前回のレポートに続き、今回ではWindows Vistaの操作感や、ゲームや地デジ視聴など、実際のソフトウェアを動かしてみて、その使用感を確かめてみた。
結論から言うとD945GCLFは、「Atom搭載マシン」と聞いて多くの読者が想像する「手頃だけど、遅いのでは?」 という印象を半分覆してくれた(半分というのは、当たり前だけどCore 2シリーズやPhenom/Athlonシリーズに比べると遅いから)。
ゲームなどは945GCということもあり正直キツイが、予想通りの結果はこれだけ、逆にほかの用途では、意外と粘ったり、光るポイントを見せてくれるため、かなり面白い。あるアプリケーションなどでは、意外なことにほぼ同クロックのPentium 4(Northowood版)に迫る性能をも見せるのだ。
なお、レポートは分量が多いため、項目別に別タブとした。
ページ順、あるいは興味のあるものから順に読んで欲しい。
| 気になる消費電力と発熱をテスト 噂以上の低発熱には驚愕の一言 |
●OCCT Perestroika 2.0.0a実行中のCPU温度グラフ。最高でも24℃と計測されているが、残念ながらあまり信用できなさそうなデータと思われる |
次に多くの読者が気になるであろう、消費電力と発熱を測定した。
まずは消費電力だが、サンワサプライの「ワットチェッカー」(TAP-TST5)で測定してみたところ、アイドル時とBIOS表示時が45Wで、3DMark06実行時の最大電力が55Wとなった。そしてスリープ時では2Wという結果だ。
なお、OSはWindows Vista Ultimate SP1で、電源設定はデフォルト[バランス]である。
この結論はシンプルで、確かに消費電力は非常に少ない。また、他のレポートでも見られる通り、アイドル時と負荷時の差が少ない、という点が言えるだろう。原因としても、拡張版SpeedStep(EIST)がないことなどが影響していると言えそうだ。
ただし、実は電源ユニットの選定にも気を使うことで、この低消費電力という特性をさらに伸ばすことができる……ということも紹介しておきたい。
筆者は常用の電源ユニットとして、Seasonic M12の700W版(SS-700HM)を使用しているのだが(上述のデータはこの状態で計測)、ちょうど試用していたEnermaxのMODU82+の435W版(EMD435AWT)でも計測をしてみた。というのも、実はとあるテストで両者の消費電力比較をしたところ、後者の方が確実に消費電力が低いことが判明していたためである。
早速本機で測定をすると、なんとアイドル時で7W、3DMark06実行中では8Wという、(割合としては)かなりの差が付いたのである。
本機との価格バランスなどもあるだろうが、もし電源ユニットを新しく購入できるのであれば、可能な限り高効率な電源ユニットを購入するのが、本機のメリットを活かすコツと言えそうだ。
D945GCLF搭載PCの消費電力(W)
使用電源ユニット | アイドル時 | 3DMark06最高値 | スリープ時 |
Seasonic M12 | 45 | 55 | 2 |
Enermax MODU82+ | 38 | 47 | 2 |
ちなみに、本機の用途としてファイルサーバーとしての利用法を考えている読者もおられるだろうが、その際には、この「消費電力がアイドル時でもあまり下がらない」という特性を認識しておいてほしい。というのも、HDD動作時では50W前後(3.5インチHDD1台/SS-700HM接続時)ぐらいを消費するため、市販のNASに比べると、およそ10~15Wほど消費電力が高めになるからだ(このあたりは一概には決まらないため、乱暴な計算だが)。
また、LANの速度が100Mbps止まりというのも、現在のNASに比べると劣ってしまう。こうした点から、実用度は残念ながら高くはないのである。
また、CPUの発熱に関しても、噂通り……というか噂以上に温度が低い。負荷テスト「OCCT Perestroika 2.0.0a」を30分程度実行した状態で、サイズの「ワイヤレスどこでも温度計 SCKTW-1000」でCPU周辺の最高温度を調べてみると、おそらくダイの直上と思われる箇所で37.8℃だった(周辺温度22℃時)。
そして実際に、こうした発熱状態でCPUのヒートシンクを手で触れても、「暖かい」という程度しか感じないのだ。別の言い方をするならば、Intel P35など、現行の主力チップセット以下の発熱とも言える(なので、本機が945GCの方にのみファンが付いているのも簡単に納得できるのだ)。
これはあまりにも衝撃的なので、可能であればぜひ体験してほしい。
なお、ソフトウェアでの温度計測だが、まだ不正確な値しか出せないようだ。OCCTに搭載されたCPU温度測定機能やCPUの温度測定ツールである「Core Temp 0.99」で測定したところ、アイドル時は18℃で、負荷時は24℃(測定時の周辺温度は18℃前後)と表示される。
しかしOCCTで負荷を掛けた後に再起動し、BIOSのハードウェアモニター画面でCPUコア温度を見ると「48℃」と表示される状態だ。
□D945GCLF(Intel)
http://support.intel.com/products/motherboard/d945gclf/
□関連記事
【2008年6月7日】Atomマザーが発売に、Intel製/Mini-ITXで8千円
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20080607/etc_atomcpu.html
【2008年6月7日】Atomマザーで地デジデモ、SD解像度で視聴可能
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20080607/etc_atomcpu2.html
【2008年5月19日】MSIのAtom搭載ミニPC「WIND PC」速報レビュー(PC Watch)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0519/msi2.htm
| (Intel D945GCLF) |