ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

懐かしのモデム内蔵パソコン「ソニー HB-T7」「パナソニック FS-A1FM」

今回は、パソコンにモデムが内蔵されたモデルと、当時話題に上ることが多かったモデム4機種を取り上げました。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は少し趣向を変え、当時の周辺機器を取り上げる番外編として、この連載記事を読んでいる人なら一度はお世話になったことがあると思われる通信機器を取り上げていきます。

 1985年に、いわゆる通信の自由化が行われると、それまではニッチだったパソコン通信というジャンルに日が当たり、徐々に盛り上がっていきます。それを受けて、いくつかのメーカーが周辺機器としてモデムを発売したり、なかにはパソコンと受話器やモデムを一体化させたモデルを登場させます。今回は、そんなハードたちを紹介していきます(計5回)。

ソニー HB-T7

本体左上に配置されている各種インジケータが、この時期に流行した電飾が付いていたりヘッドランプが2つ用意されていた自転車のような雰囲気を漂わせていました。

 RAMは64kbytesでVRAM128Kbytesと、MSX2パソコンとしては標準的なスペックでしたが、300ボーまたは1200ボーの切り替えが可能な全二重モデムを内蔵していたのが特徴です。第一水準の漢字ROMも搭載していたので、漢字ROMカートリッジのお世話になることはありませんでした。

 電源を入れるとBASICが起動しますが、その状態で“CALL TELCOM”と入力すると、“MSX-TELCOM”と呼ばれるソフトが立ち上がります。ここでBBS局の電話番号を入力したり、モデムに関する各種設定を行うことができました。MSX-JEに対応していたのはもちろん、MSX-Writeと組み合わせて使用すれば漢字の書き込みも可能です。日本語ワープロがなくても漢字で書かれたメッセージは読むことができるので、漢字ROM非搭載機種を使うのと比べて確実に快適にアクセスすることができました。

背面にあるLINE端子に、壁のモジュラジャックに接続してある電話線を挿し込みます。TEL端子に挿入した電話線は、家庭の電話機に繋げば配線は終了です。

 本体左上には、現在通信中なのか接続中なのかが一目でわかるLEDと、データのやりとりを行っているのが可視化されるインジケータが搭載され、少年の心をくすぐるような仕様になっているのが時代を感じさせます。

BASICから“CALL TELCOM”と入力して“MSX-TELCOM”が起動すれば、ソフトの準備はOKでした。

 発売されたのは1987年で、価格は59,800円でした。最初から2カートリッジスロットが用意されているので、先に紹介したML-TS2のようなアダプタは必要ありませんでしたが、今考えると第二水準の漢字ROMを使用するかどうかが機種選択の分かれ目だったかもしれません。

広告では、「これ一台でパソコン通信ができる。ソニーの通信パソコン」というキャッチコピーを掲げていました。価格も、この時期のMSX2パソコンとしては悪くない設定だったかと思います。

パナソニック FS-A1FM

 パナソニックが、FS-A1の筐体を流用して発売したパソコン通信対応モデルが、1988年8月前後に84,800円で発売されたFS-A1FMです。

 この時期はほかにも、フロッピーディスクドライブ1基を内蔵したFS-A1F(54,800円)、FS-A1Fからフロッピーディスクドライブを省略してパッドを付属させたFS-A1MK2(29,800円)というモデルもありました。

 FS-A1FMは、フロッピーディスクドライブを1基+1200bps対応の通信モデムを内蔵させ、カートリッジスロットを2スロット確保しています。電源を入れると“コミュニケーションコックピット”が起動し、メニューから電話帳を選んだり「THE LINKS」へアクセスすることができました。MSX2パソコンとしては標準的なスペックで、RAMを64kbytes、VRAM128Kbytesを搭載していた機種となります。