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より巧妙化した偽SSDが出現!990 PRO風でベンチマーク速度は出てしまう悪質な模造品が流通
知らずに使ってしまいかねない模造品、正規品との見分け方はある? text by 坂本はじめ
- 提供:
- Samsung
2026年3月27日 00:00
世界的なメモリ価格の高騰によってSSDの価格も上昇しているいま、これまで以上に本物との見分けが難しい模造品SSDが市場に出回っている。
今回、パッケージやラベルといった外観に加え、性能までをも巧妙に偽装したSamsungの「990 PRO SSD(以下990 PRO)」の模造品を入手した。従来の雑な模造品とは違い、本物を知らなければ偽物と気づけないかもしれないレベルにまで巧妙化している。悪質なその実態を解説するのと合わせ、正規品であればどうなるのかも紹介するので、安全な製品を使うための知識として一読してもらいたい。
本物のパッケージデザインを盗用した990 PROの模造品
今回入手したのは、SamsungのPCIe 4.0対応ハイエンドSSDである990 PROの模造品。記憶容量は1TBであると主張しており、本物のパッケージデザインを盗用した化粧箱には、M.2 2280形状のSSDらしきものが収められている。
搭載されているSSDコントローラはMaxio製のMAP1602と思われ、DRAMキャッシュは非搭載。NANDに関しては外観をチェックしただけではどのようなものが搭載されているかは不明だった。DRAMキャッシュを搭載する990 PROとはハードウェア構成が異なる。
過去に紹介したSamsung製品の模造品に比べ、この模造品SSDは外箱のデザインやSSD本体のラベルデザイン、製品マニュアルなど、細かいところまで本物の990 PROに似せて作られているのが特徴だ。
特に、SSD本体を収めているパッケージの外箱は本物そっくりで、本物と並べてみればヘッダーの有無やプリントのディテールの違いが見て取れるものの、実物と見比べなければ偽物であると認識するのは難しいだろう。
Samsungの製品はユーティリティ「Magician」で真贋の確認が可能模造品SSDがどのように認識されるのか確認してみた
パッケージやラベルのデザインはかなり本物に似せている模造品だが、実際の挙動がどのようなものなのか、さっそくPCに搭載してテストしてみよう。
M.2スロットに搭載した模造品は990 PROの1TBモデルとして認識されており、インターフェイスに関しても本物と同じPCIe 4.0 x4で接続されている。また、Windows上で認識された記憶容量は953GBで、フォーマット後の1TB SSDの容量としては正常だ。
かなり本物らしく認識された模造品だが、CrystalDiskInfo上ではファームウェアのバージョンは「8888888」といういかにもダミーらしい数字となっている。
この模造品をSamsung純正のユーティリティソフト「Magician」で認識すると、デバイス名自体は「990 PRO」と認識されるものの、Magicianに実装されている真贋判定機能によって「Non-Samsung」と判定される。
正規品であれば「Samsung Authenticated」と表示されるので、Samsung製SSDの真贋チェックにはMagicianを利用するのがおすすめだ。
なお、模造品はSamsung製SSDでは利用できる様々な機能も使用することはできない。不良セクターの有無をチェックするDiagnostic Scanや、SSDの電源管理やOverProvisioningなどの調整を行うPerformance Optimization、暗号化を行うEncrypted Driveなど、多数の機能が「このドライブはサポートされていません。」と表示されロックされた状態になる。
ベンチマーク速度は本物に近い性能を発揮する模造品記憶容量も偽装なしで一見まともに見えるが……
Samsung公式ユーティリティによって正規品ではないとのお墨付きが得られたところで、模造品と本物のパフォーマンスをCrystalDiskMarkで比較してみよう。
CrystalDiskMarkの実行結果は意外なもので、本物の990 PRO 1TBの最大速度がスペック値のリード=7,450MB/s、ライト=6,900MB/sに準じた数値となっているのに対し、模造品はシーケンシャル速度(SEQ1M Q8T1)で最大リード=7,255MB/s、ライト=6,090MB/sを記録した。
これまでに確認してきたSamsung製品の模造品は、本物よりはるかに低速なものばかりだったので、模造品がここまで本物に近いパフォーマンスを発揮するというのは予想外だった。
そこで、ストレージが認識通りの記憶容量を備えているのかを確かめる「H2testw」を模造品の全記憶容量に対して実行し、模造品にありがちな容量偽装の有無を確かめてみることにした。
H2testwを実行した結果、模造品が備える1TBの記憶容量全域に対してデータの書き込みが可能で、書き込まれたデータのベリファイにも成功していることから、今回の模造品は容量偽装をしていないという結果が得られた。
CrystalDiskMarkで本物に近いパフォーマンスを発揮し、1TBを称する記憶容量にも虚偽はないというのは意外過ぎる結果だ。
ただ、H2testwの結果をよく確認してみると、書き込みテストの結果を表示する「Writing」の欄には、合計で976,611MBの書き込みを実行するのに約2時間を要したことと、平均転送速度がわずか132MB/sであったことが記載されている。SLCキャッシュ切れによる速度低下を考慮しても、これはかなり遅い速度だ。
大容量ファイルの転送で明らかになる模造品の実態本物とはかけ離れた模造品の書き込み性能が露呈
H2testwで確認された低速な書き込み速度の実態を調査すべく、システムドライブから370GiB(397,318,058,403バイト)の動画ファイルを模造品と本物の990 PROに転送し、データ転送時間と速度を計測してみた。
なお、ファイルの転送には特権モードの「FastCopy v5.11.2」を使用している。


模造品が370GiBのファイルを書き込むのに要した時間は25分20秒で、データ転送速度は平均261MB/sだった。本物の990 PROはデータ転送を3分33秒で完了し、平均転送速度は模造品の7倍以上となる1,861MB/sを記録している。

ファイル転送実行中のデータ転送レートの推移を見てみると、本物の990 PROがSLCキャッシュ切れ後も1,500MB/s近い速度を維持しているのに対し、模造品はSLCキャッシュが切れた途端に100MB/s程度まで速度が低下している。
この結果から察するに、模造品はMaxioのSSDコントローラに、おそらくQLC方式のNANDフラッシュメモリを組み合わせた製品だと思われる。積極的にSLCキャッシュを確保することで本物の990 PROに近いピーク性能を実現しているものの、SLCキャッシュ切れによって極端な速度低下を引き起こしているものと考えられる。
いずれにせよ、PCIe 4.0世代のハイエンドSSDである990 PROに相当する実力が、この模造品にないことは間違いない。
模造品を気づかずに使ってしまう可能性も信頼のおけるショップで国内代理店の正規品を購入しよう
今回の模造品は、低コストなPCIe 4.0 SSDに偽造したラベルやパッケージを組み合わせることで、見た目のみならずピーク性能や記憶容量まで本物の990 PROに似せたものだった。
容量を偽装してSDカードをSSDに見せかける低レベルな模造品に比べ、なまじSSDとして正常に機能する分、PCに詳しいユーザーでなければ模造品をつかまされたことに気づかず使い続けてしまう可能性があることを考えると、より悪質な模造品であるとも言える。
模造品は本物の990 PROと同等の性能が得られないばかりか、書き込み耐久性は不明瞭で、5年間の製品保証も付帯しない。Samsungやその代理店は模造品が流通しないよう対策を講じてはいるが、悪徳業者の被害を受けないためには購入者側の自衛が不可欠だ。
高性能で信頼のおけるSSDを少しでも安く入手したいというのは当然の願いではあるが、そこにつけ込まれて模造品をつかまされたのでは本末転倒である。今回入手した模造品も、SSDに詳しくないユーザーであればうっかり手を出しかねない状態で販売されていたもので、いつトラブルになってもおかしくない状況だった。このような悪質なものをつかまされないためにも、模造品が存在する事実を認識し、信頼のおけるショップで正規品を購入することが重要だ。




























