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32型/4K/高画質でクリエイティブもビジネスもイケる液晶「MSI Summit MS321UP」

キャリブレーション済みでHDRもサポート text by 坂本はじめ

 今回紹介するのは、MSIの「Summit MS321UP」。32型で4K解像度(3,840×2,160ドット)の液晶パネルを採用したビジネス&クリエイター向けディスプレイ。表示品質を重視した液晶パネルを搭載しており、出荷時にカラーキャリブレーションを実施することで「Delta E≤2」の色精度を実現している。

 表示品質はもちろん、クリエイター向け機能やビジネス向けの機能も多数備えており、MSIのビジネス&クリエイター向けディスプレイのフラッグシップに位置するモデルだ。在宅で業務を行うことが多かったり、クリエイティブな用途でもPCを使うといったユーザーは、Summit MS321UPの機能を是非ともチェックしてもらいたい。

32型/4K/IPSパネルのビジネス&クリエイター向けディスプレイVESA100対応でモニターアームにも搭載可能

 Summit MS321UPは、4K解像度のIPS液晶パネルを搭載した32型ディスプレイ。本体サイズは画面位置をもっとも低くした状態で727.1×235×460.78mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約9.7kg。電源はディスプレイ本体に内蔵している。

Summit MS321UPの本体正面。
背面。左下の方にOSDメニュー操作用のNaviキーが配置されている。

 本体背面には、OSDメニューを操作するためのNaviキーが配置されており、背面下部には映像入力端子としてHDMI 2.0b(2基)、DisplayPort 1.2、DP Alt Mode対応のUSB Type-Cを搭載。そのほか、映像入力以外のインターフェイスとして、PC接続用のUSBアップストリームポート(USB 3.2 Gen 1 Type B)と、USB機器接続用のUSB 3.2 Gen 1 Type A、PC接続用のコンボオーディオジャックを備えている。

 本体左側面には、SDXC対応のカードスロットやUSB機器接続用のUSB 3.2 Gen 1 Type A(2基)、マイクジャックとヘッドホンジャックを搭載。

 電源スイッチは本体右側底面に配置されており、その反対側となる左側底面にはユーティリティによって機能の割り当てが可能なマクロキーが配置されている。

背面下部に配置された入出力端子。映像入力端子はHDMI 2.0b(2基)、DisplayPort 1.2、DP Alt Mode対応のUSB Type-C(1基)。そのほか、USBアップストリームポート(USB 3.2 Gen 1 Type B)、USB 3.2 Gen 1 Type A、コンボオーディオジャックを備えている。
本体左側面のインターフェイス。SDXC対応カードスロット、USB 3.2 Gen 1 Type A(2基)、マイクジャック、ヘッドホンジャック。
電源スイッチは本体右側底面に配置されている。
電源スイッチの反対側となる左側底面には、機能の割り当てが可能なマクロキーが配置されている。

 本体背面中央部には、付属のスタンドを取り付けるためのねじ穴が設けられている。このねじ穴の位置はVESA100に準拠しており、同梱のスペーサーを取り付けることにより、VESA100対応のモニターアームを取り付けることができる。

本体背面中央部。付属のスタンドを取り付けるためのねじ穴は、VESA100に準拠した位置に設けられている。
付属のスペーサーを用いることでVESA100対応のモニターアームを利用できる。

 付属のディスプレイスタンドは、-5~+20度の上下角度調整(チルト)と、±35度の左右首振り機能(スイベル)、0~100mmの高さ調整機能を備えるほか、ケーブルマネージメント用のコードスリーブも搭載している。

 大型ディスプレイだが、スタンドの可動範囲はそこそこ広く調整もしやすいのはポイントになるだろう。

付属のディスプレイスタンド。本体背面にねじ止めして利用する。
ディスプレイスタンドにはケーブルマネージメント用のコードスリーブが用意されている。
チルト機能により、下向きに5度から上向きに20度までの範囲で表示面の角度を調整できる。
スイベル機能により、左右にそれぞれ最大35度まで表示面を傾けることができる。
高さ調整機能により、0~100mmの範囲で表示面の高さを変更できる。

表示品質を重視したカラーキャリブレーション済み4K液晶パネルDisplayHDR 600対応でHDR表示も可能

Summit MS321UPには、カラーキャリブレーションを実施した結果のレポートが同梱されている。

 Summit MS321UPが搭載する4K解像度(3,840×2,160ドット)のIPS液晶パネルは表示品質を重視しており、10bitカラー対応により最大表示色は約10億7,300万色で、色域はsRGBカバー率98%、DCI-P3カバー率:95%といったスペックのほか、出荷時に行われるカラーキャリブレーションによって色差はDelta E≤2を実現している。

 Delta Eは国際照明委員会が定める色差の値で、数値が低いほど優秀とされている。クリエイター向けの液晶ディスプレイはDelta E≤2以下が望ましいとするメーカーが多く、Summit MS321UPもこの値をクリアしているといえるだろう。キャリブレーション時のレポートが付属する点もユニークだ。

 パネルのリフレッシュレートは60Hzで、応答速度は4ms(GTG)。表面は光沢のないノングレア処理が施されており、動的同期技術であるFreeSyncやDisplayHDR 600もサポートしている。

DisplayPort接続時。画面解像度は4K(3,840×2,160ドット)で、リフレッシュレートは60Hz。10bitカラーにも対応している。
DisplayHDR 600に対応しており、HDRコンテンツを楽しむことができる。
リフレッシュレートをフレームレートに同期させるディスプレイ同期技術「FreeSync」も利用可能。

 また、Summit MS321UPにはマグネット着脱式の遮光フードが同梱されている。照明機器の映り込みなどを遮ることができるうえ、着脱も簡単というありがたいアイテムだ。製品スペックと合わせ、映像や写真を扱うクリエイターにとって魅力的な表示性能を備えたディスプレイであると言えるだろう。

専用の遮光フードが同梱されている。マグネット固定式なので、組み立てなどは不要で着脱も簡単。
遮光フードを装備したSummit MS321UP。遮光フードが天井にある撮影用ライトの光を遮っている。

OSDメニューをWindows上で快適操作できる「Productivity Intelligence」自動調光やノイズキャンセリングマイクなどビジネス向け機能をコントロール

 Summit MS321UPの機能や表示を調整するためのOSDメニューは、ディスプレイ本体背面のNaviキーを使って操作するのだが、PCとディスプレイをUSB接続すれば、専用のユーティリティソフト「Productivity Intelligence(P.I.)」でWindows上から手軽にOSDメニュー相当の設定が可能になる。

 マウスやキーボードでディスプレイの設定を行えるProductivity Intelligenceは、Naviキーでの操作より遥かに素早く効率的に操作できるので、Summit MS321UPを購入したならまず導入しておきたいソフトだ。

ユーティリティソフト「Productivity Intelligence」。

 もちろんクリエイター向けの機能もここから設定可能だが、まずはビジネス向けの機能から紹介しよう。Summit MS321UPには、周囲の明るさに応じてディスプレイの輝度を変更する「自動調光機能」が搭載されている。これは、本体正面下部のMSIロゴ付近に配置されたセンサーによって輝度を適宜調整するもの。

 周囲の環境光に比べてディスプレイの輝度が高すぎたり低すぎたりすれば、視認性が悪いばかりか疲れ目にもつながってしまう。標準では無効になっているが、太陽光などの影響で明るさが変化しやすい室内で利用したり、昼夜に渡り長時間使用する環境などでは、Productivity Intelligenceで「Auto Brightness Control」を有効化してみると良いだろう。

本体正面下部に配置されたセンサー。これで周囲の明るさを把握してディスプレイの輝度を調整する。
Auto Brightness Controlを有効(自動/カスタマイズ)にすると自動調光機能が有効になる。

 また、自動調光機能に用いるセンサーの両隣には非常に小さいマイクが内蔵されている。ディスプレイとPCをUSB接続している際はUSBマイクとして利用可能で、アクティブノイズキャンセリング機能も利用できる。

 内蔵マイクのノイズキャンセリング機能は、ユーティリティソフトのProductivity Intelligenceで「Sound Tune」をオンにすることで有効化できる仕組みだ。在宅で業務を行う際はミーティングなどもあるかと思うが、自宅は思いのほか雑音が多い環境もある。そうした際に有効な機能と言えるだろう。

自動調光機能用のセンサーの両隣に設けられた小さな穴の中にマイクが内蔵されている。
Sound Tuneをオンにすると内蔵マイクのアクティブノイズキャンセリングが有効になる。

大型/高解像度ディスプレイと相性の良いPIP機能マウスやキーボードを複数PCで切り替えて使える「KVMスイッチ」も搭載

大画面4Kディスプレイと相性の良いPIP機能、実用度も高い機能だ。

 Summit MS321UPは、2系統の映像入力端子を同時に画面に表示する「PIP(Picture in Picture)」と「PBP(Picture by Picture)」に対応している。

 小さい画面のディスプレイでPIPやPBPの機能を利用する場合はサイズや解像度の問題で用途が限られたりするが、4K/32インチほどのサイズがあれば小窓側の解像度なども高く、利用価値も高い機能と言える。ビジネスにもクリエイティブな用途にも使えるだろう。

 ユーティリティソフトのProductivity IntelligenceからはPIPとPBPのどちらを利用するのかを選択可能で、それぞれ映像ソースの入力端子が選択できるほか、PIPであれば表示サイズや場所、PBPなら表示モードを選択できる。また、映像ソースの切替やオーディオソースの切り替えなどもProductivity Intelligence上で行える。

PIPの設定。映像入力端子やPIPのサイズ、表示場所などを設定できる。
PBPの設定。PBPの表示モードや映像入力端子の設定が行える。
KVMスイッチを用いれば、ディスプレイに接続したUSB機器やディスプレイの機能を2台のPC間で切り替えながら利用できる。

 Summit MS321UPはKVMスイッチ機能も備えており、PIPやPBPの機能を使うのであればかなり便利な機能だ。USBアップストリームポートとUSB Type-Cにそれぞれ接続した2台のPCで、ディスプレイが備えるUSBポート(Type A)に接続した機器やSDXCカードスロット、内蔵マイクなどの機能を利用できるPCを切り替えて使用できる。

 KVMスイッチは標準で「自動」に設定されており、ディスプレイ側がUSBアップストリームポートとUSB Type-Cのどちらかを自動で選択してUSB接続を行うが、Productivity IntelligenceではUSB接続を行うPCを接続ポートから選ぶことができる。

キャリブレーション済みの効果をRAW現像で確認32インチ/4K解像度は高精細かつ作業もしやすい

実際にRAW現像を行い使用感を確かめてみた。
色味は自然で扱いやすく、ドット感のない高精細さとフルHD×4枚分の作業スペースは快適そのもの。

 実際にRAW現像でSummit MS321UPを使用してみたところ、出荷時にカラーキャリブレーションを実施しているだけあって、不自然に派手な発色などはなく、自然な色味で表示されているように見えた。

 また、4K解像度と32インチという画面サイズの組み合わせは、ドット感の少ない高精細な表示品質で写真のクオリティを確認できることに加え、等倍表示でもアプリのインターフェイスを十分に視認できるので、フルHD解像度4枚分という広大な作業スペースを快適に使える。

 今回はRAW現像を試したが、動画編集ソフトのような複雑なインターフェイスを備えるアプリケーションにも、自然な色表現と広大で高精細な作業スペースを確保できるSummit MS321UPは好適だろう。

画面上に用紙サイズやスケールを表示できる「デザインアシスタンス機能」

 PCで印刷物を制作するユーザーなら、実際に印刷する前に用紙サイズ原寸大でデザインや文字サイズの調整をしたいと考えることがあるだろう。32型ディスプレイであるSummit MS321UPは、A3横サイズやA4縦サイズまでの用紙を原寸大で表示可能なうえ、画面上に原寸大のスケールや用紙サイズの枠を表示する「デザインアシスタンス機能」を備えている。

 この機能は先述したProductivity Intelligenceに「スクリーンアシスタンス」として用意されている機能で、スケールや用紙サイズ、グリッド線、ルーラーなどを画面上に表示できる。使用時の画面の色味に合わせて線の色を変更したり、スケールの単位をインチとメートルで切り替えることもできる。

Productivity Intelligenceでは「スクリーンアシスタンス」として用意されているデザインアシスタンス機能。
表示するスケールやガイドの種類のほか、線の色や長さの単位などを選択できる。
用紙サイズ(横)のガイドを表示したところ。線の色は白・黒・青から選択できるので、表示物の色にあわせて見やすい色を選択すると良いだろう。
十字のスケールを表示したところ。Productivity Intelligenceでは表示単位が「Centimeter」も選択でき、実際はミリ単位の目盛りまで表示される。

 デザインアシスタンス機能で表示したスケールやガイドは、Windows上ではなくディスプレイ上に直接表示されているため、Windows上で動作するアプリケーションの影響を受けずに最前面表示し続けることが可能だ。原寸大でデザインのサイズ感やバランスを調整したい場合は活用してみると良いだろう。

「色」を扱うクリエイターにも好適な32型4K液晶確かな表示品質のディスプレイを求めるテレワーカーにもおすすめ

 優れた色再現性を実現したSummit MS321UPは、映像制作や写真編集などで「色」を扱うクリエイターの利用に適したディスプレイだ。また、自動調光機能やKVMスイッチなどの機能は、自宅で長時間にわたってディスプレイと向き合いながら多様な業務をこなすテレワーカーの助けとなるだろう。

 Summit MS321UPの実売価格は税込み11万8,000円前後で、色差Delta E≤2を実現する32型4K液晶パネルを搭載したディスプレイとしては入手しやすい価格が設定されている。PCで色を扱うユーザー、特に一人で全ての作業を担うビデオグラファーやフォトグラファー、デザイナーにとって、正確な色と多機能を備えたSummit MS321UPは導入する価値のあるディスプレイだ。

[制作協力:MSI]