ニュース
“保証を維持したままOC”をASRockマザーで体験、Core Ultra 200S PlusのOC実演イベント
2026年5月27日 00:00
ASRockは5月23日(土)、自作PCイベント「オーバークロック実演イベント」を開催した。会場はソフマップAKIBA パソコン・デジタル館8階の「eSports Studio AKIBA」。主催はASRock Japan。
3月に発売したゲーミング向けCPU「Core Ultra 200S Plus」のオーバークロック性能に焦点を当てて語る趣旨のイベント。登壇者はASRock Japanの原口有司氏とインテル株式会社 セールスアプリケーションエンジニアの矢内洋祐氏。
Core Ultra 200S Plusは、Meteor Lakeをベースにコア数やダイ間の接続を増やして電力効率と性能の向上を図ったArrow Lake-S Refresh世代のCPU。オーバークロックに関しては、メモリオーバークロック時に8000MT/sまで保証範囲としている点も特徴の1つとなっている。イベントではCore Ultra 200S Plusシリーズで進化したポイントを改めて紹介するとともに、オーバークロック性能の実演も行なっていた。
前半のセッションは、Core Ultra 200S Plusの特徴について簡単におさらい。クリエイティブ用途とゲーミング用途の両方に強い「コスパ番長」と位置づけつつ、Eコアを活用したマルチタスク性能に言及した。
近年のユーザー環境はPCゲームのほか配信アプリや通話アプリ、Webブラウザなどを同時に立ち上げたマルチタスク環境になっているケースが多く、Eコアを増やしたCore Ultra 200S Plusが活用しやすい状況になっているとしている。実際、マルチタスク環境でコア数の少ない競合のCPUとベンチマークスコアを比較すると、ベンチマーク単体で比較した時には負けていても、マルチタスク状態にするとスコアが逆転することもよくあるのだという。
ゲーミング性能については、「Core Ultra 7 270K Plus」と「Core Ultra 5 250K Plus」をシリーズ2の同クラスモデル「Core Ultra 7 265K」「Core Ultra 5 245K」と比較。タイトルによってばらつきはあるが、伸びるタイトルでは20~30%を超えるパフォーマンスの向上が見られるとした。
競合製品との比較では、Core Ultra 7 270Kと競合する「Ryzen 7 9800X3D」と「Ryzen 9 9950X」を例に出して比較した。ゲーミング性能では一部譲るものの、クリエイティブアプリの動作には優れており、価格面での競争力もアピールしている。
Core Ultra シリーズ2からの進化点としては、「Eコア増加」のほかに「D2D(Die to Die、ダイ間接続)速度の向上」と「200S Boostへの対応」を挙げている。
ここではEコア増加の効果を測る文脈の中で、コアやメモリの動作を可視化できる解析ツール「Vtune Profiler」の画面を引用。動作中のPCゲームにはPコアとEコアの両方を使いつつ、バックグラウンドで同時に立ち上げている他アプリについてはEコアが処理している点を確認した。Eコアが処理に参加しているアプリとしてはこのほか同期の処理負荷が高い「OneDrive」を挙げている。Pコアを使う処理に関しては、低遅延が求められる「Discord」や「OBS」を例に出した。
D2DはCPUのうちコンピュートタイル(Eコア/Pコア搭載部)とSoCタイル(メモリコントローラーやNPUなどが搭載)を結ぶバスを指しており、この部分の通信速度を従来の2.1GHzから3GHzと大幅に向上させている。ここでは標準で7,200MT/sまでのメモリ速度と4ランクのCUDIMMもしている点にも言及した。
200S Boostは、インテルがマザーボードベンダーに提供している高速化プロファイル。有効化することでCPUの保証を維持したままデータパス系の高速化が可能となり、これによってダイ間の通信速度向上を実現している。最大8,000MT/sまでのメモリオーバークロックも、このプロファイルを用いることで設定可能になる。
後半のセッションでは、実際にCore Ultra 200S Plusのオーバークロックを実演した。構成はCPUがCore Ultra 7 270K Plus、マザーボードが「Z890I Nova WiFi」、メモリはCORSAIRのDDR5-5600 48GB(24GB×2)。
Arrow Lake-S RefreshのK SKUは、Pコア/Eコアをはじめベースクロック、キャッシュ/リング、GPU(Xeコア)、メモリコントローラー、System Fabric(セキュリティとシステム制御)、D2Dのオーバークロックが行なえる。この日の実演では「保証が維持できない」Pコア/Eコアのオーバークロックは実施しなかったが、現行のインテル製CPUをオーバークロックする際の便利設定や注意点については解説があった。
現行のCPUは低めのベースクロック(100MHz)に高い倍率をかけているため、ベースクロックを上げると限界に達しやすい。そのため耐性の低いSoCタイルのベースクロックを固定したままコンピュートタイルのベースクロックだけを上げられる「ベースクロック分離」機能が存在している。矢内氏によれば、このベースクロック分離機能を使ってコンピュートタイルのベースクロックだけを上げた方がクロックが伸びやすいと話した。
また、コンピュートタイルのベースクロックで倍率を変更する場合に、通常の100MHz刻みよりも細かい16.6MHz刻みで設定できる「Granular Ratio」も紹介した。Granular Ratioの利用シーンは、たとえば「60倍(6GHz)」が通って「61倍(6.1GHz)」が通らなかった際、6.1GHzから16.6MHzの倍数を引いた値(6.05GHzや6.07GHzなど)に設定して起動可能なクロックを追い込む場合に活用できる。
このほかSoCタイルに含まれる各コンポーネントのオーバークロックが影響する部分についても簡単に説明している。とりわけD2Dのオーバークロックに関しては、タイル間のレイテンシと帯域幅が改善することから、AAAタイトルを遊ぶ際のパフォーマンス向上が期待できるとした。また矢内氏はインテルのエンジニアとしてオーバークロックの注意点を挙げる中で、電圧の引き上げはできるだけ避けるよう警告している。
200S Boostについては「保証が維持できるオーバークロック」という点を改めて強調した。200S Boostによって高速化するコンポーネントはSoCタイルのSystem Fabric、D2D、IMC(メモリコントローラー)の3つ。BIOSから簡単に有効化できる点もメリットの1つとしている。
ベンチマークには「CINEBENCH R23」を使用。最初に行なった定格のスコアは「42167」だったが、200S Boostを有効化した際のスコアは「42354」で微増という結果になった。ユーティリティで確認したところ消費電力は増えておらず、CPUの保証が維持でき、設定の切り替え操作も簡単なので、原口氏も「200S Boostは使わなければ損」と太鼓判を押している。
メモリコントローラーのオーバークロックにも言及した。メモリのレイテンシで設定できる項目は多すぎるため、一般のユーザーがすべて理解したうえで値を触るのは現実的ではない。ここではメモリベンダーの検証値を設定できるXMPプロファイルの適用を勧めており、値を変更する場合はXMPの値をベースに触るのが無難だという。
メモリクロックを伸ばす秘訣としては「1DPCにする(2DPCを避ける)」点を改めて説明した。メモリスロットが2本だけのマザーボードであればよりクロックを伸ばしやすいとしている。また、メモリとメモリコントローラーの動作クロック比率を切り替える「Gear」設定についても説明しており、低遅延が重要であればGear 2モードを、最大帯域幅を重視するならGear 4をそれぞれ選択するようアドバイスした。ただし現行の環境ではレイテンシの増加よりも帯域幅の向上の方が速度の向上に効きやすいため、ほとんどの場合はGear 4を選んだ方がオーバークロックの恩恵を受けやすいとしている。
イベントの模様は前半がソフマップゲーミング、後半がASRock JapanのYouTubeチャンネルでアーカイブ視聴できる。







































