自作PCで楽しむ!仮想通貨マイニング

RYZENなら仮想通貨マイニングも行ける?CPUマイニングに挑戦してみた

GPUだけじゃない、CPUでもマイニングできる仮想通貨 text by 坂本はじめ

 仮想通貨が採用するアルゴリズムの多くがGPUでの処理に適しているため、PCでの仮想通貨マイニングではGPUを活用する「GPUマイニング」が主流だ。しかし、CPUで仮想通貨マイニングが実行できない訳ではない。

 仮想通貨の中にはCPUでの処理に適したアルゴリズムを採用しているものもあり、こうした通貨であれば、高性能なGPUを搭載していないPCでも効率的にマイニングを実行できる可能性がある。

 そこで今回、AMD製のCPUであるRyzen 7 2700Xを使って、仮想通貨の「CPUマイニング」にチャレンジしてみた。

※PCマイニングに関しての注意

仮想通貨は相場により常に価値が変動しているため、PCマイニングを行った際の状況によっては利益が出ない場合もございます。また、マイニングに使用するソフトウェアの中には、安全性や信頼性が十分に保証されていないものもあります。導入の際は十分にご注意ください。

CPUマイニングにも使える定番ソフトの「NiceHash Miner」

 今回、CPUで仮想通貨をマイニングするのに使用するソフトは、定番となっている「NiceHash Miner」だ。

 仮想通貨マイニングのための演算性能を提供する対価としてビットコインを獲得できるマイニングソフトで、CPUとGPUの両方に対応している。

 NiceHash Minerには、NVIDIA製GPU向けの「NiceHash Miner (v2.0系)」と、AMD製GPU向けの「NiceHash Miner Legacy (v1.x系 )」の2種類が存在する。CPUマイニングはどちらでも実行できるが、AMD製GPUでマイニングを実行しないのであれば、GUIが分かりやすいNVIDIA製GPU版を利用すると良いだろう。

NVIDIA製GPU向けのNiceHash Miner (v2.0系)。ユーザーフレンドリーなGUIを採用しており、CPUでのみマイニングを実行するならこちらがおすすめだ。
AMD製GPU向けのNiceHash Miner Legacy (v1.x系)。CPUとAMD製GPUの両方でマイニングを実行するなら、こちらのバージョンを選択しよう。

 NiceHash MinerでCPUマイニングを実行するのは「Ryzen 7 2700X」。Pinnacle Ridgeこと第2世代Ryzenの最上位モデルで、8基のCPUコアを備えている。

 CPUマイニングでは、CPUコアの数がパフォーマンスに大きく影響するため、6コアや8コアのCPUが比較的安価に入手できるAMDのRyzenシリーズは、CPUマイニングに好適なCPUだ。IntelのCPUでもマイニング自体は可能だが、テストした範囲では、多コアのRyzenが適している傾向が見られた。

8コア16スレッドCPUのAMD Ryzen 7 2700X。CPUコア数が重要なCPUマイニングでも高いパフォーマンスが期待できる。

NiceHash MinerでCPUマイニングを実行するまでの手順を紹介

 NiceHash MinerでCPUマイニングを実行するには、まずCPUでベンチマークを実行する必要がある。

 メインウィンドウの左下にある「HARDWARE DETAILS」をクリックすると、マイニングに実行できるCPUとGPUの一覧が表示されるので、ここでCPUのトグルスイッチをオンにする。GPUマイニングを行わないのであれば、GPUのスイッチはオフにしておこう。

 CPUのスイッチをオンにしたら、次は画面右上の「BENCHMARK ALL」をクリックしよう。ベンチマークの精度を「Quick」「Standard」「Precise」の3つから尋ねられるが、CPUだけを使うのであればQuickで問題ない。

画面左下のHARDWARE DETAILSをクリックして、マイニングに利用できるCPUとGPUの一覧を表示する。
CPUマイニングのみを実行する場合、CPUのスイッチをオン、GPUのスイッチをオフにする。
BENCHMARK ALLを押すと、実行するベンチマークの精度を確認される。右に行くほどベンチマークの実行時間が長くなる。
ベンチマーク実行後。CPU名をクリックすれば、各アルゴリズムでのハッシュレートが確認できる。

 ベンチマークが完了したら、画面左上の「←」をクリックして、HARDWARE DETAILSからメイン画面に戻ろう。

 マイニングに使用するCPUとGPUのベンチマークと、「WALLET」へのNiceHashアカウント(またはビットコインアドレス)の登録が完了していれば、メイン画面中央の「START」ボタンをクリックすることでマイニングが開始する。

画面中央の「START」をクリックするとマイニングが開始する。
「WALLET」に報酬受け取り用アカウントの登録が完了していないと、STARTクリック後にこのような画面が表示される。NiceHashアカウントかビットコインアドレスを登録しよう。
マイニング開始後。画面中央の「STOP」を押せばマイニングは停止する。
メインウィンドウ左下の「MINING DETAILS」をクリックすると、使用しているハードウェア毎のハッシュレートが確認できる。

CPUによってはミドルレンジGPU以上のペースで仮想通貨マイニングが可能

 今回利用したNiceHash Minerでは、CPUマイニングとGPUマイニングを同時に実行することもできる。

 Ryzen 7 2700XでのCPUマイニングに加え、画面出力用のGeForce GTX 1050でGPUマイニングを実行してみた結果が以下のスクリーンショットだ。

 CPUとGPUでマイニング時に性能を発揮しやすい仮想通貨のアルゴリズムが異なるため、実際にマイニングするコインが異なり、ハッシュレートなどは直接比較できないが、どちらも最も効率的にマイニングを行っている状態での比較だ。

 1日あたりの収益レートを見てみると、GeForce GTX 1050が約0.038mBTC/dayなのに対し、Ryzen 7 2700Xは約0.067mBTC/dayと1.8倍近いレートを記録している。

 このように、コア数の多いCPUを使っていれば、ミドルレンジクラスのGPUを上回るペースで仮想通貨をマイニングできることもある。なお、マイニング中のシステム全体の消費電力も計測してみたが、Ryzen 7 2700X使用時が127W、GeForce GTX 1050使用時が107Wとなった。1.8倍の性能差を考えると、電力効率の面でもRyzen 7 2700Xは悪くないことがわかる。

 このように、高性能なGPUを持っていないユーザーも、Ryzenシリーズなどが手元にあればはじめることができるので、CPUで仮想通貨マイニングにチャレンジしてみてはいかがだろうか。

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