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最新HDDはどれだけ進化したのか、2011年の大人気モデルといろいろ比べてみた

現在のSMR採用ディスクは大きく進化、OS用にも使用可能に text by 坂本はじめ


動画データの転送も速い新型HDD、旧型と比較して約30%高速

 大容量のHDDはデータの保管庫としての役割を担う機会も多く、大量のデータを一気に転送することもあるだろう。そこで、まずは約201GB分の動画ファイルを用意し、それぞれをSSDからHDDへ転送するのに掛かった時間を比較した。

 動画はファイルサイズが大きいので、このテストはシーケンシャルアクセスの比較となる。

 新型のST4000DM004は転送を30分1秒で完了。旧型のST2000DL003は38分57秒となった。平均転送レートもST4000DM004が約114.8MB/s、ST2000DL003が約88.4MB/sと、差はベンチマークテストの結果に近い傾向といえる。


趣味に使うデータ置き場を高速化するなら新型HDD、ゲームデータの転送も有利

 続いては、約199GBのゲームデータがインストールされたフォルダを用意し、それぞれをSSDからHDDへ転送するのに掛かった時間を比較してみた。

 ちなみに、ゲームフォルダ内のデータは、ファイル数70,580で容量は約199GB。ファイルのサイズは大小入り混じっているため、ランダムアクセス性能も問われる。より一般的なユーザーが使用した際に近いデータがとれるはずだ。

 転送が完了するまでの時間は、ST4000DM004が38分52秒、ST2000DL003が44分16秒。平均転送レートはST4000DM004が87.5MB/s、ST2000DL003が76.8MB/sとなった。

 動画転送時よりも差は縮まってしまっているが、それでもST4000DM004が約14%速い。細かいファイルが含まれるデータでもこれだけ差が出るので、音楽や写真など、趣味のデータを転送した際の性能も旧型HDDからの向上が期待できる。


新型HDDはゲームのロード時間も短縮、10~20%前後の性能アップ

 PCにおいて、ゲームのロード時間はストレージの性能が問われるシーンの一つだ。

 今回は、「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」、「モンスターハンター:ワールド」の3本でロード時間を測定して新旧HDDの比較を行った。

ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION
モンスターハンター:ワールド

 以下はその結果だが、いずれのゲームでもST4000DM004の方が短時間でロードを完了しており、その差は18~20%前後。体感できるほど劇的に快適になるというものではないが、着実に進化していることはわかる。


SMRのHDDは動画録画に使っても大丈夫?ゲームをキャプチャしてみた

 メモリセルの劣化による書き換え寿命が存在するSSDに対し、基本的に書き換え寿命という概念の存在しないHDDは、ゲーム画面のキャプチャを行う際の保存先として使われる場合も多い。

 SMRを採用するBarraCudaをこうした保存先に利用しても大丈夫なのか、GeForceのキャプチャ機能を使ってテストしてみた。

 なぜこのようなことをするかというと、SMRのディスクは書き込む際に通常のHDDとは異なる挙動をとっている。読み込みに関しての挙動は通常のHDDと全く変わらないが、初期のSMR採用HDDなどは、「いかに書き込みの弱点を抑えるかがポイント」とSeagate自身が過去に話しており、これがどれだけ通常のHDDに近づいたのかをチェックする。

 今回のテストでは、4k解像度(3,840×2,160ドット)、フレームレート60fps、ビットレート130Mbpsという設定で、約30分間画面キャプチャを実行し続けてみることにした。保存先の設定は「一時ファイル」と「ビデオ」ともにHDDに設定している。

ゲーム画面キャプチャの設定。
録画データの保存先は、一時ファイルもビデオも全て同じHDD上に設定した。

 結果としては特に問題なくキャプチャを実行することができた。キャプチャ中のデータ転送レートをモニタリングしたデータをST2000DL003のものと比較しても特に問題は無さそうで、ゲーム画面キャプチャの保存先として利用しても問題なさそうだ。

 録画するストリーム数を2、3、4と増やしていくと通常のHDDと差が出てくるかもしれないが、少なくとも1ストリームの録画であれば通常のHDDと同じ感覚で使用できるだろう。

録画中のデータ転送レート。130Mbps=約16.3MB/sであり、この程度のデータ転送では特に問題は起こらないようだ。

【記事目次】

~ スペック/ベンチマーク比較 ~(1ページ)
・SMR技術でプラッタ容量は2TBに、8TBモデルも身近になった最新世代のHDD
・進化ポイントは“速度向上 + 低消費電力化”、新旧型HDDをスペックから比較
・CrystalDiskMarkで新旧HDDを比較、2割前後新型HDDが高速に
・プラッタの外周と内周の速度を「HD Tune」で計測、リードは全域にわたって新型が高速
~ 実転送速度/ゲームで比較 ~(2ページ)
・動画の転送も速い新型HDD、旧型と比較して約30%高速
・趣味に使うデータ置き場を高速化するなら新型HDD、ゲームデータの転送も有利
・新型HDDはゲームのロード時間も短縮、10~20%前後の性能アップ
・SMRのHDDは動画録画に使っても大丈夫?ゲームをキャプチャしてみた
~ 動作温度や動作音を比較 ~(3ページ)
・システムディスクとしても利用可能になったSMR採用HDD、一般的なHDDと遜色無し
・アプリケーションの起動も高速に、Photoshopでの差は大きめ
・発熱の少ない最新HDD、負荷を掛けても温度上昇は意外な低さに
・低回転HDDはやはり低騒音、静音HDDを狙うなら低回転でプラッタ枚数が少ないモデルを
・1プラッタ少ないだけでかなり軽量に、運ぶ際に地味に効いてくる重さの差
・SMRのHDDは外付けケースに入れても安全に使える?速度を温度をチェック