものもある。

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[取材協力:TSUKUMO eX.ツクモパソコン本店パソコン工房 秋葉原BUYMORE店ドスパラ秋葉原本店ソフマップAKIBA パソコン・デジタル館パソコンショップ アークオリオスペック]