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MacBook Pro 2015年モデルを最新NVMe SSDで延命、改造手順を全紹介!
Samsung SSD 970 EVO PlusでMacのストレージを大容量・高速化 text by 坂本はじめ
2019年8月10日 00:01
Apple製品は独自規格のパーツを積極的に使用しており、市販のPCパーツでアップグレードが難しいことが知られているが、2015年以前のMacBook ProであればSSDを最新のNVMe SSDにアップグレードできる場合がある。
そこで今回は、「MacBook Pro (Retina, 13-inch, Early 2015)」の内蔵SSDを、Samsung製NVMe SSD「SSD 970 EVO Plus」に換装する手順を紹介する。
改造行為にあたるため、Appleやストレージメーカーの保証は一切なく、故障などに関しても全て自己責任となってしまうリスクはあるが、ストレージの容量と性能向上で旧型MacBook Proの延命を図りたいユーザーはチェックしてもらいたい。
※ノートPCの分解行為やパーツの換装はメーカー保証外の行為となります。この記事を読んで行った行為によって、仮に損害が発生しても弊誌および、メーカー、販売ショップはその責を負いません。
【記事目次】
使用機材紹介 (1ページ)
・実はSSDが換装できるMacBook Pro Early 2015
・大容量SSDと変換アダプタでMacの特殊形状SSDに対応
・NVMe SSDに対応したmacOSは「High Sierra」以降
・OS再インストールとSSDファームウェア更新用のUSBメモリを用意
・分解には特殊形状のドライバーが必要
・データ移行にはバックアップ用USBストレージがあると便利
ファーム更新/データ移行用の準備 (2ページ)
・USB起動ディスク作成の前の下準備
・SSDファームウェア更新用USBメモリの作成
・OSインストール用USBメモリの作成
・Time Machineでバックアップデータを作成
・本体分解前の最終起動チェック
MacBook Proの分解/SSD換装 (3ページ)
・MacBook Proの分解方法
・SSDを新しいNVMe SSDに交換
・SSDのファームウェア更新方法
・OSデータの移行方法
SSD換装の効果 (4ページ)
・空き容量は10倍近くに、リードライトともに速度も向上
MacBook Pro Early 2015のSSDをアップグレード標準の128GB SSDから1TBのNVMe SSDに
今回、SSDを換装するMacBook Pro (Retina, 13-inch, Early 2015)だが、128GB SSDを搭載したモデルを用意した。
標準搭載のApple純正SSDは、PCIe接続のSSDなのでパフォーマンス自体は悪くないが、128GBという容量の少なさは現役のPCとしては心許ない。
そこで、最新のNVMe SSDであるSamsung SSD 970 EVO Plusの1TBモデルに換装することで、容量面の不満を解消しつつ、性能向上も果たしてしまおうという訳だ。
なお、このあたりの時期に発売されたモデルまでがSSD換装可能な構造となっており、2016年以降のモデルはSSDがM.2 SSDなどとは大幅に異なる形状になっていたり、SSD自体がメイン基板(ロジックボード)側に直接実装されているため、換装が行えない。手持ちのモデルがSSD換装可能かどうかは、分解記事などを参考に判断すると良いだろう。
それでは換装作業に入ろう。まずは換装に使用する道具から紹介する。換装手順などによっても多少変わってくるが、今回利用したものは以下の通りだ。ドライバーなどは一般的ではない形状のものが必要になるので、購入する場合はサイズと形状を間違わないよう注意してほしい。
▼必要なもの
・M.2変換アダプタ
・macOS High Sierra以降のOS
・SSDファームウェア更新用USBメモリ
・OSインストーラー用USBメモリ (12GB以上)
・Time Machine(バックアップ)用外付けストレージ
・ペンタローブドライバー (5溝、サイズ:1.2)
・ヘクスローブドライバー (6溝、サイズ:T5)
ストレージはSamsung SSD 970 EVO Plus 1TBを用意変換アダプタでMac Book Proの特殊形状SSDに対応
今回、MacBook Pro換装に使用するSSDはSamsung SSD 970 EVO Plusの1TBモデル。
コンシューマー向けでは最速クラスのSSDで、1TBモデルの公称値はリード3,500MB/s、ライト3,300MB/s。最新の3D V-NANDを採用することで高速性と高耐久性をウリとし、1TBモデルの総書き込み容量は600TBWとなっている。
なお、MacBookの換装にはどんなM.2 NVMe SSDでも使用できるわけではなく、正常動作するモデルは限られる。Samsung SSD 970 EVO Plusの場合、初期ファームウェアでは正常動作せず、現時点での最新版「2B2QEXM7」に更新することで使用可能になる。
この辺りはMac OSのバージョンと、SSDのモデル/ファームウェアバージョンなどにより動作状況が変わるので、注意が必要だ。また、Mac環境のみでファームウェアの更新を行う手順を今回紹介するが、手軽では無いので、もしWindows PCを持っているなら、そちらでファームウェアの更新を行うことをお勧めする。
MacBook Pro (Retina, 13-inch, Early 2015)に搭載されたApple純正SSDは、M.2カードに似た形状をしているものの、基板サイズや接続端子はApple独自規格を採用している。このため、M.2 2280準拠のSSD 970 EVO Plusをそのまま搭載することはできない。
そこで用意する必要があるのが変換アダプタだ。今回はM.2タイプのPCIeとSATAに両対応した変換アダプタをAmazonで購入した。型番は「CAD09006」とされており、記事執筆時の価格は税込1,580円。類似したアダプタはいくつか存在するが、SATAのみの対応でPCIeをサポートしていない物もあるので注意しよう。
macOS High Sierra以降のOSが必須、NVMe SSDに対応したOSの用意を
SSD 970 EVO PlusをMacBook Proの内蔵SSDとして利用するには、「macOS High Sierra(10.13)」以降のOSを使用する必要がある。
これは、High Sierraよりも前のmacOSやOS Xには、SSD 970 EVO Plusの動作に必要なNVMeドライバが組み込まれていないためだ。基本的には最新版である「macOS Mojave(10.14)」を利用するのがおすすめであり、今回の手順でもmacOS Mojaveを利用している。
入手に関しては、本体がサポート対象から外されていなければ無料ダウンロード可能なので、問題は無いだろう。
OSインストーラーとSSDファームウェア更新用にUSBメモリを用意
SSD 970 EVO PlusをMacBook Proで利用するためには、前述の通りNVMeドライバを備えたmacOS High Sierra以降のOSインストーラーでセットアップする必要があることに加え、SSD 970 EVO Plus自体のファームウェアを初期のものから最新版に更新する必要がある。
これらを実行する手段はいくつかあるが、今回はそれぞれ1,000円弱で購入できる32GBのUSBメモリを2つ用意して、それぞれ起動ディスクを作成する方法を選択した。
なお、ファームウェア更新用のファイルの容量は数十MBに過ぎないが、macOS MojaveのOSインストーラーは12GB以上の容量が必要である点に注意しよう。
ちなみに、macOS High Sierra以前のOSの状態の場合、NVMe SSDが認識不能なため、OSのインストールはおろか管理画面にすら表示されない。
また、SSD 970 EVO Plusが初期ファームウェアの「1B2QEXM7」の場合、macOS High Sierra以降であれば認識されるが、OSインストール中にエラーが起きて正常に使用できない。
MacBook Proのネジは特殊形状、分解には対応したドライバーの準備を
SSDの換装に際してMacBook Proを分解するためには、筐体やSSDの固定に用いられている特殊ねじに対応したドライバーを用意する必要がある。
MacBook Pro (Retina, 13-inch, Early 2015)は、本体裏面の蓋を固定してるねじの着脱に「ペンタローブドライバー (5溝、サイズ:1.2mm)」、SSDの固定ねじの着脱に「ヘクスローブドライバー (6溝、サイズ:T5)」が必要だ。
通販などであれば入手は難しくない。
外付けHDD/SSDがあると作業が簡単にバックアップ機能「Time Machine」を使うとOS移行も簡単に
必須では無いがあると便利なのが、Macのバックアップ機能「Time Machine」を利用するための外付けストレージだ。
SSD換装作業前にTime Machineでバックアップを作成しておくと、SSD換装後のOSセットアップ時に「Time Machineバックアップから復元」を選択することで、バックアップ時点の環境を新しいSSDにそのまま復元できる。
また、Time Machineバックアップを作成した外付けストレージは、起動ディスクとして選択することでOSインストーラーとしても機能するため、OSインストーラー用の起動ディスクを作成する手順とUSBメモリが不要になる。
各種設定やアプリのインストールといったセットアップ作業を大幅に簡略化できるので、外付けHDD/SSDを持っているなら積極的に利用したい。