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ゴールデンウイークはPC自作!!フルHD~WQHDで最新ゲームが楽しめるPCを作ってみよう!!

最新CPUと欲張り仕様のミドルレンジマザーで作るゲーミングPC text by 石川 ひさよし


作例PCの組み立て手順、すべて見せます!

 ここからは、今回の作例PCを実際に組み立てる手順を紹介する。自作PCの組み立てってやっぱり難しいのではと心配になる人もいるかもしれないが、使う工具はドライバーだけ、基本的な手順を守り、マニュアルを確認しながら進めれば、だれにでも完成できるレベルなのでご安心を。ここで解説する手順を読めば、作業は問題なく進められるはずだ。

PCの組み立てでは、刃先の規格が「+2」か「No.2」と呼ばれているドライバーを利用する。ただしM.2対応SSDの組み込みでは、刃先が「+1」や「No.1」のドライバーか、細身の精密ドライバーを使う

【STEP1】マザーボードにCPUとメモリを取り付ける

(1)固定用のピンを横にずらす:CPUソケットの金属カバーを固定している、固定用のピンを少し押して横にずらす
(2)固定用のピンを引き上げる:そのまま固定用のピンを引き上げると、金属カバーの固定が解除される
(3)金属カバーを開く:金属カバーを下に向けて大きく開くと、CPUソケットにアクセスできる
(4)CPUソケットを確認:これがCPUを組み込むCPUソケットだ。内部の細いピンを曲げたり折ったりしないよう、ここからの作業は慎重に行なう
(5)マークの位置を合わせてCPUを置く:CPUの左下にあるマークと、金属カバーや黒いカバーの左下にあるマークの位置を合わせ、CPUをゆっくりと乗せてからカバーをおろす
!Caution!:正しい向きにセットする目印になる、CPUや金属カバーの左下、そして黒いプラスチックのカバーの左下に三角形のマークがあることを確認しよう
(6)金属カバーを倒してもとに戻す:この状態で金属カバーをもとに戻すと、プラスチックのカバーも一緒に外れる
(7)金属カバーを固定する:最後に固定用のレバーをもとの場所に戻すと、金属カバーでしっかりとCPUが固定される。これでCPUの取り付け作業は終了
(8)メモリを挿す場所を確認:マニュアルを見て使うメモリスロットを確認する。今回は2枚なので、内側から数えて2番目と4番目のスロットを使う
(9)メモリスロットのロックを解除する:メモリスロットの両側にあるメモリスロットのロックを外側に開き、メモリを挿せる状態にする
(10)切り欠き部分を合わせて挿す:メモリスロットやメモリの切り欠き部分を合わせ、メモリスロットにメモリを挿す
(11)親指でギュッと押し込む:メモリの両端に親指を当てて、ギュッと押し込むようにしてメモリをメモリスロットに固定しよう
(12)2枚目のメモリも同じように挿す:もう1枚のメモリも、同じようにしてメモリスロットに挿して固定する

【STEP2】マザーボードにM.2対応SSDを取り付ける

(1)M.2スロットを確認する:どのM.2スロットもPCI Express 4.0対応だが、CPU直結の一番上のスロットを使うのが定石
!Caution!:搭載するM.2スロットが、どんなタイプのSSDに対応するかは、マニュアルに記載されている。H670マザーボードではどのスロットでもよいが、CPUソケットの横にあるスロットがもっとも高速であることが多いことも知っておこう
(2)M.2スロットのヒートシンクを外す:M.2スロットをカバーするヒートシンクやその固定用のネジを、刃先が+1やNo.1のドライバーを使って外す
(3)M.2対応SSDを斜め上から挿す:薄い板状のM.2対応SSDを、斜め上からM.2スロットに挿し込む
(4)M.2 SSDを固定する:M.2は小さなネジで固定することが多いが、今回はツールレスで固定できる製品。挿し込んだM.2 SSDを水平状態に下げ、「EZ M.2 CLIP」という小さなクリップを回して固定する
(5)ヒートシンクを載せる:ヒートシンク裏面の保護シートを剥がし(熱伝導シートを剥がさないように注意)、固定したM.2 SSDの上に外しておいたヒートシンクを載せる
(6)ヒートシンクをネジ止めする:SSDの固定でも利用するヒートシンクの固定ネジを取り付ければ、M.2対応SSDの取り付け作業は終了

【STEP3】電源ユニットをPCケースに取り付ける

(1)側板を固定するネジを外す:PCケース背面で側板を止めているネジを外し、側板を外せる状態にする
(2)両側板を外す:スチールの右側板、強化ガラスの左側板を外し、PCケースにパーツを組み込める状態にする
(3)電源ユニットを用意する:電源ユニットから伸びているケーブルのうち、一番太いATX24ピンケーブル、“CPU”と書かれたEPS12V電源ケーブル、“PCIe”と書かれたPCI Express補助電源ケーブル、平たいコネクタが付いたSerial ATA電源ケーブル(1本のみ)を使用する
(4)電源ユニットをPCケース内に入れる:右側面の背面近くにあるスペースに、ファンを下向きにした状態で電源ユニットを入れる
(5)インチネジでPCケースに固定:PCケースや電源ユニットに付属する“インチネジ”を使い、PCケースの背面から電源ユニットを固定する
!Caution!:PCケースのLED制御基板のSerial ATA電源ケーブルと電源ユニットのSerial ATA電源ケーブルをこの時点で接続しておくとのちの作業がラク。LED制御基板の結線については次項を参照

【STEP4】CPUクーラーをマザーボードに組み込む

(1)取り付けに使う部品を取り出す:CPUクーラーのパッケージから、今回使用するCPUに対応した取り付け部品を取り出す。広い場所で整理しておくと、後の作業がラク
(2)バックプレートを挿す:マザーボードの背面から、バックプレートのピンをマザーボードのCPUクーラー固定穴に通す
(3)スペーサをピンに挿す:そのままマザーボードをひっくり返し、バックプレートのピンにスペーサを挿す
(4)台座をスペーサの上に置く:マウンティングプレートの両端にある穴にピンを通し、スペーサの上に置く
(5)ナットで台座を固定する:ピンにナットを挿し、ドライバーでネジ止めしてマウンティングプレートを固定する
(6)CPUにグリスを塗る:CPUの上に付属または市販のCPU用グリスを少量塗る。小さなヘラやカードを使って全体に薄く塗り広げるか、次の手順でヒートシンクを置いたときに底面で押し広げる
(7)ヒートシンクをCPUの上に置く:ヒートシンクの底面を、グリスを塗ったCPUの上に当てて手で押さえる。このとき、ヒートシンクのCPUとの接地面に貼られている保護シートを必ず剥がしておくこと
(8)ヒートシンクをネジ止めする:ヒートシンク底面の固定具の両脇にある固定用ネジを使って、マウンティングプレートにネジ止めする
(9)ファンクリップをファンに付ける:ファンクリップの両端を、ファンの取り付け穴に押し込む。ファンの向きは原則的に吹き付ける方向に付ける
(10)ファンをヒートシンクに固定する:ファンクリップの中央部を、ヒートシンクの側面にあるフックに引っかけて、ファンを固定する
(11)ファンの電源ケーブルを挿す:ファンの電源ケーブルを、マザーボードのCPUファン用電源コネクタに挿す

【STEP5】マザーボードをケースに組み込み、ケーブル類を接続する

(1)スペーサの位置を確認する:マザーボードをPCケースに組み込む前に、スペーサが正しい位置に固定されているかどうかを確認する。不要なスペーサは外す
(2)マザーボードをスペーサに載せる:CPUとメモリ、SSD、CPUクーラーを組み込んだ状態のマザーボードを、マザーボードベースのスペーサの上に載せる
(3)マザーボードを固定する:PCケースに付属するミリネジを使って、マザーボードをスペーサに固定する
(4)EPS12V電源ケーブルを引き出す:マザーボード裏面の天板付近にあるホールを通して、電源ユニットに接続されているEPS12V電源ケーブルを引き出す。マザーボードをスペーサに載せる前またはネジで固定する前に挿しておいたほうが作業しやすい場合もある
(5)EPS12V電源ケーブルを挿す:マザーボードのEPS12V電源コネクタに、引き出したEPS12V電源ケーブルを挿す。EPS12Vコネクタは2個あるが、今回使用した電源にはケーブルが1本のみなので、今回は1本のみ挿す(今回の構成であれば1本のみでも問題はない)
!Caution!:ファンのケーブルや水冷ヘッドのケーブルなどは、最終的に裏面で整理して収納するので、この時点でマザーボードベース裏側に通しておくとのちの作業が進めやすい
(1)EPS12V電源コネクタ:電源ユニットのEPS12V電源ケーブルを挿す(今回は1本でOK)。今回の流れではすでに接続済み
(2)ATX24ピンメイン電源コネクタ:電源ユニットのATX24ピンメイン電源ケーブルを挿す。カチッと音がするまで押し込む
(3)USB 3.0ピンヘッダ:PCケースのUSB 3.0ピンヘッダケーブルを挿す。ピンが細くて折れやすいので慎重に作業しよう
(4)ケースファンコネクタ:ケースに付いているファンを接続する。複数用意されているマザーボードが多い
(5)フロントサウンド用ピンヘッダ:フロントポートのヘッドホン端子やマイク端子を利用できるようにするピンヘッダ。PCケースのフロントサウンド用ピンヘッダケーブルを接続する
(6)電源スイッチ/フロントパネルLEDのピンヘッダ:PCケースの電源スイッチケーブルなどを挿す。どのピンがどのスイッチやLEDに対応しているのか分かりにくいので、必ずマニュアルを参照するように
(1)CPUファンコネクタ:CPUクーラーを挿す。今回の流れではすでに接続済み
(2)水冷ポンプコネクタ:簡易水冷クーラーを使用する際に使う。今回は使わない
@@em|s|(3)ケースファンコネクタ
(4)アドレサブルLEDコネクタ:アドレサブルRGB LEDを搭載したファンやLEDテープなどを接続して制御するのに使用する。今回はケースのLED制御基板に接続したので使用しない
LEDケーブルを接続する@@:ファンから出ているLEDケーブルはそれぞれを数珠つなぎで接続し、最終的にはケースのLED制御基板に接続する。接続の仕方はケースのマニュアルで必ず確認しよう。ファンの電源ケーブルはケースファンコネクタに接続する必要がある

【STEP6】ビデオカードを取り付ける

(1)拡張ブラケットを外す:今回は上から2番目と3番目の拡張スロットを利用する。固定用のネジを外して拡張ブラケットを外しておこう
(2)PCI Express補助電源ケーブルを引き出す:マザーボードベース裏面から、電源ユニットのPCI Express補助電源ケーブルを引き出しておく
(3)ビデオカードをマザーボードに挿す:PCI Express拡張スロットに合わせて、ビデオカードの端子部分を挿し込む。奥までしっかり挿し込めると、スロットのラッチで固定される
(4)ビデオカードをネジ止めする:手順2で外した固定ネジを使ってネジ止めする。ビデオカードは重量があるのでネジ止めは忘れずに!
(5)PCI Express補助電源ケーブルを挿す:引き出しておいたPCI Express補助電源ケーブルを、ビデオカードの補助電源コネクタに挿す
!Caution!:このビデオカードでは、8ピンの電源コネクタを利用する。電源ケーブル側のコネクタは6ピンと2ピンで分かれているので、これをまとめてからビデオカードに挿す

【STEP7】起動確認とケーブル整理を行なう

(1)UEFIを起動して状況を確認する:パーツの組み込みが一通り終わったら、電源を入れてUEFIを起動する。ストレージやメモリの設定を確認し、マザーボードに設定されている現在日時が間違っているようなら修正し、UEFIを保存する
(1)[CPU]:CPUの動作クロックや基本情報を表示する。情報はメニュー右のスペースに大きく表示される(この画面ではCPUの情報が表示されている)
(2)[Memory]:認識されているメモリの速度と容量を表示する。正しく認識されているかを確認しよう
(3)[Storage]:組み込まれているストレージ(今回の場合はSSD)の容量と接続されているインターフェースを表示する
(4)日時表示:現在の日時が表示されている。正しくない場合は、(5)の[Advanced(F7)]をクリックして表示される画面で、[SETTING]の[System Status]から設定できる
(2)各種ケーブルを整理してキレイにまとめる:今回の作例では数多くのLEDファンを利用しているため、ケーブルの数が多い。ムリに一つにまとめず、三つに分散してケーブルの流れを作ると、キレイに整理できる
(3)側板などをもとに戻して組み込み作業は終了:ここまでの作業が終われば、パーツの組み込み作業は終了だ。外しておいた側板などをもとに戻しておこう

【STEP8】Windows 11をインストールする

 ここからはWindows 11のセットアップ作業に入る。現在Windows 11は、ライセンス移行などの自由度が高く、インストールが楽チンなUSBメモリ同梱で提供されている“パッケージ版”と、特定パーツとのセット購入が必要だが販売価格が安い“DSP版”が流通している。

 お手頃な価格から自作PCでよく利用されているDSP版だが、DVD-ROMで提供されているため、今回のように光学ドライブなしのPCの場合には、事前にUSBメモリからインストールできるように準備しておく必要がある。詳細な手順は下記のページなどでご確認いただきたい。

・Windows 11 をダウンロードする (microsoft.com)

 ここでは、手順はUSBメモリを使用するインストール方法を紹介する。

(1)ウィザードを開始する:USBメモリからPCを起動すると、Windows 11のセットアップ画面が表示される。[今すぐインストール]をクリック
(2)プロダクトIDを入力する:購入したWindows 11に記されているプロダクトIDを入力しよう。間違いがないように慎重に!
(3)インストール先を設定する:システムドライブのパーティション設定を行ない、インストール先を決める。今回はこのまま[次へ]をクリックするだけにする
(4)Microsoftアカウントを入力:システムファイルのコピーや再起動が行なわれたのち、再びセットアップ画面になる。Microsoftの各種サービスや機能を利用するときに必要になるネットワークアカウント、“Microsoftアカウント”をここで入力または新規作成する。以降は、ウィザードの指示に従って画面を進める
(5)Windows 11のインストールが終了:必要な設定が終わったのちしばらく待つと、Windows 11のデスクトップが表示される。これでWindows 11のインストールは終了だ

【STEP9】デバイスドライバなどをインストールする

(1)マザーボードのドライバをインストール:MSIのWebサイトからマザーボードのチップセットドライバなどをダウンロードし、インストールしよう。ドライバ類は、購入したマザーボードの製品情報ページの「サポート」の項にまとめられている
(2)ビデオカードのドライバをインストール:NVIDIAのWebサイトから最新版のデバイスドライバをダウンロードしてインストールする
(3)Windows Updateを適用する:Windows 11の設定アプリを起動し、左にある[Windows Update]ボタンをクリックしてWindows Updateを行なう
(4)MSI Centerをインストールする:MSIのマザーボードの各種機能を設定したり、ファンの回転数を細かく調整できる「MSI Center」をインストールする
(5)デバイスマネージャーを確認する:最後にデバイスマネージャーを確認して、[×]マークや[!]マークが付いたデバイスがないかどうかを確認する


いよいよ完成! このPCをスタートに楽しいPC自作ライフを!!

 以上で自作PCのセットアップはすべて完了だ。基本的には手順どおりに進めれば誰でも完成できるものだが、電源が入らない、Windows 11やドライバのインストールでつまづく、といったトラブルが生じる可能性も。STEP7でトラブルが起きた場合はケーブルやカード類を挿しなおす、STEP8以降でトラブルが起きた場合はインストール手順の再確認するなどしてみよう。場合によってはパーツの初期不良が疑われるケースもあるので、製品の保証に必要なもの(レシートや保証書、パッケージが必要な場合もある)はしばらく保管しておくようにしたほうが安心だ。

 トラブルなくWindows 11のインストールが完了したら、あとはお好みのゲームをプレイしたり、アプリやインターネットを利用したりするなど、存分に自作PCを堪能していただきたい。慣れてきたらパーツを拡張したり交換したりすることもすべて自由。ここから先をどう楽しむかはみなさんしだいだ!

完成!

[制作協力:MSI]