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自宅用で長時間PCを使うなら高耐久HDD、ヘリウム充填モデルに買い替えてみた

24時間365日稼働対応HDDで自宅での仕事をより安全に text by 久保勇

Western Digital WD101PURZ、10TBのヘリウム充填モデル。

 テレワークが推奨される昨今、自宅のPC環境をアップグレードしたり、新しい機材を導入して仕事をしている人も多いかと思います。長年購入しようか悩んでいたものをこれを機に購入したという人もいるのではないでしょうか。

 自分も自宅での作業がメインとなったので、いくつか周辺機器の入れ替えやパーツの交換などを行いました。今回はそんな中から、自宅PCに導入したヘリウム充填のHDD「WD Purple」の10TBモデル(WD101PURZ)を紹介します。

 自宅で長時間PCを起動させっぱなしにするなら、やはり高耐久HDDです。

長時間使うなら24時間365日HDD稼働対応のHDD信頼性が高いと思われる要素のポイントを再確認

 個人的に高耐久なHDDを選ぶ際にポイントにしているのは、以下の3点。初期不良だったり個体差などもあるので、確実に安全というわけにはいかないのですが、以下を満たしていればトラブルが少ない印象です。

・24時間365日稼働対応
・メーカー保証期間が3年以上
・MTBFやワークロード率など信頼性を示す数値が公表されていること

「WD Purple」は24時間365日稼働対応。対応モデルであればポイントとしてメーカーサイトに記載されていることが多いです。

 24時間365日稼働に対応するモデルで一般的に購入しやすいHDDは、NAS用、監視カメラ用、エンタープライズ用の3製品。これらの製品はほとんどのモデルが24時間365日稼働をうたっています。

 コンシューマー向けの一般的なHDDは、一日に数時間程度の使用を想定して設計されているので、長時間連続して使用し続けることは想定されていません。もちろん、コンシューマーモデルを長時間使用したら確実に壊れるといったことはありませんが、PCをつけっぱなしの状態で常時稼働する人は、安心感を買うという面でも気にした方が良いポイントです。

「WD Purple」はメーカー3年間保証。長期保証モデルはメリットとしてうたわれていることが多いです。

 保証期間は、長期保証モデルであればメーカーサイトにメリットとして記載されていることが多いです。すべてのPCパーツが保証期間の長さ=製品の寿命の長さとなっているわけではないのですが、HDDに関しては保証期間が長いモデルほど長期間稼働が可能といった傾向があるので、選ぶ際のポイントになります。

信頼性が求められるモデルはMTBFやワークロード率などが公表されています。「WD Purple」の10TBモデルであれば、年間ワークロード率は360TB、MTBFは150万時間。

 なお、HDDの高耐久/高信頼性モデルは、ほとんどのモデルがMTBFや年間ワークロード率など、製品の信頼性の関するデータを公表しています。数値をメーカーが出すということは、その耐久性能をメーカーが責任をもって保証するということになるので、どれくらい酷使しても問題ないのかなどの判断材料にもなります。

今回購入したWD101PURZは、Western Digital(HGST)が2013年に発売した「HelioSeal技術」の流れをくむヘリウム封入技術が使われたHDD。

 今回上記のポイントに合わせ、もう一点こだわったのがヘリウム充填であること。

 かなり以前にWestern Digital(HGST)が店頭イベントを行った際に、「ヘリウム入りHDDはプラッタやヘッドなどが完全に密封されるので、湿度や空気中に含まれるガスなどの影響を受けず、結果的に長寿命のHDDになる」と聞いていたので、いつかはヘリウム充填HDDと考えていました。

 ただし、ヘリウム充填HDDはなかなか高価で、同容量であれば後継モデルが通常のHDDに戻ってしまったり、値下がりする前に市場から消えたりと、手ごろな価格になることがありません。なのでずーっと購入を見送っていたのですが、テレワークで自宅のPCも長時間稼働するし、より安全なHDDが必要だし、多少コスト高になっても、今この時に耐久性と信頼性を重視するならヘリウム充填HDDだ!ということで購入しました。

 周りからは、オーディオ用に使うと音が変わるとか、ヘリウム入りだと重量が軽くなるとか、ろくでもない実験に使うためだろうと突っ込みをもらったりもしましたが、今回は信頼性重視での選択です。ちょっと高いけど安心を買うならしかたないなー(棒)。

買い替えるならゆとりのある容量を、3TB HDDから10TB HDDに買い替え監視カメラ向けのHDDを普通に使っても大丈夫?

 前置きが長くなりましたが、個人的に耐久性の高いポイントを意識しつつ今回選んだのは、Western Digitalの監視カメラ向けHDD「WD Purple」の10TBモデル「WD101PURZ」。価格は税込33,180円で、ソフマップの通販サイトから購入しました。

WD Purpleの10TBモデル「WD101PURZ」。
WD Purpleは監視カメラ向けHDDですが、通常のPC用HDDとしても利用できます。

 簡単にスペックを紹介しておくと、24時間365日稼働対応のモデルで、回転数は7,200rpm、キャッシュは256MB、最大転送速度は245MB/s。MTBFは150万時間、ワークロード率は360TB/年間。最大64台のカメラの映像の記録に対応していたりと、特殊なモデルではありますが、一般的なHDDとしてPCでは使用できます。

 なお、後継モデルの10TB HDD「WD102PURZ」が流通しているのですが、海外の通販サイトなどに上がっている画像がヘリウム封入タイプの筐体ではないので、今回確実にヘリウム装填モデルとわかる「WD101PURZ」を選んでいます。

本体側面。
こちらは側面コネクタ側。
本体側面、上部側。
本体裏面。ネジ穴の位置がWestern Digitalの通常モデルと少し異なります。

 ちなみに、自宅でこれまで使用していたHDDはNAS向けの「WD Red」の3TBモデル「WD30EFRX」。製造日を見ると2015年9月なので、5年近く前に購入したもの。空き容量は残り約11GB。改めて確認してみると、使用年数(稼働時間は約8,650時間)的にも空き容量的にも即買い替えた方が良い状況でした。

 自宅のPC環境を見直して、データの集約や整理などをすると思いのほか容量が無くなったりするものなので、買い替えの際はゆとりある容量への乗り換えをお勧めします。

元々自宅で使用していたHDDの「WD Red」の3TBモデル。こちらも24時間365日稼働対応モデル。
テレワークを機にデータを整理したところ、空き容量が11GB程度しかありませんでした……。こうなったら即HDDを買い替えるしかありません。

ヘリウム充填のWD Purpleはなかなかの速度、乗り換えでデータ転送は100MB/s以上高速に

 自作PCユーザーがHDDを入れ替えてはじめにすることいえば、やはりベンチマーク。新旧HDDで速度を比較してみました。

 左がWD Purple 10TBの「WD101PURZ」、右がWD Red 3TBの「WD30EFRX」の速度です。なお、「WD30EFRX」は一応データを一旦退避させ、空にしてから速度を計測しています。

WD101PURZの速度。
WD30EFRXの速度。

 WD101PURZが7,200rpm、WD30EFRXが5,400rpmのため、速度に関してはベース部分で有利不利が大きいのですが、乗り換えでシーケンシャル速度は90MB/sほど高速になりました。100GB単位で写真やら資料も転送することがそこそこあるので、速度向上分の恩恵はそこそこ受けられそうです。

ヘリウム充填HDDへの乗り換えで良かったのか、次回普通のHDDといろいろ比較

 今回、個人的にHDDを選ぶ際に意識しているポイントと、簡単な新旧HDDの比較をしてみましたが、次回ヘリウム充填HDDの効果をもう少しテストしてみたいと思います。

 HDD内部の抵抗が少ないため動作温度が低いらしいといわれていたり、筐体が密閉なので動作音が小さいらしいといった話を聞いたことがあるのですが、実際に普通のHDDと比べてどうなのか、せっかくなのでテストしてみようと思います。ほかにも思いつけば何個かテストしてみるつもりです。

 ヘリウム充填モデルって本当にいいの?と気になっている方は、次回の検証記事も見てもらえればと思います。

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