パワレポ連動企画
Pentium 20周年モデル「G3258」で作るお手軽オーバークロックマシン
4.7GHzで常用
(2014/7/4 12:05)
このコーナーでは、こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の最新号と連動、同誌8月号の特集記事「Devil's Canyon & Pentium Anniversary EditionでOCを遊ぶ」をほぼまるごと掲載する。
第四回目の今回は、Pentium Anniversary Editionこと「Pentium G3258」で作る、「お手軽オーバークロックマシン」を紹介する。
なお、この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 8月号は絶賛発売中。8月号では今特集のほか、パワレポ執筆陣が推薦する「この夏買いたい8大PCパーツベストレセクション300」やBay Trail-D/Kabini対応Socマザーボード大図鑑、髙橋敏也の改造バカ一台など、多数の記事が載っている。また、CPUクーラー&ケースファン大全が付録として付いてくるなど、盛りだくさんの内容だ。
- DOS/V POWER REPORT 2014年8月号 Special Edition -
Pentium G3258を4.7GHzで常用する
「お手軽オーバークロックマシンを作る」
・Pentium G3258を4.7GHzでOC駆動させ常用を目指す
・「Z97」搭載マザーボードを採用しプラットフォームとしての将来性も確保
・使用パーツはコストを考慮しつつも長く使えるものを選択
手堅いパーツで常用できるOCマシンを作る
低価格ながら、かなり思い切ったオーバークロック(OC)にチャレンジできる「PentiumG3258」。今回はこの新CPUを使い、安心して利用できる常用OCマシンを作ってみる。
OCと言えば、OC向けのパーツを組み合わせるのがベストだが、そういった製品は価格が高めだ。その上、Pentium G3258は実売価格8,000円前後と安く、OC向けの高価なパーツを組み合わせるのはバランスが悪い。そこで、今回はOCを十分楽しめ、かつ将来的に上位のOC対応CPUへステップアップも可能な手堅いパーツを使うことにする。
Pentium G3258のOCは、「原則的には」Intel Z97/87シリーズを搭載したマザーボードを使う必要がある。そのため、今回はZ97搭載マザーの中ではエントリークラスの「ASUSTeK Z97-K」を選択。OC時はCPUの発熱量が大きく、CPU付属のクーラーでは放熱が間に合わないので、サードパーティ製のCPUクーラーが必須。ここではコストパフォーマンスに優れる「サイズ 虎徹」を使う。PCケースはバランス型ケースの「Antec P100」。標準状態でも冷却性能は十分。後で冷却性能を向上させることも可能だ。
なお、Pentium G3258の正式対応メモリはPC3-10600までだが、入手性とコストを考え、ここではPC3-12800対応モデルをPC3-10600設定で使っている。今後、Core i5やi7に移行しやすいというメリットもある。このほか、電源ユニットやSSDについては、コストパフォーマンスを優先した。
カテゴリー | 製品名 | 実売価格 |
---|---|---|
CPU | Intel Pentium G3258(3.2GHz) | 8,000円前後 |
マザーボード | ASUSTeK Computer Z97-K | 15,000円前後 |
メモリ | CFD販売 CFD ELIXER W3U1600HQ-4G(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2) | 9,000円前後 |
SSD | Micron Technology Crucial MX100 CT256MX100SSD1(Serial ATA 3.0、MLC、256GB) | 13,000円前後 |
PCケース | Antec P100(ATX) | 10,000円前後 |
電源ユニット | 玄人志向 KRPW-PB500W/85+(500W、80PLUS Bronze) | 6,500円前後 |
CPUクーラー | サイズ 虎徹(サイドフロー、12cm角ファン) | 3,000円前後 |
合計64,500円前後 |
カギとなるパーツは「CPUクーラー」と「マザーボード」
ポイント1:電源まわりの設定は異なるが、4.7GHz動作は問題なし
Z97-Kは第二回の連載(Core i7-4790KのOCテクニック)で利用しているZ97-DELUXE(NFC&WLC)のOC設定とは、多少異なる点がある。
主な違いは電源まわりの設計の違いによるものだ。Z97-DELUXE(NFC&WLC)は16フェーズの同期整流回路を搭載しているが、Z97-Kは4フェーズのもの。そのため、Z97-DELUXE(NFC&WLC)では設定できた項目や数値を、Z97-Kでは設定できなくなっている部分がある。たとえば「Fixed CPU VRM Switching Frequency(KHz)」という項目では、上限値が500から350に落とされている。とはいえ、コア電圧の変更といった重要項目は、Z97-Kでも設定可能だ。
ポイント2:ファンをコントロールして冷却性能を向上
OCで常用する場合はCPUクーラーはもとより、内部にたまった熱を効率的に排出するためにPCケースの冷却性能も重要だ。今回使用しているAntec P100は静音性重視のケースだが、標準状態でもOC時に冷却性能が足りなくなるということはなかった。しかし、さらに冷却性能を向上させたいのであれば、ケースファンの回転数を上げたり、ケースファンを追加したりするとよい。
P100に搭載されたケースファンの回転数を2段階で切り換える機能を活用するほか、Z97-K付属のユーティリティソフト「Ai SuiteIII」でファンの回転数を変更することもできる。こういった機能を積極的に活用していきたい。
低価格なパーツ構成でも4.7GHzで軽々動作!
まずOCの到達点だが、Turbo Boost倍率は最終的に47倍、つまり4.7GHzで各種ベンチマークテストを完走させることに成功。10分間ではあるがOCCT 4.4.0のPOWER SUPPLYテストによる、非常に高い負荷にも堪えたことを考えると、4.7GHzでも長時間常用できる可能性は高い。CPUの性能の向上具合は前半のページのベンチマーク結果を参照してほしいが、Core i3の下位モデルとなら十分に競えるレベルにある。価格を考えたら、大健闘と言えるだろう。
ただし、いくつかデメリットはある。これはOCでは避けて通れないものなのだが、まず高負荷時の消費電力は、定格時と比べて約40Wも上昇する。CPU温度も30℃ほど上昇した。消費電力の上昇は電源ユニットの許容範囲内ではあるものの、CPU温度は少々気になる数値だ。もう少し温度を低く抑えることができれば、常用OCでの不安も解消できるだろう。また、OC設定がキャンセルされる問題が発生する可能性も残されている。
なお、CPUコアをOCしてもCPU内蔵GPUの性能はほとんど上昇しない。PCゲームの表示を快適にしたいなら、ビデオカードを追加するのがベストの選択肢だ。
Pentium G3258でOCを楽しむには、単純により高性能なCPUクーラーを使ったり、ケースファンを追加したりする従来のOC方法を使うのはおもしろくない。せっかくの低価格を活かすためには、できる限りコストをかけない方向が望ましい。「貧乏OCチューン」がこれほど楽しめるCPUもめずらしいのではないか。
【さらに低価格なマザーボードとも組み合わせられる!】
Pentium G3258のOC耐性が十分高いことが分かった。とはいえ、Zシリーズ搭載マザーとの組み合わせは、マザーの割高感がやや目立つ。そんな中、ASUSTeKが本来OCを行なえないはずのH97/H87/B85/H81を搭載するマザーボードでOCを行なえるUEFIの提供を開始すると発表した。もっと低価格なマザーボードと組み合わせれば、Pentium G3258の魅力がさらにアップするはずだ。
【ベンチマークテスト検証時の環境】
マザーボード:ASUSTeK Computer Z97-K(Intel Z97)、メモリ:CFD販売 CFD ELIXER W3U1600HQ-4G(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)、ビデオカード:ASUSTeK GTX750TI-OC-2GD5(NVIDIA GeForce 750 Ti、3DMarkでのみ使用)、Micron Technology Crucial MX100 CT256MX100SSD1(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)電源:玄人志向 KRPW-PB500W/85+(500W、80PLUS Bronze)CPUクーラー:サイズ 虎徹(サイドフロー、12cm角ファン)OS:Windows 8.1 Pro 64bit 版、室温:26℃、暗騒音:30.2dB、動作音測定距離:ケース正面から20cm、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:OCCT 4.4.0 POWER SUPPLY テストを10分間動作させたときの最大値、CPU温度:CPU ID HWMonitor 1.25のCPU TemperaturesのPackageの値、騒音計:カスタム SL-1370、電力計:Electronic Educational Devices Watt's Up? PRO
[Text by 竹内亮介]
【DOS/V POWER REPORT 8月号は絶賛発売中】
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