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Core Ultra 200S Plus向けの新設計microATXマザー「GIGABYTE Z890M FORCE DUO X WIFI7」をテスト

microATXなのにM.2スロットは5本も搭載、ゲーム性能を伸ばすチューン機能も text by 坂本はじめ

 GIGABYTEの「GIGABYTE Z890M FORCE DUO X WIFI7」は、Intelの最新CPU「Core Ultra 200S Plus」向けに用意された新作マザーボードのひとつで、microATX規格に準拠した基板に上位チップセットのIntel Z890を搭載している。

 今回は、実売34,800円のZ890M FORCE DUO X WIFI7に、299ドルでハイエンド級の性能を実現する新CPU「Core Ultra 7 270K Plus」を搭載。コスパ志向のCPUとマザーボードの組み合わせが実現する性能と、Core Ultra 200S Plusのポテンシャルをさらに引き出すという「Ultra Turbo Mode」の効果を確かめてみた。

Core Ultra 200S Plusと新規格「CQDIMM」に対応珍しいmicroATX規格のIntel Z890マザーボード

 黒にオレンジのアクセントカラーが映えるZ890M FORCE DUO X WIFI7は、microATX規格では珍しいIntel Z890チップセット搭載マザーボード。基板サイズは244×244mm。

黒を基調にオレンジを加えたカラーリングのZ890M FORCE DUO X WIFI7。上位チップセットであるIntel Z890を搭載した珍しいmicroATXマザーボードだ
基板裏面。スロットやコネクタなどは基板表面側に集約されているため、裏面に目立つ部品は存在しない

 Core Ultra 200S Plus向けに設計されたZ890M FORCE DUO X WIFI7は、CPU向けに60A DrMOSを採用した12(6+6)フェーズのデジタルVRMを搭載することで、マルチコアCPUが性能を最大限に発揮できる電力供給能力を実現。メモリスロットは新規格のCQDIMMこと4ランクCUDIMMに対応しており、2本のメモリスロットでも最大256GB(128GB×2)のメモリ容量を実現できる。

 また、オンボード機能も充実しており、バックパネルには40Gbps対応のUSB4ポートのほか、有線LANの5GbEやWi-Fi 7を搭載。追加コストを支払うことなく先進的なインターフェイスを備えたPCを構築できる。

CPU用に60A DrMOSを採用する12フェーズのデジタルVRMを搭載、マルチコアCPUの性能を最大限に引き出す電力供給能力を実現
大容量メモリを実現する4ランクのCUDIMM「CQDIMM」への対応がうたわれている
2本のメモリスロットを搭載。最高9,733MT/sの速度に対応(OCメモリ使用時、CQDIMM使用時はOCで最高8,000MT/対応)。CQDIMMを利用すれば最大256GB(128GB×2)のメモリ容量を実現できる
バックパネルインターフェイス。40Gbps対応USB4、5GbE、Wi-Fi 7などモダンで高速なインターフェイスを標準装備

 上位チップセットであるIntel Z890搭載による恩恵が顕著に表れているのがM.2スロットで、Z890M FORCE DUO X WIFI7は小型のmicroATX規格でありながら合計5本ものM.2スロットを搭載。もっともCPUソケットに近いM.2スロット(M2A_CPU)がPCIe 5.0 x4対応、それ以外のM.2スロット4本(M2B_CPU、M2P_SB、M2Q_SB、M2M_SB)はすべてPCIe 4.0 x4に対応となっている。CPU直結のM.2スロットはM2A_CPUとM2B_CPUで、チップセット側に接続されるのはM2P_SB、M2Q_SB、M2M_SB。

 一方、拡張スロットはPCIe x16形状のスロットを2本搭載。CPUソケットに近い側がCPU直結のPCIe 5.0 x16対応スロットで、最下段はチップセット接続のPCIe 4.0 x4対応スロットだ。

M.2スロットと拡張スロットの配置。多数のPCIeレーンをサポートするIntel Z890の採用により、合計で5本ものM.2スロットを備えている
M2A_CPUスロット。CPU直結のM.2スロットでPCIe 5.0 x4接続に対応、冷却ヒートシンクを標準搭載
M2A_CPUスロットの裏面用のヒートシンクは独自のM.2 EZ-Flex仕様で、ヒートシンクが上下に弾性可動することでSSDとより密着する仕組みになっている
拡張スロット間に配置されたM.2スロット。画像奥側のM2B_CPUがCPU直結、手前のM2P_SBはチップセット接続で、いずれもPCIe 4.0 x4対応
チップセット付近に配置されたM.2スロット(M2M_SB)、チップセット接続でPCIe 4.0 x4に対応
メモリスロット脇のM.2スロット(M2Q_SB)、SSD冷却用ヒートシンクを標準搭載。
M2Q_SBスロットは大型のM2 22110サイズのM.2 SSDも搭載可能で、チップセット接続でPCIe 4.0 x4に対応

 BIOSメニューは、マザーボード本体のカラーリングと同じく、黒とオレンジでカラーリングされたFORCEシリーズ向けGUIを採用。主要な機能を1画面に集約したEASY MODEと、詳細な項目を用意したADVANCED MODEが用意されている。

黒とオレンジでカラーリングされたBIOSメニュー(EASY MODE)
上級者向けの詳細な設定項目にアクセスできるADVANCED MODE

注目の最新CPU「Core Ultra 7 270K Plus」を搭載CPUの潜在能力を引き出す「Ultra Turbo Mode」を試してみた

 今回は、注目の最新CPUである「Core Ultra 7 270K Plus」をZ890M FORCE DUO X WIFI7に搭載してテストを実施する。

 MTPが250Wに設定されているハイエンド級CPUの性能を十分に引き出せるのかを確かめるとともに、Core Ultra 200S Plusの潜在能力をより引き出すというGIGABYTE独自のワンクリックチューニング機能「Ultra Turbo Mode」の効果をチェックする。

24コアCPU「Core Ultra 7 270K Plus」を搭載してテストを行う

 CPUとマザーボード以外の構成パーツは以下の通り。

 メモリに採用したTeamの「CTCWD532G7200HC34ADC01」(16GB×2)については、製品保証を失わないオーバークロック機能「Intel 200S Boost」対応のDDR5-7200動作(XMP)と、非オーバークロック仕様のDDR5-5600動作(SPD)に対応している製品で、Ultra Turbo Modeの効果を確かめるために選定した。

Team CTCWD532G7200HC34ADC01。DDR5-7200動作の16GBメモリ×2枚組
XMP適用時に1.4V駆動のDDR5-7200動作に対応、定格動作時は1.1V駆動のDDR5-5600動作に対応
GIGABYTEの360mmオールインワン水冷クーラー「AORUS WATERFORCE X II 360」
GIGABYTEのGeForce RTX 5070搭載ビデオカード「GeForce RTX 5070 GAMING OC 12G」

 今回テストする「Ultra Turbo Mode」とは、Core Ultra 200S Plusおよび従来のCore Ultra 200SシリーズのKモデルに対して、GIGABYTEが独自に最適化したオーバークロック設定を適用することでその潜在能力を引き出し、PCのパフォーマンスを向上させる機能だ。

 Ultra Turbo Modeには、製品保証内で実行可能な「Lv1:Intel 200S Boost」のほか、GIGABYTE独自のオーバークロック設定として「Lv2:Turbo Mode」と「Lv3:Extreme Mode」が用意されており、BIOS上でモードを選択するだけで簡単にチューニングを適用できる。

 手軽に利用できるUltra Turbo Modeだが、オーバークロック機能であるため適用時の安定性については保証されておらず、GIGABYTE独自のオーバークロック設定であるLv2およびLv3に関しては、通常のオーバークロックと同じくCPUなどの製品保証を失うリスクがある点に注意が必要だ。

Ultra Turbo Mode。3つのレベルが用意されており、モードを選択するだけでオーバークロック設定を適用できる
Lv3:Extreme Mode選択時のメッセージ。製品保証と安定性を損なうリスクについて警告している

 実際に今回のテスト環境でUltra Turbo Modeを適用した際の設定をまとめたものが以下のリストだ。なお、これはあくまでBIOSバージョン「F1」でのものであり、今後変更される可能性がある点には留意してもらいたい。

 各設定の特徴を大まかに紹介すると、製品保証が有効な「Lv1:Intel 200S Boost」ではオフ時に無効なメモリオーバークロックがIntel公式設定に基づいて有効化され、Lv2以上ではCPUコアやRing/LLCクロックなどがオーバークロックされ、電力リミットと電流リミットも無制限に開放されている。

 このチューニングがどの程度CPUのパフォーマンスに影響を与えるのか、ベンチマークテストやゲームで計測してみたので紹介しよう。

 実施したテストは「3DMark:CPU Profile」、「Cinebench 2026」、「サイバーパンク2077」、「VALORANT」、「Microsoft Flight Simulator 2024」。

3DMark「CPU Profile」

 CPUの処理性能を稼働スレッド数ごとに計測する3DMarkの「CPU Profile」を実行し、Ultra Turbo Mode「オフ」を基準に指数化したものが以下のグラフ。

3DMark「CPU Profile」

 Ultra Turbo Mode「オフ」時のスコアに対し、Lv1:Intel 200S Boostがほぼ同等のスコアを記録した一方、Lv2:Turbo Modeは約2.5~5.8%、Lv3:Extreme Modeは約3.2~6.2%高いスコアを記録している。

 CPU ProfileはCPUコアの処理性能を比較的素直に反映するテストなので、各設定のCPUコアクロックの違いがパフォーマンスに影響している印象だ。

Cinebench 2026

 Cinebench 2026では、CPUのマルチスレッド性能を計測する「Multiple Threads」のスコアを計測した。テスト時の最低実行時間は標準の10分間。

Cinebench 2026

 Ultra Turbo Mode「オフ」時のスコアに比べ、Lv1:Intel 200S Boostは約9.8%、Lv2:Turbo Modeは約12.4%、Lv3:Extreme Modeは約13.1%、それぞれ高いスコアを記録した。

 Cinebench 2026はメモリアクセス性能がスコアに大きく反映されるテストであり、CPUクロックの引き上げによる性能向上に加え、Ultra Turbo Modeオフ時のDDR5-5600動作と、有効時のDDR5-7200動作の差がスコアに反映された印象だ。

サイバーパンク2077

 オープンワールドRPGゲーム「サイバーパンク2077」では、CPUボトルネックが生じやすいよう画面解像度をフルHD/1080p(1,920×1,080ドット)、グラフィックプリセットを「中」、超解像を「DLSS(バランス)」に設定。ゲーム内ベンチマークモードを実行して平均フレームレートを取得した。

サイバーパンク2077

 Ultra Turbo Modeオフ時の平均フレームレートが223.2fpsであったのに対し、Lv1:Intel 200S Boostは241.6fps(+8.3%)、Lv2:Turbo Modeは247.5fps(+10.9%)、Lv3:Extreme Modeは251.7fps(+12.7%)を記録。レベルの設定に応じてきれいにパフォーマンスも向上する結果が得られた。

VALORANT

 GPU負荷の軽いFPSゲームとして知られる「VALORANT」では、画面解像度をフルHD/1080p、グラフィックプリセットを「最高」に設定し、射撃場の高CPU負荷シーンでフレームレートを計測した。

VALORANT

 Ultra Turbo Modeオフ時の平均フレームレートが336.8fpsなのに対し、Lv1:Intel 200S Boostは395.3fps(+17.4%)、Lv2:Turbo Modeは442.2fps(+31.3%)、Lv3:Extreme Modeは443.7fps(+31.7%)を記録。

 CPUボトルネックが顕著なシーンで計測したとはいえ、Ultra Turbo Modeの効果が顕著に現れており、特にLv2以上ではオフ時を30%以上も上回っている。この結果はメモリオーバークロック以外のチューニングがゲームで有効に機能していることを示すものだ。

Microsoft Flight Simulator 2024

 Microsoft Flight Simulator 2024では、画面解像度をフルHD/1080p、グラフィックプリセットを「ウルトラ」、超解像を「DLSS(DLAA)」に設定して、フレームレートを計測した。

Microsoft Flight Simulator 2024

 Ultra Turbo Modeオフ時の平均フレームレートが63.6fpsなのに対し、Lv1:Intel 200S Boostは73.0fps(+14.8%)、Lv2:Turbo Modeは78.0fps(+22.6%)、Lv3:Extreme Modeは79.5fps(+24.9%)を記録。

 Microsoft Flight Simulator 2024もCPUやメモリ性能がボトルネックになりやすいタイトルであり、Ultra Turbo ModeとDDR5-7200メモリの利用によって大きな性能向上を得ることができた。

250Wを超える電力を供給可能なZ890M FORCE DUO X WIFI7

 Ultra Turbo ModeとDDR5-7200メモリにより、Core Ultra 7 270K Plusのポテンシャルを大きく引き出すことができたZ890M FORCE DUO X WIFI7。

 テスト実行中の挙動がどのようなものだったのかを知るべく、Cinebench 2026でMultiple Threadsを実行した際のモニタリングデータを設定ごとに計測した結果が以下のグラフだ。

Ultra Turbo Mode「Lv3:Extreme Mode」のモニタリングデータ
Ultra Turbo Mode「オフ」のモニタリングデータ
Ultra Turbo Mode「Lv1:Intel 200S Boost」のモニタリングデータ
Ultra Turbo Mode「Lv2:Turbo Mode」のモニタリングデータ

 もっとも性能が高く、電力リミットも無制限に開放されている「Lv3:Extreme Mode」において、CPU消費電力は平均263.6W(最大301.5W)を記録。CPU本来の電力リミットである250Wを超えた電力消費が発生しているが、それに起因するスロットリングが生じた様子はみられない。

 これは、Z890M FORCE DUO X WIFI7が250Wを超える電力需要に対応可能なVRMを備えていることを示す結果だ。すなわち、Core Ultra 7 270K Plus本来の性能を最大限に引き出せるマザーボードであると言える。

Core Ultra 200S Plusとの相性も良好なmicroATXマザーボード

 Z890M FORCE DUO X WIFI7は、microATX規格の基板サイズに多くのM.2スロットやオンボード機能を搭載したIntel Z890搭載マザーボードであり、Core Ultra 7 270K Plus本来の性能を十分に引き出せる能力を備えていた。

 独自機能のUltra Turbo Modeを用いればCore Ultra 200S Plusの潜在能力まで引き出すことが可能だが、製品保証の範囲内でもかなり高いパフォーマンスを引き出すことができる。Core Ultra 200S Plusでコンパクトかつ高性能なPCの構築を目指すなら、Z890M FORCE DUO X WIFI7は有力な選択肢となるだろう。