特集、その他

MacBook Pro 2015年モデルを最新NVMe SSDで延命、改造手順を全紹介!

Samsung SSD 970 EVO PlusでMacのストレージを大容量・高速化 text by 坂本はじめ


MacBook Proを分解してバッテリーからの電力供給を止める

分解を行う前にMacBook Proの電源を確実にオフにしておく。

 ここからはMacBook Proを分解作業と、SSDを換装してOSが起動するようになるまでの手順を紹介する。

 前節の起動ディスクの動作確認まで完了したら、MacBook Proを分解してSSDの換装を行う。作業を行う前に必ず、アップルメニューから「システムの終了...」を実行してMacBook Proの電源を切っておく。スリープでは無いので注意。

 電源を落としたら、本体底面のパネルを固定している10箇所のねじを「ペンタローブドライバー (5溝、サイズ:1.2mm)」を使って全て取り外す。底面パネルはディスプレイのヒンジ部分から手を入れてゆっくり持ち上げることで取り外せる。

MacBook Proの底面パネル。10か所でねじ止めされており、外すにはペンタローブドライバー (5溝、サイズ:1.2mm)が必要。
底面パネルを外したところ。左下側にApple純正のSSDが確認できる。

 底面パネルを取り外したら、まずはバッテリーのコネクタを外す。コネクタを外す際はまっすぐ持ち上げるよう慎重作業を行い、外したコネクタは基板側と接触しないよう反り返らせておく。

凸型のカバーで覆われた部分にバッテリーと基板のコネクタが設けられている。
凸型カバーをめくりあげたところ。長方形のコネクタの短辺側をつかんでまっすぐ持ち上げるように取り外す。
外したコネクタは反り返らせ、基板側の端子と接触しないよう十分に注意する。


元のSSDを取り外し、アダプタを装着したSSD 970 EVO Plusを取り付け

 バッテリーのコネクタを取り外したらSSDの換装作業に取り掛かる。

 Apple純正SSDを固定しているねじを「ヘクスローブドライバー (6溝、サイズ:T5)」を使って取り外す。ねじを外したら、SSDを若干浮かせながらスロットから引きく抜く。

ヘクスローブドライバー (6溝、サイズ:T5)を使ってApple純正SSDを固定しているねじを外す。
ねじを取り外したら、SSDを軽く持ち上げながらスロットから引き抜く。

 換装用のSSD 970 EVO PlusにM.2変換アダプタを取り付け、スロットに挿し込んでからねじで固定する。アダプタには切りかけがあるので、SSDを装着する向きなどは迷わないはずだ。

 なお、今回のアダプタとSSD 970 EVO Plusの組み合わせでは、SSDの基板端が若干固定ねじ用のスタッドに乗り上げる形になるが、ねじでの固定は問題なく行える。

SSD 970 EVO PlusにM.2変換アダプタを取り付ける。
SSD 970 EVO Plusをスロットに固定したところ。変換アダプタの端子をしっかり根元まで差し込もう。

 SSDの取り付けが完了したら、バッテリーのコネクタを再度接続してから底面パネルを取り付ける。以上でSSDの換装作業は完了だ。

バッテリーのコネクタを再接続する。
コネクタ部分を覆うカバーも元に戻し、底面カバーを取り付けて作業を完了する。


OSを元に戻す前にSSDのファームウェアを更新

 SSDの換装作業が完了したら、SSDのファームウェアの更新を行おう。SSDのファームウェアを更新しなければ正常に動作しないので、物理的な換装作業が終わったら優先的に行う必要がある。

 まずはMacBook ProにSSDファームウェア更新用USB起動ディスクを接続した上で、optionキーを押したまま電源ボタンを押してMacBook Proを起動して、スタートアップマネージャーを立ち上げる。

 スタートアップマネージャーが起動したら「EFI Boot」を選択して、ファームウェアアップデートユーティリティを起動する。

SSDファームウェア更新用USB起動ディスクをMacBook Proに接続する。
optionキーを押したまま電源を入れ、スタートアップマネージャーを起動させてEFI Bootを実行する。

 ファームウェアアップデートユーティリティが起動すると、アップデート作業開始のためにキー入力を求められるので適当なキーを押下する。

 デバイスのスキャンが開始され、SSD 970 EVO Plusが正常に搭載されていれば、ここでアップデート対象デバイスとしてユーティリティに認識される。最新版以外のファームウェアが適用されている場合は適当なキーを押すことでアップデート作業に進むが、既に最新版が適用されている場合はユーティリティが終了する。

ファームウェアアップデートユーティリティの開始画面。適当なキーを押すとデバイスのスキャンが開始される。
SSD 970 EVO Plusが正常に認識されていれば、スキャン結果として同SSDが表示される。適当なキーを押すとアップデート作業に進む。

 何かキーを押して作業を進めると、アップデート対象のSSDを本当にアップデートするのか問われるので「y」と入力して確定する。

 続いて、ファームウェアアップデートによってSSD内のデータが失われるリスクとバックアップを推奨する警告が表示され、それでもアップデートを継続するか問われるので「y」を入力して確定すると、ファームウェアのアップデート作業が開始される。

アップデート対象のデバイスが表示され、ファームウェアを更新するか問われるので、「y」を入力して確定する。
アップデートによるデータ消失リスクとバックアップを推奨する警告が表示され、それでもアップデートを継続するか問われるので「y」を入力して確定する。

 アップデートが完了すると、「Press any key to EXIT...」と表示されるので、適当なキーを押下してユーティリティを終了する。

 続いて「Press any key to restart the system .....」と表示される。ここで何かキーを押すとMacBook Proが再起動するのだが、optionキーを押したまま適当なキーを押して再起動すれば、再起動後にスタートアップメニューが立ち上がるので作業をスムーズに進めることができる。

アップデートが完了すると「Press any key to EXIT...」と表示されるので、適当なキーを押してユーティリティを終了する。
ユーティリティが終了すると「Press any key to restart the system .....」と表示される。ここでoptionキーをおしたまま適当なキーを押して再起動すれば、スタートアップメニューにスムーズにアクセスできる。

 若干手間がかかり、初心者にはわかりにくい部分もあるので、記事を読んでいてSSDのファームウェア更新が難しいと感じる人もいるかと思うが、その場合の対策も紹介しておこう。

 一つはWindows PCを使用する方法で、PCI Express接続のM.2スロットがあるWindows PCがあれば、そこにSSD 970 EVO Plusを接続し、SamsungのWindows用SSDユーティリティからアップデートの項目を選ぶだけでファームウェアの更新が簡単に行える。

 利用できるWindows PCが無い場合、一部ショップでは有料でファームウェア更新サービスを行っているところもあるので、そうしたショップでSSD 970 EVO Plusを購入し、ファームウェア更新サービスを利用する手もある。


OSを再インストール、Time Machineバックアップが使える場合は手軽に元通り

 SSDのファームウェア更新まで済めば作業の9割は完了だ。最後はOSのデータを新しいSSDに戻す作業になる。

 optionキーを押したままMacBook Proを起動してスタートアップメニューを立ち上げ、起動ディスクの選択画面を呼び出す。

 OSをクリーンインストールする場合や、Time Machineバックアップ等が無い場合は、OSインストーラー用USB起動ディスクを選択し、macOSユーティリティを起動する。

 Time Machineバックアップを作成している場合は、バックアップデータの入っている外付けストレージを接続し、macOSユーティリティを起動する。

OSインストーラー用USB起動ディスクを接続した場合は「Install macOS Mojave」を起動する。
Time Machineバックアップを作成した外付けストレージを使用する場合はTime Machineロゴのディスクを起動する。

 macOSユーティリティが起動したら「ディスクユーティリティ」を選択する。

 ディスクユーティリティの内蔵デバイスとして認識されているSSD 970 EVO Plusを選択して、「APFS」フォーマットで消去を実行する。

macOSユーティリティが起動したら、ディスクユーティリティを起動する。
ディスクユーティリティでSSD 970 EVO Plusを「APFS」フォーマットで消去する。

 ディスクユーティリティを終了してmacOSユーティリティのメニュー画面に戻り、「macOSインストール」または「Time Machineバックアップからの復元」を実行する。

 以降の操作は、インストール先や、復元する元ファイルの選択などをウィザード形式で進めるかたちになり、特に迷うことなくセットアップを進められるはずだ。

macOSの再インストール
macOSインストールを選択するとmacOS Mojaveのインストーラーが起動する。
ソフトウェア使用許諾契約に同意すると次のステップに進む。
インストール先のディスクとして、先ほどフォーマットしたSSD 970 EVO Plusを選択する。
インストールが開始する。あとは再起動後にOSの初回セットアップ作業を行うだけだ。
Time Machineバックアップからの復元
外付けストレージにバックアップを取っている場合は、Time Machineバックアップからの復元を選択する。
復元元として利用する外付けストレージを選択する。
外付けストレージ内から復旧するバックアップを選択する。
インストール先のディスクとして、先ほどフォーマットしたSSD 970 EVO Plusを選択する。
復元元とインストール先を設定し終えると、復元作業が開始される。
復元が完了して再起動すると、ユーザーの設定などを引き継いだ状態でmacOSが起動する。

 以上でMacBook Pro (Retina, 13-inch, Early 2015)のSSD換装作業は完了だ。システム情報で確認してみると、SSD 970 EVO Plusが正しく認識されていることが分かる。

システム情報では、SSD 970 EVO Plusが正しく認識されていることが確認できる。

※ノートPCの分解行為やパーツの換装はメーカー保証外の行為となります。この記事を読んで行った行為によって、仮に損害が発生しても弊誌および、メーカー、販売ショップはその責を負いません。