今回は、パソコンにモデムが内蔵されたモデルと、当時話題に上ることが多かったモデム4機種を取り上げました。 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は少し趣向を変え、当時の周辺機器を取り上げる番外編として、この連載記事を読んでいる人なら一度はお世話になったことがあると思われる通信機器を取り上げていきます。
1985年に、いわゆる通信の自由化が行われると、それまではニッチだったパソコン通信というジャンルに日が当たり、徐々に盛り上がっていきます。それを受けて、いくつかのメーカーが周辺機器としてモデムを発売したり、なかにはパソコンと受話器やモデムを一体化させたモデルを登場させます。今回は、そんなハードたちを紹介していきます(計5回)。
NEC COMSTARZ CLUB 24/5・24/4
厚みが薄いだけでなくサイドスリットも彫られているため、非常にスリムな印象を受けるデザインとなっていました。カラーリングは前機種にあたる『COMSTARZ 2424/5』などと同じでしたが、電源ボタンが正面に移動されました。 以前にも紹介したように、パソコン通信黎明期より音響カプラやインテリジェントテレホンなどをリリースしてきたNECですが、1986年4月からPC-VANサービスを開始したことやパソコン通信が盛り上がってきたということも踏まえ、その86年に新たにCOMSTARSブランドを打ち出します。ここで発売したのが、低価格を全面に打ち出したNECパーソナルモデム『COMSTAR 300』でした。24,800円でRS-232Cケーブルが付属した本機は、300bpsの全二重方式を使用して自動発着信にも対応する機種として登場し、以来そのデザインと共に長らく長らく活躍することとなります。
以前に紹介した音響カプラの後の推移を広告から追いかけてみました。PC-VANがサービスを始めた1986年4月には、ニューメディア・モデムフォン『MEDIASTAR10』を、標準価格148,000円(現地調整費20,000円)で発売します。今となっては、広告に書かれた“ニューメディア”や“キャプテン”といった単語が、懐かしさを感じさせます。 そうしてシリーズを重ねたCOMSTARブランドモデムがデザインを一新させ、そのブランド名に若干の変更をくわえて1989年末に新発売としたのが『COMSTARZ 2424/4』と『COMSTARZ 2424/5』でした。どちらもCCITT勧告のV.22bis規格に準拠していた全二重モデムで、通信速度は2400bpsまたは1200bpsに対応しています。この時期に発売された2400bps対応モデムとしては、低価格を実現していました。
1986年10月に登場したのは、初めてCOMSTARブランドを冠したNECパーソナルモデム『COMSTAR 300』でした。手前1/4から傾斜させることでインジケータなどの視認性をアップさせたデザインは操作性も良く、さらに製品にはRS-232Cケーブルも付属して24,800円だったということもあり、COMSTARブランドの定着に成功します。 1987年春には、300bpsだけでなく1200bpsにも対応させた新機種『COMSTAR 1212』をリリースします。CCITT勧告V21とV22に準拠し、300/1200bpsの全二重方式に対応した本機は、43,800円の価格が設定されていました。『COMSTAR 300』と違い、広告が事務的になってしまったのが少々寂しいかぎりです。 その後も改良を重ねた「COMSTARZ」ブランドは1991年になると「COMSTARZ CLUB」ブランドとなり、春には今回取り上げた機種となる『COMSTARZ CLUB 24/5』と『COMSTARZ CLUB 24/4』を発売することになります。
1988年春に発売された新機種『COMSTAR 2424』は、2400/1200bps全二重に対応したパーソナルモデムです。デザインは従来を踏襲していますが、新たに当時としては最新のMNPクラス4プロトコルを採用して、高速エラーフリー通信を可能にしました。イメージキャラクターに小沢なつきさんを向かえたということからか、広告の見出し文も優しい感じで書かれています。価格は128,000円と高価でしたが、この年のグッドデザイン賞を受賞しました。 「COMSTAR」ブランドとしては最後になったのが、1988年末に登場した『COMSTAR 2424 AT/5』をはじめとした一連の機種です。最上位機種の『COMSTAR 2424 AT/5』は、ヘイズAT&V.25Bis準拠でMNPクラス5を搭載して、エラー訂正およびデータ圧縮機能を装備しました。価格も前機種から大幅にダウンし、『COMSTAR 2424 AT/5』が66,000円、中位機種の『COMSTAR 2424 AT/4』は50,000円、もっとも安い『COMSTAR 1212 AT』であれば21,000円を実現しています。 「COMSTARZ CLUB」はコンセプトとして“近未来”を掲げていて、『COMSTARZ CLUB 24/5』はCCITT V.42BisおよびMNPクラス5を搭載することで、最高で300%の実行速度を実現していました。デザインは前機種からほとんど変わらないものの、電源ボタンが正面に移動したことでオペレーションがやりやすくなっています。縦置き、横置きどちらでも使えるほか、電源を内蔵したことで使いやすくなりました。価格は、『COMSTARZ CLUB 24/5』が39,800円で、『COMSTARZ CLUB 24/4』が34,800円です。
この「COMSTARZ」ブランドは以後、56kモデムまで長らく使われることとなります。
新たに「COMSTARZ」ブランドとなって登場した、『COMSTARZ 2424/4』と『COMSTARZ 2424/5』です。それまでの「COMSTAR」ブランドのデザインからがらりと変え、モデムとしてはお馴染みの直方体を採用しています。カラーリングも、従来のクリーム色から大胆にチェンジしてグレーを基調とした色使いにしたことで、シックで大人びた印象を醸し出しました。インジケータの種類が増えたことによって、各種ステータスを一目で視認できるようになったのも特徴です。なお、ここからはイメージキャラクターが川越美和さんに変わりました。価格は、『COMSTARZ 2424/4』が38,800円、『COMSTARZ 2424/5』は44,800円です。 今回取り上げた、1991年春に発売された「COMSTARZ」ブランドの『COMSTARZ CLUB 24/5』と『COMSTARZ CLUB 24/4』の広告です。近未来をコンセプトに掲げていて、2400bps/1200bps/300bps全二重をフルサポート。薄型軽量設計で縦横どちらでも配置できるので、設置の自由が効きました。なぜか、リモコンで動く名犬ティッシュープレゼントというキャンペーンも行われていました。 正面には10個のステータスを示すインジケータが横一列に配置されていて、その右側にSPEEDとTALK/DATAボタンが2つ、さらにその右に電源ボタンが並んでいました。 背面は左からAAボタン、RS-232Cコネクタ、LINE端子、TEL端子、ボリュームつまみと並んでいます。これは、『COMSTARZ CLUB 24/5』と『COMSTARZ CLUB 24/4』共通でした。 底面にはディップスイッチと、その仕様が書かれたシールが貼られていました。マニュアルを引っ張り出さなくてもディップスイッチの設定画わかるのは、慣れた人にはありがたかったです。