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8コアCPUにQuadroが良い?快適なクリエイター用PCを選ぶ4つのポイント
FRONTIERのPCでクリエイター用アプリが快適になる構成を再確認 text by 坂本はじめ
2020年4月1日 06:01
SNSや動画投稿サイトなどで活躍するクリエイターから刺激を受け、PCを使ったクリエイター活動に興味を持ったものの、どのようなPCを用意すれば良いのかイメージできないというユーザーも多いのではないだろうか。
そこで、BTOブランド「FRONTIER(フロンティア)」が手掛けたクリエイター向けBTO PC「FRGKH370/CR」を例に使い、クリエイティブ用途向けにPCを購入する際に注目しておきたいポイントを確認してみよう。
PCの選び方がわからない初級ユーザーや、動画編集用に初めてPCを購入するといったユーザーの参考になれば幸いだ。
コンパクトな筐体にQuadro RTX 4000を搭載した本格派モデルFRONTIERのクリエイター向けBTO PC「FRGKH370/CR」
まず、今回クリエイターPCの参考例として紹介するFRONTIERのBTO PC「FRGKH370/CR」について紹介しよう。
FRGKH370/CRは、FRONTIERのゲーミングPC「GKシリーズ」をベースにしたクリエイター向けモデルだ。microATX対応のミニタワーケースを採用することで、コンパクトでありながらも拡張性に優れたBTO PCであり、クリエイター向けのFRGKH370/CRでは、CPUにCore i9-9900KF、ビデオカードにQuadro RTX 4000を搭載したハイスペックな構成を実現している。
FRGKH370/CRの標準価格は税抜き249,800円で、Quadro RTX 4000を搭載したPCとしては手頃な価格で購入できる点も特徴。FRGKH370/CRはメモリやストレージなどがカスタムできるが、今回使用しているモデルは標準構成からデータ用のストレージを2TB HDDに変更したものを使用している。主な仕様は以下の通りだ。
FRGKH370/CRが採用するミニタワーケースは、左側面にブラックスモークタイプのガラスパネルを採用しており、内部のパーツが視認できる。今回の構成ではLEDイルミネーションを搭載したパーツは仕様していないが、内部状況を確認しやすいガラスパネルと、ワンプッシュで開閉可能なサイドパネルの採用により、メンテナンス性に優れている点は魅力的だ。
内部については、裏配線を積極的に活用することで整然と仕上げられている。労せずして高品質に組み立てられたPCを手に出来るのは、確かな組み立て技術を持ったBTOブランドのPCを選択するメリットだ。
クリエイター向けPCでチェックすべき4つPCパーツ作業が快適になる性能のポイント
今回は、クリエイター向けのPCで特に注目すべき4つのパーツについて紹介する。
具体的には、「CPU」、「GPU」、「メモリ」、「ストレージ」の4種類で、実際のクリエイターPCがどのようなパーツを搭載しているのかを交えつつ、その役割と選び方を確認しよう。
ポイント1 動画の編集/エンコードなら8コア以上のCPUを選ぼう
CPUはクリエイター向けPCの性能を左右する特に重要なパーツだ。FRGKH370/CRでは、8コア16スレッドCPUのCore i9-9900KFを搭載している。
動画や画像の編集に用いるアプリケーションの多くは、複数のCPUコアを処理に用いるマルチスレッドへの最適化が進んでおり、コア数の多いCPUを用いることで処理時間を短縮できることが多い。
細かい作業を繰り返す写真編集やイラスト制作などでは、CPUコア数を増やすよりも1コアあたりの性能を追求した方が快適になる場合もあるが、多くのクリエイター向けアプリケーションがマルチスレッド対応になっていることもあり、現代のクリエイティブシーンで利用するPCには、最低でも4コア以上のCPUを選びたい。特に、3DCGや動画のレンダリング作業ではCPUコア数が威力を発揮するので、こだわりたいところだ。
FRGKH370/CRが搭載したCore i9-9900KFは、8コア16スレッドによる優れたマルチスレッド性能を備えながら、最大で5GHzに達する高クロック動作によって、コア当たりの性能にも優れたCPUだ。
Core i9-9900KFをはじめ、現行の8コアCPUはクリエイティブで求められるCPU性能を高いレベルで兼ね備えている。本気で創作活動に取り組むなら、8コアCPUを基準にCPUを検討することを勧めたい。
ポイント2 ビデオカードはなるべくVRAMが多いモデルを選ぶ、映像の正確性重視ならQuadro
クリエイター向けアプリケーションは、以前からGPUを積極的に活用してきた。現在では、編集中のプレビューから最終的なアウトプットまで、幅広いシーンでGPUが活用されている。
3DCGのモデリングといったような、GPUで処理を実行するアプリケーションではコア数が多く演算性能の高いGPUほど有利。動画エンコードや配信といったような、GPU内蔵ビデオエンジンを利用可能なアプリケーションではビデオエンジンの世代が新しいGPUが有利だ。
また、GPUを積極的に使用するアプリケーションほどVRAMの使用量も大きい。現代のクリエイターPCでGPU性能をあてにするなら、最低でもVRAMは4GB、なるべく8GB以上のGPUを選びたい。
また、GPUには、単純な性能の高低だけでなく「一般ユーザー向け」と「プロフェッショナル向け」という区分が存在する。
参考例であるFRGKH370/CRが搭載する「Quadro RTX 4000」は、NVIDIAのプロフェッショナル向けGPU。NVIDIAのプロフェッショナル向けGPUブランドである「Quadro」では、プロの現場での使用に耐えられるよう、ハードとドライバソフトウェアの両面で、信頼性や互換性を重視した設計が採用されている。
ゲームであれば高いフレームレートが出ることが重視されるので、GPUは描画速度に重点がおかれたチューニングが施されるが、業務用のCADや映像関連の用途であれば表示の正確性が重視されるので、おのずとチューニングも信頼性重視の方向になる。
最近では、一般ユーザー向けの「GeForce」にもクリエイター向けドライバ「Studio Driver」が登場。OpenGLでの30bitカラー(10bpc)表示や、クリエイター向けアプリへの最適化など、Quadroでのみサポートされていた機能への対応や、ゲーム以外への最適化が進められているが、3DCADなどで特に信頼性が求められる用途では、アプリ側が推奨するQuadroの利用を検討したい。
プロやプロを目指すユーザーであれば「Quadro」を選んでもらいたいところではあるが、ちょっと3DCGを楽しんでみたいとか、CADを触ってみたいといったユーザーにはオーバースペックではある。そうしたユーザーは、まずは「GeForce」の「Studio Driver」で試してみて、本格的に創作活動を行うようになったら「Quadro」とステップアップするのが良いはずだ。
ポイント3 クリエイティブ用途ならメモリは最低16GB、複数アプリ同時使用なら64GBに
メインメモリには速度や規格など複数のスペックが存在するが、クリエイター向けで注目すべきは容量だ。
メモリ容量の不足は高性能なCPUの処理速度を著しく低下させてしまうため、PCには作業に不足しないだけのメモリを搭載する必要がある。
近年、映像や画像コンテンツの高解像度化が進んでおり、クリエイター向けアプリが制作作業で必要とするメモリ容量も増加している。クリエイターPCであるなら、少なくとも16GB、できる限り32GB以上のメモリ容量を搭載しておきたい。
メモリ使用量を気にすることなく、自由なワークフローで制作活動に取り組める潤沢なメモリ容量は、クリエイターPCが備えるべき要素だ。メモリは足りている間は何も感じないが、足りなくなると急激にPCのパフォーマンスが落ちるので、使い切らない容量を搭載したり、一度に開くファイルの数を調整したいところだ。
FRGKH370/CRは標準で32GBのメモリを搭載しているが、追加2万円(税抜き)で倍の64GBにアップグレードできる。複数のアプリケーションを同時に使用したりする場合は64GB程度あった方が快適なので、予算が許すのであればカスタマイズをお勧めする。
ポイント4 作業を行うのはSSD上、元素材や完成データを補完するのはHDDと使い分けよう
クリエイターPCのストレージデバイスは、SSDとHDDから選ぶことになる。現代のPCの基本として、OSやアプリへのデータアクセスが頻繁に発生するシステムディスクには、HDDを大きく超える転送速度を実現するSSDを利用すべきだ。
基本的に、ストレージの転送速度は速いにこしたことは無く、編集作業に用いるファイルをSSD上に保存することで、読み出しや上書き保存時の時間を短縮できる。加工する素材もSSD上に展開してしまった方が快適なので、予算が許すならなるべく大容量のSSDを選びたい。
PCのストレージを全てSSDにしてしまったほうが快適だが、高速なSSDの容量単価は高いので限界はある。動画や画像の容量は増大傾向で、SSDのみで多くのファイルを保存し続けるのは高コストで困難だ。
このため、元々の素材や、加工済みのファイルなど、編集や加工が済んだファイルなどは容量単価の安いHDDを活用したい。HDDであれば、TB単位の容量でも安価に導入できる。
クリエイターPCでは、編集作業などで使用するファイルを一時的に保管するストレージと、制作が完了したデータやバックアップの保管庫として使用するストレージを分けて考え、前者にSSD、後者にHDDを利用することで、快適性と記憶容量の両立を実現できる。
FRGKH370/CRは、システムディスク用に1TBのNVMe SSDと、データ保管用の2TB HDDを搭載している。システム用に1TBの大容量SSDを用いることで、編集用のファイルを保存するのに十分な容量を確保しつつ、2TBのHDDを保管庫として利用できる構成だ。
予算が許すのであれば、システムやアプリケーションをインストールするSSDとは別に作業スペースやデータ保管庫として利用するSSDを増設したり、扱うファイルの大きさや数量に応じて、より大容量のHDDを選んだり台数を増やすことも検討したい。
4つのパーツをチェックして快適に使えるクリエイター向けPCを選ぼう
今回はクリエイター向けPCで注目すべき4つのパーツについて紹介した。購入に際しては、これらのパーツが自分の用途に適したものであるのかをチェックし、より快適に作業が行えるPCを選択して欲しい。
自分の作りたい作品や用途がはっきりとしているのであれば、その部分に影響するパーツをより強化したり、逆に影響が少ない部分のパーツのグレードを落とし、コストパフォーマンスを高めるといったこともBTO PCならできる。
参考例としたFRONTIERの「FRGKH370/CR」の構成パーツから考えると、編集から書き出しまで良好な性能が期待できるCore i9-9900KFと、クリエイター向けアプリでの信頼性に優れる「Quadro RTX 4000」の組み合わせは、3DCGや映像作品の制作に本格的に取り組みたいクリエイターに適したPCであると言えよう。
3DCADで「Quadro」を必要とするユーザーにとっても、税抜きで約25万円で買えるQuadro RTX 4000搭載PCはコストパフォーマンスが高いモデルになるだろう。BTO PCらしくパーツ構成のカスタマイズにも対応しているので、なるべく省スペースで高性能なクリエイターPCを求めているなら、FRONTIERの「FRGKH370/CR」を検討してみてはいかがだろうか。
[制作協力:FRONTIER]