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CHERRYの新作メカキー採用、ゲームで疲れにくいリニアなタッチ感の「CORSAIR K60 RGB PRO SE」

「CHERRY VIOLA」スイッチ搭載のフルサイズゲーミングキーボード text by 白倉甲一

K60 RGB PRO SE (CH-910D119-JP)

 メカニカルキーボードのスイッチには様々な種類があるが、中でも長年に渡りクォリティの高いスイッチをバリエーションも豊富に出し続けている定番中の定番がCHERRY社製のスイッチだ。

 CORSAIR製のゲーミングキーボードK60 PROシリーズは、CHERRY社製の高コストパフォーマンススイッチ「CHERRY VIOLA」が採用された国内初のメカニカルキーボード。今回はその中でも最上位モデル「K60 RGB PRO SE」の打鍵感などを実際にゲームをプレイしながら確認してみよう。

CHERRY社製の高コスパな新生メカニカルスイッチ「CHERRY VIOLA」を採用

CHERRY VIOLAスイッチ
以前のインタビューでも語られているが、CORSAIRはCHERRYと強い関係性を築いており、新型のキースイッチを採用する製品を積極的に投入している。

 メカニカルスイッチはメンブレンスイッチなどに比べ高耐久で入力精度も高い反面、品質の管理が難しくどうしてもコストが高くなってしまう。

 それを嫌って廉価なメカニカルスイッチを採用したキーボードを選んでしまうと打鍵感に満足がいかなくなるなど、こだわりを持ってキーボードを選ぶユーザーにはなかなか難しい問題でもある。

 そこで登場したのがK60 PROシリーズで初の採用となる「CHERRY VIOLA」で、CHERRY社の技術を詰め込みつつもコストを抑え、高品質な打鍵感を実現した新設計のメカニカルスイッチだ。

 押し下げ荷重45g、アクチュエーションポイント2mmと数字の上では赤軸スイッチに近く、同様にリニアタイプのスイッチとなるが2mm以降の押し下げ時に荷重が75gと重くなるため、赤軸よりも底打ち時にやや打ちごたえのある印象になっている。

スイッチ上部は透明素材になっているので綺麗に発光する。
クリック感の無いリニアタイプで底打ちしやすい。

すっきりとしたデザインのアルミニウムフレームとRGBライティングを採用CORSAIRキーボードの特長を踏襲しつつ価格を抑えた新モデル

 「K60 RGB PRO SE」はK60 PROシリーズの最上位モデルで、RGBバックライトを搭載。付属品としてクッション付のパームレストも同梱している。

 パームレストを除いた本体サイズは441 x 136 x 38mm。本体重量は0.95kg。サイズ的には一般向けのフルキーボードと概ね同じかややスリムな印象だ。

正面、日本語配列フルキーボード。表面はアルミニウムフレームで覆われている。
背面、四隅に滑り止めのラバーグリップと上部2カ所にチルトスタンド。
横から見た状態。キートップに程よく角度がつき打鍵しやすくなっている。
傾斜をつけたい場合は背面のチルトスタンドを起こして使用できる。

 筐体表面はCORSAIR製ゲーミングキーボード特有のヘアライン加工が施されたアルミニウムフレームとなっており高級感のある仕上がりで、デザイン的にも余分なスペースの少ないスッキリしたものとなっている。

 Nキーロールオーバーと100%のアンチゴースト、ゲーム中の誤操作防止に役立つキーロック機能や1000Hzのポーリングレートなど、ゲーミングキーボードとしてゲームを快適に楽しむためのスペックを遺憾なく盛り込んでいる。

フレームは質感の良いアルミフレーム、本体右上のインジケーターでキー入力の状態を確認可能。
USBケーブルの長さは約1.8m。1000Hzのポーリングレートに対応。

 付属のパームレストは合皮表面にパターンが施されていて汗などをかいてもベタ付かないようになっている。クッション性も高く長時間使用での疲労軽減にもかなりの期待が持てる。

付属のパームレスト、磁石や底面の滑り止めでズレ対策もバッチリ。
パームレストを装着した状態。

 また、従来のCORSAIR製キーボードでは基本的にキー印字にかな表記があったが、K60 PROシリーズではかな印字なしのタイプへと一新された。

 ゲーム用途でかな入力が必要な場面が少ないことやデザイン的な意味合いも含めて、かな印字のないキーキャップを待ち望んでいたCORSAIRユーザーには嬉しい変更点だろう。

二色成形のキーキャップ。長期間使っても印字が消えず、ライティングにも一役買っている。
ライティングは明るい照明の下でもハッキリわかる。かな印字なしになったことでデザイン的にもまとまった印象だ。

程よく反発感のあるリニアな打鍵感、長時間プレイでも打ち疲れしない快適さ

 リニアタイプの「CHERRY VIOLA」スイッチは底打ちしたいユーザーにもうってつけだ。メンブレンスイッチのように余計な軸ブレや底打ちした際のラバードーム特有のゴムを潰す感触なども無く、長時間使用でも疲れにくくなるだろう。

 今回は、実際に人気のバトルロイヤルFPS「エーペックスレジェンズ」をプレイし、使用感を確認してみた。

手首を柔らかく支えてくれるクッション性の高いリストレスト。手のひらが突っ張ることも無く非常に快適だが、ゲームプレイ時も良さが発揮されるのか見てみよう。
今回テストに使うのは、爽快感のあるバトルロイヤルFPS「エーペックスレジェンズ」。3人1組でチームを組み、様々なキャラクターの固有スキルを駆使し戦うゲームだ。

 普段より意識的に底打ちしつつ長時間プレイしてみたが、手指への負担は少なく、入力精度も高いのでかなり快適に使用できた印象だ。付属のリストレストも品質の良い物であるため疲労軽減に役立っているように感じた。

 CORSAIR製ゲーミングキーボードの中では高コストパフォーマンスモデルに位置する製品だが、いかにも廉価モデルといった感触はなく良好。慎重な操作や咄嗟の判断での操作が要求されるような事態でも狙った通りに操作できたので、ゲームで勝つためのゲーミングキーボードとしても十分な性能を持っていると言えるだろう。

射撃訓練場(トレーニングモード)でキャラコントロールのチェック、コスパ重視のキースイッチではあるが打ち心地は悪くない。
キーキャップ表面のさわり心地なども良く、打鍵時に引っかかってストレスになるような事はない。スペースバーは日本語配列としては長めの部類なので手の大きさによって届きづらくなると言うこともないだろう。
Nキーロールオーバーやアンチゴーストにより同時押しや連打時のキー入力の精度も高いため、ゲームプレイ中に「自分が操作した動きと違う!」と言うような場面は無く反応も良好。
キースイッチは俗にいう青軸のような打鍵した際にカチッとなるタイプでないが、メカニカルキースイッチの小気味良い感触がある。

 スイッチの動作音は青軸などのタクタイルスイッチと違って大きくカチャカチャと音がなるタイプではないが、メカニカル特有の小気味良い打鍵音で軽快な印象だ。

 キーキャップによっては塗料や素材によって指が引っかかって上手く操作できないと言うような事もあるが、K60 RGB PRO SEは二色成形のキーキャップを採用しており表面はさらさらとした快適なさわり心地になっている。当然前述のような引っかかりなどもなくスムーズに打鍵できた。

高い位置をとられてしまい不利な状況だったがキー操作を巧みにこなし、多少の障害物を利用して上手く撃退できた。プレイヤーの操作にしっかりとキーボードが反応してくれる。
安全地帯へ向かう途中不意に戦闘が始まり体力が大幅に削られてしまったが、ミス無くしっかりキャラコントロールを行えたので後退して回復する事ができた。キーボード自体の操作感はなかなか良好だ。
キーが反応するアクチュエーションポイントは2mmで、底打ちしない高速入力も可能。アクチュエーションポイントを境に荷重が変わるので、高速入力の練習にも使いやすい。
もちろん底打ちで使用しても問題ない。底打ち時の押し下げ荷重は75gで、底打ち時は赤軸なよりも打ちごたえのある印象だ。

 また、メカニカルスイッチはメンブレンスイッチと違い底打ちをせずともスイッチが入るようになっており、これを利用してキー入力時にアクチュエーションポイントまで押し下げるに留める事で余計な力を使わず高速に操作しやすくなる。

 特に「CHERRY VIOLA」スイッチの場合は赤軸以上に底に向かって反発が強くなる印象があるので、力加減がわかりやすく、底打ちしない高速入力の練習をするのにも丁度良いかもしれない。

専用ユーティリティiCUEで自由なカスタマイズが可能ライティングやキーアサインはもちろん、ゲーミングヘッドセットとの連携も

 CORSAIRデバイスを一括管理できる専用ユーティリティiCUEを使ってキーアサインの割り当てや、ライティングのカスタマイズ、プロファイルの編集などを自由に行うことができる。

 ゲームをプロファイル毎に紐付けることでゲーム内のキー設定を変更すること無くユーティリティ上から割り当てをする事も可能だ。視覚的にもどこに何を割り当てたか確認しやすいので、慣れてしまえばゲーム毎に違う設定画面で手間取るようなこともないだろう。

個別にキー毎の設定を登録可能で。マクロ機能やキーアサインの変更以外にも様々な項目が用意されている。
マクロの内容も動作間のディレイなどこだわって記録することが可能。

 iCUEを起動した状態ではライティングのパターンもかなり細かく自由に指定ができるほか、CORSAIRデバイス同士でリンクして光らせるなど視覚的にこだわりを持った設定が可能だ。もちろん非起動時でも数種類のイルミネーションから好みのパターンを選択できる。

iCUE起動時のライティング設定。種類も豊富で光り出しタイミングなど細かく指定できる。
iCUEを起動していない場合でもいくつかのイルミネーションから好みのパターンで光るように設定する事が可能だ。

 ライティングの一つに「VOIDビジュアライザー」というパターンがあり、CORSAIR製ヘッドセットなどの対応デバイスと連携する事で音声入出力を視覚化しキーボードのライティングとして反映するユニークな機能だ。

 単純に視覚効果としても華やかな他、マイクの入力をビジュアライザーで表示することでミュート解除忘れの対策や声量を確認するのに役立つ面白いライティングパターンだ。

CORSAIRヘッドセットなどVOID対応のデバイスと連動して、キーボードのライティングをビジュアライザーとして利用できるようにするユニークな機能。
Winキーロック状態に一部のショートカットを無効化する事ができ、キーアサインの割り当てと連携する事でWinキーロック時に指定のキーを無効化するといった設定も可能だ。

機能全部盛りでも価格を抑えられるゲーミングメカニカルキーボード入門用としてもおすすめの一品

 メカニカルゲーミングキーボードは同じメカニカルスイッチを採用した物でも、デザインや最低限の機能をゲーム向けにした物と、それに加えゲーミング用途の機能やバックライトのバリエーションが豊富な物、またそれらを専用ユーティリティなどで自由にカスタマイズできるか否かで価格帯が大きく異なる場合が多い。

 今回の「K60 RGB PRO SE」は、上位モデルのようなゲーミングキーボードとしての機能をふんだんに盛り込みつつ、価格帯は高級ゲーミングキーボードの一段下となるゾーンに投入されている。実売価格は税込で1万5千円を割り込んでおり、2万円以上の高級機は手を出しにくいが、高機能で高性能なモデルが欲しいというユーザーに向けたものだ。

 予算の都合で高級機をあきらめ、泣く泣く廉価ゲーミングキーボードを購入せざるを得なかったユーザーにも、かなり有用な選択肢の一つとして提示できるキーボードだといえるだろう。

[制作協力:CORSAIR]