取材中に見つけた○○なもの
発売からリコールまで話題に事欠かなかった「Intel 820」 ~ 1999年の秋葉原 ~
2017年9月13日 08:05
今回は、1999年に登場したPentium III用チップセット「Intel 820(以下i820)」を紹介します。i820はFSB133MHz対応やSDRAMより帯域の広いRDRAMをサポートするなど、440BXに変わるメインストリーム向けのチップセットとされていました。
※社名、製品名、販売店名は取材当時のものです。
FSB133MHz対応モデルが発売されるも、対応チップセットは延期
FSB 133MHz対応のPentium IIIが発売。533B MHz(133MHz×4)と600B MHz(133MHz×4.5)の2モデルがラインナップされましたが、同時発売予定だったi820が土壇場で発売延期になったため、互換チップセットであるVIAのApollo Pro 133搭載マザーボードか、既存の440BXマザーボードを保証外の133MHz設定にしないと使用することが出来ませんでした。
2次キャッシュをCPUダイに統合した「Coppermineコア」の新Pentium IIIが登場するもチップセットは未発売
フルスピードで動作する2次キャッシュを内蔵したCoppermineコアのPentium IIIが発売。SECC2(Slot 1)とFC-PGA(Socket 370)の2つの形状があり、一挙に9モデルが登場しました。
i820はこの時も登場しませんでしたが、その後発表が行われました。
AGP 4X、UltaATA/66に対応したチップセット「i820」が遂に発売、メモリはダイレクトRDRAM
発売延期から2ヶ月、FSB133/AGPx4をサポートするi820が遂に発売されました。SDRAMと比べて割高なRDRAMが必要でしたが、AGP 4xやUltaATA/66など当時の最新機能に対応していました。なお、リファレンスではRIMMスロットは2本に限定されていましたが、多くのマザーボードが各メーカー独自検証で3本のRIMMスロットを搭載していました。
また、メモリ変換インターフェース「MTH」を利用しSDRAM(DIMM)をRADRAM(RIMM)スロットに取り付けることのできるRIMM-DIMM変換ライザーカードも発売されました。この後、MTHがi820の命運を決定することになります。
高性能チップセットも高額なRDRAMが普及の足かせに
Ultra ATA/66やAGP 4xなど最新機能への対応で互換メーカーのVIAに水をあけられていたIntelですが、i820が登場したことでようやくこれらに対応を果たしました。しかし、同容量のSDRAMの6倍以上というRDRAMの価格差(1999年12/25のメモリ最安値情報)がネックになり、主流とはなりませんでした。
そして翌年の2000年5月、MTHの不具合からリコールが告知され、SDRAMが使えるi820マザーボードは市場から消えることになります。このあともi820はRDRAM専用として販売が続けられましたが、当初の予定通り440BXを置き換えることは遂にできませんでした。