パソコン通信が少しずつ盛り上がりを見せてきた1986年発売のモデム「シャープ CZ-8TM1」

今回は、パソコンにモデムが内蔵されたモデルと、当時話題に上ることが多かったモデム4機種を取り上げました。

　想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は少し趣向を変え、当時の周辺機器を取り上げる番外編として、この連載記事を読んでいる人なら一度はお世話になったことがあると思われる通信機器を取り上げていきます。

　1985年に、いわゆる通信の自由化が行われると、それまではニッチだったパソコン通信というジャンルに日が当たり、徐々に盛り上がっていきます。それを受けて、いくつかのメーカーが周辺機器としてモデムを発売したり、なかにはパソコンと受話器やモデムを一体化させたモデルを登場させます。今回は、そんなハードたちを紹介していきます（計5回）。

シャープ CZ-8TM1

この時期のモデムとしてはオーソドックスな、直方体のシャープなデザインとなっています。本体のカラーリングはブラックで、天板に書かれた“MODEM”の文字がアクセントになっていました。

　パソコン通信が少しずつ盛り上がりを見せてきた1986年、その初夏にシャープから発売されたモデムです。同時期には、X1Gや熱転写カラープリンタCZ-8PC1なども登場していました。

　本機は300bps全二重対応で、自動発着信が可能となっています。通信用のソフトとしては「modem terminal」が同梱で価格は29,800円と、この時代のモデムとしては安価な部類となっていました。

正面には通信スイッチのほかに、モデムモードを発信(オリジネート)か着信(アンサー)に切り替えるボタン、そしてNCUのAAまたはMMの選択ボタンがありました。インジケータは電源のほか、データの送受信とキャリア、通信だけが用意されています。

背面には左から、回線コネクタと電話コネクタ、プッシュ回線/トーン回線(10PPS)/トーン回線(20PPS)選択スイッチ、モニタ音量ボリューム、RS-232Cコネクタが並んでいました。

　1986年といえば市場で活躍していたのはX1turboやX1turboIIなどでしたが、CZ-8TM1と別売のソフト「コスモステーション」と組み合わせれば、それら機種をホストシステムとしてホスト局を運営することも可能だったなど、コミュニケーションの輪を広げるための周辺機器として利用されています。

　300bpsという速度については、87年初頭に1200bpsに対応したCZ-8TM2が登場することで解決されました。

広告での初登場は1986年8月号のOh!mzで、「X1“ターボネットワーク”キャンペーン推進中!!」というキャンペーンと共に掲載されていました。