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MacBook Pro 2015年モデルを最新NVMe SSDで延命、改造手順を全紹介!

Samsung SSD 970 EVO PlusでMacのストレージを大容量・高速化 text by 坂本はじめ


MacBook ProのSSD換装作業に入る前の下準備、まずはブート可能なUSBディスクの作成準備

 必要機材に続き、SSD換装前に準備しておかなければならない部分を解説しよう。

 実際にSSD換装に入る前に、OS再インストール/データ移行に使用するUSBメモリや、SSDファームウェア更新用のUSBメモリ、必要であればバックアップ機能の「Time Machine」で現在使用しているMacのデータを一式バックアップしておく必要がある。

 今回の手順ではSSDのファームウェア更新とOSインストーラー用にUSB起動ディスクを作成するのだが、この際に使用する「sudo」コマンドの実行時に「管理者パスワード」の入力が求められるため、管理者パスワードを必ず設定する必要がある。

 管理者パスワードは、システム環境設定の「ユーザとグループ」から、管理者ユーザーを選択して「パスワードを変更...」を選択して設定する。これで一番はじめの下準備は完了だ。

「ユーザとグループ」から管理者権限を持ったユーザーを選択する。
管理者ユーザーにパスワードを設定する。パスワードが未設定だとsudoコマンドが実行できないので要注意。


SSDファームウェア更新用USB起動ディスクを作成

 続いて、SSD 970 EVO Plusのファームウェア更新用USB起動ディスクを作成する。

 まずは、Samsungのグローバルサイトにあるサポートページ内のダウンロードページにアクセスし、FIRMWAREの項目をひらく。その中に、SSD 970 EVO Plusのファームウェア更新用ファイル(ISO 2B2QEXM7/28MB)をダウンロードする。

 ダウンロードが完了するとファームウェア更新用ISOファイルはダウンロードフォルダに置かれるので、Finderでアクセスしてファイルを確認する。

 ファームウェア更新用ISOファイルはファイル名が長く、この後の作業を簡略化するため簡単な名前にリネームすることを推奨する。今回は「SSD-FIRM.iso」という名称に変更した。

SamsungのウェブサイトからSSD 970 EVO Plusのファームウェア更新用ISOファイルをダウンロードする。
Finderでダウンロードフォルダに置かれたISOファイルを確認。
ダウンロードしたばかりのISOファイルの名前は長いので、簡単な名前にリネームしておくと後の作業が楽になる。今回は「SSD-FIRM.iso」にリネームした。

 ファームウェア更新用USB起動ディスクとして利用するUSBメモリをMacBook Proに接続し、ディスクユーティリティを開いて接続したUSBメモリを選択する。

 ディスクユーティリティの消去を実行し、USBメモリを「MS-DOS (FAT)」フォーマットで消去する。消去完了後、「マウント解除」を実行してUSBメモリをアンマウントする。

ファームウェア更新用USB起動ディスク化するUSBメモリをMacBook Proに接続する。
ディスクユーティリティでUSBメモリを選択し、USBメモリを「MS-DOS (FAT)」フォーマットで消去する。
マウント解除ボタンや「マウント解除」を選択して、USBメモリをアンマウントする。
USBメモリのステータスに「マウントされていません」と表示されていることを確認する。

 ターミナルを起動して「diskutil list」を実行。USBメモリのデバイス名を確認する。今回利用するUSBメモリは「/dev/disk1」として認識されていた。デバイス名はターミナルで「diskutil list」を実行すれば確認可能だ。

 ターミナルで「sudo」コマンドを実行してISOファイルをUSBメモリに書き込む。ダウンロードフォルダに置いたISOファイル名を「SSD-FIRM.iso」にリネームし、USBメモリのデバイス名が「/dev/disk1」である今回は以下のコマンドとなる。

sudo dd if=./Downloads/SSD-FIRM.iso of=dev/disk1
(※コマンド中のISOファイル名とデバイス名は、実行環境での名称に適宜置き換える必要がある。)

ターミナルを起動して「diskutil list」と入力して実行する。ディスクの一覧が表示されるので、USBメモリのデバイス名を確認する。今回は「/dev/disk1」と認識されていた。
sudoコマンドを入力して実行。コマンド内容は今回の環境用のものであり、ISOファイル名とデバイス名は実行環境での名前に置き換える必要がある。

 「sudo」コマンドを実行すると管理者パスワードの入力を求められるので、前節で設定したパスワードを入力する。

 正しい管理者パスワードが入力されるとUSB起動ディスクの作成がスタートし、数十秒程度で完了する。作成が完了すると「セットしたディスクは、このコンピュータで読み取れないディスクでした。」とのエラーが表示されるが、これは「無視」を選択すればOKだ。

sudoコマンドを実行すると管理者パスワードの入力を求められるので入力する。正しいパスワードが入力されると、USB起動ディスクの作成がスタートする。
ディスクの作成が完了した状態。エラーメッセージが表示されるが、これは無視して問題ない。


OSインストーラー用USB起動ディスクの作成

 続いて、OSインストーラー用のUSB起動ディスクを作成する。容量12GB以上が要求されるので、容量にはゆとりをみておこう。

 なお、外付けストレージに「Time Machineバックアップ」を作成できるのであれば、この手順はスキップして、「Time Machine」でフルバックアップを作成すれば問題ない。ただし、何かトラブルがあった際などにはあると便利なので、USBメモリにあまりなどがあれば一つ作っておくと良いだろう。

 macOSの起動ディスク作成手順は、Appleのウェブサイトで公開されており、今回はこの手順に基づいてUSB起動ディスクを作成する。

 まず、App Store上のmacOS Mojaveにアクセスし、入手を選択してダウンロードを実行する。

 macOS Mojaveのダウンロードが完了するとインストーラーが起動するが、これは使用しないので一旦終了する。ダウンロードされたインストーラーはアプリケーションフォルダに置かれているので、Finderでアクセスして確認する。

App StoreのmacOS Mojaveにアクセスして「入手」を選択する。
macOSインストーラーのダウンロードを行う。
ダウンロードが完了するとmacOS Mojaveが起動するので、これを終了する。
Finderから「アプリケーション」にアクセスして「macOS Mojaveインストール」が置かれていることを確認する。

 OSインストーラー用USB起動ディスクとして使用するUSBメモリをMacBook Proに接続し、ディスクユーティリティを開いて接続したUSBメモリを選択する。

 ディスクユーティリティの消去を実行し、USBメモリのボリューム名をユニークで分かりやすいものに変更した上で、「Mac OS拡張 (ジャーナリング)」フォーマットで消去する。今回はボリューム名を「OS-USB」に変更した。

OSインストーラー用USBディスク化するUSBメモリをMacBook Proに接続する。
ディスクユーティリティでUSBメモリを選択し、分かりやすいボリューム名をつけて「Mac OS拡張 (ジャーナリング)」フォーマットで消去する。今回はボリューム名を「OS-USB」とした。

 ターミナルを起動してsudoコマンドを実行する。macOS Mojaveのインストーラーをボリューム名「OS-USB」に書き込む今回の場合、コマンドは以下のようになる。

sudo /Applications/Install macOS Mojave.app/Contents/Resources/createinstallmedia --volume /Volumes/OS-USB

 管理者パスワードの入力を求められるので、設定したパスワードを入力する。その後、USBメモリのデータを全て削除することに同意を求められるので、問題が無ければ「y」を入力してリターンキーを押下すると、起動ディスクの作成が開始する。

 起動ディスクの作成に掛かる時間は数分~十数分程度。作成が完了するとUSBメモリのボリューム名は「Install macOS Mojave」に変更される。

ターミナルを起動してsudoコマンドを実行する。コマンドは書き込み先のUSBメモリのボリューム名に合わせて調整が必要だ。
パスワードを要求されるので管理者パスワードを入力する。
USBメモリの内容を削除することに対して同意を求められるので、問題がなければ「y」と入力して確定する。
USB起動ディスクの作成が完了すると以下のような画面が表示される。所要時間は数分~十数分ほど。


Time Machineバックアップの作成

 macOS High Sierra以降のOSを利用中で、なおかつTime Machineに使用できる外付けストレージを用意している場合、Time Machineバックアップを作成することで、換装後のSSDに現在の環境をそのまま移行できる。

 外付けストレージの用意が無い場合や、OSのクリーンインストールを行いたい場合は、この手順はスキップしてかまわない。前節で作成したOSインストーラー用USB起動ディスクを使って進めて欲しい。

 Time Machineバックアップを作成する手順だが、まずはアップルメニューから「このMacについて」を選択し、現在使用中のmacOSバージョンを確認する。もし、macOS High Sierraより前のバージョンを利用している場合は、App Storeから新しいOSにアップグレードする必要がある。

アップルメニューから「このMacについて」を選択し、macOS High Sierra、またはmacOS Mojaveがインストールされていることを確認する。
OSのバージョンが古い場合は、App StoreでmacOS High Sierra以降のOSにアップグレードする必要がある。

 macOS High Sierra以降のmacOSがインストールされていることが確認できたら、Time Machine用の外付けストレージをMacBook Proに接続する。

 システム環境設定を開いて「Time Machine」を選択。「バックアップディスクを選択...」を実行して、先ほど接続した外付けストレージをバックアップディスクに指定する。

Time Machine用の外付けストレージをMacBook Proに接続。
システム環境設定の「Time Machine」を開き、「バックアップディスクを選択...」を実行する。
外付けストレージを指定して「ディスクを使用」を選択する。
外付けストレージのファイルシステムによっては、データの消去に同意する必要がある。

 バックアップディスクの指定が完了すると、数分程度で初回のバックアップ作業が開始される。

 バックアップの作成が完了すると、最新のバックアップが「なし」から日時表記に変わるので、これを確認してTime Machineバックアップの作成は完了だ。

バックアップディスク選択後、数分程度で初回バックアップが開始する。バックアップが完了すると「最新のバックアップ」が「なし」から日時表記に変わる。


MacBookを分解する前に作成したディスクの動作をチェック

 各起動ディスクの作成が完了したら、SSDの換装作業を行う前に起動ディスクの動作確認を行う。SSD換装作業中に各種起動ディスクを再作成することは困難なので、分解作業を行う前に動作確認をしておこう。

 アップルメニューから「システム終了...」を選択してMacBook Proの電源をオフにし、動作確認を行う起動ディスクをMacBook Proに接続する。

アップルメニューから「システム終了...」を選択してMacBook Proの電源を切る。
動作確認を行う起動ディスクをMacBook Proに接続する。
optionキーを押したまま電源をオンにすると起動するスタートアップマネージャー。

 「option」キーを押したまま、電源スイッチを押してMacBook Proの電源をオンにすると、スタートアップマネージャーが起動する。

 スタートアップマネージャーが起動したらoptionキーから手を放し、動作確認を行うディスクを選択して起動する。

 SSDファームウェア更新用USB起動ディスクは「ファームウェアアップデートユーティリティが起動する」こと、OSインストーラー用USB起動ディスクは「macOSユーティリティが起動する」こと、Time Machineバックアップであれば「選択可能なバックアップが存在する」ことをそれぞれ確認する。

SSDファームウェア更新用起動ディスク
EFI Bootと表示されたディスクを選択して起動する。
ファームウェアアップデートユーティリティが起動するので、適当なキーを押してユーティリティを進める。
ファームウェアを更新できるSSDを搭載していないため、該当SSDなしとしてユーティリティは終了。MacBook Proは再起動する。
OSインストーラー用USB起動ディスク
Install macOS Mojaveと表示されたディスクを起動する。
起動ディスクが正常に作成できていれば、数分程度でmacOSユーティリティが起動する。
macOSインストールを選択し、macOS Mojaveが起動することを確認する。確認できたらアップルメニューからシステムの終了を選択して電源を切る。
Time Machineバックアップ
Time Machineバックアップを作成したディスクはアイコンで判別できる。
起動すると数分でmacOSユーティリティが起動するので、「Time Machineバックアップから復元」を実行して手順を進める。
復元元として選択できるバックアップが存在することを確認できたら、アップルメニューからシステムの終了を選択して電源を切る。

 それぞれ動作に問題がなければSSD換装作業の下準備は完了だ。本体のSSD換装作業に入ろう。

※ノートPCの分解行為やパーツの換装はメーカー保証外の行為となります。この記事を読んで行った行為によって、仮に損害が発生しても弊誌および、メーカー、販売ショップはその責を負いません。