【 2012年9月19日 】
rootで遊ぶタブレット「IMPRESSION KT-i7A4.0」活用術
第3回:今度はCPUをオーバークロック、どこまで上がる?

Text by 平澤寿康


IMPRESSION KT-i7A4.0
出荷状態でroot権限がとれている、なかなか珍しい国内向けタブレット。詳細は本体レビュー活用術第1回/第2回も参照のこと
 前回は、KT-i7A4.0を使っていて気になる部分、日本語フォントを変更したが、今回はも1つ気になる部分を解消できるか試してみたいと思う。それは、動作のもっさり感だ。

 KT-i7A4.0は、1GHz動作のシングルコアCPU、Allwiner A10(ARM Cortex A8)を搭載する。動作クロックはまずまずだが、現在主流の、1.5GHz以上で動作するデュアルコアまたはクアッドコアCPUと比較すると、どうしても動作が重く感じる。他にも、RAMが512MBと少ないというのも影響しているだろう。

 とはいえ、AndroidデバイスではPCのようにCPUやRAMを簡単にパワーアップできるわけがなく、もっさり感解消の定番は、不要な常駐アプリを削除したり、動作の軽いアプリに交換するといったものになる。  ただ今回は、そういったチマチマ系のパワーアップではなく、ストレートに行きたいと思う。それは、CPUのクロックアップだ。KT-i7A4.0は、root権限取得済みのため、CPUのクロックアップアプリも簡単に利用できる。

■■注意■■

・root環境下では、重要なシステムファイルも編集/削除できるため、操作ミスなどでタブレットが不安定になったり、起動しなくなる可能性があります。
・この記事を読んで行なった行為によって生じた損害は筆者および、AKIBA PC Hotline!編集部、メーカー、購入したショップもその責を負いません。
・筆者およびAKIBA PC Hotline!編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできません。



無料で利用できるCPUクロックアップアプリ「AnTuTu CPUマスター無料版 v2.5.2」。root端末でなければ利用できないが、KT-i7A4.0なら問題ない。

スライドバーで簡単にクロックアップ可能。少しずつクロックを上げ、安定動作の上限クロックを見極めよう。

1.152GHz動作時には、標準クロック時よりもベンチスコアが1割以上向上。実際の動作も、体感できるレベルで速くなったと感じる。
●「クロックアップアプリ」をインストール、
 標準1GHzはどこまで上がる?

 というわけで、実際にやってみた。

 利用したクロックアップアプリは、「AnTuTu CPUマスター無料版 v2.5.2」。このクロックアップアプリはroot取得済み端末でなければ利用できないが、当然KT-i7A4.0ならダウンロードすればすぐに使える。

 まずは手始めに、10%ほどのクロックアップとなる1.104GHzに設定してみた。とりあえず、表面上は特に問題なく動いているようで、いくつかアプリを利用しても動作が不安定になることはなかった。そして、アプリの動作が若干快適になったような気がする。実際にベンチマークアプリ「AnTuTu Benchmark v2.9.2」で確認してみたところ、クロック上昇分の10%には届かなかったが、そこそこの結果向上が確認できた。

 とはいえ、それでもまだまだ重い。そこで、もう1段階クロックを上げ、1.152GHzにしてみた。すると、先ほどの”気がする”レベルから、動作が快適になった実感できるようになった。同様にAnTuTu Benchmarkで確認してみると、当然だが先ほどよりも結果が向上。

 これはいいと、さらにクロックを1段階上げ、1.200GHzに設定してみた。すると、クロックを変更した瞬間に動作が固まり、リブートしてしまった。実は、AKIBA PC Hotline!の某編集氏が個人的に買った個体では、1.2GHzでも普通に動いてて結構快適、という話を聞いていたため、ここは余裕でクリアできるだろうと思っていただけに、少々ショックだった。

 そればかりか、1.152GHzで利用している場合でも、使用時間が長くなるにつれてアプリが落ちたり、リブートが頻発するようになる。その場合には、本体の裏面が結構熱を持っており、熱が原因で動作が不安定になっている可能性が高そうだ。事実、冷却剤を底面に当てて冷却しながらなら、1.152GHzでも安定して動作した。もちろん、冷却しながら使うのは普段は難しいので、今回利用している個体では、常用できそうな最高クロックは1.104GHzと考えられる。


●AnTuTu Benchmark v2.9.2の結果
動作クロック1GHz1.104GHz1.152GHz
総合3,1353,3683,472
CPU865943986
GPU1,3721,3811,382
RAM490534553
I/O408510551

●次回はちょっと別方向でクロック変更

 ちなみに、後から聞いてみると、某編集氏が購入した個体も、購入直後は間違いなく1.2GHzで問題なく動作していたみたいだが、最近は1.2GHzだとフリーズしたりリブートするようになっているらしい。クロックアップは個体による耐性に差があるが、やはり1.2GHzでの動作は結構厳しいと考えた方が良さそうだ。ちなみに、1.152GHzではリブートせず安定しているそうなので、筆者が利用している個体よりはオーバークロック耐性が高いのは間違いなさそうだ。

 オーバークロックはせいぜい15%程度となるため、劇的な性能向上というわけにはいかないが、標準クロック動作時と比べると、快適度が高まるのは事実だ。いきなりクロックを上げすぎない限り、ハードが大きなダメージをくらうことはほぼなく、試すためのハードルもかなり低いので、KT-i7A4.0を手に入れたら実際に試してみてもらいたい。

 今回は、CPUのオーバークロックを試してみたが、次回はもうちょっと違う方向でクロックをいじってみたいと思う。


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IMPRESSION KT-i7A4.0

※特記無き価格データは税込み価格(税率=5%)です。