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ヘリウム充填HDDの動作温度は低い?5,400rpmの動作温度に迫れるのか比べてみた

サーモグラフィーでHDD全体の状態もチェック、ヘリウム充填のWD Purpleで実験 text by 久保勇

 自宅のPCをWD Redの3TBモデルからWD Purpleの10TB(ヘリウム充填)にアップグレードしたと2回に渡ってお届けしましたが、今回は動作時の温度と音がどの程度のものなのかをお届けします。

 なお、空気充填のHDDとヘリウム充填のHDDの比較レビューではなく、元々使っていた3TB HDDからヘリウム充填の10TB HDDに乗り換えたらどんな変化があったのかといった視点になるので、その点はご了承ください。ほぼ同スペックの空気充填モデルをさらに購入する予算が無く……。

 ただ、苦言やリクエストは結構頂いているので、メーカーからの協力が得られれば、同世代同容量ほぼ同等スペックのHDDを使い、空気充填HDD vs ヘリウム充填HDDのレビューは行いたいと思います。

 と、今回もゆるい内容になりますが、ヘリウム装填HDDに興味がある方は見ていってください~。

ヘリウム充填でも回転数が高ければHDD動作温度は上がるただ、7,200rpmモデルとしては低温?

 今回は約400GBの写真ファイルを使用し、30分間連続して書き込みを行った際のHDD動作温度を見てみたいと思います。

 比較に使用しているHDDは、これまで同じくWD Red WD30EFRX(3TB)。回転数が5,400rpmかつプラッタ枚数も少ないので、7,200rpmのWD Purple WD101PURZ(10TB)よりも数値上は有利。

 以前メーカーの人から聞いた話では、ヘリウム充填のHDDは空気を充填したモデルに比べ内部の抵抗が少ないため、低消費電力/低発熱なHDDになると聞きましたが、回転数の違いも吸収するくらい効果があるのか見てみたいと思います。

 なお、室温は23℃±0.5℃の状況でテストしています。

WD Purpleの10TBモデル「WD101PURZ」(7,200rpm/256MBキャッシュ)。
WD Redの3TBモデル「WD30EFRX」(5,400rpm/64MBキャッシュ)
HDDは床に直置きではなく、PCケースのトレイ上に置いてテストしています。
室温は23℃±0.5℃に収まるようにしました。

アイドルの温度は3℃ほどWD Purple 10TBが高い、7,200rpm分の差?

 まずはアイドル時の温度から。

 PCに接続し、しばらく放置して動作温度が安定したあたりのものををみています。動作温度はCrystalDiskInfoで計測しています(更新頻度を1分に変更 + 手動更新)。

アイドル時の温度
WD Purple WD101PURZ(10TB/7,200rpm/256MBキャッシュ)。
WD Red WD30EFRX(3TB/5,400rpm/64MBキャッシュ)。

 アイドル時の動作温度は、WD Purple WD101PURZ(10TB/7,200rpm)が35℃、WD Red WD30EFRX(3TB/5,400rpm)が32℃。回転数分の差だと思われますが、アイドルの時点で3℃ほどWD Purple WD101PURZが高い結果に。

30分連続で写真ファイルを書き込み、回転数の高いWD Purple 10TBが4℃プラス

jpgとRAWの計400GB分の写真ファイルを連続書き込み

 続いて約400GBの写真ファイルを連続書き込みした際の動作温度を比較してみたいと思います。

 温度を計測したのはファイル転送を開始して30分経過した時点の状態。どちらのHDDも今回のテストではだいたい30分前後で動作温度が安定したので、そこまでの最高温度を計測しています。

写真ファイル30分連続書き込み中の動作温度
WD Purple WD101PURZ(10TB/7,200rpm/256MBキャッシュ)。
WD Red WD30EFRX(3TB/5,400rpm/64MBキャッシュ)。

 アイドル時の動作温度は、WD Purple WD101PURZ(10TB/7,200rpm)が40℃、WD Red WD30EFRX(3TB/5,400rpm)が36℃。温度差はアイドル時の差がほぼそのままスライドしたようなかたちになりました。

 7,200rpmであることを考えると、WD Purple WD101PURZは動作温度が低いような気もしますが、今時の7,200rpmHDDは低発熱な可能性もあるので、ほかの7,200rpmHDDもテストしてみたいところです。ヘリウム装填で5,400rpmだとどうなるのかも気になりますね……。

サーモグラフィーで比較してみた、最も温度が高い部分の差は少ない?

 サーモグラフィーカメラのFLIR ONE Proを使い、アイドル時とデータ書き込み時の温度がどのようになっているのかも確認してみました。

 HDDのどの部分が熱くなっているのかを確認するには、こうしたサーモグラフィーカメラが有効。本当はHDD表面側で計測したいところだったのですが、鏡面や金属光沢面などは測定不能なので、影響の少ないHDD裏面側で計測しています。

FLIR ONE Proを使って温度を確認。
左がWD Purple WD101PURZ、右がWD Red WD30EFRX。ひっくり返して並べて比較。

 まずはアイドルの状態ですが、全体的にWD Red WD30EFRXが低温となっており、CrystalDiskInfoで計測した結果と概ね同じような傾向といえます。動作温度は回転数の影響が最も大きいのかもしれません。

アイドル時のサーモグラフィー
アイドル時の様子。左がWD Purple WD101PURZ、右がWD Red WD30EFRX。

 続いてデータ書き込み時の様子。2台のHDDに約400GB分の写真データを同時に書き込んでいる状態のもので、WD Red WD30EFRX(3TB/5,400rpm)が負荷時も全体的に低温であることがわかります。

 ちなみに、どちらのHDDも赤く発熱している部分はICチップが搭載されているあたりのようです。このあたりりが最高温度となっているので、回転数に限らずHDDで最も発熱するのはICチップなのかもしれません。

負荷時のサーモグラフィー
データ書き込み時の様子。左がWD Purple WD101PURZ、右がWD Red WD30EFRX。

 ヘリウム充填で下克上とは行きませんでしたが、ヘリウム充填のWD Purple WD101PURZはそこまで発熱も大きくないので、これまで低回転HDDを使用していた環境のアップグレードには使いやすいかも。もちろん、この最大4℃の差が致命的となる環境もあるので、シビアな環境で使用している人は注意するに越したことはありません。

 ちなみに、ファイルの転送速度は実測でWD Purple WD101PURZとWD Red WD30EFRXで倍くらい差があります。+4℃の動作温度と引き換えに倍の速度が手に入ると考えると、悪いトレードオフではないなと。個人的には速度面でかなり満足なアップグレードになっています。

WD Purple WD101PURZのファイル書き込み時の速度、今回の写真ファイルを書き込みテストでは210MB/s前後で推移。
WD Red WD30EFRXのファイル書き込み時の速度、110MB/s前後で推移。

 次回は騒音計をうまく使いこなしてデータが取れれば、動作音に関しての検証をお届けします。本当はこのレビューに動作音の話も入れるつもりだったのですが……、いや~音の計測は難しいですね。

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