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ゴールデンウイークはPC自作!!フルHD~WQHDで最新ゲームが楽しめるPCを作ってみよう!!

最新CPUと欲張り仕様のミドルレンジマザーで作るゲーミングPC text by 石川 ひさよし


完成したPCの実力を“ベンチマークテスト”で調べてみよう

それでは組み上がったPCの性能を確認してみよう。ここでは、PCの性能を数値化して比較する“ベンチマークテスト”という手法を利用する。ベンチマークテストを行なうには、専用のアプリや、ゲームの機能として用意されているテスト機能を利用するのが一般的。今回は、代表的なものをピックアップしてその結果をお見せする。本サイトでもよく登場しているベンチマークテストなので、ほかの記事で計測したPCとも見比べてみてほしい。

CINEBENCH R23の計測結果

CINEBENCH R23は3DレンダリングをCPU演算で行なうベンチマークだ。テスト内容は、CPUのコアとスレッドをフル稼働して計測する“Multi Coreテスト”、1スレッドのみの実力を計れる“Single Coreテスト”の2種類がある。

今回作ったPCのスコアは、Multi Coreが17,232pts、Single Coreが1,905pts。これまでのCore i5やCore i5-12600、さらには近い価格帯のRyzen 5 5600Xと比較してもMulti Coreのスコアは高く、あえてK付きを選んだ価値のある結果となった。さらに、1900点台のSingle Coreスコアも前世代CPUと比べて向上している。いずれも、古めのPCからの乗り換えた場合や、このPCを今後長く使っていくのに納得の成績だ。

PCMark 10の計測結果

CPUの単純な力比べであるCINEBENCH R23に続いて行なったのは、実際のPC利用に近いテスト内容でそのより実践的な性能を見るためのテスト。ここで用いる「PCMark 10」というテストアプリは、PCのごく基本的な性能を見る“Essentials”、ビジネス系アプリでの性能を計測する“Productivity”、写真や動画などを用いたコンテンツ制作における性能を比較するための“Digital Content Creation”、そして高度なグラフィックスを用いたゲームでの動きを計測する“Gaming”という4テーマのテストを行なってPCの性能を数値化するというものだ。

現在のPCの多くは、ビデオカードをゲーミング以外の用途にも活用していることがあるので、ビデオカードを搭載したゲーミングPCは、ゲーム以外の広い用途で活躍できるポテンシャルを持つ。実際、PCMark 10のスコアにもこのことが表われており、Gaming以外のスコアもかなりの高水準だ。これなら、ゲームプレイはもちろん、日々のPCライフも快適だし、Microsoft Officeを使った作業はもちろん、写真や映像を扱うクリエイティブ用途でも十分以上に活躍してくれるだろう。レベルの高いゲーミングPCは実は万能選手でもあるのだ。

3DMark―Time Spyの計測結果
3DMark―Fire Strikeの計測結果

3DMarkは3DゲームでのPC性能を計測するベンチマークテストだ。いろいろなタイプのゲームを模したテストが用意されているが、自作PCの評価でとくによく用いられるのがTime Spy、Fire Strikeの2系統。今回の計測結果を見てみると、期待通りフルHD~WQHD解像度で高画質プレイをするのにちょうどよい水準のスコアとなっていた。

とはいえ、3DMarkだけでは実際のゲームにおけるPCの実力を把握し切れないことも多い。ゲームによって設計や取り扱うデータの量が違ったり、映像のクオリティやゲームのテンポなどがまちまちだったりするためだ。3DMarkはあくまで性能の“指標”なので、実際のゲームでの実力を見てみたい場合には、実際のゲームでベンチマークテストを行なうのがベスト。というわけで、ここからはよくテストに用いられるゲームに内蔵されているベンチマークテスト結果のをご紹介する。

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークの計測結果

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークは、ベンチマークソフトとして無料で提供されている。スコアとともにカンタンな評価も出るので快適さも分かりやすい。日本発のタイトルということもあり比較できるデータも多いのでオススメだ。画質のプリセットとしては、高品質、標準品質、軽量品質の三つが用意されている(より細かくカスタマイズすることも可能)。

結果はグラフのとおり。WQHDでは標準品質、フルHDでは高品質で「快適」評価を得ている。もちろんこれら設定でプレイすれば快適だが、シーンによってはより負荷が急激に高くなり、フレームレートが落ち込む=動作がカクつくことも。これを回避したければ、ある程度余裕のある「とても快適」や「非常に快適」評価を得られる画質設定に下げるのも手の一つ。

以降は“フレームレート(fps)”を計測してゲームプレイが快適かどうかを判断する。フレームレートとは、1秒間に画面を書き換える回数のことで、テレビ放送が約30fps、一般的なPCの映像は60fps。フレームレートが高い映像ほど動きがなめらかになるが、PCゲームのような高度な3D映像の場合、高いフレームレートで映像を動かすにはそれなりのスペックが必要になる。

シングルプレイでじっくり遊ぶタイプのゲームは平均60fps超が快適。常時60fpsをキープできる環境なら、プレイ中に映像がカクつくことはほぼなくなる。この手のゲームは映像美も素晴らしいが、高解像度で超美麗映像を動かすにはハイレベルなビデオカードが必要になる。

ネットワーク対戦がメインのゲームを“ゲーミングディスプレイ(液晶)”と組み合わせてガチンコでプレイするなら、ゲーミングディスプレイの仕様に合わせて、144fps、240fps……などのように高いフレームレートが必要になってくる。ゲーミングディスプレイと高フレームレートでプレイすると操作感がぐっとなめらかになり、精密かつ素早い照準と射撃が求められるシューティング系のゲームでは効果は絶大とされている。

Horizon Zero Dawnの計測結果

シングルプレイのゲームであるHorizon Zero Dawnは平均60fpsがターゲット。実際、WQHD&最高画質でも平均76fpsと十分なフレームレートが得られたので、今回のパーツ構成は“成功”と言ってよいだろう。ただ、テスト結果を細かく見るとごくまれに動作がカクつくことがある可能性のある傾向も見られた。あまり気にならないレベルかもしれないが、もし気になるようであれば、WQHDでは画質の設定を少し下げてもよいかもしれない。

アサシン クリード ヴァルハラの計測結果

アサシン クリード ヴァルハラもシングルプレイ中心のアクションゲームなので、目標は平均60fps。テスト結果を見ると、WQHD&最高画質で平均83fps、最小fpsも61fpsと十分なものとなった。参考までに1ランク下の画質設定の結果も掲載したが、これなら最高画質でのプレイでOKだろう。

ファークライ6の計測結果

ファークライ6も美しいグラフィックスとボリュームのあるストーリーが魅力のタイトル。目標フレームレートは60fpsだが、今回のPCであればWQHD&最高画質で平均72fps、最小64fpsとこちらもクリアできた。試しにさらに高解像度の4K(3,840×2,160ドット)で計測してみたところ、低画質設定まで下げれば平均60fpsを上回ることができた。解像度を上げるためにここまで画質を落とすのはちょっと本末転倒。遊べなくはないが、やはり高い設定が維持できるWQHDまででプレイしたほうが満足度は高いだろう。

レインボーシックス エクストラクション(フルHD)の計測結果
レインボーシックス エクストラクション(WQHD)の計測結果

レインボーシックス エクストラクションは、ネットワーク協力プレイがメインのアクションシューティングゲーム。前作にして長く大人気となっている「レインボーシックス シージ」は対人戦メインのネットワーク対戦ゲームなので、少しガチンコ度はマイルドになったが、それでも反射神経ととっさの射撃力が問われることに大きな変わりはないので、ゲーミングディスプレイでのプレイを視野に入れ、できる限り高いフレームレートを狙いたいところ。

前作と同様に比較的軽量なゲームなので、本機のパワーがあれば、フルHD&最高画質で平均138fpsを超える。超高設定~最高画質設定であれば、低価格な製品も増えてきたフルHD/144Hzのゲーミングディスプレイでのプレイにも十分対応できそうだ。WQHDで高いフレームレートをキープする場合にはちょっと画質を下げてやったほうがよく、ゲーミングディスプレイと組み合わせるなら中設定程度が最低ラインだ。


各部の温度をチェック。この構成なら空冷でも大丈夫!

今回はミドルレンジCPUの最上位となるCore i5-12600Kを空冷タイプのクーラーで冷却しているため、CPUの冷却が十分かどうかはちょっと気になるところ。ここまでのベンチマークテストの結果からは、冷却不足が懸念される状況は見えないが、動作中のCPUとマザーボードの電源回路(VRM)、ビデオカード(GPU)の温度を計測した結果をまとめてみた。

CINEBENCH R23(MultiCore)実行中の温度推移

まず、CPU負荷が高いCINEBENCH R23の実行中の温度推移だが、CPUの温度は最大87℃にとどまった。高めの温度で推移するのは確かだが、CPU内温度センサーが“高温のため危険”と判断して動作クロックを落とすサーマルスロットリングは発生しておらず、CPU温度が原因となるパフォーマンス低下は起きていないようだ。

PCMark 10(Standard)実行中の温度推移

次に、PCMark 10をゲーミング性能計測以外のテスト項目で実行した際の温度推移。テストの後半に一回、CPUが91℃に達しているが、そのほかのシーンで不安を覚えるようなポイントはない。ところどころに見える急な温度上昇はテスト内容によってCPUの負荷が高まったことの影響で、とくに問題視するほどでもない。

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク実行中の温度推移

最後にゲームの例としてFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークをフルHD、高品質設定でループ実行してみた。ここではビデオカードにも注目したい。今回使用したGeForce RTX 3060 VENTUS 2X 12G OCに関しては温度制御がかなり優秀で、最高でも70℃台半ばに抑えられていた。VRMは緩やかに上昇を続けているが、動作温度域としては問題ない。CPUは時折80℃を超えており、やや高めであるがこの程度なら特別に注意が必要とまでは言えないレベル。負荷をかけている最中の平均は60℃台後半~70℃付近といったところ。PC全体の冷却力という点で見ても問題はないと言えそうだ。

ここまでのとおり、今回の構成・設定であれば、日常的なPC利用はもちろん、3Dゲームをガンガンプレイしても、発熱が大きな問題になることはあまりないだろう(夏場の室温が高いところでエアコンなし、などの使い方は避けていただきたいが……)。もし、もう少しCPU温度を抑えて使いたいということであれば、前述した使用するCPUクーラーの設定を空冷タワー型からボックスに変更してやるのがお手軽。ピークパフォーマンスは若干落ちるが、消費電力が抑えられるので発熱も低下する。


今のゲーミングPCの基本をハデにし過ぎずギュッと凝縮

GW自作PCに検討してほしいMSIゲーミングを具現化したゲーミングPCの作例を紹介してきた。現代ゲーマーのスタンダードと言えるパフォーマンスを実現すべくパーツを選んでみたので、自作は初めてだけどチョイ前世代のPCなら持っている/触ったことがあるという人なら、パフォーマンスの向上ぶりを体感できると思う。

また、どハデに装飾した例が多い最近のゲーミングPCに比べると、今回の作例は要所要所にアクセント的なLED発光が入っているものの、マザーボードとビデオカードをシックな黒基調に統一したことで、なかなか精悍な仕上がりになっているのもポイントだ。

ゴールデンウイークというまとまった時間のとれるタイミング。有意義なPCゲーミングとPC自作ライフを目指してみてはいかがだろうか。次ページでは、今回の作例をもとに、“自作PCの組み立て手順”を詳しく解説する。初めてPC自作にチャレンジする人はぜひ参考にしてみていただきたい。