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新旧15種のGeForceを一斉比較、Turing世代はゲームエンジンが新しいほど優位

MSI製GeForce搭載ビデオカードで一気にテスト text by 坂本はじめ

GeForce RTX 2080 TiからGeForce GT 1030まで計15種のGPU性能を一斉比較。

 リアルタイムレイトレーシングによる新世代のゲームグラフィックスを提供するGeForce RTX 20 シリーズと、コストパフォーマンスに優れるGeForce GTX 16 シリーズ。2つの製品シリーズで展開されるNVIDIAのTuring世代GPUもだいぶ出揃ってきた。

 そこで、Turing世代の各GPUがどれだけの性能を持っているのか、MSI製ビデオカードを利用して一斉に比較してみた。

 GeForce GTX 1650からGeForce RTX 2080 TiまでのTuring世代GPU全7モデルに加え、今回は旧モデルにあたるPascal世代のGeForce GTX 10シリーズの8モデルも追加。計15種のGPUを使用し、新旧GeForceのゲーミング性能を一気に計測している。

 Turing世代GPUの購入を検討しているゲーマーはもちろん、Pascal世代のGPUからのアップグレードを検討しているユーザーにも是非参考にしてもらいたい。

15種類のMSI製ビデオカード用意、Turing世代/Pascal世代のスペックをチェック

 今回のテストでは、新旧GPUを搭載したMSI製ビデオカードを15モデルを用意した。まずは各ビデオカードのスペックをチェックしよう。

Turing世代のGeForceは全7種を用意、ダークグレーが特長のMSI製最新カード

Turing世代のGPUを搭載したMSI GAMINGシリーズビデオカード。

 Turing世代のGPUを搭載したビデオカードは全7モデルを用意した。

 いずれもMSI GAMINGシリーズに属するオーバークロック仕様のビデオカードで、独自設計のPCBと冷却システムの採用により優れた安定性と静粛性を実現している。

 MSI GAMINGシリーズはPascal世代ではレッド×ブラックのカラーリングが特長だったが、Turing世代ではダークグレーを基調としたものに変更。各部に埋め込まれたRGB LEDが映えるデザインとなっている。

Turing世代のMSI GAMINGシリーズビデオカードはダークグレーを基調としたカラーリングが特長になっている。
MSI独自設計のGPUクーラーを搭載。放熱性能の高いヒートシンクとセミファンレス動作対応GPUクーラーの組み合わせにより、冷却性能と静粛性を高いレベルで両立している。
高品質な部品を使用したカスタムPCBが、安定したオーバークロック動作を実現する。
各部にRGB LEDを搭載。イルミネーションがより映えるデザインになっている。
GeForce RTX 2080 Ti GAMING X TRIO
GeForce RTX 2080 GAMING X TRIO
GeForce RTX 2070 GAMING Z 8G
GeForce RTX 2060 GAMING Z 6G
GeForce GTX 1660 Ti GAMING X 6G
GeForce GTX 1660 GAMING X 6G
GeForce GTX 1650 GAMING X 4G

Pascal世代のGeForceは全8種を用意、MSI定番のGAMINGシリーズ

Pascal世代のGPUを搭載したビデオカード。

 Pascal世代のGPUを搭載したビデオカードは全8モデル。下はGeForce GT 1030から、上はGeForce GTX 1080 TiまでのGPUを用意した。

 各ビデオカードはいずれもオーバークロック仕様のビデオカードだ。MSI GAMINGシリーズ製品については、複数の動作モードを備えているが、今回の検証では標準モードである「GAMING モード」に統一している。

GeForce GTX 1080 Ti GAMING X 11G
GeForce GTX 1080 GAMING X 8G
GeForce GTX 1070 Ti GAMING 8G
GeForce GTX 1070 GAMING Z 8G
GeForce GTX 1060 GAMING X 6G
GeForce GTX 1050 Ti GAMING X 4G
GeForce GTX 1050 2G OC
GeForce GT 1030 2G LP OC

Core i9-9900K + Z390環境でビデオカードを一斉チェック定番ベンチマークとゲームでテスト

 今回のテストでは、定番ベンチマークテストの3DMarkの他、バトルロイヤルゲームの「フォートナイト」と、オープンワールド・アクションアドベンチャー「アサシン クリード オデッセイ」で、各GPUのパフォーマンスをチェックする。

 各ビデオカードを搭載するベース環境にはCore i9-9900Kを搭載したIntel Z390環境を利用した。検証環境の詳細は以下の通り。

3DMark「Fire Strike」で基本的なパフォーマンスをチェック

3DMark「Fire Strike」

 ベンチマークテストである3DMarkでは、DirectX 11テストの「Fire Strike」(フルHD解像度)と「Fire Strike Ultra」(4K解像度)のスコアを取得した。

 なお、DirectX 11はPascal世代の方が相性が良く、スコアが伸びやすい傾向がある。Turing世代はより新しいDirectX 12で性能を発揮するようデザインされていることもあり、その部分を考慮しつつスコアを見てもらいたい。

フルHDではTuring世代がPascal世代の1グレード上のスコアに

 フルHD解像度(1,920×1,080ドット)で実行されるFire Strikeでは、最新世代のハイエンドGPUであるGeForce RTX 2080 Tiが順当にトップスコアを記録。

 GeForce RTX 2070がGeForce GTX 1080、GeForce RTX 2060はGeForce GTX 1070 Tiをそれぞれ上回るなど、GeForce RTX 20 シリーズのGPUは1つ上のグレードにあったGeForce GTX 10 シリーズGPUに匹敵する性能をみせている。

3DMark Fire Strike (1,920×1,080ドット)のスコア一覧。

4K解像度ではTuring世代とPascal世代で差が若干縮まる傾向に

 4K解像度(3,840×2,160ドット)でより高画質なテストを実行するFire Strike Ultraでも、トップのGeForce RTX 2080 Tiの優位は揺るぎない。

 一方、DirectX 11を得意とするGeForce GTX 10 シリーズがやや挽回しており、GeForce RTX 2060やGeForce GTX 1660がややポジションを落としている。もっとも、これらのGPUは4Kゲーミング向けのGPUでは無い点に留意したい。

3DMark Fire Strike Ultra (3,840×2,160ドット)のスコア一覧。

60fps超えを目指したいバトルロイヤルTPS「フォートナイト」

フォートナイト

 バトルロイヤルTPSの「フォートナイト」は、最も人気の高いバトルロイヤルゲームのひとつ。

 今回のテストでは描画品質を最も高い「エピック」に設定し、画面解像度をフルHDと4Kにした際のフレームレートを測定した。

 ミドルクラスのGPUをターゲットにした負荷は比較的軽めのゲームだが、実際に高フレームレート/高画質を維持するためにはどの程度の性能が必要になるのか参考にしてもらいたい。

フルHD/最高画質を狙うならGeForce GTX 1660以上がおすすめ

 フルHD解像度では、GeForce GTX 1660までのGPUが100fpsを超えるフレームレートを記録。GeForce RTX 2060以上のGPUは、最近のバトルロイヤルゲームのトレンドとも言える144fps以上のフレームレートを達成している。

 また、ミドルクラス以下のGPUであれば、Turing世代のGPUが性能をうまく発揮している点にも注目してもらいたい。

フォートナイト (画面解像度:1,920×1,080ドット、描画設定:エピック)。

4K/最高画質はかなり重め、60fps以上を狙う場合はGeForce RTX 2080が必要

 比較的軽量なゲームに数えられるフォートナイトであっても、4K解像度かつ最高画質ともなるとGPU負荷は相当なものなようで、60fpsを超えたのは15GPUのうち3モデルのみだった。

 フォートナイトを4K&最高画質でプレイしたいのであれば、30fps以上を記録したGeForce RTX 2060が最低限、60fps付近での動作を狙うならGeForce GTX 2080以上を推奨と言える結果だ。実際に4K解像度でのプレイを望むなら、描画品質を妥協して60fpsを目指すことになるだろう。

フォートナイト (画面解像度:3,840×2,160ドット、描画設定:エピック)。

グラフィック品質重視で楽しみたい「アサシン クリード オデッセイ」

アサシン クリード オデッセイ

 世界的に高い人気を誇るアサシン クリード シリーズの最新作である「アサシン クリード オデッセイ」は、古代ギリシャが舞台の大作オープンワールドゲームだ。

 今回はグラフィック品質のプリセットを「最高」に設定し、フルHDと4Kでベンチマークモードを実行した。負荷が重いタイトルとしても知られているゲームなので、大作ゲーム用にビデオカードを購入する際の参考にしてもらいたい。

フルHD/最高画質で60fpsを狙うならGeForce RTX 2060以上

 フルHD解像度では、12番手のGeForce GTX 1650以上のGPUが30fpsを超える平均フレームレートを記録。

 60fpsに達したのは6番手のGeForce RTX 2060以上だが、60fps前後の滑らかな描画を安定して得たいのであれば、平均が70fpsを超える4番手のGeForce RTX 2070以上がおすすめだ。

 こちらもフォートナイトと同じく、Turing世代のGPUが素直に性能を引き出せている印象だ。

アサシン クリード オデッセイ (画面解像度:1,920×1,080ドット、描画設定:最高)。

4K/最高画質はかなりヘビー、快適に遊ぶならハイエンドガードが必須

 4K解像度では、30fpsを超えることができたのは5番手のGeForce GTX 1080以上で、トップのGeForce RTX 2080 Tiでも53fpsと60fpsには届かなかった。

 4K解像度かつ高品質なグラフィックでアサシン クリード オデッセイをプレイする場合、シングルGPUなら安定して30fpsを超えることが目標となる。その実現を目指すなら、平均フレームレートが40fpsを超えるGeForce RTX 2080以上を選びたい。

アサシン クリード オデッセイ (画面解像度:3,840×2,160ドット、描画設定:最高)。

GeForce RTX 20シリーズのリアルタイムレイトレーシング性能をチェックフルHDであればGeForce RTX 2060で60fps以上を狙える

バトルフィールド V

 ここまでは新旧GPUのパフォーマンスを比較してきたわけだが、最後にGeForce RTX 20シリーズの特徴とも言えるDXR(DirectX Raytracing)によるリアルタイムレイトレーシング性能も確認しておこう。

 DXR利用時の性能のチェックに用いたのはFPSゲームの「バトルフィールド V」。今回はフルHD解像度でグラフィック品質プリセットを最高に設定。DXRによるリアルタイムレイトレーシングと、Tensorコアを活用するアンチエイリアシング「DLSS」を有効にしてフレームレートを測定した。

 測定の結果、最上位モデルのGeForce RTX 2080 Tiは86fps、最も安価なGeForce RTX 2060は62fpsだった。

 最上位GPUとの間には4割近い性能差がついた格好ではあるが、GeForce RTX 2060でも60fpsを超えるプレイアブルなフレームレートを達成している。

 既にDXRによるリアルタイムレイトレーシングが実用的な技術であることが伺える結果であり、DXR対応ゲームでGeForce RTX 20 シリーズを用いれば、よりリアルな光の表現を楽しむことができるだろう。

バトルフィールド V (画面解像度:1,920×1,080ドット、描画設定:最高)。

ゲーミングPCの構築にはGeForce GTX 1660以上がおすすめGeForce RTX 2060のレイトレーシング性能も魅力的なTuring世代のGPU

 当然ながら上位モデルになるほど高い性能を発揮しており、4K解像度かつ高画質設定でもプレイアブルなフレームレートを実現するGeForce RTX 2080以上のハイエンドGPUの性能は素晴らしい。

 ただし、こうした上位GPUは高価であるため、どこまでビデオカードへのコストを許容できるのか財布と相談して選ぶことになる。

 PCに求めるゲーミング性能の基準を「据え置きゲーム機を超えるゲームグラフィックを楽しめる」というラインに設定するユーザーには、GeForce GTX 1660以上のGPUがおすすめだ。

 GeForce GTX 1660がフルHD解像度のテストで残した良好なパフォーマンスと、6GBという余裕のあるメモリ容量は、今後しばらく第一線で通用することが期待できるものだ。

 もし、それに加えて最先端のゲームグラフィックを楽しみたいと望むなら、実用的なレイトレーシング性能を備えるGeForce RTX 2060を選ぶのも良いだろう。今回のテスト結果を参考にして、どのGPUが自分の望む性能を持っているのか検討してもらいたい。

[撮影協力:MSI]